アメリカの投資銀行業務と マネー・センター・バンク トレーディング業務を中心に 日本証券経済研究所 証券経営研究会 2010年 2月15日(月) 掛下達郎 1 モチベーション 本報告の英文タイトル”Trading Revenue of U.S. Money Center Banks: In Relation to Investment Banking Business” 投資銀行のビジネスモデルは終わりを迎えた(orる)のか? – cf. 池尾(2008) 投資銀行産業が解体的な再構築を迫られている 一つの大きなビジネスモデルが終焉しつつある 金融活動には,その利益の源泉をどこに求めるかによって,二つのタイプ が存在する 1. アービトラージ(裁定)型金融で,「安く買って,高く売る」ことで利益を 上げるタイプの金融活動 • ヘッジファンド,ディリバティブ取引,創業者利得の獲得 2. バリューアップ(価値創造支援)型と呼べるタイプ 企業や産業による価値創造を支援し,その結果,付加された価値に 利益の源泉を求めるもの • 戦後しばらくの間の産業金融(メーンバンクの活動など)の多く 裁定型金融のビジネスモデルは成功したがゆえに,世界的な金融資本市 場の効率化をもたらすとともに,自らの収益機会を枯渇させた 日本社会では,裁定型金融がマネーゲームだとして否定的に みられてきたのに対して,バリューアップ型金融には多くの人々が敬意を 払い,その意義を認めてきた 日本経済の成熟化とともに,バリューアップ型金融で実際に利益を上げる ことは極めて困難になった サブプライムローン問題に端を発した今般の信用市場危機は,裁定型金 融からバリューアップ型金融へのビジネスモデルの再びの転換の契機 「再びバブルへと動き出したともいわれるウォール街 」 – 総合テレビNHKスペシャル,「マネー資本主義 ウォール街の“モンスター”バ ブルは再び起きるのか」 2009年12月20日(日) 午後9時45分~10時58分 (http://www.nhk.or.jp/special/onair/091220.html) 投資銀行のビジネスモデルとは? – トレーディング業務の重要性 実際には,トレーディング業務をトレーディング収益(保有期間が1年未満のポジ ションから得られた利益) で代位して考察する。 より大きな問題:金融立国,アメリカ型資本主義,グローバル化 3 表1 2008-09年1─9月の世界の投資銀行業務 に関わる手数料ランキング(単位10億ドル) 09年1─9月 順位 手数料 08年1─9月 順位 手数料 増減率(%) JPモルガン 1 4.02 2 4.36 バンク・オブ・アメリカ 2 2.89 1 4.57 ゴールドマン・サックス 3 2.66 3 3.71 シティグループ 4 2.48 4 3.08 モルガン・スタンレー 5 2.28 6 2.47 ドイツ銀行 6 1.97 9 2.12 クレディ・スイス 7 1.94 7 2.43 UBS 8 1.79 5 2.52 バークレイズ 9 1.51 8 2.31 ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド 10 1.33 10 1.38 *データはトムソン・ロイター/フリーマン。 *手数料の算出はフリーマンのモデルに基づく。 (http://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPnTK855368120090925) -8% -37% -28% -19% -8% -7% -20% -29% -35% -4% 4 報告の順序 1. ASSA(ALLIED SOCIAL SCIENCE ASSOCIATIONS) 2010 における投資銀行業務関連の報告の紹介 1. “Securitization Without Risk Transfer,” Viral V Acharya (New York University), Philipp Schnabl (New York University), Gustavo Suarez (Federal Reserve Board) 2. “Did Structured Credit Fuel the LBO Boom?” Anil Shivdasani (University of North Carolina-Chapel Hill) , Yihui Wang (University of North CarolinaChapel Hill) 2. 大投資銀行の収益構造 – アメリカの投資銀行業務(⇔日本の証券業務) 3. アメリカ投資銀行のトレーディング業務 マネー・センター・バンクの収益構造 1. 商業銀行の貸出残高内訳 2. マネー・センター・バンクの非金利収益 4. 結 論 5 ASSA JANUARY 2-5, 2010 Jan. 3, 10:15 am, Hilton Atlanta, Grand Salon E AFA(American Finance Association) Banking and Financial Institutions (G2) Presiding: Bruce Carlin (University of California-Los Angeles) The Effects of Bank Market Structure and Organizational Form on Entrepreneurial Incentives Kose John (New York University), David Gaddis Ross (Columbia University) Securitization Without Risk Transfer (ABCPで貸付を証券化,しかし利益は少ない) Viral V Acharya (New York University), Philipp Schnabl (New York University), Gustavo Suarez (Federal Reserve Board) The Effects of the Organizational Structure On Assest Management Massimo Massa (INSEAD), Lei Zhang (Nanyang Technological University) Discussants: Gustavo Manso (Massachusetts Institute of Technology), Christa Bouwman (Massachusetts Institute of Technology and Case Western Reserve University), 6 David Robinson (Duke University) Jan. 3, 12:30 pm, Hilton Atlanta, Room 301 IBEFA (International Banking Economics & Finance Association) Banking in Crisis I: Causes and Issues (G1) Presiding: George Kaufman (Loyola University Chicago) Activity-Based Valuation of Bank Holding Companies Charles Calomiris (Columbia University), Doron Nissim (Columbia University) Creditor Rights, Information Sharing, and Bank Risk Taking Joel Houston (University of Florida), Chen Lin (City University of Hong Kong) , Ping Lin(Lingnan University, Hong Kong), Yue Ma (Lingnan University, Hong Kong) Securitized Banking and the Run on Repo Gary Gorton (Yale University), Andrew Metrick (Yale University) What Determines a Bank's Reputation? Anthony Saunders (New York University), Sacha Steffen (University of Mannheim) Discussants: Benton Gup (University of Alabama), Robert R. Bliss (Wake Forest University), Richard Rosen (Federal Reserve Bank-Chicago), David S. Kidwell (DSKidwell Associates) 7 Jan. 4, 8:00 am, Hilton Atlanta, Grand Ballroom A AFA (American Finance Association) Structured Finance; CDS, ABS, MBS, etc. (G1) Presiding: Francis Longstaff (University of California-Los Angeles) Did Structured Credit Fuel the LBO Boom? (←CDOs) Anil Shivdasani (University of North Carolina-Chapel Hill) , Yihui Wang (University of North Carolina-Chapel Hill) Securitization, Transparency, and Liquidity Marco Pagano (University of Naples Federico II) , Paolo F. Volpin (London Business School) Did Subjectivity Play a Role in CDO Credit Ratings? John M. Griffin (University of Texas-Austin), Dragon Yongjun Tang (University of Hong Kong) Discussants: Micah Officer (Loyola Marymount University) Gustavo Manso (Massachusetts Institute of Technology ) Efraim Benmelech (Harvard University) 8 Securitization Without Risk Transfer に関して 東京大学金融教育研究センター 金融システム研究フォーラム 第17回2009.12.4(金) ※概要紹介は三輪芳朗氏作成 ・・・・・“Securitization Without Risk Transfer”に基づく話題の提供を 倉澤資成氏から受け、 ・・・・・討議した。 ・・・・・ ABCP (asset-backed commercial paper) conduitsがthe financial crisis of 2007~2009の初期段階で中心的役割を果たした。SIV (structured investment vehicle)などと呼ばれるseparate legal entities (conduits)へmortgages, trade receivables, consumer loans, corporate loansなどのfinancial assetsを移転し、そのための資金を conduitsがこれらの資産をバックにするCPを発行して調達するもの である。近年その規模を急激に拡大した。焦点は、financial assets をconduitsに移転した金融機関とconduitsの関係である。 ・・・・・資 産の移転と同時にリスクも移転しているとすれば、ABCP市場の実 質的消滅による直接的で深刻な影響を移転元の金融機関が蒙るこ とはない。しかし、大手商業銀行は大きな損失を実現した。また、 図1 10 conduitsが発行するABCPに関する格付けが何らかの要因によって 歪められたものであり、実態以上に高く格付けられていたと すれば、その大きな部分を移転元の金融機関が取得し保有 していたという観察事実をどのように理解すればよいか・・・・・ Acharya and Schnabl両教授の論文は、いくつかの意味で会合参加 者の多くに深刻なショックを与えた。 第1は、論文のタイトルが示す如く、金融資産をconduitsに移転しそ の対価をABCPで調達する方法の最大の利用者である商業銀行は conduitsに対してcredit enhancement and liquidity enhancementと いう2つのタイプのcredit guaranteesを付与しており、その実質的機 能から、これはSecuritization Without Risk Transferであった。制 度・歴史に基づく解説に続いて、Moody‘sのreportsを中心とする sourcesから収集したマイクロデータを用いて、商業銀行の金融資 産に基づくABCPは投資家に損失を与えていないことが確認される。 第2に、このことは、規制当局をはじめとする多くの「関係者」には広 く知られていた。(当日の参加者中の「関係者」あるいはその周辺の メンバーによれば、誰もが知っているはずの情報であった。) ・・・・・ 図2 図3 Cf. 「1990年に15大ファイナンス・カンパニーが発行したCPの総額 (1,310億ドル)のうち77%を銀行が保証した」(D’Arista and Schlesinger (1993): 172) Cf. With or Without Risk Transfer は,掛下 (2008a) のリコースorノ ン・リコース・ファイナンスとほぼ同じ区分 ⇒古くて新しい問題 12 第3に、著者達は、市場「関係者」も十分に把握していたことを2007 年8月7日~9日の3日間、さらに8月1ヶ月間の金融機関の 株価の動きに注目するevent studiesによって確認する。 第4に、そうであるにもかかわらず、とりわけ2007年以降に登場した 膨大な数の文献、とりわけ市場や規制当局・中央銀行などの内部・ 周辺に位置すると目されている「事情通」の「関係者」「研究者」によ るものにも、このような情報がほとんど見られない。 ・・・・・ 第5に、金融機関のguaranteeの存在を前提にすれば、ABCPの格 付けがAAAであっても不思議ではない。また、投資家に損害が発生 しなかったから、投資家向け情報として欠陥があったことにもならな い。しかるに、以上の点に言及することなく格付け機関に対する厳 しい批判が盛行した(し続けている)ことは興味深い。 第6に、商業銀行を中心とする金融機関に対する規制の中心に自 己資本比率規制が置かれたことがこのような形のsecuritizationの 盛行と無関係ではない。そうであるとすれば、第2点との関連で、対 応を遅らせ怠った規制当局の「責任」を問うことなく、さらなる規制の 厳格化を目指す昨今の動きに疑問が生じるだろう。また、こういう 「抜け道」を防ぐことは実質的に不可能だとする見方を採用すれば、 自己資本比率規制に極端に依存しさらに依存度を高めつつ ある現行規制システムにも疑問が生じることになる。 「通念」と異なり、ABCPとの関係で「スポンサー企業」・conduits間の 「倒産隔離」が「完全」ではないとすると、・・・・・CMBAやREITに関し てもさまざまな形で話題になったconduitsとスポンサー企業の関係 に関する話題・疑問の一部も一応の回答を得ることになる。 また、そもそも、conduitsが誰のguaranteesを得ることもなく発行する ABCPに対して投資家を見つけ低利で資金調達することが可能か、 ABCPのような短期証券を資金調達手段とするconduitsの利用が効 率的で合理的な選択かと考えれば、完全な「倒産隔離」は高くつき すぎることに思い至るはずである。そうであれば、conduitsの具体的 内容を含めた手段・制度の最適な選択は何か、最適な選択の内容 と移転するfinancial assetsの内容およびそれを組み込んだsecurity の形態との関係はどうなっているかなどという興味深い論点が浮上 するだろう。・・・・・(http://www.carf.e.u-tokyo.ac.jp/research/fsforum/fs-forum_index.html) 14 Did Structured Credit Fuel the LBO Boom? に関して 図4 15 図5 (リボルビング・クレジット・ (タームローンB,C,その他) ファシリティ,タームローンA) TLAより長い返済期間と追加的な 伝統的,銀行が投資 スプレッド,やや複雑な返済条件 銀行以外の機関投資家が投資 16 図6 世界のCDO発行額(単位10億ドル) 10億ドル 10億ドル キャッシュCDO1) その他 シンセティックCDO2) レバレッジド・ローン3) ABS CDO4) (a) CDO(collateralized debt obligations)発行額 (b) キャッシュCDOの担保 注1)キャッシュCDOとは,現物債権を担保とするCDOである。 2)シンセティックCDOとは,クレデリを利用するCDOである。 3)レバレッジド・ローンとは,シンジケート・ローンのうち,借り手の格付けがダブルB以下,または発行 時の金利がLOBORプラス150べーシスポイント超のローンである。 4)ABS CDOとは,アセット・バック証券(asset backed securities)を担保とするCDOである。 (BIS, Basel Committee on Banking Supervision (2008), p. 32, Figure A.1. 原資料はSIFMA, Creditflux, JP Morgan Securities) 表2 ABS CDOの代表的担保構成 ハイグレードABS CDO2) メザニンABS CDO3) サブプライムRMBS1) 50 77 他のRMBS 25 12 CDO 19 6 6 5 その他 注1)RMBSとは,住宅モーゲイジ担保証券(residential mortgage-backed securities)の略である。 2)ハイグレードABS CDOとは,トリプルAからシングルA格付けを担保とするCDOである。 3)メザニンABS CDOとは,おもにトリプルB格付けを担保とするCDOである。 表3 サブプライムRMBSとメザニンABS CDO サブプライムRMBSの組成年 2004 2005 2006 2007 12.3 15.8 15.7 6.2 2005-07年発行のメザニンABS CDOの担保CDS (クレジット・デフォルト・スワップ)利用額(組成年) 8.0 25.3 30.3 2.9 RMBS発行額にたいする担保CDS利用率 65 160 193 48 トリプルB格付けのサブプライムRMBS発行額 (BIS, Basel Committee on Banking Supervision (2008): 5, 37, Figure 1.1, 1.2, A.5, A.6. 原資料はCitigroup, Federal Reserve) 2005-06年に,ABS CDOの担保にBBBサブプライムRMBSにくわえて CDSが入ってきている(表2 ,3) → シンセティックCDO化 図7 レバレッジド・ローン市場 10億ドル インスティテューショナル・ターム・ローン1) 銀行ターム・ローン (a) 米国ターム・ローンの投資家 その他2) % CLOs3) ミューチュアル・ファンド (b) ノンバンクの投資家の内訳 注1)インスティテューショナル・ターム・ローンとは,機関投資家が積極的に投資するローンである。 2)保険会社,年金基金,ヘッジ・ファンドを含む。 3)CLOsとは,collateralized loan obligationsの略である。 (BIS, Basel Committee on Banking Supervision (2008): 35, Figure A.4. 原資料はLoan Pricing Corporation, Standard & Poor’s) レバレッジド・ローンの中のインスティテューショナル・ターム・ローン は,CLOが大半を占めるようになった(図7) → 証券化の功罪 大投資銀行の収益構造(以下,各社決算資料より作成) 表4 Goldman Sachs 2004 2005 2006 2007 2008 Net revenues ($ amounts in millions) Year Ended November Investment banking 3,374 3,672 5,629 7,555 5,185 Financial Advisory 1,737 1,905 2,580 4,222 2,656 Total Underwriting 1,637 1,766 3,049 3,333 2,529 Equity underwriting 819 704 1,365 1,382 1,353 Debt underwriting 818 1,062 1,684 1,951 1,176 Trading and principal investments 13,728 16,818 25,562 31,226 9,063 FICC注) 7,723 8,940 14,262 16,165 3,713 Total Equities 4,673 5,650 8,483 11,304 9,206 Equities trading 1,969 2,675 4,965 6,725 4,208 Equities commissions 2,704 2,975 3,518 4,579 4,998 Total Principal Investments 1,332 2,228 2,817 3,757 -3,856 Asset management and securities services 3,849 4,749 6,474 7,206 7,974 Total net revenues 20,951 25,238 37,665 45,987 22,222 注)FICCは Fixed Income, Currency and Commoditiesの略である。 表4続き 2007 Q1 Q2 Q3 Q4 ’08 Q1 Q2 Q3 Q4 ’09 Q1 Investment banking 1,716 1,721 2,145 1,973 1,172 1,685 1,294 1,034 Financial Advisory 861 709 1,412 1,240 663 800 619 574 Total Underwriting 855 1,012 733 733 509 885 675 460 Equity underwriting 266 358 355 403 172 616 292 273 Debt underwriting 589 654 378 330 337 269 383 187 Trading and principal investments 9,417 FICC 4,604 Total Equities 3,087 Equities trading 2,163 Equities commissions 924 Total Principal Investments 1,726 6,649 3,368 2,497 1,415 1,082 8,229 4,889 3,129 1,799 1,330 784 1,036 6,931 5,124 5,591 2,704 -4,356 3,304 3,142 2,379 1,595 -3,403 2,591 2,514 2,487 1,562 2,643 1,348 1,276 1,253 354 1,325 1,243 1,238 1,234 1,208 1,318 Q2 Q3 823 1,440 527 368 296 1,072 48 736 248 336 899 325 574 363 211 7,150 10,784 10,027 6,557 6,795 5,991 2,001 3,178 2,775 1,027 2,157 1,845 974 1,021 930 211 -532 725 -453 -3,596 -1,408 811 1,261 Asset management and securities services 1,597 1,812 1,960 1,837 2,039 2,146 2,045 1,744 1,452 1,537 1,446 Total net revenues 12,730 10,182 12,334 10,741 8,335 9,422 6,043 -1,578 9,425 13,761 12,372 注)2008年までは12~2月,3~5月,6~8月,9~11月のデータである。 表5 Morgan Stanley : Non-interest Revenues Fiscal 2004 2005 2006 2007 2008 (dollars in millions) Investment banking注) . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3,341 3,843 4,755 6,368 4,092 Advisory fees from merger, acquisition and restructuring transactions . . . . . . . . . 1,107 1,395 1,753 2,541 1,740 Equity underwriting revenues . . . . . . . . . . . 993 905 1,059 1,570 1,045 Fixed income underwriting revenues . . . . . .859 1,094 1,416 1,427 845 Principal transactions: Trading . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5,512 7,377 11,805 3,206 5,457 Investments . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .721 1,127 1,806 3,262 -4,192 Commissions . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3,235 3,331 3,770 4,682 4,463 Asset management, distribution and administration fees . . . . . . . . . . . . . . . . .4,436 4,915 5,238 6,519 5,660 Other . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .-172 -82 229 793 4,133 Total non-interest revenues . . . . . . . . . . . .17,073 20,511 27,603 24,830 19,613 注)Investment bankingの内訳はInstitutional Securities部門のみのデータである。 表5続き 2007 Q1 Q2 Q3 Q4 ’08 Q1 Q2 Q3 Q4 ’09 Q1 Q2 Q3 Investment banking . . . . . . . .1,227 1,913 1,659 1,569 1,109 1,049 1,146 788 886 1,281 1,226 Advisory fees from merger, acquisition and restructuring transactions . . . . . . . . . . . . . 390 725 664 762 444 367 401 528 411 268 279 Equity underwriting revenues . . . . . . . . . . . . . . . .300 493 429 348 261 298 379 107 155 400 457 Fixed income underwriting revenues . . . . . 359 486 346 236 275 210 252 108 246 455 303 Principal transactions: Trading . . . . . . . . . . . . . . . .4,158 4,838 1,381 -7,171 3,390 1,403 2,604 -1,945 1,091 1,971 3,242 Investments . . . . . . . . . . . . . 920 1,004 558 780 -346 -464 -453 -2,929 -1,272 -115 99 Commissions . . . . . . . . . . . . .1,005 1,123 1,264 1,290 1,199 1,155 1,070 1,039 772 975 1,247 Asset management, distribution and administration fees . . . . 1,479 1,596 1,701 1,743 1,550 1,464 1,423 1,223 984 1,282 2,023 Other . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .272 321 262 306 317 1,799 1,117 2,829 772 505 257 Total noninterest revenues . . . . . . . .10,110 12,499 8,264 -5,675 8,199 7,281 7,939 -1,882 2,893 5,899 8,094 注)2008年までは12~2月,3~5月,6~8月,9~11月のデータである。 23 表6 Merrill Lynch Non-interest Revenues 2004 2005 2006 2007 2008 (DOLLARS IN MILLIONS) Principal transactions 2,197 3,647 7,248 -12,067 -27,225 Commissions 4,720 5,277 5,985 7,284 6,895 Investment banking注) 3,473 3,777 4,648 5,582 3,733 Origination: Debt 1,258 1,424 1,704 1,550 931 Equity 1,001 952 1,220 1,629 1,047 Strategic Advisory Services 678 882 1,099 1,740 1,317 Managed accounts and other fee-based revenues 5,440 5,701 6,273 5,465 5,544 Earnings from equity method investments 346 567 556 1,627 4,491 Other 1,454 1,848 2,883 -2,190 -10,065 Subtotal 17,630 20,817 27,593 5,701 -16,627 注)Investment bankingの内訳はGlobal Markets and Investment Banking部門のみ のデータである。 24 表6続き 2007 Q1 Q2 Q3 Q4 ’08 Q1 Q2 Q3 Q4 ’09 Q1 Q2 Q3 Principal Transactions 2,734 3,556 -5,761 -12,596 -2,418 -4,083 -6,573 -13,109 5,778 -1,515 214 Commissions 1,697 1,787 1,860 1,924 1,889 1,811 1,745 Investment banking 1,514 1,528 1,277 1,267 Managed accounts and other fee-based Revenues 1,354 1,349 1,392 1,440 1,455 1,399 1,395 Earnings from equity method investments 309 375 Other Subtotal 412 531 917 1,158 111 4,401 813 606 862 732 1,295 1,103 1,018 997 40 54 213 841 387 -1,114 -2,304 -1,449 -1,875 -2,986 -3,390 260 783 1,657 8,391 8,982 -1,934 -9,738 431 845 1,450 1,243 1,490 1,316 -430 825 -1,479 -1,173 -13,371 9,030 2,692 4,824 25 アメリカの投資銀行業務 ①引受 +②M&A仲介業務 +③トレーディング業務等 +④ファンド運用,ベンチャーキャピタル業務, リスク管理等 =すべての資本市場活動 +⑤リテール顧客に対する証券,保険商品の販売,不動産仲介等 =アメリカの投資銀行が営むすべての活動 (以上,Kuhn (1990). (佐中・仁平訳) 牛窪(1999)。) 日本の証券業務 ①引受,②分売,③ブローカー業務,④ディーラー業務 26 アメリカ投資銀行のトレーディング業務 トレーディング業務は,証券流通市場における業務であり, マーケット・メーキングを行う等,証券市場を活性化させる重要な役割を果たして いる(⇔池尾(2008)のアービトラージ(裁定)型金融) ―マーケット・メーキングの重要性 1. 顧客のための証券売買によって生じる手数料 2. 投資銀行が相場観等に従って自己勘定で行う売買から生じる利益 相場観に基づくディーリングでは,ディリバティブによるレバレッジ効果を利用し,損益の変 動が激しくなる(以上,牛窪(1999):34。) 株式・債券の引受とトレーディングは密接な関係にあり(17頁),ブローカレッジ から自社でポジションをとり,市場・顧客との間で売り買いに応じるマーケットメー カーとしての機能,更にはそれを一層拡大させて積極的にトレーディング益を狙 うプロップ取引に至るまで密接に繋がり合っている(26頁)―業務の連関性 現在,投資銀行の収入,利益の両面で全体の柱になっているのが,トレーディン グ業務であり,伝統的な株式・債券だけでなく,通貨,コモディティ(エネルギー等 の商品)領域でのウェート拡大も見受けられる展開となっている(37頁)。 – トレーディング部門(Fixed Income とEquities)が最も資本を使っている(時点: 2003 年 末)(29頁)。 (以上,松川(2005)。) 27 表7 FDIC加入商業銀行の貸出残高内訳(総貸出に占める比率%) 1992 モーゲイジ 55.1 住 宅 30.0 商 業 14.9 商工業貸付 16.7 消費者貸付 16.8 1992 モーゲイジ 56.6 住 宅 30.5 商 業 18.6 商工業貸付 19.0 消費者貸付 19.5 1992 モーゲイジ 37.5 住 宅 19.9 商 業 10.8 商工業貸付 29.5 消費者貸付 19.1 94 56.1 29.7 15.2 15.9 15.9 94 57.8 30.4 19.4 17.1 20.3 94 37.4 22.1 10.0 27.6 21.3 96 56.1 29.4 15.0 16.4 15.4 96 59.8 30.6 20.2 17.6 17.7 96 35.5 21.4 9.2 27.3 20.9 総資産1億ドル未満 98 2000 01 02 56.0 57.5 58.7 60.3 28.3 28.0 27.4 27.2 15.2 16.2 17.1 18.1 16.8 17.3 17.2 16.8 14.5 13.5 12.5 11.4 (以下,FDIC Statistics on Banking より作成) 03 61.8 26.6 19.2 16.3 10.7 04 62.8 26.5 19.4 15.9 9.9 05 63.3 25.8 19.7 15.9 9.4 06 63.8 25.1 19.5 15.8 8.7 07 64.4 24.5 20.2 15.8 8.3 08年末 65.7 25.3 21.6 15.2 7.6 98 62.1 30.1 21.6 18.3 14.1 総資産1~10億ドル 2000 01 02 03 64.4 66.2 68.5 70.2 28.7 27.7 27.0 25.4 23.8 25.3 27.4 29.0 18.2 17.7 17.0 16.4 12.3 11.0 9.6 8.6 04 72.1 25.4 29.0 15.7 7.5 05 73.6 24.1 29.1 15.2 6.7 06 74.5 23.5 28.7 15.0 6.0 07 74.8 22.8 28.5 15.1 5.5 08年末 75.2 23.9 29.7 14.9 5.1 98 37.4 22.3 9.6 29.9 18.4 総資産10億ドル超 2000 01 02 03 40.0 42.5 46.3 48.0 23.1 24.3 28.1 29.5 10.2 10.8 10.9 11.0 29.5 26.8 22.9 20.3 16.6 17.2 18.3 19.0 04 50.3 31.0 11.1 19.0 18.8 05 52.6 31.9 11.3 19.6 17.0 06 54.9 33.2 11.3 19.7 15.6 07 52.8 31.5 10.9 21.5 15.7 08年末 53.5 31.3 11.8 21.6 16.0 表8 マネー・センター・バンクの貸出残高内訳(総貸出に占める比率%) JPMorgan Chase (以下,Call Report より作成) 住宅モーゲイジ 商業モーゲイジ 商工業貸付 消費者貸付 2001 2002 2003 2004 29.7 37.6 40.4 34.6 2.2 2.0 2.0 4.5 24.4 19.9 17.5 15.7 16.3 19.4 21.2 20.0 住宅モーゲイジ 商業モーゲイジ 商工業貸付 消費者貸付 Bank of America 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009年末 30.3 41.5 46.4 46.4 45.7 49.7 49.3 43.6 52.7 10.2 9.1 8.6 8.6 8.4 8.8 7.3 8.0 7.2 28.2 21.1 15.9 14.9 16.8 15.8 17.8 21.0 15.4 10.5 11.0 10.7 10.0 8.3 8.1 8.5 9.2 10.5 住宅モーゲイジ 商業モーゲイジ 商工業貸付 消費者貸付 2001 2002 2003 13.9 15.6 6.0 1.7 1.4 1.5 23.9 18.0 12.8 9.8 28.8 45.3 Citibank 2004 6.1 1.4 10.6 40.0 2005 2006 2007 2008 2009年末 40.9 43.9 41.6 50.6 51.5 4.3 4.7 4.3 4.1 4.4 19.7 18.9 21.2 16.0 14.1 22.0 20.0 18.5 13.8 14.2 2005 2006 2007 2008 2009年末 9.1 58.5 56.9 57.7 56.8 1.1 2.2 2.3 2.8 3.1 12.2 9.3 12.3 10.7 8.2 31.5 8.9 8.8 11.4 12.4 マネー・センター・バンクの収益構造 (以下,各社決算資料より作成) JPMorgan Chase Earnings by Line of Business Noninterest revenue Bank of America Business Segment Total Revenue and Net Income Noninterest Income Citibank Segment and Regional—Net Income (Loss) and Revenues 30 表9 JPMorgan Chase 2004(a) 2005 2006 2007 Earnings by Line of Business ($ in millions) 2008 2009 Investment Bank(b) 3,654 3,673 3,674 3,139 -1,175 6,899 Retail Financial Services 3,279 3,427 3,213 2,925 880 97 Card Services 1,681 1,907 3,206 2,919 780 -2,225 Commercial Banking 992 951 1,010 1,134 1,439 1,271 Treasury & Securities Services 231 863 1,090 1,397 1,767 1,226 Asset Management 879 1,216 1,409 1,966 1,357 1,430 Corporate(c) -4,172 -3,554 842 1,885 557 3,030 Total Net Income 6,544 8,483 14,444 15,365 5,605 11,728 (a) 2004 data are unaudited pro forma combined, reflecting the merger of JPMorgan Chase and Bank One (b) mergers and acquisitions; global syndicated loans; debt; equity; and debt and equity-related transactions (c) private equity business 31 表10 JPMorgan Chase 2004(a) 2005 2006 2007 2008(b) 2009 Noninterest revenue Year ended December 31, ($ in millions) Investment banking fees Principal transactions Lending & deposit-related fees Asset management, administration and commissions Securities gains (losses) Mortgage fees and related income Credit card income Other income Noninterest revenue 49,282 3,536 4,088 5,520 5,148 7,669 10,778 2,672 3,389 3,468 6,635 5,526 7,087 9,015 -10,699 9,796 3,938 5,088 7,045 7,682 9,891 11,855 14,356 338 -1,336 -543 164 803 1,054 591 2,118 4,840 6,754 6,913 6,911 826 2,684 2,175 1,829 25,845 34,193 40,757 44,966 13,943 12,540 1,560 1,110 3,467 3,678 7,419 7,110 2,169 916 28,473 (a) 2004 results include six months of the combined Firm’s results and six months of heritage JPMorgan Chase results. (b) On September 25, 2008, JPMorgan Chase acquired the banking operations of Washington Mutual Bank. On May 30, 2008, the Bear Stearns merger was consummated. Each of these transactions was accounted for as a purchase and their respective results of operations are included in the Firm’s results from each respective transaction date. For additional information on these transactions, see Note 2 on pages 135–140 of this Annual Report. 32 表11 Bank of America 2004 2005 2006 2007 2008 Business Segment Net Income (Loss) (Dollars in millions) Net Income Global Consumer and Small Business Banking (1) 5,971 7,021 11,171 9,362 Global Corporate and Investment Banking 5,768 6,384 6,792 Global Wealth and Investment Management 1,605 2,316 2,403 1,960 1,416 603 744 767 3,150 -1,628 All Other Total (1) 510 4,234 -14 13,947 16,465 21,133 14,982 4,008 (1) GCSBB is presented on a managed basis with a corresponding offset recorded in All Other. 33 表12 Bank of America Noninterest Income Card income Service charges Investment and brokerage services Investment banking income Equity investment income Trading account profits Mortgage banking income Insurance premiums Gains on sales of debt securities Other income Total noninterest income 2004 2005 2006 2007 2008 (Dollars in millions) 4,592 5,753 14,293 14,077 13,314 6,989 7,704 8,224 8,908 10,316 3,614 4,184 4,456 5,147 4,972 1,886 1,856 2,317 2,345 2,263 863 2,212 3,189 4,064 539 869 1,763 3,166 -4,889 -5,911 414 805 541 902 4,087 n. a. n. a. n. a. 761 1,833 n. a. n. a. n. a. 180 1,124 1,778 1,077 2,246 897 -5,115 21,005 25,354 38,432 32,392 27,422 表13 Citigroup In millions of dollars 2004 2005 2006 2007 2008 NET Income (Loss)—Segment View Global Cards Consumer Banking Global Consumer 4,978 4,674 166 6,073 2,157 -12,280 11,987 10,897 12,056 7,868 Institutional Clients Group 8,611 -4,155 -20,117 Markets & Banking 7,127 -5,253 Corporate and Investment Banking 2,042 6,895 7,127 Global Wealth Management Net income (loss) 1,209 1,244 -654 -1,661 -954 17,046 24,589 21,538 3,617 -27,684 35 マネー・センター・バンクの非金利収益の主要項目 (以下,Call Report より作成) Income from fiduciary activities Service charges on deposit accounts in domestic offices Trading revenue Interest rate exposures Foreign exchange exposures Equity security and index exposures Commodity and other exposures Credit exposures Fees and commissions from securities brokerage Investment banking, advisory, and underwriting fees and commissions Net servicing fees Net securitization income 36 表14 J.P. Morgan Chaseの非金利収益の主要項目 (単位:100万ドル) 2007 Q1 Q2 信託収入 774 892 預金手数料(国内) 649 703 Q3 Q4 ’08 Q1 Q2 898 757 949 912 777 787 Q3 Q4 ’09 Q1 Q2 Q3 Q4 921 767 743 639 708 719 663 844 887 1,458 1,371 1,407 1,437 1,373 トレ‐ディング収益 2,950 2,415 732 1,867 2,473 1,777 2,560 -1,785 3,106 1,932 3,085 573 金利リスク 924 1,275 1,496 1,671 2,303 1,058 1,511 -6 1,792 1,512 1,339 -349 外為リスク 369 263 602 524 193 298 996 676 821 912 802 6 株式・インデックス・ リスク 1,178 683 -84 -77 -101 36 -744 -233 771 -105 127 207 商品その他 リスク 22 -479 -39 72 255 39 312 270 114 -15 211 137 クレジット・リスク 457 276 -1,243 -323 -177 84 485 -2,492 -392 -560 606 572 証券ブローカー 手数料 419 432 投資銀行,アドバイザリー, 引受手数料 947 1,236 サービシング収入 (ネット) 134 129 証券化収入(ネット) 383 389 非金利収益 491 504 517 451 476 336 302 331 329 338 669 848 675 924 688 816 848 1,154 836 1,121 140 324 155 160 149 152 463 21 806 334 157 341 167 251 208 193 216 254 181 188 8,633 8,739 5,907 8,375 8,288 7,967 7,885 7,633 10,518 9,107 10,037 7,437 表15 Bank of Americaの非金利収益の主要項目 (単位:100万ドル) 2007 Q1 Q2 Q3 Q4 ’08 Q1 Q2 Q3 Q4 ’09 Q1 Q2 Q3 Q4 信託収入 282 302 282 285 403 394 365 481 327 342 316 484 預金手数料(国内)2,192 2,363 2,396 2,453 2,427 2,696 2,745 2,989 2,569 2,865 3,013 21 トレーディング収益 694 788 -684 -3,981 -988 1,318 1,320 -1,995 1,521 金利リスク 218 88 -1,426 -5,171 58 434 23 -1,998 1,235 外為リスク 150 185 226 280 318 308 549 598 382 株式・インデックス・ リスク 266 196 80 233 -114 15 68 466 20 商品その他リスク 21 -75 -34 -78 -187 -571 -72 -24 133 クレジット・リスク 39 262 470 755 -1,062 252 752 -1,037 -249 証券ブローカー 手数料 154 1,264 投資銀行,アドバイザリー, 引受手数料 104 267 サービシング収入 (ネット) 147 162 証券化収入(ネット) 19 14 非金利収益 749 27 750 693 734 -183 462 369 197 -499 -37 236 67 148 -44 85 -410 138 -510 671 44 130 84 656 586 482 456 649 -94 187 260 79 5 104 113 143 130 163 100 457 483 53 -107 -4 520 -21 861 -23 808 1,344 4,494 1,210 1,780 -93 23 2 50 -234 5,847 6,225 4,284 2,314 4,231 6,316 7,456 3,410 7,929 11,724 6,660 7,026 表16 Citibankの非金利収益の主要項目(単位:100万ドル) 2007 Q1 Q2 Q3 Q4 ’08 Q1 Q2 Q3 Q4 ’09 Q1 495 572 155 154 542 411 165 160 Q2 Q3 Q4 信託収入 490 581 715 預金手数料(国内) 125 136 162 578 159 363 166 398 154 419 447 165 156 トレ‐ディング収益 1,706 1,244 1,833 -7,587 -380 -1,951 2,765 -4,492 1,474 -1,422 1,405 -1,596 金利リスク 723 外為リスク 702 株式・インデックス・ リスク 175 商品その他 リスク 80 クレジット・リスク 26 817 1,504 -1,610 677 -662 1,038 537 3,223 -1,099 227 350 219 364 416 676 1,134 930 672 175 -547 122 131 129 -18 -36 -139 176 13 -450 -1,428 2 -76 34 33 -2 78 -15 51 11 -4 117 38 6 65 -36 -6,370 -1,560 -1,671 1,450 -4,746 -2,677 -1,046 1,106 -1,047 証券ブローカー 手数料 52 48 -64 44 投資銀行,アドバイザリー, 引受手数料 13 12 2 0 サービシング収入 (ネット) 565 1,490 34 -363 証券化収入(ネット) 16 17 16 16 非金利収益 61 8,633 5,098 4,890 -3,993 46 42 39 7 6 9 13 15 4 1 0 2 2 2 1 1 22 1,672 -115 -2,319 18 67 59 24 365 1,558 -198 182 16 14 28 254 891 1,397 4,035 -382 5,475 1,756 2,698 2,161 図8 (日本銀行金融市場局 (2009): 5。) 40 (Federal Financial Institution Examination Council, Reports of Condition and Income 各号(www2.fdic.gov/Call_TFR_Rpts/search.asp), Schedule RI. ) サブプライム・ローンの普及以降,マネー・センター・バンクのトレーディング収益,投資銀行手数料,ロー ン・リース売却収入(ネット)と非金利収入との関係に構造変化が起きた可能性が高い。 結 論 金融危機後も,トレーディング業務は,アメリカの大投資銀行, マネー・センター・バンクともに,最も重要とまでは言えないものの, 収益面からみると1つの柱になっている。⇒掛下 (2008b) と整合的 商業銀行の優位性(Stigum (1990): 945.) – – – – – 商業銀行は自己勘定で資産と負債両側に多様な金融商品を揃えている。 商業銀行は投資銀行より広範な顧客をもち信用分析をおこなう。 商業銀行は資金提供能力を備え,業務上常に貸借をおこなう。 その結果,投資銀行よりもディリバティブ等の派生的な金融商品を作り出す。 そのため,商業銀行は金利スワップのディーラー,さらにはマーケット・メー カーとして投資銀行より有利である。 – 一般的に,顧客も大投資銀行よりもマネー・センター・バンクの信用を好み, 大投資銀行の信用を得ようとしない顧客もいるという。 – U.S. Congress, House (1993) によると,アメリカの商業銀行10行だけがディリ バティブのディーラーとして行動している。 – 同じく国法銀行6行のディリバティブ取引の約90%が値付け業務(market42 making)の一部である。 マネー・センター・バンクのトレーディング収益の内訳(金利関連と クレジット関連)は,金利スワップとクレデリ市場において, 彼らがディーラーとして行動し,値付け業務(market-making)やマー ケット・メーカーとして活動していることと整合的である。 トレーディング目的の金利スワップ取引 – 金利ディリバティブ取引は,ALMを目的としてバランスシートを組み替えるもの から,おもに将来の金利リスクを予測し裁定取引をして収益を得ようとするも の(トレーディング目的)に変化している。 – このトレーディング目的の金利スワップ取引で発生する収益は,おもにトレー ディング収益と投資銀行手数料である。 トレーディング目的のクレジット・ディリバティブ – 2002年9月末に,プロテクションの売りポジションの約98%を30の世界的な銀 行とブローカー・ディーラーが保有しており,この取引相手の上位にアメリカの マネー・センター・バンクが入っている。(J.P. Morgan Chase 1位,Citigroup 8 位,Bank of America 12位)Fitch Ratings (2003: 2, 4-6, 11-12) – 金利スワップと同様に,彼らはクレデリのディーラーとして行動し, 値付け業務(market-making)やマーケット・メーカーとして活動。 43 – ALM目的からトレーディング目的へのクレデリの転換は,マネー・センター・バ ンクでは1997年頃までの2~3年でおこなわれた。 – すでに金利スワップで経験のあるマネー・センター・バンクは, 比較的短期間にトレーディング目的のクレデリに進出できた。 インプリケーション – 日本の企業風土に合わないM&A仲介業務を柱にできない日本の3大証券会 社,メガバンクにといっても,トレーディング業務は非常に魅力的と思われる。 – より大きなテーマ:今回の金融危機を歴史的にどう捉えるか? Gamble (2009) 1930年代の大恐慌 ケインズ主義,英国から米国へ世界経済の中心が移動 1970年代のスタグフレーション 新自由主義,製造業から金融立国へ 2008年の金融危機 グローバル化・IT化が進展し,中国・インドが台頭する中で – 国家保護主義 or 規制重視自由主義 or コスモポリタン自由主義 ケインズ スティグリッツ,クルーグマン ハーバーマス – アメリカの覇権維持強化 or 非欧米のBRICsへの重心の移行の始まり 今後の課題 – FX ⇒ 金利スワップ ⇒ クレデリとマネー・センター・バンクのトレーディン グ業務がその市場を拡大してきているが,大投資銀行のトレーディング業務 はどのような歴史的展開をたどってきたのか? – マネー・センター・バンクはかなり情報公開されているが,大投資銀行の情報 は十分には公開されていない。大投資銀行のトレーディング業務の内訳が分 かると,より具体的な比較が可能になる。 44 参考文献 BIS, Basel Committee on Banking Supervision (2008), Credit Risk Transfer: Developments from 2005 to 2007, the Joint Forum, Consultative Document, April. 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