MIRU2010 散乱媒体中の ライトトランスポートの解析 向川康博 (大阪大学,MIT) Ramesh Raskar (MIT) 八木康史(大阪大学) MIT Media Labに滞在 2009/6-2010/3 2 散乱媒体中のライトトランスポート 微粒子との衝突の繰り返し 複雑な光線空間を形成 dark bright 3 単一散乱と多重散乱 単一散乱(シングルスキャッタリング): 媒体内部で一度だけ微粒子に衝突 光学的な濃度が低い媒体(霧や不 純物を含む水など)で観測 指向性が高く光路が一意に定まる 多重散乱(マルチスキャッタリング): 媒体内部で何度も反射を繰り返す 光学的な濃度が高い媒体(皮膚や 大理石など)で観測 ディフュージョン近似 4 光学的な濃さによる散乱の違い Vitamin water 単一散乱 オレンジジュース 低次の散乱 牛乳 多重散乱 5 関連研究:散乱媒体の濃度について両極端な仮定 パーティシペィティングメディア 薄 光 学 的 な 濃 度 濃 単一散乱(霧,濁った水など) 散乱除去やパラメータの推定 [Narasimhan et al. 2005] 低次の散乱(2回反射,3回反射...) 未着手 多重散乱(大理石,肌など) ダイポール近似モデル レンダリングやパラメータ推定 Dipole model [Jensen et al. 2001] 6 本研究の目的 散乱媒体中のライトトランスポートを解析 散乱光を反射回数ごとに分解 ライトトランスポートの可視化 = + 1-bounce + 2-bounce +... 3-bounce 位置づけ: 散乱光のインバースライトトランスポート Seitz et al., A Theory of Inverse Light Transport, ICCV2005. 7 パーティシペィティングメディア [J.Stam 1995] 散乱による減衰のモデル 散乱係数 消滅係数 フェーズ関数 散乱の異方性を表現 異方性係数:g 1 g 2 (1 g 2 g cosq ) 2 3 2 p3 q t ( d1 2d 2 3) フェーズ関数 1 p(q ) 4 p2 経路に沿った減衰 l p3 l p1 s p(q )e p1 p(q) d23 g>0 g=0 g<0 前方散乱 等方散乱 後方散乱 8 光線空間の分解 光線空間(L) シーン中の各点を通過する光線の強度分布を記述 T: ライトトランスポート行列により再帰的に表現 L0:光源から発せられる光線空間 ... L1= TL0 L2= TL1 Lk+1= TLk 1次反射 (単一散乱) 2次反射 再帰的に表現される 高次の散乱成分 L Lk k 1 各反射回数ごとの 光線空間の総和 9 光線空間の次元数 次元数の比較 本研究 L(x,y,q) (q) (s,t) (q,f) (u,v) 真空中:4次元 (x,y) (x,y,z) 媒体中:5次元 厚みのない媒体:3次元 本研究での問題設定 カメラ 容器に注いだ 半透明の液体 プロジェクタ 10 計測環境 水で薄めた牛乳 計測のための容器 55cm カメラ (Point Grey Chameleon) プロジェクタ (3M MPro110) 27cm 12cm 撮影画像の例 11 単一散乱と多重散乱の分離 周波数特性の違いを利用 [Nayar 2006] 照明の空間的な高周波成分 単一散乱:保存される 多重散乱:反射を繰り返すため失われる 単一散乱と 多重散乱が混在 高周波1次元ストライプパターンの照明 単一散乱:ポジ・ネガ投影で値が変化 多重散乱:同一の強度 多重散乱 単一散乱 高周波1次元 ストライプパターン 12 分離結果 高周波照明 通常の照明 = + = + 単一散乱 dark 多重散乱 (低次の散乱を含む) bright 13 単一散乱の解析 純粋な単一散乱は指数関数的に減衰 指数関数の当てはめにより,消滅係数 t を推定 1200 600 800 400 指数関数の当てはめ 400 0 200 観測値 10 20 30 40 分離しない場合 (多重散乱を含む) [mm] 0 指数関数の当てはめ 分離した単一散乱光の強度 10 20 30 分離した場合 (単一散乱のみ) 40 [mm] 14 多重散乱の解析 フォワードレンダリングに基づく散乱パラメータの推定 散乱係数(s)と異方性係数(g)を適当な値に仮定 高次の散乱成分を再帰的にレンダリング 検証 ... L1 L2 分離した 単一散乱 L3 L4 高次の散乱成分 L5 Lk k 2 分離した 多重散乱 レンダリング した多重散乱 問題点: レンダリングには膨大な計算時間が必要 15 2段階の効率的なレンダリング 第1段階: 各反射回数ごとの光線空間 (Lk)を生成 散乱係数を固定 (仮にs=1とする) 異方性係数のみを変化 (-1<=g<=1) 第2段階: 線形結合による高速レンダリング s : 線形結合の係数 s はレンダリング後でも変更可能 l p3 l p1 s p(q )e = L +s2 +s L1 L2 t ( d1 2d 2 3) +s3 L3 +s4 L4 +... L5 16 反射回数ごとに分解 1600 1400 観測値 各反射成分の総和 1200 1-bounce (単一散乱) 2-bounce 反射回数が増すにつれ, 3-bounce ピーク位置が内部に移動 4-bounce 5-bounce 1000 800 600 400 200 0 10 20 30 40 50 [mm] 17 ライトトランスポートの可視化 4-bounce 5-bounce 3-bounce 2-bounce 1-bounce 6-bounce 光線空間 観測値 dark bright 18 ライトトランスポートの可視化 観測値 光線空間 1-bounce 2-bounce 3-bounce 4-bounce 5-bounce 6-bounce 19 斜めから入射する場合 観測値 光線空間 1-bounce 2-bounce 3-bounce 4-bounce 5-bounce 6-bounce 20 まとめ 本研究の成果 高周波照明による単一散乱と多重散乱の分離 光線空間を反射回数ごとに分解・解析 ライトトランスポートの可視化 制限 3次元光線空間(厚みのない2次元媒体) 均一な媒体 今後の課題 定量的評価 3次元物体 不均一な媒体 近赤外光の利用 21 ポスターの紹介 明日 7/28(水)午後の インタラクティブセッション2にて発表 - 学生さんの質問や裏話なども 22 提案手法の概要 (x, y, q) 厚みのない媒体に制限 3次元光線空間 3-D light field 均一な材質 周波数特性の違いに基づく散乱光の分離 1次元高周波照明 多重散乱の解析 線形結合による効率的なレンダリング +s +s2 +s3 +s4 +... 23 今後の展開 明日 7/28(水) 16:50-18:05 OS9: 光学的解析 「亀甲多面鏡を用いた半球状共焦点撮影」 50組の仮想カメラ・プロジェクタ群による半球状開口 散乱光解析のための強力な光学システム OS9-3 人体計測との関係 多重散乱 単一散乱 (ディフュージョン近似) 薄 透過光:X線CT 光学的な濃さ 低次の散乱 (未解決) 濃 拡散光:DOT (拡散光トモグラフィ) 24 25 高周波照明 [Nayar et al., SIGGRAPH2006] 物体表面への高周波照明 直接成分:拡散反射,鏡面反射 大域成分:相互反射,散乱など 高周波照明 直接成分 大域成分 26 ECCV2010 Jaewon Kim (MIT & KIST), Douglas Lanman (MIT), Yasuhiro Mukaigawa (MIT), Ramesh Raskar (MIT) Descattering Transmission via Angular Filtering 表面下散乱の解析 MIRU2008, 一般照明下での表面下散乱の解析 表面下散乱へのダイポールモデルの当てはめ 入力:1枚の撮影画像,幾何形状,照明 出力:散乱特性(ダイポールモデルのパラメータ) 既知 未知 レンダリング 幾何形状 照明 反射特性 (BSSRDF) インバース レンダリング 画像
© Copyright 2024 ExpyDoc