公共経済学(06,06,02) 投票のパラドックスと中位投票者モデル1 7.1 投票のパラドックス <基本的な前提> • 3名の投票者=投票者1、投票者2、投票者3 • 3つの選択肢=選択肢a、選択肢b、選択肢c <選択肢の例> 選択肢a=道路の建設 選択肢b=公園の建設 選択肢c=美術館の建設 多数決投票均衡と投票のパラドックス 多数決投票均衡と投票のパラドックス • xMy 選択肢xと選択肢yで多数決投票をするとxが選択される。 多数決投票均衡と投票のパラドックス • xMy 選択肢xと選択肢yで多数決投票をするとxが選択される。 • 選択肢xが「多数決投票均衡」である。 xMyが任意のy (=x)について成立する。 多数決投票均衡と投票のパラドックス • xMy 選択肢xと選択肢yで多数決投票をするとxが選択される。 • 選択肢xが「多数決投票均衡」である。 xMyが任意のy (=x)について成立する。 • 「投票のパラドックス」 「多数決投票均衡」が存在しない。 「選好の集まり」の表現方法 選好の順位 第1位 第2位 第3位 a b c 投票者名 投票者1 投票者2 投票者3 「選好の集まり」の表現方法 選好の順位 第1位 第2位 第3位 投票者1 a b c 投票者2 b c a 投票者名 投票者3 「選好の集まり」の表現方法 選好の順位 第1位 第2位 第3位 投票者1 a b c 投票者2 b c a 投票者3 c a b 投票者名 表1の下でaMbが成立する。 • aとbで多数決投票をしたとする。 表1の下でaMbが成立する。 • aとbで多数決投票をしたとする。 投票者1は?に投票する。 投票者2は 投票者3は 表1の下でaMbが成立する。 • aとbで多数決投票をしたとする。 投票者1はaに投票する。 投票者2は 投票者3は 表1の下でaMbが成立する。 • aとbで多数決投票をしたとする。 投票者1はaに投票する。 投票者2は?に投票する。 投票者3は 表1の下でaMbが成立する。 • aとbで多数決投票をしたとする。 投票者1はaに投票する。 投票者2はbに投票する。 投票者3は 表1の下でaMbが成立する。 • aとbで多数決投票をしたとする。 投票者1はaに投票する。 投票者2はbに投票する。 投票者3は?に投票する。 表1の下でaMbが成立する。 • aとbで多数決投票をしたとする。 投票者1はaに投票する。 投票者2はbに投票する。 投票者3はaに投票する。 表1の下でaMbが成立する。 • aとbで多数決投票をしたとする。 投票者1はaに投票する。 投票者2はbに投票する。 投票者3はaに投票する。 aの得票数=? bの得票数=? 表1の下でaMbが成立する。 • aとbで多数決投票をしたとする。 投票者1はaに投票する。 投票者2はbに投票する。 投票者3はaに投票する。 aの得票数=2 bの得票数=1 表1の下でaMbが成立する。 • aとbで多数決投票をしたとする。 投票者1はaに投票する。 投票者2はbに投票する。 投票者3はaに投票する。 aの得票数=2 bの得票数=1 多数決投票で?が選択される 表1の下でaMbが成立する。 • aとbで多数決投票をしたとする。 投票者1はaに投票する。 投票者2はbに投票する。 投票者3はaに投票する。 aの得票数=2 bの得票数=1 多数決投票でaが選択される 表1の下でaMbが成立する。 • aとbで多数決投票をしたとする。 投票者1はaに投票する。 投票者2はbに投票する。 投票者3はaに投票する。 aの得票数=2 bの得票数=1 多数決投票でaが選択される aMb 問題7-1 • bとcで多数決投票をしたとする。 bの得票数=? cの得票数=? ⇒ 問題7-1 • bとcで多数決投票をしたとする。 bの得票数=2 cの得票数=1 ⇒ 問題7-1 • bとcで多数決投票をしたとする。 bの得票数=2 cの得票数=1 ⇒ bMc or cMb ? 問題7-1 • bとcで多数決投票をしたとする。 bの得票数=2 cの得票数=1 ⇒ bMc 問題7-1 • bとcで多数決投票をしたとする。 bの得票数=2 cの得票数=1 ⇒ bMc • cとaで多数決投票をしたとする。 cの得票数=? aの得票数=? ⇒ 問題7-1 • bとcで多数決投票をしたとする。 bの得票数=2 cの得票数=1 ⇒ bMc • cとaで多数決投票をしたとする。 cの得票数=2 aの得票数=1 ⇒ cMa or aMc ? 問題7-1 • bとcで多数決投票をしたとする。 bの得票数=2 cの得票数=1 ⇒ bMc • cとaで多数決投票をしたとする。 cの得票数=2 aの得票数=1 ⇒ cMa 問題7-1 cMa ⇒ aMcではない。 ⇒ aMyが任意のy(=a)に対して成立していない。 ⇒ aは「多数決投票均衡」ではない。 同様にして、bとcも「多数決投票均衡」ではない。 ⇒ 「多数決投票均衡」は存在しない。 ⇒ 「投票のパラドックス」 「選好の集まり」の単峰性と多数決投票均衡 • 選択肢を1列に並べる順序について検討する。 たとえば、(a, b, c)などである 「選好の集まり」の単峰性と多数決投票均衡 • 選択肢を1列に並べる順序について検討する。 たとえば、(a, b, c)などである a b c 問題7-2:並べる順序の数は? • • • • • • (a, b, c) (a, c, b) (b, a, c) (b, c, a) (c, a, b) (c, b, a) 以上の6つの順序がある。 単峰型順序(single-peakedness ordering) • ある「選好の集まり」の下で、 「選択肢の順序」が「単峰型順序」である とは、 「全ての投票者に関して、 ある選択肢より好ましい選択肢が、 右側と左側同時には存在しない」 ことである。 表2 選好の順位 第1位 第2位 第3位 投票者1 a b c 投票者2 b c a 投票者3 c b a 投票者名 (a, c, b)は「単峰型順序」ではない <理由> 投票者1は 「選択肢cの左にある選択肢aと 右にある選択肢bを、 選択肢cより選好する」 からである(図1参照)。 図1 投票者1 投票者 3 第1位 投票者 2 第2位 第3位 a c b 選択肢 問題7-3 • 表2で「選好の集まり」が与えられているとき、 単峰型順序は? • ある順序の下で、 「真中にある選択肢の選好の順位が 第3位になっている投票者が存在する」 ときは、単峰型順序ではない。 (例)(a, c, b)のときは投票者1が存在する。 問題7-3 • 表2で「選好の集まり」が与えられているとき、 3人の投票者とも選好の第3位になる選択肢 が真中にないようにするためには、真中にど の選択肢があればよいか? ⇒ b • したがって、単峰型順序は? ⇒ (a, b, c)と 問題7-3 • 表2で「選好の集まり」が与えられているとき、 3人の投票者とも選好の第3位になる選択肢 が真中にないようにするためには、真中にど の選択肢があればよいか? ⇒ b • したがって、単峰型順序は? ⇒ (a, b, c)と(c, b, a)である。 図 投票者1 投票者 2 第1位 投票者 3 第2位 第3位 a b c 選択肢 問題7-4 • 表1で「選好の集まり」が与えられているとき、 単峰型順序が存在しないことを示しなさい。 • ある順序の下で、 「真中にある選択肢の選好の順位が 第3位になっている投票者が存在する」 ときは、その順序は単峰型順序ではない。 表1 選好の順位 第1位 第2位 第3位 投票者1 a b c 投票者2 b c a 投票者3 c a b 投票者名 問題7-4 • 選択肢aが真中にある順序のとき、aの選好 の順位が第3位の投資家は? ⇒投資家2 • 選択肢bが真中にある順序のとき、bの選好 の順位が第3位の投資家は? ⇒投資家3 • 選択肢cが真中にある順序のとき、cの選好 の順位が第3位の投資家は? ⇒投資家1 単峰性とは 「ある選好の集まりが単峰性を満たす」 とは、 「その選好の集まりの下で単峰型順序が存在する」 ことである。 単峰性と「選好の集まり」 • 表2の「選好の集まり」は単峰性を満たすか? ⇒問題7-4より単峰型順序が存在する。 ⇒単峰性を満たしている。 • 表1の「選好の集まり」は単峰性を満たすか? ⇒問題7-5より単峰型順序が存在しない。 ⇒単峰性を満たしていない。 単峰性と投票のパラドックス 以下で、 「選好の集まり」が単峰性を満たしている。 ⇒「投票のパラドックス」が発生しない。 単峰性と投票のパラドックス 以下で、 「選好の集まり」が単峰性を満たしている。 ⇒「投票のパラドックス」が発生しない。 「多数決投票均衡」が存在する。 単峰性と投票のパラドックス 以下で、 「選好の集まり」が単峰性を満たしている。 ⇒「投票のパラドックス」が発生しない。 「多数決投票均衡」が存在する。 ことを示そう。 問題7-5 • ある「選好の集まり」の下で、 「投票者ごとに 選好の順位が第3位の選択肢が それぞれ異なっている。 ⇒ その「選好の集まり」は、 単峰性を満たしていない」 ことを説明しなさい。 問題7-5 • ある「選好の集まり」の下で、 『投票者ごとに選好の順位が第3位の選択肢が異なっている。 ⇒ 任意の選択肢の順序(x, y, z)に関して yの選好順位が第3位の投票者が存在する。 ⇒ その投票者にはyの両側にyよりも選好する選択肢がある。 ⇒ 任意の順序(x, y, z)は単峰型順序ではない。』 • ある「選好の集まり」の下で、 投票者ごとに第3位の選択肢が異なっている。 ⇒その「選好の集まり」は単峰性を満たしていない。 問題7-5の対偶 • ある「選好の集まり」の下で、投票者ごとに選好の順位 が第3位の選択肢がそれぞれ異なっている。 ⇒ その「選好の集まり」は単峰性を満たしていない。 が成立するので、 • ある「選好の集まり」は単峰性を満たしている。 ⇒ その「選好の集まり」の下で投票者ごとに選好の順 位が第3位の選択肢がそれぞれ異なっていない。 も成立する。 対偶とは? • 条件p:A君は大学生である。 • 条件q:A君は学生である。 • 命題A:pならばqである。 • 命題Aの対偶:「qでない」ならば「pではない」。 • 命題Aが正しければ「命題Aの対偶」も正しい。 問題7-6 • 「選好の集まり」が表2で与えられているとき、 2人以上が第3位に選好している選択肢とは どの選択肢? ⇒a 問題7-7 z=2人以上の選好順位が第3位の選択肢 x=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす るときに選択される方の選択肢 y=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす るときに選択されない方の選択肢 「選好の集まり」が表2で与えられているとき、 ⇒ z=?, x= , y= 問題7-7 z=2人以上の選好順位が第3位の選択肢 x=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす るときに選択される方の選択肢 y=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす るときに選択されない方の選択肢 「選好の集まり」が表2で与えられているとき、 ⇒ z=a, x=?, y= 問題7-7 z=2人以上の選好順位が第3位の選択肢 x=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす るときに選択される方の選択肢 y=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす るときに選択されない方の選択肢 「選好の集まり」が表2で与えられているとき、 ⇒ z=a, x=b, y= 問題7-7 z=2人以上の選好順位が第3位の選択肢 x=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす るときに選択される方の選択肢 y=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす るときに選択されない方の選択肢 「選好の集まり」が表2で与えられているとき、 ⇒ z=a, x=b, y=? 問題7-7 z=2人以上の選好順位が第3位の選択肢 x=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす るときに選択される方の選択肢 y=z以外の選択肢以外の2つの選択肢で多数決をす るときに選択されない方の選択肢 「選好の集まり」が表2で与えられているとき、 ⇒ z=a, x=b, y=c • 問題7-6より、 「選好の集まり」が単峰性を満たしている。 ⇒2人以上が第3位に選好している選択肢zが (1つだけ)存在する。 ⇒選択肢z以外の2つの選択肢を xMyを満たすように定めれば、 xが「多数決投票均衡」である。 • 問題7-6より、 「選好の集まり」が単峰性を満たしている。 ⇒2人以上が第3位に選好している選択肢zが (1つだけ)存在する。 ⇒選択肢z以外の2つの選択肢を xMyを満たすように定めれば、 xが「多数決投票均衡」である。 「投票のパラドックス」は発生しない。 問題7-8 単峰性を満たしていない「選好の集まり」でも 投票のパラドックスが発生しないケースがある ことを表3の空欄を埋めることで作成しなさい。 表3 選好の順位 第1位 第2位 第3位 投票者1 a b c 投票者2 b c a 投票者名 投票者3 ? 表3 選好の順位 第1位 第2位 第3位 投票者1 a b c 投票者2 b c a 投票者3 ? 投票者名 b 表3 選好の順位 第1位 第2位 第3位 投票者1 a b c 投票者2 b c a 投票者3 a 投票者名 b 表3 選好の順位 第1位 第2位 第3位 投票者1 a b c 投票者2 b c a 投票者3 a c b 投票者名 問題7-9 • 「選好の集まり」が表2で与えられた場合 ⇒ 「多数決投票均衡」は? 問題7-9 • 「選好の集まり」が表2で与えられた場合 ⇒ 「多数決投票均衡」はb 問題7-9 • 「選好の集まり」が表2で与えられた場合 ⇒ 「多数決投票均衡」はb • 「選好の集まり」が表3で与えられた場合 ⇒ 「多数決投票均衡」は? 問題7-9 • 「選好の集まり」が表2で与えられた場合 ⇒ 「多数決投票均衡」はb • 「選好の集まり」が表3で与えられた場合 ⇒ 「多数決投票均衡」はa
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