本の読み方のコツ 刈谷剛彦著「知的複眼思考法」

大学入門講座6
本の読み方のコツ
刈谷剛彦著「知的複眼思考法」
(講談社+α文庫)から
●著者とかかわりながら読書するコツ
●批判的読書のコツ(20のポイント)
>>「知的複眼思考法」を読んでみること
をすすめます
●著者とかかわりながら読書するコツ
いろいろな疑問を持って、段落ごとに、文章を
追っていくのがそのコツ。
ヒントとして、次のようなフレーズの例を書き込み
ながら一冊の本を読んでみると良いだろう。
●フレーズの例
・「なるほど」
・「ここは鋭い」
・「納得がいかない」
・「どこか無理があるな」
・「その意見に賛成だ」
・「その意見に反対。自分の意見とは違う」
・「著者の意見は不明確(あいまい)だ」
・「同じような例を知っている」
・「自分の身の回りの例だとどんなことかな」(実
際に思いついた例を書いておく)
・「例外はないか」
・「見逃されている事実や例はないか」
・「これは他の人にも伝えたいエピソードやデータ
だ」
・「もっと、こういう資料が使われていれば議論の
説得力が増すのに」
・「なぜ、こんなことが言えるのか」
・「自分ならこういう言葉を使って表現するな」(実
際にその言葉を書いておく)
・「この表現は難しすぎる」
●批判的読書のコツ -20のポイント
Critical Reading Improvement, A.E.Harnadek, MacGraw-Hill, 1969 を参
考に作成された
批判的読者は、
1.読んだことのすべてをそのまま信じたりはし
ない。
2.意味不明のところには疑問を感じる。意味が
通じた場合でも疑問を感じるところを見つける。
3.何か抜けているとか、欠けているなと思ったと
ころに出会ったら繰り返し読み直す。
4.文章を解釈する場合には、文脈によく照らす。
5.本についての評価を下す前に、それがどんな
種類の本なのか
6.著者が誰に向かって書いているのかを考え
る。
7.著者がどうしてそんなことを書こうと思ったの
か、その目的を考える。
8.著者がその目的を十分に果たすことができた
かどうかを知ろうとする。
9.書かれている内容自体に自分が影響された
のか、それとも著者の書くスタイル(文体)に強く
影響を受けているのかを見分ける。
10.議論、論争の部分を分析する。
11.論争が含まれる場合、反対意見が著者の
よって完全に否定されているのかどうかを知る。
12.根拠が薄く指示されない意見や主張がない
か見極める。
13.ありそうなこと(可能性)にもとづいて論を進
めているのか、必ず起きるという保証付きの論
拠(必然)にもとづいて論を進めているのかを区
別する。
14.矛盾した情報や一貫していないところがな
いかを見分ける。
15.当てになりそうもない理屈にもとづく議論は
割り引いて受け取る。
16.意見や主張と事実の区別、主観的な記述と
客観的な記述との区別をする。
17.使われているデータをそのまま簡単には信
じないようにする。
18.メタファー(たとえ)や、熟語や術語、口頭表
現、流行語・俗語などの利用のしかたに目を向
け、理解につとめる。
19.使われていることばの言外の意味について
目を配り、著者が本当に言っていることと、言っ
てはいないが、ある印象を与えていることを区別
する。
20.書いていることがらのうちに暗黙のうちに入
り込んでいる前提が何かを知ろうとする。
ポイントをまとめると
1.著者と対等になって文章を読む。書か
れたものを不動の完成品だとは思わない。
2.批判的に読書するためには20のチェッ
クポイントがある。
3.その中でも重要なポイントとして次の4
つをあげることができる。
(1)著者を簡単には信用しない。
(2)著者のねらいをつかむこと。
(3)論理を丹念に追うこと、根拠を疑うこと。
(4)著者の前提を探り出し、疑うこと。