ネットワークの中立性

ネットワークの中立性
メディアコミュニケーション論Ⅲ
第13回
参考資料

ネットワークの中立性に関する懇談会報告
書(2007年9月 総務省)
ネットワークの仕組み(1)

従来の固定電話(日本国内)
 一方の電話機から相手の電話機まで,途中
(電話局など)を含めて,すべて日本電信電話
公社(現 NTT)が管理

1985年に民営化され,第2電電など他の事業
者が参入
ネットワークの仕組み(2)

インターネット

サービスの階層化
ネットワークの仕組み(3)

インターネット
 回線を提供する事業者
 インターネット接続を提供する
事業者
 コンテンツを配信する事業者
 利用者の機器を提供する
事業者
別事業者
(同じ場合
もあり)
ネットワークの仕組み(4)

インターネット
 いろいろな事業者
 ある事業者の回線を使って,
あるプロバイダと契約し,
あるメーカのパソコンで,
あるコンテンツを楽しむ
利用者が選択可能
ネットワークの仕組み(5)
他の選択可

上武大学のインターネット接続
 回線
NTT(光ファイバー)
 プロバイダ
SINET(学術情報ネットワーク)
 パソコン
研究室まで含めるといろいろ
 コンテンツ
いろいろ(図書館のDBには
有料のものもある)
ネットワークの仕組み(6)

障害が発生すれば迂回する
インターネットでのパケット(データ)の流れ
 パケットごとに,どこをどう経由するか分からな
回線のトラブルだけでない,
い
利用者が増えた場合も
ネットワークの仕組み(7)

インターネットでのパケット(データ)の流れ
 異なる事業者を経由する可能性

混んできたら,遅くなる
 通信の品質が保証されない(ベストエフォー
ト)
 定額料金制度が前提?
ネットワークの仕組み(8)

インターネットでのパケット(データ)の流れ
 一言で言うと,料金の計算が面倒(不可能?)

そもそも,インターネットは課金のことを考えて
いなかった(実験・実証を目的)?
結構アバウト?不公平?
ネットワークの中立性
ネットワークの中立性



network neutrality
消費者(ネットワークの利用者)が不利益を受け
ないようなネットワーク
 適正な対価で利用可能
 自由にアクセス可能
このような場合,ネットワークは中立性を確保さ
れている
ネットワークの中立性確保

二つの公平性の確保が必須
 ネットワークのコスト負担の公平性
 ネットワークの利用の公平性
ネットワークの現状
ブロードバンド化の影響(1)


インターネットを流れる情報の変化
 文字
 画像
 音・動画
情報量の増加
ブロードバンド化の影響(2)

インターネットを流れる情報量(トラフィック)の増
加
 最近は,2年で2倍というペース(報告書の時
点)

いろいろな設備の増強が必要

誰がコストを負担
ネットワークのコスト負担の公平性
トラフィック増(1)

に応じるために,設備投資

そのためには,料金の値上げ

しかし,一部の利用者(ヘビーユーザ)が,トラ
フィックのかなりの部分を占めている(報告書 資
料19)
トラフィック増(2)



一部の利用者(ヘビーユーザ)が,負荷をかけて
いる
一律,値上げでは不公平
“ネットワークのコスト負担の公平性”を維持しな
ければならない
トラフィック増への対応(1)

ヘビーユーザの料金の値上げ

定額料金制度から従量料金制度へ
トラフィック増への対応(2)


ヘビーユーザの帯域制限
転送速度を制限する
 時間がかかるようにすることで,使いにくくする
トラフィック増への対応(3)


いずれも“へービーユーザを差別”することにな
るか?
電気通信事業法
 第七条 電気通信事業者は,電気通信役務
の提供について,不当な差別的取扱いをして
はならない
ネットワークの利用の公平性
階層間の対立
アメリカの事例


2005年に,
マジソンリバー・コミュニケーションズ社(通信事
業者)が
ボナージ(VoIP 提供事業者)を排除する
回線をサービスする事業者である電話会社が,
インターネット電話を使えないようにした,という
こと
 インターネット電話は,電話会社にしてみれ
ば,目障りな存在
コンテンツサービス提供者は


グーグル,アマゾン,イーベイ,MSN,ヤフー等は、
設備系事業者による差別的取扱いが行われな
いような法制度の整備が必要である旨主張
コンテンツサービス
通信サービス
事業者
⇔ 事業者
つまり

各階層間の対立が生じ,結果として利用者の不
どの層の事業者
利益となる,と困る
が儲かるか?
も し,


日本で同様なことが起きたら
電気通信事業法
 第七条 電気通信事業者は,電気通信役務
の提供について,不当な差別的取扱いをして
はならないに反するか?
日本での動き

ドコモ山田社長が中期経営ビジョン解説
(5/30/12)
http://ktai.impress.co.jp/docs/event/wj2012/20120530_
536409.html
トラフィック増への別の対応
技術的対応
人気のあるコンテンツ
ここがネックになる
P2Pの利用(1)

P2P
 Peer to Peer
 端末同士が直接データのやり取りをする
 サーバを介さない
 “違法なファイル交換”というイメージ
P2Pの利用(2)
サーバからダウン
ロードしたコンテンツ
を別の利用者に送る
ミラーサーバ


コンテンツのコピーを別のサーバに
負荷分散
ま と め
ネットワークの中立性



network neutrality
消費者(ネットワークの利用者)が不利益を受け
ないようなネットワーク
 適正な対価で利用可能
 自由にアクセス可能
このような場合,ネットワークは中立性を確保さ
れている
そのためには

二つの公平性の確保
 ネットワークのコスト負担の公平性
 ネットワークの利用の公平性
トラフィック増への対応
- コスト負担


実体は,一部のヘビーユーザ
 追加料金
 帯域制御
技術的対応
 P2P
 ミラーサーバ(3.11でも使われた)
サービス階層間の対立

利用者の不利益とならないように,階層間の調
整