MAXIのデータプロセッサ-(DP) リリース2 M.Kohama, T.Mihara, I.Sakurai (RIKEN), H.Tomida, S.Ueno, M.Matsuoka, N.Isobe, H.Katayama (NASDA), H.Negoro (Nihon univ.), N.Kawai, J.Kataoka (T.I.Tech.), A.Yoshida, K.Yamaoka (Aoyama-Gakuin univ.), H.Tsunemi and E.Miyata (Osaka univ.) MAXIは国際宇宙ステーション(ISS)に搭載される全天X線監視装置である。現在2008年の打ち上げに向け、各パート毎に本格的な開発が進んでいる。その信号処理部であるデータプロセッサー (DP)はMAXI全体を制御し、搭載されている2つの検出器(GSC、SSC)からのデータをISSを通して地上に送信する役目を持つ、本装置の心臓部をなす。前回(2001年秋)には基本設計に基づき製 作された試作モデルその1(リリース1)について報告を行なった。今回はリリース1で判明した改良点を取り込み、ほぼ本番と同等の機能を盛り込んだ詳細設計が完了し、それに対して試作モデル その2(リリース2)が製作されたので、DPシステム全体の紹介とリリース2に対する動作確認試験について報告する。 MAXIシステム MAXIと地上との通信関係 宇宙ステーション ISS 放射線モニタ 実験モジュール JEM MDP) (ミ ッ シ ョ ン デ ー タ 処 理 部 信号処理部 (DP) NASAリンク 40-50Mbps 17h/day 低速系 (1553B) MAXI MAXIはJEM曝露部のNo1ポートに接続され、JEMを 通じて、地上と2系統(低速系、中速系)の通信システム を用いてデータ等のやり取りを行う。 中速系: 地上とEthernetで結ばれており、MAXIには最大 600kbpsの送信量が割り当てられている。また、 日本側の通信網(ICSリンク)で5h/day、アメリカ側 の通信網(NASAリンク)で17h/dayの通信時間が 期待される。 低速系: 従来の衛星通信方式(1553B)で、20-50kbpsの通信 量が割り当てられている。地上との通信不可の時間 帯のデータもICSレコーダーに蓄えられ、実験に最低 限必要なデータのダウンリンクを行うようになっている。 ICSリンク 50Mbps 5h/day 中速系 (Ethernet) (NASDA) ↓ (RIKEN) 地上(USER) 図1:MAXIと宇宙ステーション(ISS) ルート データリレー衛星 (静止軌道) ISS通信可能時間 [h/day] 総通信レート [Mbps] アメリカ TDRS(現在5機) 17 40-50 日本 50 5 DRTS-W(1機) 日本分 ([Mbps]) NASDAまで の時間 12.8%(5) 10秒以内 >50%(>20) 数秒 現在、NASDAの方で通信システムの整備が進められている。 低速系に関しては地上のミッションチームまでの通信網が完成しつつある。通信衛星を通して地上に降りてきたデータ はNASDAが用意したOCSというデータベースシステムに蓄えられ、そこから各ミッションチームにデータが配信される。 OCSではICS経由のデータに関してOCSはリアルタイムデータダウンリンク送信(現在接続中のデータをリアルタイム で送信)と再生ダウンリンクデータ送信(ICSレコーダーに保存されていたデータや過去のデータを再生送信)の2つの サービスを提供している。 中速系に関しては現在整備中で、ミッションチームとのデータ接続はUDPが用いられる。サービスとしてはリアルタイム データ送信のみで、ISSとの通信が不可の時間帯のデータは得られることが出来ない。 マスタ (システム) CPUモジュール 転 送 回 路 CPUモジュール 共 有 メ モ リ CPUモジュール VMEバス MEM モジュール COM RAM Ethernet モジュール GSC I/F モジュール EEPROM (6MB) 転送回路 SSC I/F モジュール 1553B モジュール サポートセンサ I/F モジュール J E M GSCデータ (A系、B系) 図4:信号処理部(DP)概観図(リリース2) SSCデータ (A,B、HK系) 信号処理部(DP)は、VMEバス上に4つの並列なCPUボード、 GSC,SSCのインターフェイスボード、ネットワーク関連のEthernet ボード、1553Bボード、サポートセンサシステムのボード、そし てソフトウエアを確保しておくメモリモジュールが設置されている。 4つのCPUボードは独立に動作し、内2枚がGSC,システム制御 (マスタ、サブマスタ)に使われ、残り2枚がSSCの制御(スレーブ1, スレーブ2)に使われる。 また、VMEバス間の通信軽減の為、Ethernetモジュールは、マ スタ、サブマスタモジュールと専用ラインで接続され、SSCインター フェイスモジュールはそれぞれスレーブモジュールと専用ラインで 結ばれている。 OSには、リアルタイムOSのVxWorksが使用されており、ミッション 制御を迅速に行うことができる。 試験 Ether MDP擬似システム (VMEモジュール) 任意のイベントを 任意のレイトで生成 DP Sun 中速処理 1553 Linux 低速処理 今年度春に、リリース2が納品され、現在 その基本性能確認試験を行っている。 試験は、MDPを模した擬似データ発生装 置を用意し、DPに接続して行っている。 基本的な機能の確認を行い、今後長期 運転試験や負荷試験を行っていく。 また並行して、地上処理システムとの接続 試験を行っており、これらについては根来 らのポスターを見て頂きたい。 MDPの試作モデルその2はまだ開発中で 来年度にDP(リリース2)との接続試験を 行う予定である。 1553B I/F 出力結果を比較 リリース2では未実装 GPS受信機 GPS-R Ethernet I/F 44kg、79W 星姿勢系 VSCE 図2:MAXIデータ処理システム VSCH MAXIシステムとは、GSCやSSC、RBMのミッション装置(観測機器)を制御し、またデータの受信を行い、JEMを 通じて、地上との通信を行うものである。システムは3つに大分でき、それぞれミッションデータ処理部(MDP)、 サポートシステム部、信号処理部(DP)である。 ミッションデータ処理部(MDP): 信号処理部(DP)とRC422で接続、GSC,SSC、RBMと接続され、観測された生データの一次処理を行い、 信号処理部にデジタル情報で送信する。また、GSC,SSCを信号処理部(DP)からのコマンドを受けて直接 制御する。 サポートシステム部: 慣性基準装置、GPS受信システム、星姿勢系システムからなり、MAXIの位置情報、UT時刻情報を 信号処理部(DP)に伝える。 信号処理部(DP): MAXIの心臓を為し、JEMを通じて2系統(低速系、中速系)の通信システムを通じて外界(地上)との 通信を行う。ミッションデータ処理部(MDP)、サポートシステム部から、観測データ、MAXIの位置情報、 時間情報を受け取り、テレメトリとして地上に送信する。地上からのコマンド、スケジュール機能、及び 観測データを判断してGSC、SSC,サポートセンサーなどを制御する。 データ処理の流れ MDP GSC 保護処理 GSC-IN SSC-IN 1秒分集めて処理へ 16ライン集めて処理へ GSCイベント処理 SSCイベント処理 +1s GSC-A (20段) GSC-B (20段) SSC-H (55段) SSC-Z (55段) 低速系送信処理(1553) 20k-50kbpsで通信量制限。 各データ毎に バッファ(2MB,FILO)を持ち、固定送信量と 可変割り当てがある。可変割り当ての優先 順位は毎秒交代する。 FIFOが一杯の時は捨てられる。 1秒分がバースト的に送信 SSC 保護処理 +1s 75k-600kbps(平均200kbps)で通信 量制限。各データ毎にバッファ(FIFO)を持っ ており優先順序が毎秒交代する。 GSC-A固定分 可変割り当て SSC-H固定分 GSC-A固定分 SSC-Z固定分 +0s 全部送信 できた 全部足して 割り当て通信量 +1s GSC、SSCのデータは MDPを経由して、各CPU で2次加工処理が行われ る。2次加工処理では各 通信システムに合わせた パケットの生成を行い、 通信処理にデータを渡す。 また、SAAや太陽などの 環境から検出器を保護す るため、各検出器に対し て自動的、スケジュール 的に保護処理が行われ る。 中速系、低速系の各通信 処理では、JEMの通信量制 限に基づき、配信データの パケット化を行う。各系それ ぞれ、可変長パケット、固定 長パケットといった特徴をも つ。 中速系はFIFO処理で、最 大で20秒程度のバッファー を持ち、これは一つの明る い天体の通過時間に相当 する。低速系は、FILO処理 で2MBのバッファーを持ち 10分程度のデータを保持す ることが可能である。 1553の回収周期に合わせて回収 今後の予定 2004 2005 DPリリース2試験 CDR MDP 製作 DP PFM/FM製作 DPシミュレータ GSC処理 SSC処理 をシミュレート SSC-Z サポートシステム部 通信量制限 イーサーネット 中速通信系 ペイロードバス 低速通信系 X線CCD スリットカメラ (SSC) SSC-H サポート センサI/F 中速系送信処理(Ethernet) VSC,RLG、GPSR GSC-Z 慣性 基準装置 RLG SSC I/Fモジュールと スレーブCPUモジュール、 およびCOMモジュールと マスタ、サブマスタCPU モジュールは、VMEバスを 介さない専用データラインで 結ばれている。 (VMEバス負荷を減らす為) SSC RAM 共 有 メ モ リ CPUモジュール スレーブ (SSC-Z) スレーブ (SSC-H) RBM 37kg、109W SSC I/F 4CPU並列処理 (R3081、25MIPS) OS:VxWorks SSC RAM 転 送 回 路 サブマスタ (GSC-A,B) ガス比例計 数管スリット カメラ(GSC) GSC I/F 信号処理部(DP) 図3:信号処理部(DP)のデータの流れ RBM GSC-H 総合試験 DPとの 接続試験 2006 2007 2008 2009 打 ち 上 げ
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