第15竃 電子コミュニケーション

ビジネス・コミュニケーション
ブラウン・アンド・スミスLLPのケース
概要
ブラウン・アンド・スミスLLP(「ファーム」)に勤務して4年を経て、シニア会計士、スーザン・サリバンは、ファーム
に自分のスキルや業績を認めてもらいたいと思っていた。彼女はファームの中で模範的な従業員としての評
判を確立しようと懸命に働いた。しかし、不幸なことに、スーザンは、無実の立場にありながら、誰か別の人が
犯した一連の管理ミスの責任を取とらされるはめに陥った。その結果、スーザンはファームを去ることになった
が、自分はその管理上の手違いについて潔白であると公言し、評判を取り戻すための機会を求めた。
ブラウン・アンド・スミスLLPは、世界中にオフィスを持つ大手会計事務所であった。主だった監査クライアント
も一部、ファーム同様、国際的に活動していた。ファームは、これらの国際クライアントにサービスを提供す
るために、国際戦略計画を立てた。その戦略計画は、個々のクライアントに提供するサービス内容を、その
サービスを担当するオフィスのリストと併せて、明記するように設計されていた。従って、この戦略計画の展
開と実施の成否は、担当チームのメンバー間で交わされるハイレベルなコミュニケーションにかかっていた。
典型的な監査チームは、(先任順に)パートナー、マネジャー、シニア会計士、何人かのスタッフといった数
層の要員で構成されていた。事業拠点を数カ所に持つ国際クライアントには、本社と各子会社の所在地に
監査チームが配置された。子会社の地域に所在する監査チームは、監査完了後、その結果を本社監査
チームに報告した。本社監査マネジャーは、子会社監査チームとのコミュニケーションの全部に対して調整
責任を担っていた。E-メールが、物理的な境界を乗り越えて、効率的かつタイムリーに業務情報を配信し
ていた。ファームが行っている国際契約業務の特質と範囲によって、E-メールの利用は、オフィス内コミュ
ニケーションの媒体から、オフィス間コミュニケーションの媒体へ拡大された。世界中のファームのメンバー
が、毎日お互いにコミュニケーションを取るためにE-メールを使用するのであった。
対決
スーザンは、米国マサチューセッツ州ボストンの有名なビジネススクールを卒業してすぐに、
ニューヨーク市にある、そのファームの監査部門でキャリアをスタートさせた。ファームに勤務
して3年目、スーザンは大手国際監査クライアントの1社、ハムステッド社に配置された。ハム
ステッド社はニューヨーク市に本社を置き、世界中の多くの国々に子会社を擁していた。当初
スーザンは、ハムステッド社との契約業務で、スタッフ会計士として仕事を始めたが、またたく
間にシニア会計士に昇格した。 ××年3月、ハムステッド社の本社監査チームは、次回の監
査計画の会議を行った。その会議では、各担当メンバーの業務の責任分担と並んで、国際戦
略計画の準備にも焦点が当てられた。その会議の出席者は、当時は全員がニューヨーク・オ
フィスに籍を置いていた。メンバーは次のとおり。
パートナー
マーク・デーヴイン
マネジャー
ジョン・ブラックウッド
副マネジャー
ポール・サヴオーナ
シニア会計士
スーザン・サリバン
スタッフ会計士
グレース・ハドソン、ジェフ・マルティネリ、グレゴリー・ミコ
会議の後、ジョンはスーザンの所に着いて、この戦略計画について助力を求めた。彼女は、これが
ジョンの責任範囲であることは知っていたが、この求めに同意した。3月10日こ行われた会議で、国際
契約業務チームのメンバーと連絡を取り合うには、E-メールが最もタイムリーで効率的な方法である
と決まった。スーザンは、ジョンの計画立案の作業を助力するために、国際契約業務を担当するパー
トナー(「国際契約パートナー」)とE-メール・アドレスを収集して、彼らに送付する最初のE-メールの
メッセージを起草した。スーザンは過去にジョンと何回か一緒に仕事をしたことがあったので、彼の管
理スタイルによく通じていた。彼は非常に仕事の組み立て方が苦手であることで知られていた。実際、
彼は重要な文書の置き場所を間違えることが多かった。これを考慮して、スーザンは、通信はすべて
ジョンの事務アシスタント気付で送付する旨の、最初のE-メール・メッセージを起草した。この方法を
取ることで、書類は正しく所在が確認されて、本社チームメンバー全員がアクセスできる中央ファイル
に保管されることが可能になるわけである。しかし、ジョンは国際通信は全部、自分で完全に取り扱え
ると主張して、この提案を拒否した。
4月13日
スーザンとジョンは1~2週間、戦略計画の準備に当たった。ようやく4月13日には、ジョンは国際契約パートナー全員に、
ハムステッド社の監査に必要な報告内容と、それぞれの提出期限などの細目を指定したE-メールを発信した。(資料1
参照)
5月17日
それから数週間過ぎた5月17日、スーザンは、提出期限が5月15日だった現地ハムステッド社契約チームからの報告
内容を、本社監査チームが未だに受け取っていないことに気付いた。スーザンはその遅延について打ち合わせるため、
ジョンに電話した。ジョンは、国際契約パートナーたちから確かに何も通信を受け取っていないと答えてから、こう言っ
た。「これから数週間、自分の所の郵便をチェックして、月末までには国際契約パートナーたちにE-メールで催促の
メッセージを送るよ」。
5月30日
5月30日、スーザンはジョンのオフィスを訪ね、机の上に積まれた書類の山の間から彼を探し出して言った。「ジョン、
ハムステッド社の子会社から何か通信を受け取りましたか」。ジョンは歯ぎしりせんばかりの勢いで言った。「そうなん
だよ、スーザン、国際契約パートナーたちのこの点の能力を、本当に疑い始めているところだよ。彼らはこの仕事の自
分たちの義務を果たしていないように見えるね」。こう言い放った後、ジョンはパートナーたちにE-メールを発信した。
(資料2参照) 翌週、スーザンは一部のパートナーたちから何通かのE-メールを受け取った。それらのメッセージはす
べて、報告書は4月13日付けのジョンからのE-メールに指定された提出期限に従って、ジョン宛に送ったと言い張って
いた。(資料3&4参照)
6月1日
本社側のパートナー、マーク・デーヴインは、国際契約パートナーたちから受け取ったメッセージを見て、その事情
に非常に失望していた。6月1日、マークはスーザンの面前でジョンと向き合って、説明を求めた。ジョンは「問題が何
であったのか、思い当たる節はありません。私は鷹のように見張っていましたが、言ってきているような通信は一つも
受け取っておりません」と言い張った。その後2~3分話し合いがあった後、返答があった国際契約パートナーたちに
宛てて、ジョンが応答をまとめることとなり、スーザンとマークは彼のオフィスを去った
6月2日
6月2日、スーザンは、E-メールがジョンから国際契約パートナーたちに送付されたものと期待しながら、オフィス
に到着した。彼女が予想していなかったことは、ジョンがその手違いはすべて彼女が原因だと非難したことだった
(資料5&6参照)。スーザンは激怒したが、それも全く意外ととらえたわけではなかった。なぜならば、オフィス内で
ジョンは自己保身主義者という定評があったからだ。彼女はジョンに電話をして、そのE-メールについて尋ねよう
と決心した。しかし、彼女が困惑したことに、ジョンはあまり申し訳なさそうな口ぶりではなく、この間題はそのまま
収拾がついたことにしようとスーザンに告げたのだった(資料7参照)。この事件の後も、スーザンにとって、侮辱と
被害は終わらなかった。
6月10日
6月10日に、ジョンは通信の不適切な処理を詫びるE-メールを、国際契約パートナー全員に発信した。(資料8参照)
この時点で、スーザンは非常に難しい決断を迫られることになった。もし、彼女がそのE-メール発信に対して謝罪を求
め、その撤回を要求すれば、監査チーム内で論争が起こる危険があった。反面、もしこの間題に対処しなければ、彼女
はその手違いの原因は自分であると認めることになり、国際契約パートナーたちや、ファームの他のメンバーの間に打
ち立てた彼女の評判を落とす危険があった。
7月1日
スーザンは数週間この状況をどうしたものかと悩み続けた。そしてついに、行動に出るべきだと決心した。彼女は不祥事
から彼女の名前を消し去り、ファーム内の自分の信用を取り戻す機会を望んだ。しかし、そのような機会が訪れることはな
かった。彼女は米国の監査チームのメ’ンバーたちに個人的に話そうかと考えた。しかし、その対応では、国際契約パート
ナーたちとの信望を回復することはできないだろうと思った。また、彼女は、国際契約パートナー全員に電話をして、実情
を説明しようかとも考えた。しかし、これも自分のメッセージを伝える最も効率的な方法ではなかった。自分に手が届くすべ
ての選択肢を考えた結果、彼女はハムステッド社契約を担当するパートナー全員にE-メールでメッセージを配信しようと
決心した。(資料9参照)
スーザンは、E-メールを発信した後の数時間というものは、受信者からの返信を待っていて、いても立ってもおられず
胸が張り裂けんばかりだった。彼女は、パートナーたちが自分のメッセージをどのように受け止めたか、また、E-メールは
それを送るのに妥当な方法だったかどうか、考えるともなく考えた。 スーザンがE-メールを発信してから数日後、ジョン
がスーザンのところに来て、彼のオフィスで話すことを求めた。ジョンは、事態の収拾への希望を伝えるとともに、スーザン
の行動に深い失望感を表した。それには、スーザンも同意した。その後、スーザンは、ハムステッド社監査チームの他の
誰からも、何の話も聞くことはなかった。ファームを去る日になって、スーザンは人事部の1人から興味深い情報を教えて
もらった。それによると、どうやら、あのジョン・ブラックウッドから同じ扱いを受けたシニア会計士が他にも数人いたというこ
とだ。今回ハムステッド社監査チームの状況が明るみに出たことで、彼らが立ち上がって、自分たちが築いてきた業績が
同様に傷つけられたと発表したとのことだ。ファームは今回の状況に対して、スーザンがメッセージの内容と媒体について
取ったアプローチは是認しないが、彼女が自分の評判を守るために立ち上がった勇気は、高く評価しているとのことだっ
た
資料1
ジョン・ブラックウッド@ブラウン・アンド・スミスー米国
04/13 9:08A.M.
To:Phi”ip_Wi.Iiams@Brown&Smith-London,Jose-Martinez@Brown&Smith-
Mexico,Frank_Hausle@Brown&Smith-ltary,Jorge_Corone@Brown&Smith-
VenezueIa,Vanessa_Gorton@Brown&Smith-AustraIia,Rainer_Lengle@
Brown&Smith-Germany,Hung-Su@Brown&Smith-China,Brenda-DuBois@
Brown&Smith-France,Elizabeth_Harding@Brown&Smith-Netherlands,Mat-
thew_Riley@Brown&Smith-lreland
cc:Mark_Davin@Brown&Smith-US,PauLSavona@Brown&Smith-US,Susan
SulIivan@Brown&Smith-US
件名:資料ご依頼
ハムステッド社XX年8月31日期監査に関する国際監査指示書に従って、各監査
報告内容の提出期限を以下の通り決定しました。
報告内容
提出期限
計画覚書(ハムステッド社子会社分)
早期警告質問書
内部管理覚書
期末覚書(検査)
期末法定財務諸表
フィー・予算分析
5月15日
8月15日
9月15日
9月15日
10月30日
11月15日
通信はすべて私宛で、下記の住所またはファクス番号にご送付ください。
住所:10002ニューヨーク州、ニューヨーク市、コングレス通り100、
ブラウン・アンド・スミスLLP
ファクス:(230)XXX-XXXX
この日程について何かご質問がある場合は、私にお電話ください。電話番号は
(230)XXX-XXXX。
ハムステッド社契約業務について、引き続きご協力を感謝いたします。
ブラウン・アンド・スミスー米国
ハムステッド社担当マネジャー
ジョン・ブラックウッド
∥
資料2
ジョン・ブラックウッド@ブラウン・アンド・スミスー米国
05/3010:10A.M.
To‥Ph=ip_WiIIiams@Brown&Smith-London,Jose-Martinez@Brown&Smith-Mex-
ico,Frank_Haus-e@Brown&Smith-ltary,Jorge-Corone@Brown&Smith-Vene・
zuela,Vanessa_Gorton@Brown&Smith-AustraJia・RaineLLengle@Brown&
Smith-Germany,Hung-Su@Brown&Smith-China,Brenda-DuBois@Brown&
Smith-France,Elizabeth_Harding@Brown&Smith-Netherlands,Matthew
Riley@Brown&Smith-lreland
cc:Mark_Davin@Brown&Smith-US,PauLSavona@Brown&Smith-US,Susan
Su”ivan@Brown&Smith-US
件名:資料ご依頼
本メモは、ハムステッド本社監査チームが、子会社監査チームのうちのどこからも
下記監査報告内容を受領していないことにご注意を促すものです。
監査報告内容
計画覚書(ハムステッド社 各子会社分)
提出期限
5月15日
上記のとおり、監査報告内容の提出期限が過ぎておりますので、至急ご送付のほど
ぉ願いいたします。通信はすべて私宛で、下記の住所またはファクス番号にご送付
ください。
住所:10002ニューヨーク州、ニューヨーク市、コングレス通り100、
ブラウン・アンド・スミスLLP
ファクス:(230)XXX-XXXX
何かご質問がある場合は、私宛にお電話ください。電話番号は(230)XXX-XXXXo
ハムステッド社契約業務について、引き続きご協力を感謝いたします。
ブラウン・アンド・スミスー米国
ハムステッド社担当マネジャー
ジョン・ブラックウッド
資料3
フィリップ・ウィリアムズ@ブラウン・アンド・スミスーロンドン
05/319:00A.M.
To:John_Blackwood@Brown&Smith-US
CC:Mark_Davin@Brown&Smith-US,PauLSavona@Brown&Smith-US,Susan
Su”ivan@Brown&Smith-US
件名:資料ご依頼
お手数をおかけしてお詫びいたします。私どもは5/16にDHL翌日必着便で資料を
発送しました。なぜお受け取りになっていないのか見当がつきません。本日ファク
スで、4/13付E-メール中に記載のファクス番号に、書類を送信いたします。
よろしくお願いいたします。
資料4
バネッサ・ゴートン@ブラウン・アンド・スミスーオーストラリア
05/317:30P.肌
To:John_BJackwood@Brown&Smith-US
CC:Mark_Davin@Brown&Smith-US,PauLSavona@Brown&Smith-US,Susan
Su=van@Brown&Smith-US
件名:資料ご依頼
私どもは資料を送付しました。宛先は、ジョン・ブラックウッドさん気付です。宅
配便記録によると、資料は5/16に配達されております。
ご確認をお願いいたします。
資料5
ジョン・ブラックウッド@ブラウン・アンド・スミスー米国
06/02 9:17A.M.
To:Phi=p_Wi∥ams@Brown&Smith-London
CC:Mark_Davin@Brown&Smith-US,PauLSavona@Brown&Smith-US,Susan
SulJivan@Brown&Smith-US
件名:資料ご依頼
計画覚書のファクス版をご送付くださるとのお申し出、有難く存じます。ハムステ
ッド本社チームのシニア会計士スーザン・サリバンが、ご送付いただいた原本は、
置き間違えて、見当たらないようです。
よろしくお願いいたします。
資料6
ジョン・ブラックウッド@ブラウン・アンド・スミスー米国
06/02 9:23 A.M.
To:Vanessa_Gorton@Brown&Smith-Austrafia
CC:Mark_Davin@Brown&Smith-US,PauLSavona@Brown&SmithUS,Susan
Su”ivan@Brown&Smith-US
件名:資料ご依頼
ご送付いただいた原本は、ハムステッド本社チームのシニア会計士スーザン・サリ
バンが、置き場所を間違えて、見当たらないようです。目下、この状況に手を打っ
ておりますのでご放念ください。その間は、計画覚書のコピーを、前回のメッセー
ジに記載の通り、私宛にファクスまたは速達便でご送付いただけませんでしょうか。
本件についてご協力を感謝いたします。
資料7
電話会話の要点 06/02 2:37PM
ジョン:
スーザン:
ジョン:
スーザン:
ジョン:
スーザン:
ジョン:
スーザン:
ジョン:
スーザン:
ジョン:
スーザン:
ジョン:
スーザン:
はい、ブラウン・アンド・スミスのジョン・ブラックウッドです。
こんにちは、ジョン。こちらはスーザンです。今少しお時間を頂戴して、ハムステッド社の契約のことをお話したいの
ですが。
もちろんだよ、スーザン。どうしたんだい。
あの、子会社からの報告内容についての手違いのことですが……
ああ、それがどうしたんだい。
書類の取り扱いについて、いくつかメッセージをお送りになったようですが。
ああ、彼らは当然説明を受けなければならないと思ったんだよ。結局、このいわゆる手違いの影響が子会社の半
分に及んでしまったからね。
ええ、ジョン、それはそうですね。しかし、あなたがなさった説明について少し気がかりなことがあるのですが。つま
り、原本は、あなたのデスクの上で書類に埋もれていたのを、私たちは見つけはしましたよね。書類はなくなっては
いませんでした。実際のところ、私はそのことに何も関与していないのに、その罪に私の名前が引き合いに出され
たのは愉快ではないのです。
いいかい、スーザン、君も知ってのとおり、チームのためにときには誰かが犠牲にならなくてはならないんだよ。今
回の場合は、本社監査チームのためにね。それに、いったい他の誰を非難できただろうか。
誰を非難するかということではないと思います。単に、残念な状況を説明することなのではないでしょうか。
君はまさか、私が12人の国際契約パートナーに、彼らの報告書を受け取ったのに、デスクの上に置き放しにして、
なくしてしまったと説明しろと言っているのではないだろうね。今年は、私にはパートナー昇進の審査がかかってい
ることを忘れているのか。
もちろん、そんなことはありません、ジョン。しかし・・・…
さあ、この話で、この一件の対処方法について君が考えていた心配もすべてきれいに片付いたのではないのかな。
このことで話すのは今回で最後だと思うが。スーザン、そうだろう。
はい、ジョン。さようなら。
資料8
ジョン・ブラックウッド@ブラウン・アンド・スミスー米国
06/1010:07A.M.
To:Phi”ip_WilIiams@Brown&Smith-London,Jose_Martinez@Brown&Smith-Mex-
ico,Frank_Hausle@Brown&Smith-ltary,Jorge_Corone@Brown&Smith-Vene-
zueIa,Vanessa_Gorton@Brown&Smith-AustraIia,Rainer_Lengle@Brown&
Smith-Germany,Hung-Su@Brown&Smith-China,Brenda_DuBois@Brown&
Smith-France,EIizabeth_Harding@Brown&Smith-Netherlands,Matthew
RiIey@Brown&Smith-IreIand
cc:Mark_Davin@Brown&Smith-US,PauLSavona@Brown&Smith-US,Susan
Sullivan@Brown&Smith-US
件名:資料ご依頼
皆様の多くがご存知のとおり、全子会社から本社が受け取る報告内容の適切な取り
扱いについて、本社監査チーム内で多少の混乱がありました。ここに、米国ハムス
テッド社パートナーを代表して、この混乱を引き起こしたことをお詫びいたします。
本件は対処ずみで、今後は報告内容のより効率的な処理をご期待できることをご確
約いたします。
再度ご連絡しますが、通信は全て私宛で、下記の住所またはファクス番号にご送付
ください。
住所:10002ニューヨーク州、ニューヨーク市、コングレス通り100、
ブラウン・アンド・スミスLLP
ファクス:(230)XXX-XXXX
報告内容プロセスについて、何か更にご懸念がありましたら、私宛にお電話くださ
い。電話番号は(230)XXX-XXXX。
ハムステッド社契約業務について、引き続きご協力を感謝いたします。
ブラウン・アンド・スミスー米国
ハムステッド社担当マネジャー
ジョン・ブラックウッド
資料9
スーザン・サリバン@ブラウン・アンド・スミスー米国
07/019:54A.M.
To=Phil.ip_Wi”iams@Brown&Smith-London,Jose-Maninez@Brown&Smith-Mex-
ico,Frank_Hausle@Brown&Smith一一tary・Jorge-Corone@Brown&Smith-Vene-
zuela,Vanessa,Gonon@Brown&Smith-Australia,Rainer-Lengle@Brown&
smith-Germany,Hung-Su@Brown&Smith-China,Brenda-DuBois@Brown&
smith-France,Elizabeth_Harding@Brown&Smith-NetherIands・Matthew
Ri-ey@Brown&Smith-Ireland
cc:Mark_Davin@Brown&Smith-US,PauLSavona@Brown&Smith-US,Susan
Su”ivan@Brown&Smith-US
件名:資料ご依頼
私は、ハムステッド監査チームの一員のシニア会計士です0ハムステッド社担当マ
ネジャー、ジョン・ブラックウッドが送付したE-メール・メッセージに応えて、
本メッセージを書いている次第です。
ジョンのメッセージで正しく指摘があったとおり、国際通信の適切な扱いについて、
本社監査チーム内で多少の混乱がございました0しかし、ジョンのメッセージとは
違って、この混乱の原因は、私ではございませんでした0ブラウン・アンド・スミ
ス社でのすべての国際契約と同様に、国際通信についての責任は、本社側マネジ
ャーにあります。本件についての私の関与は限られたものであります。
本メッセージは、同僚に対する反撃を意図したものではございません0むしろ、本
メッセージの意図は、ジョンのメッセージに対する私の明確な異議を表し、ブラウ
ン・アンド・スミス社の従業員として私の評判を守ることであります0
以上、よろしくお願いいたします。
課題
•Eメールによるコミュニケーションは、電話での会話や、対面して話を交わすこととどのように異なるか。
•スーザンが送信し、受信したEメールのトーンは不適切だったか。もしそうならば、どのように不適切だっ
たか。
•スーザンは次にどんなステップを踏むべきか。
•ジョン・ブラックウッドとスーザン・サリバンのコミュニケーションを、倫理的観点から評価せよ。どちらが
非倫理的な行動をとったか。その理由は何か。また、そうでない理由は何か。