特殊相対性理論における回転 大阪工業大学 情報科学部 情報システム学科 学生番号 B02-014 伊藤 誠 はじめに • 我々が日常馴染んでいるニュートン力学に加えて、 光速に近い運動を正しく表現する特殊相対性理論 を回転現象で表した。 • 観測者の速度の変化によって見かけの光景がどの ように移り変わっていくかを視覚化した。 • 「不思議宇宙のトムキンス」(ジョージ・ガモフ、199 9年)の話が真実であるかどうかを確かめた。 不思議宇宙のトムキンス 光の速さを時速30kmとした世界 特殊相対性理論とは • 光速に近い速度での運動を行なった場合の力学で ある。光速度不変の原理と特殊相対性原理の2つ を出発点とする。 • 光速度不変の原理:全ての観測者にとって、光の速 さは一定である。 • 特殊相対性原理:全ての観測者にとって、物理法則 は変わらない。 ローレンツ変換・ローレンツ短縮 • 速度をv、光速をc、β=v/cとする時、次の行列で表される座標変換をローレ ンツ変換という。我々の存在する3次元に時間軸を加えたものである。 1 2 t ' 1 β x' v y ' = 2 1 β z' 0 0 v 0 0 2 c (1 β) t 1 x 0 0 ・ 2 y 1 β 0 1 0 z 0 0 1 2 • 静止して見える座標系での長さを、その物体の「本当の長さL」だと定義す ると、動いている物体の長さであるLは、本当の長さよりも短く測定される。 2 L' 1 β ・ L 回転とは 光速に近い速度で運動する物体を見たり、その物体から見 る場合、ローレンツ短縮と光の到達時間の違いによって、静 止している時の位置関係とずれることによって、あたかも回転 しているように錯覚する現象である。 tan 1 2 モデル1 光速に近い速度で動く電車 が目の前を横切る時の光景 列車の側面: b 1 倍 2 →ローレンツ短縮 列車の後面: a 倍 →光の到達時間の違 い 見かけの形の変化 赤は電車の横側、青は電車の後ろ側である。 横切る電車の車掌の顔がわかる。 モデル2 光速に近い速度で電車の運転手が 見るビルの光景 見かけの形の変化 電車に乗っている観測者が 見るビルは、進行方向にローレ ンツ短縮し、しだいに小さく見え てくる。さらに、段々つぶれて見 えてくることがわかる。 赤はビルの前から見た部分、青は 横から見た部分であり、ビルの奥の 点と手前の点を比較すると水平方向 にはほとんど差がないことが分かる。 運転手が正面に見るビルの視線方向の変化 ①遠くのビルほどy軸 とビルの頂点がなす 角度は小さくなる。 ②βが大きくなると、 見込む角θは小さくな る。 運転手の正面に見える光景 赤、青、黄色の部分はそれぞれビルを正面から見 た部分で、それ以外の部分はビルの横側を表す。β を大きくすると視野が狭くなることがわかる。 まとめ • 観測者が光速に近い速度で運動する物体を見ると 回転しているように錯覚する。(モデル1) • 光速に近い速度で運動する観測者から見た静止し ている物体は進行方向に小さくなり段々つぶれて見 えることがわかる。(モデル2) • 物体の見える角度は速度が増すとしだいに小さくな る。(モデル2) 「トムキンス」の挿し絵の検証 ○ ローレンツ短縮でつぶれる ○ 回転(前輪) × 回転(後輪、背中) ○ ローレンツ短縮でつぶれる × 回転効果が足りないのでは?
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