趣旨説明 この文書は、「マルチSSIDとは何ですか?」という質問に答 えるケースを使って、技術的な知識をわかりやすく説明する ための情報の整理・構造化の事例を見せることを目的として 作成しました。 「1 マルチSSIDとは何ですか?」 が質問と解答例(文章)、 2~3が説明文を断片化したもの、4~8がそれを適切な順 番に組み替えて図解したものです。 4~8について、基本的なところから概念を1つずつ、読者の 脳内にイメージが出来るように書いていく事例として参考に してください。 2012年7月23日 アイデアクラフト 開米瑞浩 1 マルチSSIDとは何ですか? 質問: マルチSSIDとは何ですか? 回答: 無線LANルータなどが持つ機能の一つで、その機器 に複数のSSID(アクセスポイントの識別名)でアクセスできる 機能です。ESSIDを複数設定できる「マルチESSID」と、 BSSIDを複数設定できる「マルチBSSID」の二方式がありま す。 それぞれ別の通信方式や暗号化方式を設定することができ るようになっており、パソコンからは安全な最新の暗号化方 式に対応したネットワークに、旧式の暗号 化方式しか対応し ていないゲーム機からはその方式で通信できるネットワーク に、といったように、アクセス方法を機器によって使い分ける ことができます。 2 説明文(1) 1.無線LANルータは情報機器をネットワークに接続する装置である 2.1つの無線LANルータに複数のSSIDを設定できる 3.情報機器はSSIDを使って接続対象の無線LANルータを選ぶ 4.SSIDごとに、通信のための設定を変えることが出来る 5.複数の情報機器が同時に1台の無線LANルータを共用できる 6.それら「複数の情報機器」にとって適切な「通信設定」は異なる 7.「通信設定」のうち重要なのは「通信可能な範囲と暗号強度」のこと 8.PCからの通信は通信可能範囲を広くしなければならない。そのため には高い暗号強度が求められる。PCはそれが可能 9.ゲーム機では強度の高い暗号に対応できない。その代わり、ゲーム 機の通信可能範囲は狭くていい。 3 説明文(2) 10.これら複数の情報機器が同時に一台の無線LANルータを通じて ネットワークに接続したいことがある 11.そのためには一台のルータで通信設定が違う複数のチャネルを同 時に動かさなければならない 12.それを区別するためにSSIDを「マルチ」化し、SSIDごとに複数の通 信設定で動作させることにする GF.マルチSSIDとは、通信を制限するための仕掛けである 4 説明文の断片に図解をつける(1) 情報機器1 (例:パソコン) 無線 情報機器2 無線LAN ルータ ネットワーク (例:ゲーム機) 1.無線LANルータは情報機器をネットワークに接続する装置である 5.複数の情報機器が同時に1台の無線LANルータを共用できる 5 説明文の断片に図解をつける(2) 情報機器1 (例:パソコン) 無線LAN ルータ 無線 情報機器2 ネットワーク (例:ゲーム機) 暗号化 通信範囲の制限 この2点を適切に設定しなければならない 無線LANには暗号化が不可欠 暗号には強度がある 通信可能な範囲を制限すると安全性が高まる 暗号強度と通信可能範囲を適切に設定しなければならない 6 説明文の断片に図解をつける(3) 情報機器1 (例:パソコン) 情報機器2 (例:ゲーム機) 暗号強度 通信可能範囲 高強度暗号に 対応可能 広く取りたい 高強度暗号に 対応不可 (世界中のPC、サーバーなど) 狭くてよい (ゲームサーバーのみ、 あるいは同じゲーム機のみ、など) パソコンとゲーム機では通信に関して異なった要求がある パソコンは高強度暗号に対応可能。 通信可能範囲は広く取りたい。 パソコンは高強度暗号に対応不可。 通信可能範囲は狭くてよい。 この2種類の装置で同時に一台の無線LANルータを使うにはどうする? 7 説明文の断片に図解をつける(4) 無線LAN ルータ 情報機器1 (例:パソコン) SSID1 高強度暗号 通信範囲(広) ネットワーク 情報機器2 (例:ゲーム機) SSID2 SSIDによって 低強度暗号 通信範囲(狭) 通信設定を区別する 一台の無線LANルータに複数のSSIDを設定可能とする SSIDごとに異なる通信設定を適用可能とする 情報機器からは適切なSSIDを選んで接続する それによって異なる設定の通信を同時に行うことが可能になる 8 説明文の断片に図解をつける(5) 無線LAN ルータ 情報機器1 (例:パソコン) SSID1 高強度暗号 通信範囲(広) ネットワーク 情報機器2 (例:ゲーム機) SSID2 SSIDによって 低強度暗号 通信範囲(狭) 通信設定を区別する ゴール・フレーズ 結論:マルチSSIDとは、一台の無線LANルータに複数のSSIDを 持たせ、SSIDごとに異なる仕様で通信を制限する仕掛けです。
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