“ぷち発明”をいかした教材としての 燃料電池模型自動車 エネルギー環境教育研究 VOL.2 No.1 実践報告 川村康文(東京理科大学) 川村研究室 B4 1208002 青柳和宏 1.はじめに エネルギー環境教育の授業を行う場合に,実 験が高度で難しいという声が聞かれる. 理由の1つは,授業担当者が必ずしも理科実験 のエキスパートではない点が挙げられる. ⇨専門外の教師でも手軽にできるよう,実験教 材を整備する必要がある. より簡単に行える,児童・生徒に興味・関心を もって受け入れられる教材を準備する必要があ る。 児童・生徒がハンズ・オンで学べるように,安価 である必要がある。 2 1.はじめに 本研究では,誰でもが手軽に行える 実験としての燃料電池模型自動車の 提案および,それを教材として用い ての授業の実践例を提案する。 3 2.“ぷち発明” 科学者や研究者が行う大発明とは異なり,日常 生活の中のたわいもないごく身近な発明をイ メージすればよい. 紹介された側もごく自然に受け入れることができ, また紹介された側が紹介者に発明を改良したも のを返したり,紹介された側の身近な知人達の あいだでブームを巻き起こしたりする傾向がある. ⇨実験教材として広まりやすい 4 2.“ぷち発明” 理科:おもしろ実験として“ぷち発明”的なもの が教材として広がっている. エネルギー環境教育: そのような広まりは見られていない. 教材を探しても豊富でないのが実態. 5 3.学習教材としての燃料電池のあり方 市販されている教材は高価 演示実験で終わる 児童・生徒に実感やリアリティをもって学ばれた か懸念される 6 http://www.rika.com/product/prod_detail1.php?catalog_no=B10-2074 7 http://www.rika.com/product/prod_detail1.php?catalog_no=S76-3180 8 3.学習教材としての燃料電池のあり方 特に環境技術のようなものは,実際に手にとっ てその技術を評価することで,どのように改良が 発展するのかが見えてくる. 学習者にいきなり高度なハイテク技術を教えて 難しいと思わせるのではなく,プリミティブな燃 料電池から学習を始め,環境技術への興味・関 心を高めることが,将来の技術者養成につなが ると考える. 9 4.燃料電池を学習教材として用いた授業 基本原理として,以下のことが実験で確認でき るように教材を準備する. 水を電気分解すると酸素と水素が発生する.逆に 酸素と水素が化合すると水が発生し,電気エネル ギーを取り出せる. 水の電気分解は電源器ではなく,手回し発電機を 工作させて,自分で作った手回し発電機で行う. 発電の確認は電子メロディーや発光ダイオードで 行うばかりでなく,電気エネルギーについて児童・ 生徒らが自らいろいろ創意・工夫をしながら学べる ように,模型自動車を動かすことを学習課題として 与える. 10 4.燃料電池を学習教材として用いた授業 ①燃料電池の制作 論文に細かく書いてあるので省略 ・容器:フィルムケース ・電極:竹串をアルミ箔でくるんで蒸し焼きにして作った 竹炭(難しければ4Bなどの炭素を多く含んだ 鉛筆の芯) ・電解液:紅茶やコーヒーなどの身近なドリンク 11 12 よくわかる、おもしろ理科実験 p.26 13 4.燃料電池を学習教材として用いた授業 ②発電確認実験 電子メロディー:燃料電池1個で鳴る 発光ダイオード:1個では光らない 1個では小さな電力しか取り出せない →学習上のメリットがある 発光ダイオード:2個直列で光る モーター:直列では回らない→並列も 14 4.燃料電池を学習教材として用いた授業 ③燃料電池模型自動車の制作 ・モーターを模型自動車に搭載する. ・車体の上に燃料電池を設置すると車重が重 くなり走行できなかったので,燃料電池は車 体の上には搭載しない. 15 16 4.燃料電池を学習教材として用いた授業 ④燃料電池模型自動車を用いた授業 ・中学校や高校で実施 ・教員向けセミナーでも実施 ・2時間で終えることができた ・物理分野の学習は好まれていない傾向があ るが,この実験教材を用いてのエネルギー 学習は好評であった. 17 5.結論 理科の実験分野で成功した“ぷち発明” の方法を用いれば,この分野での実験教 材の開発も難しくないと考える. このような教材を用いて,児童・生徒にエ ネルギー環境教育を指導して頂ける方が 増えることを期待する. 18 6.論文から得た知見 ぷち発明→フィードバック→ブラッシュアップ 性能の低い教材→工夫 7.将来行いたい授業 科学技術への興味を高める授業 生徒に考えさせる授業 19
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