第4章 ねじを使う設計技術 ね じ ★ねじを使わない機械はほとんどない。 ★ねじにはどのような種類があるのか? ★ねじを使うときの注意点は? 4.1 ねじの種類 1. 2. 3. 4. ねじの用途 ねじ山の形状 おねじとめねじ 平行ねじとテーパねじ 4.1.1 ねじの用途 (1) 部品の固定 模型スターリングエンジン 軸受や板材の取り付け ねじを使わない機械はほとんどない! (2) 配管の結合 水道管やガス管で は,ねじが使われ ている。 ねじ部でのシール も可能! ねじを使用した配管部品 (3) 長さの測定 ねじは1回転当た りに決まった距離 だけ進む。 高精度な長さ測定 が可能! マイクロメータ (4) 運動・動力伝達 旋盤の送りねじ 回転運動を直線運 動に変換! 万力 小さい力を大きい 力に変換! 4.1.2 ねじ山の形状 機械部品に使 われるねじの ほとんどは三 角ねじ! 4.1.3 おねじとめねじ おねじとめねじを 組み合わせて使う。 寸法(外径,内径,ピッチ)が合って いなければならない! ★ピッチとリード ピッチ:隣り合ったねじ山の中心から中心までの距離【重要!】 リード:ねじを1回転させたときに進む距離 通常は条数=1 ピッチ=リード ★タップによるめねじの加工 タップ タップによるねじ切り加工 めねじは「タップ」で加工する。 ★タップによるめねじの加工 ねじ切りのイメージ 機械設計時の注意 ★ダイスによるおねじの加工 ダイス ダイスとダイスハンドル おねじは「ダイス」で加工する。 ★ダイスによるおねじの加工 ねじ切りのイメージ 外径にほぼ等しい材料から,ねじ部を削る。 ★旋盤によるねじ切り加工 ねじ切りバイト 旋盤によるねじ切り 大きいねじや特殊なねじは,旋盤で加工する。 ★転造によるねじの製作 市販のねじは,「転造」で作られる。 4.1.4 平行ねじとテーパねじ 通常は平行ねじ! 配管ねじで使われる。 4.1.5 右ねじと左ねじ 通常使われるねじは,右ねじ! ★左ねじを使う例 自転車の左側のペダル 船のスクリュープロペラ 力(トルク)が加わったときに緩みにくい。 4.1.6 ねじの規格 ねじの規格と記号 通常は,メートル並目ねじ! ★ユニファイねじが使われている例 カメラと三脚のねじ ★ねじの規格を調べる【補足】 ねじの外径とピッチを調べる。 ピッチゲージ ピッチゲージの使用方法 ★ねじの規格を調べる【補足】 ノギスでピッチを調べる 4.2 メートル並目ねじ 1. メートル並目ねじの規格 2. メートル並目ねじの下穴径 3. 実際に使用するねじ部品 4.2.1 メートル並目ねじの規格 ねじの呼び=おねじの外径【重要】 4.2.2 メートル並目ねじの下穴径 下穴の直径≒ねじの呼び径-ピッチ 4.2.3 実際に使用するねじ部品 機械設計においては,どのようなねじ部品が あるのかを知っていることが重要! (1) 六角ボルト 六角ボルト 最も一般的。 自動車やバイクに使われている。 スパナによる締め付け (2) 六角穴付きボルト 六角穴付きボルト 組立性に優れる。 頭部が壊れにくい。 六角レンチ ★座ぐり穴の加工 頭部を埋め込むこと ができる。 座ぐり穴 (3) 十字穴付きなべ子ねじ(子ねじ) 小型の機械に使われる。 頭部が壊れやすい。 子ねじ (4)十字穴付き皿子ねじ(皿ねじ) ねじ頭部を材料に埋め込むと きに使う。 皿ねじ (5) 六角穴付き止めねじ 軸などの部品に別の部品を横 方向から固定する時に使う。 止めねじ(イモネジ) (6) 六角ナット 六角ナット 部品の固定に利 用される。 (7) 平座金(平ワッシャ) 平座金 部品の損傷を防ぐ。 ボルトのすわりをよくする (8)ばね座金(スプリングワッシャ) ばね座金 ねじを緩みにくくする。 4.3 ねじの強度 1. ねじに作用する荷重とねじの破損 2. ねじに使われる材料 3. 強度計算 4.3.1 ねじに作用する荷重とねじの破損 (1) 軸方向への引張り荷重 ねじを締め付けただ けでも引っ張り荷重 が生じる。 (2) ねじ山のせん断荷重 ある程度以上のねじ山が,かみ合わされて いなければいけない! (3) ねじへのせん断荷重 六角穴付きボルト 魚ロボットの機構 通常,ねじにせん断荷重を与えてはいけない! (4) ねじへのねじれ荷重 ねじが接触した状態で,さらに締め付けるとねじが破損する。 4.3.2 ねじに使われる材料 SCM材(六角穴付きボルト)は強い! 4.3.3 強度計算 (1) 軸方向への引っ張り荷重 M4のボルトでも,約80kgfの荷重に耐える! (2) ねじ山のせん断荷重 最も壊れやすい断面でのせん断応力を計算する。 (3) ねじへのせん断荷重 1本のねじに,せん 断荷重が集中する ことがある! 4.4 実際の設計 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 組立を考えたねじの配置 ねじ頭部の干渉 通しボルトとねじ込みボルト ねじとバカ穴 部品の固定とねじの本数 フランジのシールとねじの本数 止めねじ ねじ部を垂直に組み立てる方法 緩み止め 4.4.1 組立を考えたねじの配置 工具が使いや すいこと! 組立に無理がなく, 容易であること! 4.4.2 ねじ頭部の干渉 ねじ同士が干渉しないこと! 4.4.3 通しボルトとねじ込みボルト 製作性がよ い! 組立性がよ い! 製作性と組立性のバランスを考える。 4.4.4 ねじとバカ穴 適度な大きさのバカ穴をあける! 4.4.5 部品の固定とねじの本数 1本のねじでは部品を固定できない! 4.4.6 フランジのシールとねじの本数 魚ロボットの胴体 シール性が必要な場合,ねじを増やす! 4.4.7 止めねじ 軸の接触面を平らにするとよい。 4.4.8 ねじを垂直に立てる方法 ねじは垂直に立たない! 垂直にするには,面を利用する! 4.4.9 緩み止め (1) 二重ナット よく使われる 緩み止め方法 (2) 座金による緩み止め 柔らかい材料では,座金を 付けるだけで,緩み止め効 果がある。 (3) 機械的固定 緩み止めナット ハードロックナット ピンや特殊な座金を使う。 市販されている特殊なねじ部品を使う。 座金組み込みねじ 皿ばね付六角ナット ナイロンナット スプリングボルト (4) ねじロック材 ねじロック材 様々なねじロック材が市販されている。 本日の課題 部品を取り付ける以外で,ねじの特徴を活かし た使用方法(機械)を考えなさい。 マイクロメータ 万力
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