大学における e-Learning導入に向けての考察 鹿児島大学 法文学部 経済情報学科4年 下園ゼミ所属 森山明日香 2003/12/26 1 もくじ はじめに e-Learning/WBTの機能 大学におけるe-Learning/WBTとは 実態調査 考察 2003/12/26 2 e-Learning/WBTとは e-Learning とは – TechLearn1999という学会で「e-Learning」と いう言葉が初めて使用 – 「IT技術全般を用いて学習目的を達成し、パ フォーマンスを高める手段のこと」を総称して e-Learningとする見方も – 学習者とコンテンツ提供者との間にインタラク ティブ性が必要 2003/12/26 3 e-Learning/WBTとは WBTとは – e-Learningの中でも特に「インターネット」や 「イントラネット」を利用した教育 – ネットワークを活用し、コンテンツの内容を瞬 時に更新・検索・配布・共有を行うことができる 2003/12/26 4 e-Learning /WBTの効果・長所 時間と場所の制約がない 受講者のレベルに合わせることができる コスト削減 教材内容の更新がしやすい 学習管理の容易さ →学習者間や講師との間によい学習環境を構築で きる 2003/12/26 5 各教育現場でのe-Learning 教育現場の分類 初等中等教育 ・主たる教育、従たる教育を受ける幼児、 小学生、中学生、高校生 ・通信制により主たる教育を受講する人 高等教育 ・大学生、大学院生、高等専門学校生 ・通信制高等教育機関の在学生 専修学校、その他の ・専修学校生、各種学校生、語学学校生 学校における教育 企業内教育 ・一般企業就業者、公務員等 生涯学習 その他 ・カルチャーセンター、通信教育受講者 2003/12/26 6 各教育現場でのe-Learning 初等中等教育 – 総合学習によるインターネットでの調べ学習 – 遠隔地の学校との交流 – 衛星通信を利用したサテライト授業からの移 行 専修学校、その他の学校における教育 – テレビ会議 – ネットワークを利用した会話の実践(語学学 校) 2003/12/26 7 各教育現場でのe-Learning 企業内教育 – 階層別研修、機能別研修、課題解決型研修 生涯学習 – NOVA「お茶の間学習」 – 富山県「インターネット市民塾」 – 文部科学省「エルネット オープンカレッジ」 2003/12/26 8 各教育現場に求められる可能性 学生の在宅学習 時間の制約を受けない 個人のレベルに合わせた学習が可能 マルチメディアによる学習効果 遠隔地とのコミュニケーション 生涯学習など社会への貢献 2003/12/26 9 e-Learning /WBTの市場規模予測 e-Learning市場規模予測 1000 800 ( 600 億 円 400 ) 200 0 自己研鑽 大学講座 企業研修 2003/12/26 2001 2002 2003 2004 2005 2006 32 0 155 56 8 215 81 106 26 72 293 393 (年度) 129 113 515 152 136 655 出展:NRI IT市場ナビゲータ2006 10 研究目的 大学におけるe-Learningの普及 – 大学の様々な講義形態 – e-Learning導入指針の不明瞭 2003/12/26 11 e-Learning /WBTの機能 e-Learning /WBTの機能 e-Learning /WBTの標準化動向 主なe-Learning /WBTプラットフォーム 2003/12/26 12 WBTシステムの機能 管理機能 – 受講生管理機能、学習進捗管理機能、成績管理機能 など 教材作成機能 – シナリオ編集、テスト作成機能など マルチメディア対応 – 音声、動画(アニメーション、ストリーミング)など 学習者サポート機能 – 掲示板、メールによる質問対応など 2003/12/26 13 WBTシステムの利用者 WBT教育管理者・・・管理機能 WBT教材作成者・・・教材作成機能、マル チメディア機能 WBT学習サポート者・・・学習サポート機能 以上、3種類のWBT利用者により、WBT教 育学習者は学習を進めることができる 2003/12/26 14 WBTシステムの機能の動向 市販のWBTシステムは対応している機能 と対応していない機能が様々 ↓ 他社製品との差別化 2003/12/26 15 e-Learning/WBTの標準化動向 標準化とは – 標準を決めて資材・製品などの規格を統一す ること 2003/12/26 16 主要な標準規格 LOM(Learning Objects Metadata) LIP (Learner Information Package) SCORM (Sharable Content Object Reference Model) 2003/12/26 17 LOM LOの各種属性を記述するためのメタデー タ – LO・・・Learning Object 教育研修に使用され るデジタル、非デジタルのあらゆるリソースを さす e-Learning化のための設計時に必要 2003/12/26 18 LIP 学習者の属性を記述するための規格 – 教育記録 – トレーニング記録 – 専門性開発記録 – 履歴書 – 生涯学習記録 – 地域サービス記録 2003/12/26 19 SCORM CMI(Computer Managed Instruction)規 格をベースにLOM規格をADL(Advanced Distributed Learning Initiative)が統合、 作成 現在のバージョンは1.2 2003/12/26 20 SCORM SCORMで対象とするWBTの動作 サーバ:WBTサーバ クライアント:webブラウザ 2003/12/26 出展:@IT 最新のeラーニング標準技術 21 SCORM – SCORMに対応していない場合 A社 B社 C社 コンテンツ コンテンツ コンテンツ A社 B社 C社 LMS LMS LMS 2003/12/26 22 SCORM – SCORMに対応している場合 コンテンツ 最適化 コンテンツ コンテンツ A社 B社 C社 LMS LMS LMS A社 2003/12/26 B社 C社 23 SCORM コンテンツの流通の促進 コンテンツの低価格化・高品質 2003/12/26 24 SCORM SCORMが普及すれば・・・ – 利用者側 • 多くのコンテンツベンダの教材を自分のLMSで使 用可能 – コンテンツベンダ側 • コスト削減 • コンテンツの販路の拡大 2003/12/26 25 主なe-Learning/WBTプラットフォーム 多数のe-Learning /WBTプラットフォーム ほとんどが企業向け – 値段が高い – カスタマイズしにくい →大学では広くつかわれていない 2003/12/26 26 アメリカの高等教育機関における マーケットシェア 55%以上が使用・購入経験有 LearningSpace 10% その他 3% w ebC T 50% B lackboard 37% 2003/12/26 w ebC T B lackboard LearningSpace その他 27 WebCT(Web Course Tool)概要 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学で開 発 webを利用した統合コース管理システム 独自のカスタマイズが可能 2003/12/26 28 WebCT概要 標準化・・・IMS標準に準拠 (SCORMはコンテンツの相互運用性の部 分についてはIMS標準を使用) 81カ国、2600を超える高等教育機関で利 用 日本語版は株式会社エミットジャパンが商 品化 2003/12/26 29 Blackboard アメリカ・コーネル大学で開発 カスタマイズに制限 各種標準に対応 45カ国、2900以上の高等教育機関で利用 2003/12/26 30 WebCTとBlackboard 学習者サポート機能、教材作成機能など、 機能面での大きな違いはない カスタマイズに大きな違い 2003/12/26 31 WebCTとBlackboard WebCT・・・カスタマイズ可 – 機能が豊富 – コースレイアウトもカスタマイズできる – 初めて使用する人には困難 Blackboard・・・カスタマイズ不可 – 機能に制限 – コースレイアウトも決まっている – 初心者にとって適当 2003/12/26 32 WebCTとBlackboard WebCT – サポート面の充実 – 開発側のe-Learningの知識の豊富さ Blackboard – サポート面の充実 – 扱いやすさ ⇒普及の理由 2003/12/26 33 大学におけるe-Learning/WBTとは 大学における情報化の流れ 大学におけるe-Learning/WBTの可能性と 必要性 大学におけるITの現状 2003/12/26 34 大学における情報化の流れ 1983年 放送大学開始 →衛星通信 1995年 「衛星通信による映像交換を中 心とした大学間ネットワーク」 2001年 大学設置基準の改正 2003/12/26 35 大学におけるe-Learning/WBTの 可能性と必要性 知的財産としての授業の保存 地域への貢献 学校の宣伝として 財源として ファカルティ・ディベロップメント(FD) ⇒教育内容を豊かにし、教育機会を拡大 2003/12/26 36 大学におけるITの現状 2002年度 35.0 25.6 39.4 2001年度 35.7 23.4 40.9 2000年度 33.4 1999年度 17.0 0% 22.6 12.7 20% 利用している 2003/12/26 44.0 70.3 40% 60% 利用を予定している 80% 100% 利用する予定はない 参考:メディア教育開発センター 「高等教育におけるマルチメディア利用実態調 査」 37 実態調査 調査目的 調査方法 調査結果 2003/12/26 38 調査目的 日本の大学におけるe-Learning/WBTの 利用状況 e-Learning /WBTに必要な機能 これからe-Learning/WBTを導入するうえ で必要なこと 2003/12/26 39 調査方法 調査方法 – 『 e-Learning実践 大学 単位』、『遠隔教育 実践 大学 単位』というキーワードで検索エ ンジンにかける(Google) – webで公開されている内容が分かりにくい大 学に限り、 e-Learningを担当されている先生 へメールで連絡をとる 2003/12/26 40 調査結果 大学院 →主に単位取得可能な e-Learning – 時間の制約を受ける社会人学生が多いため 大学 →主に授業支援システム – 対面教育が前提であるため 2003/12/26 41 調査結果 実施学部 – – – – – – – – – 教養・・・・・・・・・・・・・・・2大学 人文系・・・・・・・・・・・・・2大学 経済・経営学系・・・・・・9大学 教育系・・・・・・・・・・・・・3大学 工学系・・・・・・・・・・・・・16大学 理学系・・・・・・・・・・・・・1大学 理工学系・・・・・・・・・・・1大学 情報系・・・・・・・・・・・・・3大学 その他・・・・・・・・・・・・・2大学 2003/12/26 42 調査結果 利用されているソフトウェア – 富士通 Internet Navigware – IBM ラーニングスペース – 日立電子サービス HIPLUS – 大学独自のソフトウェア (企業への委託を含む) – 無料配布された他大学のe-Learningのソフト ウェアを手直しして利用 2003/12/26 43 調査結果 利用されているe-Learningの主な機能 – 講義ノートや資料の掲載をする教材提供 – レポート提出機能 – 掲示板機能 大学によって利用する機能は異なる → e-Learningに対する考えの違い 2003/12/26 44 調査結果 e-Learningに対する考えの違いとは・・・ e-Learningシステムを – 学生同士のコミュニケーションの場として利用 – スクーリングの参考資料提供の場として利用 – レポートを提出用としての利用 2003/12/26 45 実態調査の考察 実施学部の偏り – e-Learning化における問題 プラットフォームの分散 – コスト問題、使いやすさ 利用している機能の偏り ⇔教材提供、レポート提出機能、掲示板機能は 必須要素 2003/12/26 46 考察 e-Learning/WBT普及のための課題 – e-Learning/WBTの導入時の課題 (どこをe-Learning化するか、コスト問題など) – コミュニケーションにおける課題 – 継続的に学習できる支援体制 – 教育効果 2003/12/26 47 考察 e-Learning/WBT普及のための課題 – 先生による授業形態の違い → e-Learning化の複雑化 ↓ 各授業形態に合うe-Learningの設計が必要 2003/12/26 48 現在の授業形態 講義型 – 集団学習方式 – ディスカッション方式 実習型 – 実習 2003/12/26 49 大学における授業のあり方 講義 ディスカッションによる教育の向上 – 現状はディスカッションを行う授業はほとんど ない 理由:学生側に授業を受ける前提がない ↓ e-Learning/WBTの利用 2003/12/26 50 効果的なe-Learningを実現するには e-Learningをどのように設計すれば良い かを検討する必要 ↓ e-Learningコーディネータが必要 2003/12/26 51 e-Learningコーディネータとは e-Learning化するときのコンサルタント – 授業を担当する先生との間に立ってコンサル ティング – 学習プロセスのデザイン設計 2003/12/26 52 e-Learningコーディネータの必要性 授業のどの部分をe-Learningで実施する か 学習者を最終目標までどのように導くか ⇒効果的なe-Learningの実現 2003/12/26 53 おわりに 今後の予定・・・ – 大学における授業のあり方、タイプ分け – 考察部分(特にe-Learningコーディネータ、ブ レンデッド・ラーニング) をさらにつめる 2003/12/26 54
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