高リスク医薬品の 人体暴露に関する研究 ○ 原田祥行,鈴木茂(中部大院), 斎藤寛子,長谷川高明(愛知医大) 1 背景 • 日本では高リスク医薬品の取扱いについての意識が 低くBSC(biological safety cabinet)の普及率が低い • アンプルに封入された抗がん剤が存在 • 医師・看護師らが病棟の開放区域で抗がん剤を調製 • 抗がん剤の点滴ボトルの付け替え操作を病棟で実施 2 高リスク医薬品 対象物質 商品名 分配係数 (logP) 酸塩基解離定数 (pKa) 一般名 分子式 分子量 フルオロウラシル C4H3FN2O2 130.08 -1 8.01 ドキソルビシン塩酸塩 C27H29NO11・HCl 579.98 1.4 8.22 トポテシン イリノテカン塩酸塩水和物 C33H38N4O6・HCl・3H2O 677.18 0.05 7.89 ナベルビン ビノレルビン酒石酸塩 C45H54N4O8・2C4H6O6 1079.11 2.76 8.2 エピルビシン塩酸塩 C27H29NO11・HCl 579.98 0.356 7.77 キロサイド シタラビン C9H13N3O5 243.22 -2.7 3.9 サイメリン ラニムスチン C10H18ClN3O7 327.72 -0.71 中性 ゲムシタビン塩酸塩 C9H11F2N3O4・HCl 299.66 分配せず 4.2 シスプラチン Cl2H6N2Pt 300.05 ー 中性 エクザール ビンブラスチン硫酸塩 C46H58N4O9・H2SO4 909.05 ー 7.4 オンコビン ビンクリスチン硫酸塩 C46H56N4O10・H2SO4 923.04 ー 5 5-FU アドリアシン ファルモルビシン ジェムザール ランダ 3 高リスク医薬品 構造式一覧 イリノテカン塩酸塩水和物 フルオロウラシル ドキソルビシン塩酸塩 ビノレルビン酒石酸塩 エピルビシン塩酸塩 4 高リスク医薬品 構造式一覧 シタラビン ラニムスチン ビンブラスチン硫酸塩 ゲムシタビン塩酸塩 シスプラチン ビンクリスチン硫酸塩 5 方法 空気 使用器具などの表面 尿や血液サンプル • 高リスク医薬品の調製室内の空気中 • テーブル等の用具表面の拭き取り • 医療従事者の尿試料の調査 試料処理を行い LC/MS/MSにて多成分一斉分析を行う 6 結果 • LCにおけるグラジエントの最適化では、医薬 品が酸性条件で安定化することから、ギ酸と アセトニトリルを溶媒に選択することでイオン 化効率と侠雑物質とのピークの分離に成功し た。 • 高リスク医薬品11種混合状態でイオン化を検 討した結果、クロマトグラフで分離を確認し、 また検量線の作成にも成功した。 7 高リスク医薬品 クロマトグラフ 1ppm 08-10 11shukongou2 100 % アドリアシン 0 7.97 1.81 0.43 2.00 08-10 11shukongou2 4.00 6.00 8.84 8.00 1: Scan ES+ 544 1.35e6 ファルモルビシン 12.07 11.83 12.33 10.55 10.98 10.00 14.05 14.76 15.73 12.00 14.00 19.12 16.94 17.81 16.00 19.79 21.10 21.85 22.80 18.00 20.00 22.00 24.00 1: Scan ES+ 779 4.12e6 18.00 20.00 22.00 24.00 1: Scan ES+ 811 1.40e6 12.15 100 23.20 % ナベルビン 11.56 0 2.00 08-10 11shukongou2 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 11.42 100 % エクザール 11.77 5.06 0 2.00 08-10 11shukongou2 4.00 9.89 6.00 8.00 10.90 10.00 12.78 12.00 15.48 14.00 22.76 18.82 16.55 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00 1: Scan ES+ 587 1.49e7 18.00 20.00 22.00 24.00 1: Scan ES+ TIC 1.04e8 11.30 100 % トポテシン 0 2.00 08-10 11shukongou2 6.00 8.00 10.00 1.79 100 % 4.00 1.00 1.44 6.90 7.52 2.82 8.05 8.66 9.48 9.91 10.84 12.00 14.00 11.30 12.13 12.29 13.62 16.00 14.76 14.98 15.79 17.36 19.71 17.64 20.21 21.44 22.35 22.98 0 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 Time 24.00 8 考察 • 高リスク医薬品の多くが硫酸塩や塩酸塩と結 合した構造をしているため、前処理にて今後 除去を行う必要がある。 • 今後、拭き取り試験を行う際の溶媒の検討を 行う。生理食塩水やメタノール、水酸化ナトリ ウムといった溶媒での拭き取り試験の検討を 行う。 9
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