社会保障改革と公衆衛生学 首都大学東京・星 旦二 話題提供 • • • • • • 社会保障とは 社会保障費の増加 国民負担率 財政諮問会議の骨太方針 各改革方針(年金、介護、医療) 方向性と展望 社会保障とは・日本国憲法第25条 • 全ての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を 営む権利を有する。国は、すべての生活部面につ いて、社会福祉、社会保障、及び公衆衛生の向上 及び増進に努めなければならない。 • 国民の生存権を保障する規定であり、福祉国家の 建設を希求するわが国の憲法では最も重要な条文 の一つである。 • ここで用いられてる「社会保障」という用語は、前後 の関係から「社会保険および公的扶助による国民 に対する経済的保障」を指すものと解されている。 社会保障給付費・現状と将来推計 • 2005年度の社会保障給付費は87兆9,150億円で、 一人あたり68万8,100円であった。 • 内訳は、医療28兆1,094億円(32.0%)、 • 年金46兆2,930億円(52.7%)、福祉その他13兆 5,126億円(15.4%) • 高齢者関係給付費は、61兆7,079億円となり、同給 付費の70.2%を占めている。 • 2025年度の社会保障給付費は141兆円(国民所得 比26.1%)に達するとの見通し(「社会保障の給付と 負担の見通し」(2006年5月厚生労働省推計) 国民負担率と国の方針 • 税と社会保障負担を合わせた 「広義の税収」の国民所得比 を「国民負担率」という • 我が国は、 %か? • 10% 20% 30% 40% 税金が高く、労働意欲を削いでしまい、 民間経済活動を圧迫しイノベーションの芽を摘む。 日本政府は、これまで、大企業優先の立場から、 小さい政府を目指してきた。 国民負担率・国際比較(2005年) 日本 スイス アメリカ 韓国 ギリシア ヾ アイルランド オーストラリア カナダ ポ土フンド スロヴァキア 英国 スペイン ドイツ ポルトガル オランダ チェコ ノルウェー イタリア ニュージーランド オーストリア アイスランド フィンランド フランス ベルギー ルクセンブルク スウェーデン デンマーク 社会保障給付費の国民所得に対する比率の国際比較 2003 35% 20% 日本 イタリア スペイン ドイツ 韓国 スウェーデン カナダ フランス 英国 アメリ力 (出典)1.0ECD “Nationa1 Accounts”,0ECD “Socia1 Expenditure Data Base” により作 成した。 2.0ECDの政策分野別社会支出のうち、old ageを年金・介護、healthを医療、そ れ以外を福祉とした。 3.福祉には失業給付、児童手当等を含む。 平成16年6月 「社会保障の在り方に関する懇談会」 • 内閣官房長官諮問会議発足 • 「社会保障制度を将来にわたり持続 可能 なものとしていくため • 社会保障制度全般について、 • 税、保険料の負担と給付の在り方を含め、一 体的な見直しが必要 • 2006年5月、「今後の社会保障の在り方 について」つまり骨太方針が提起され た。 2004年・年金制度改革 • マクロ経済スライドの導入 ― 給付について、将来の被 保険者数の減少や平均余命の伸びを踏まえ、給付水準 の伸びを抑制。 • 将来の保険料の固定 ― 負担について、改革前は 25.9%までの引上げが必要であった厚生年金保険料率 について、保険料の水準を2017年度まで段階的に 18.3%まで引き上げた後は将来にわたり固定。 • 国民年金2017年度以降は2004年価格16,900円固定 • 基礎年金の国庫負担割合の引上げ ― 2009年度までに 1/2へ引上げ。 2005年・介護制度改革 • 介護予防への重点化 ― 介護予防への重点 化、地域ケアの推進のための新たなサービ ス体系の確立及びサービスの質の向上 • 利用者負担の見直し ― 在宅と施設の給付 範囲の不均衡の是正で食費・居住費の利用 者負担の見直し • 介護報酬改定 ― 2005年10月と2006年4月 に計△2.4%の改定 • 介護保険適用の療養病床の廃止 2006年医療制度改革 • 安心・信頼の医療の確保と予防の重視 ― 質の高い医療 サービスと疾病の予防を重視した保健医療体系に転換。 • 医療費適正化の総合的な推進 ― 医療費の伸びが過大とな らないよう、糖尿病等の生活習慣病の患者・予備群の減少、 平均在院日数の短縮を図るなどの計画的な医療費の適正 化対策を推進、現役並みの所得がある高齢者の患者負担 の3割への引上げ、療養病床に入院する高齢者の食費・居 住費の負担の見直しの公的保険給付の内容・範囲の見直 し。 • 新たな医療保険制度体系の実現 ― 新たな高齢者医療制度 を創設するとともに、保険財政の基盤の安定を図るために都 道府県単位を軸とする保険者の再編・統合を推進。 • 療養病床の再編成 ― 療養病床は医療の必要度の高い患 者を受け入れるものに限定して医療保険で対応し、医療の 必要度の低い高齢者は、老健施設又は在宅、居住系サービ ス等で対応。 保健師活動は、高齢者就労を経て 要介護状況を予防する e1 e3 病床利用率 e1 .42 介護保険料 .76 .56 .49 e2 特養施設入所数 .13 要介護率 .60 e2 人口当病院病床 -.37 -.10 -.25 高齢者有業率 e4 .74 -.04 .33 -.30 高齢者有業率 e4 .33 人口当保健師数 e5 人口当保健師数 AGFI=.996 NFI=.999 RMSEA=.000 CMIN=.034 P=.853 AGFI=.859 NFI=.967 RMSEA=.053 CMIN=2.261 P=.323 e5 .39 方向性と展望 • 予防で儲かる機関の創設が必要 • 予防で収入が減る医療機関 • 保健師活動は民間での方向性に 対する、理論的な武装が必要 • 住民への真の情報提供と展望を共 有する日々の活動蓄積が大切 • KW:就労と生きがい、社会参画、夢
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