公共経済学(06,05,12)

公共経済学(06,06,02)
投票のパラドックスと中位投票者モデル1
7.1 投票のパラドックス
<基本的な前提>
• 3名の投票者=投票者1、投票者2、投票者3
• 3つの選択肢=選択肢a、選択肢b、選択肢c
<選択肢の例>
選択肢a=道路の建設
選択肢b=公園の建設
選択肢c=美術館の建設
多数決投票均衡と投票のパラドックス
多数決投票均衡と投票のパラドックス
• xMy
選択肢xと選択肢yで多数決投票をするとxが選択される。
多数決投票均衡と投票のパラドックス
• xMy
選択肢xと選択肢yで多数決投票をするとxが選択される。
• 選択肢xが「多数決投票均衡」である。
xMyが任意のy (=x)について成立する。
多数決投票均衡と投票のパラドックス
• xMy
選択肢xと選択肢yで多数決投票をするとxが選択される。
• 選択肢xが「多数決投票均衡」である。
xMyが任意のy (=x)について成立する。
• 「投票のパラドックス」
「多数決投票均衡」が存在しない。
「選好の集まり」の表現方法
選好の順位
第1位
第2位
第3位
a
b
c
投票者名
投票者1
投票者2
投票者3
「選好の集まり」の表現方法
選好の順位
第1位
第2位
第3位
投票者1
a
b
c
投票者2
b
c
a
投票者名
投票者3
「選好の集まり」の表現方法
選好の順位
第1位
第2位
第3位
投票者1
a
b
c
投票者2
b
c
a
投票者3
c
a
b
投票者名
表1の下でaMbが成立する。
• aとbで多数決投票をしたとする。
表1の下でaMbが成立する。
• aとbで多数決投票をしたとする。
投票者1は?に投票する。
投票者2は
投票者3は
表1の下でaMbが成立する。
• aとbで多数決投票をしたとする。
投票者1はaに投票する。
投票者2は
投票者3は
表1の下でaMbが成立する。
• aとbで多数決投票をしたとする。
投票者1はaに投票する。
投票者2は?に投票する。
投票者3は
表1の下でaMbが成立する。
• aとbで多数決投票をしたとする。
投票者1はaに投票する。
投票者2はbに投票する。
投票者3は
表1の下でaMbが成立する。
• aとbで多数決投票をしたとする。
投票者1はaに投票する。
投票者2はbに投票する。
投票者3は?に投票する。
表1の下でaMbが成立する。
• aとbで多数決投票をしたとする。
投票者1はaに投票する。
投票者2はbに投票する。
投票者3はaに投票する。
表1の下でaMbが成立する。
• aとbで多数決投票をしたとする。
投票者1はaに投票する。
投票者2はbに投票する。
投票者3はaに投票する。
aの得票数=?
bの得票数=?
表1の下でaMbが成立する。
• aとbで多数決投票をしたとする。
投票者1はaに投票する。
投票者2はbに投票する。
投票者3はaに投票する。
aの得票数=2
bの得票数=1
表1の下でaMbが成立する。
• aとbで多数決投票をしたとする。
投票者1はaに投票する。
投票者2はbに投票する。
投票者3はaに投票する。
aの得票数=2
bの得票数=1
多数決投票で?が選択される
表1の下でaMbが成立する。
• aとbで多数決投票をしたとする。
投票者1はaに投票する。
投票者2はbに投票する。
投票者3はaに投票する。
aの得票数=2
bの得票数=1
多数決投票でaが選択される
表1の下でaMbが成立する。
• aとbで多数決投票をしたとする。
投票者1はaに投票する。
投票者2はbに投票する。
投票者3はaに投票する。
aの得票数=2
bの得票数=1
多数決投票でaが選択される
aMb
問題7-1
• bとcで多数決投票をしたとする。
bの得票数=?
cの得票数=?
⇒
問題7-1
• bとcで多数決投票をしたとする。
bの得票数=2
cの得票数=1
⇒
問題7-1
• bとcで多数決投票をしたとする。
bの得票数=2
cの得票数=1
⇒ bMc or cMb ?
問題7-1
• bとcで多数決投票をしたとする。
bの得票数=2
cの得票数=1
⇒ bMc
問題7-1
• bとcで多数決投票をしたとする。
bの得票数=2
cの得票数=1
⇒ bMc
• cとaで多数決投票をしたとする。
cの得票数=?
aの得票数=?
⇒
問題7-1
• bとcで多数決投票をしたとする。
bの得票数=2
cの得票数=1
⇒ bMc
• cとaで多数決投票をしたとする。
cの得票数=2
aの得票数=1
⇒ cMa or aMc ?
問題7-1
• bとcで多数決投票をしたとする。
bの得票数=2
cの得票数=1
⇒ bMc
• cとaで多数決投票をしたとする。
cの得票数=2
aの得票数=1
⇒ cMa
問題7-1
cMa
⇒ aMcではない。
⇒ aMyが任意のy(=a)に対して成立していない。
⇒ aは「多数決投票均衡」ではない。
同様にして、bとcも「多数決投票均衡」ではない。
⇒ 「多数決投票均衡」は存在しない。
⇒ 「投票のパラドックス」
「選好の集まり」の単峰性と多数決投票均衡
• 選択肢を1列に並べる順序について検討する。
たとえば、(a, b, c)などである
「選好の集まり」の単峰性と多数決投票均衡
• 選択肢を1列に並べる順序について検討する。
たとえば、(a, b, c)などである
a
b
c
問題7-2:並べる順序の数は?
•
•
•
•
•
•
(a, b, c)
(a, c, b)
(b, a, c)
(b, c, a)
(c, a, b)
(c, b, a)
以上の6つの順序がある。
単峰型順序(single-peakedness ordering)
• ある「選好の集まり」の下で、
「選択肢の順序」が「単峰型順序」である
とは、
「全ての投票者に関して、
ある選択肢より好ましい選択肢が、
右側と左側同時には存在しない」
ことである。
表2
選好の順位
第1位
第2位
第3位
投票者1
a
b
c
投票者2
b
c
a
投票者3
c
b
a
投票者名
(a, c, b)は「単峰型順序」ではない
<理由>
投票者1は
「選択肢cの左にある選択肢aと
右にある選択肢bを、
選択肢cより選好する」
からである(図1参照)。
図1
投票者1
投票者 3
第1位
投票者 2
第2位
第3位
a
c
b
選択肢
問題7-3
• 表2で「選好の集まり」が与えられているとき、
単峰型順序は?
• ある順序の下で、
「真中にある選択肢の選好の順位が
第3位になっている投票者が存在する」
ときは、単峰型順序ではない。
(例)(a, c, b)のときは投票者1が存在する。
問題7-3
• 表2で「選好の集まり」が与えられているとき、
3人の投票者とも選好の第3位になる選択肢
が真中にないようにするためには、真中にど
の選択肢があればよいか?
⇒ b
• したがって、単峰型順序は?
⇒ (a, b, c)と
問題7-3
• 表2で「選好の集まり」が与えられているとき、
3人の投票者とも選好の第3位になる選択肢
が真中にないようにするためには、真中にど
の選択肢があればよいか?
⇒ b
• したがって、単峰型順序は?
⇒ (a, b, c)と(c, b, a)である。
図
投票者1
投票者 2
第1位
投票者 3
第2位
第3位
a
b
c
選択肢
問題7-4
• 表1で「選好の集まり」が与えられているとき、
単峰型順序が存在しないことを示しなさい。
• ある順序の下で、
「真中にある選択肢の選好の順位が
第3位になっている投票者が存在する」
ときは、その順序は単峰型順序ではない。
表1
選好の順位
第1位
第2位
第3位
投票者1
a
b
c
投票者2
b
c
a
投票者3
c
a
b
投票者名
問題7-4
• 選択肢aが真中にある順序のとき、aの選好
の順位が第3位の投資家は?
⇒投資家2
• 選択肢bが真中にある順序のとき、bの選好
の順位が第3位の投資家は?
⇒投資家3
• 選択肢cが真中にある順序のとき、cの選好
の順位が第3位の投資家は?
⇒投資家1
単峰性とは
「ある選好の集まりが単峰性を満たす」
とは、
「その選好の集まりの下で単峰型順序が存在する」
ことである。
単峰性と「選好の集まり」
• 表2の「選好の集まり」は単峰性を満たすか?
⇒問題7-4より単峰型順序が存在する。
⇒単峰性を満たしている。
• 表1の「選好の集まり」は単峰性を満たすか?
⇒問題7-5より単峰型順序が存在しない。
⇒単峰性を満たしていない。
単峰性と投票のパラドックス
以下で、
「選好の集まり」が単峰性を満たしている。
⇒「投票のパラドックス」が発生しない。
単峰性と投票のパラドックス
以下で、
「選好の集まり」が単峰性を満たしている。
⇒「投票のパラドックス」が発生しない。
「多数決投票均衡」が存在する。
単峰性と投票のパラドックス
以下で、
「選好の集まり」が単峰性を満たしている。
⇒「投票のパラドックス」が発生しない。
「多数決投票均衡」が存在する。
ことを示そう。
問題7-5
• ある「選好の集まり」の下で、
「投票者ごとに
選好の順位が第3位の選択肢が
それぞれ異なっている。
⇒
その「選好の集まり」は、
単峰性を満たしていない」
ことを説明しなさい。
問題7-5
• ある「選好の集まり」の下で、
『投票者ごとに選好の順位が第3位の選択肢が異なっている。
⇒ 任意の選択肢の順序(x, y, z)に関して
yの選好順位が第3位の投票者が存在する。
⇒ その投票者にはyの両側にyよりも選好する選択肢がある。
⇒ 任意の順序(x, y, z)は単峰型順序ではない。』
• ある「選好の集まり」の下で、
投票者ごとに第3位の選択肢が異なっている。
⇒その「選好の集まり」は単峰性を満たしていない。
問題7-5の対偶
• ある「選好の集まり」の下で、投票者ごとに選好の順位
が第3位の選択肢がそれぞれ異なっている。
⇒ その「選好の集まり」は単峰性を満たしていない。
が成立するので、
• ある「選好の集まり」は単峰性を満たしている。
⇒ その「選好の集まり」の下で投票者ごとに選好の順
位が第3位の選択肢がそれぞれ異なっていない。
も成立する。
対偶とは?
• 条件p:A君は大学生である。
• 条件q:A君は学生である。
• 命題A:pならばqである。
• 命題Aの対偶:「qでない」ならば「pではない」。
• 命題Aが正しければ「命題Aの対偶」も正しい。
問題7-6
• 「選好の集まり」が表2で与えられているとき、
2人以上が第3位に選好している選択肢とは
どの選択肢?
⇒a
問題7-7
z=2人以上の選好順位が第3位の選択肢
x=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす
るときに選択される方の選択肢
y=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす
るときに選択されない方の選択肢
「選好の集まり」が表2で与えられているとき、
⇒ z=?, x= , y=
問題7-7
z=2人以上の選好順位が第3位の選択肢
x=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす
るときに選択される方の選択肢
y=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす
るときに選択されない方の選択肢
「選好の集まり」が表2で与えられているとき、
⇒ z=a, x=?, y=
問題7-7
z=2人以上の選好順位が第3位の選択肢
x=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす
るときに選択される方の選択肢
y=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす
るときに選択されない方の選択肢
「選好の集まり」が表2で与えられているとき、
⇒ z=a, x=b, y=
問題7-7
z=2人以上の選好順位が第3位の選択肢
x=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす
るときに選択される方の選択肢
y=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす
るときに選択されない方の選択肢
「選好の集まり」が表2で与えられているとき、
⇒ z=a, x=b, y=?
問題7-7
z=2人以上の選好順位が第3位の選択肢
x=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす
るときに選択される方の選択肢
y=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす
るときに選択されない方の選択肢
「選好の集まり」が表2で与えられているとき、
⇒ z=a, x=b, y=c
• 問題7-6より、
「選好の集まり」が単峰性を満たしている。
⇒2人以上が第3位に選好している選択肢zが
(1つだけ)存在する。
⇒選択肢z以外の2つの選択肢を
xMyを満たすように定めれば、
xが「多数決投票均衡」である。
• 問題7-6より、
「選好の集まり」が単峰性を満たしている。
⇒2人以上が第3位に選好している選択肢zが
(1つだけ)存在する。
⇒選択肢z以外の2つの選択肢を
xMyを満たすように定めれば、
xが「多数決投票均衡」である。
「投票のパラドックス」は発生しない。
問題7-8
単峰性を満たしていない「選好の集まり」でも
投票のパラドックスが発生しないケースがある
ことを表3の空欄を埋めることで作成しなさい。
表3
選好の順位
第1位
第2位
第3位
投票者1
a
b
c
投票者2
b
c
a
投票者名
投票者3
?
表3
選好の順位
第1位
第2位
第3位
投票者1
a
b
c
投票者2
b
c
a
投票者3
?
投票者名
b
表3
選好の順位
第1位
第2位
第3位
投票者1
a
b
c
投票者2
b
c
a
投票者3
a
投票者名
b
表3
選好の順位
第1位
第2位
第3位
投票者1
a
b
c
投票者2
b
c
a
投票者3
a
c
b
投票者名
問題7-9
• 「選好の集まり」が表2で与えられた場合
⇒ 「多数決投票均衡」は?
問題7-9
• 「選好の集まり」が表2で与えられた場合
⇒ 「多数決投票均衡」はb
問題7-9
• 「選好の集まり」が表2で与えられた場合
⇒ 「多数決投票均衡」はb
• 「選好の集まり」が表3で与えられた場合
⇒ 「多数決投票均衡」は?
問題7-9
• 「選好の集まり」が表2で与えられた場合
⇒ 「多数決投票均衡」はb
• 「選好の集まり」が表3で与えられた場合
⇒ 「多数決投票均衡」はa