教育課程研究集会資料 中学校 「新しい学習指導要領」実施にかかる留意点 平成20年12月26日 徳島県立総合教育センター 説明事項 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 休業日の期間における授業日の設定 10分間程度の短い時間を単位とした授業 総合的な学習の時間の実施による特別活動の代替 選択教科 障害のある生徒の指導(特別支援教育) 道徳教育の充実 情報教育の充実 各教科等の主な内容の改善 部活動 指導要録の改善に伴う評価 移行措置期間中の標準授業時数 教育課程研究集会資料の提供 1 休業日の期間における授業日の設定 総則第1章第3の1 各教科等や学習活動の特質に応じ効果的な場合には,夏季, 冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含 め,これらの授業を特定の期間に行うことができる。 留意点1 長期休業期間については,学校教育法施行令第29条におい て,学校の設置者が定める 留意点2 集団宿泊活動などの学校行事は,長期休業期間中に授業日 を設定してまとめて行うことは可能 留意点3 道徳の時間は,35週にわたって行うことが原則であり,夏休 み等にまとめて実施することは,適切とは言えない 2-1 10分間程度の短い時間を単位とした授業 総則第1章第3の3 各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教 科等の年間授業時数を確保しつつ,児童(生徒)の発達の段階及び 各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定めるものとする 留意点1 特定の学習活動を10分間程度の短い時間を活用して行う場合 については,当該教科や学習活動の特質に照らし妥当かどう かの教育的な配慮に基づいた判断が必要である 例えば 実験や観察の際の理科の授業は60分で行ったり,計算や漢字の反 復学習を10分間程度の短い時間を活用して行ったりするなど,生徒 の発達の段階及び各教科等や学習活動によっては授業時間の区切 り方を変えた方が効果的な場合もあることを考慮して設けた 2-2 10分間程度の短い時間を単位とした授業 留意点2 道徳の時間や特別活動(学級活動)の授業を毎日10分間程度 の短い時間を活用して行うことは,通常考えられない 留意点3 10分間程度の短い時間を活用して生徒自らの興味や関心に応 じて選んだ図書について読書活動を実施するなど指導計画に 適切に位置付けることなく行われる活動は,授業時数以外の 教育活動となる 留意点4 指導計画に適切に位置付け,指導と評価が行われるものでなけれ ばならない。 3 総合的な学習の時間の実施による特別活動の代替 総合的な学習の時間とは別に,特別活動として改めて(自然体 験活動→旅行・集団宿泊活動)(職場体験活動やボランティア 活動→勤労生産・奉仕的行事)等の体験活動を行わないとする ことも考えられるため,今回の改訂においては,第1章総則第 3の5として総合的な学習の時間の実施による特別活動の代替 を認める記述を追加した 総合的な学習の時 間 ○ 特別活動 自然体験活動 旅行・集団宿泊的行事 ボランティア活動 勤労生産・奉仕的行事 総合的な学習の時間においてその趣旨を踏まえる同時に,特 別活動の趣旨をも踏まえ,体験活動を実施した場合に特別活 動の代替を認めるものである 4 選択教科 実施後 選択教科の授業時数を縮減し,必修教科の教育内容や授業時数 を増加することで,教育課程の共通性を高める必要がある。な お,選択教科については,標準授業時数の枠外で各学校におい て開設し得ることとすることが適当である 移行期間中 選択教科についても標準授業時数が定められており,選択教科を 開設する必要があります。ただし,6月13日付け文部科学事務 次官通知「小学校及び中学校の学習指導要領等に関する移行措置 並びに移行期間中における学習指導要領について」において示し たとおり,現行学習指導要領総則第3の3の規定は適用しないこ としており,いわゆる「学校選択」も可能である 学習評価についても選択教科として必修教科とは別に行うことが 必要である 5-1 障害のある生徒の指導(特別支援教育) 総則第1章第4の2(8) 障害のある生徒などについては,特別支援学校等の助言又は援助 を活用しつつ,例えば指導についての計画又は家庭や医療,福 祉等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別 に作成することなどにより,個々の生徒の障害の状態等に応じ た指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと・・ ① ② ③ 生徒の障害の種類や程度を的確に把握する 個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容 ・指導方法の工夫を検討し,適切な指導を計画的, 組織的に行う (個別の指導計画)(個別の教育支援計画) 学校全体の支援体制を整備する 5-2 障害のある生徒の指導(特別支援教育) ① 生徒の障害の種類や程度を的確に把握する (障害の種類) 視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由,病弱・身体虚弱, 言語障害,情緒障害,自閉症,学習障害,注意欠陥多動性障害等 ② (個別の指導計画)(個別の教育支援計画) 障害のある生徒一人一人について,指導の目標や内容,配慮事 項などを示した計画 (個別の指導計画) 家庭や医療機関,福祉施設などの関係機関と連携し,様々な側 面からの取組を示した計画 (個別の教育支援計画) ③ 学校全体の支援体制を整備する 担任教師だけが指導に当たるのではなく,校内委員会を設置し, 特別支援教育コーディネーターを指名するなど学校全体の支援 体制を整備する。 6-1 道徳教育の充実 道徳の時間は,学校における道徳教育のいわば扇の要となる 重要な時間であり,それぞれの教育活動の特質に応じて行わ れる道徳教育を補充,深化,統合するのが道徳の時間である ことを明確化した。 部活 各教科等 道徳の時間 行事 各教科,道徳,総合的な学習の時間及 び特別活動が,それぞれ固有の目標や ねらいの実現を目指しながら,それぞ れの特質に応じて適時適切な指導を行 い道徳性の育成を図るようにすること が大切である。 6-2 道徳教育の充実 道徳教育の推進を主に担当する教師を「道徳教育推進教師」とし, その教師を中心として,学校が組織体として一体となって道徳教 育を進めるために,全教師が力を発揮できる体制を整える必要 があることを示した。 「道徳教育推進教師」の役割 ア 道徳教育の指導計画の作成に関すること イ 全教育活動における道徳教育の推進,充実に関すること ウ 道徳の時間の充実と指導体制に関すること エ 道徳用教材の整備・充実・活用に関すること オ 道徳教育の情報提供や情報交換に関すること カ 授業の公開など家庭や地域社会との連携に関すること キ 道徳教育の研修の充実に関すること 7-1 情報教育の充実 総則第1章第4の2 (10) ・・生徒が情報モラルを身に付け,コンピュータや情報通信ネット ワークなどの情報手段を適切かつ主体的,積極的に活用できる ようにする・・ ① ② ③ 生徒がコンピュータや情報通信ネットワーク などの情報手段を適切かつ主体的・積極的に活用 情報モラルを身に付ける 視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適 切な活用を図る 7-2 情報教育の充実 ① 生徒がコンピュータや情報通信ネットワーク などの情報手段の活用 ◆必要な情報を収集する学習活動 ◆必要とする情報や信頼できる情報を選び取る学習活動 ◆情報手段を用いて処理の仕方を工夫する学習活動 ◆表現を工夫して発表したり情報を発信したりする学習活動など 情報手段を適切かつ主体的,積極的に活用できるようにするた めの学習活動を充実することが必要である。 ② 情報モラルを身に付ける ◆情報発信による他人や社会への影響について考えさせる ◆ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味について考えさせる ◆情報には自他の権利があることを考えさせる ◆情報には誤ったものや危険なものがあることを考えさせる ◆健康を害するような行動について考えさせる ③ 視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適 切な活用を図る ◆学校においては情報機器にフィルタリング機能の措置を講じたりして, 情報セキュリティを確保する 8-1 各教科等の主な内容改善 総則 ・ 知識・技能を活用して課題を解決するための思考力,判断力,表現 力等の育成,言語活動の充実,学習習慣の確立等を規定 ・ 改正教育基本法等を踏まえ,伝統と文化を尊重し,それらをはぐくん できた我が国と郷土を愛し,公共の精神を尊び,他国を尊重し,国際 社会の平和と発展や環境の保全に貢献する主体性のある日本人を 育成することを道徳教育の目標に規定 ・ 中学校の道徳教育では,職場体験活動等を通じ,自他の生命の尊重, 規律ある生活,自己の将来,法やきまりの意義の理解,社会の形成 への参画,国際社会に生きる日本人としての自覚を重視することを 規定 ・ 体力の向上に加え,食育の推進や安全に関する指導を規定 ・ 学校教育の一環として生徒が自発的に取り組む部活動の意義や留 意点を規定 8-2 各教科等の主な内容改善 国語 ・ 言語力育成の中核を担う教科として,具体的な言語活動を充実 (小学校:記録,報告,解説,推薦等,中学校:批評,評論,論説等) ・ ことわざ,故事成語,古文・漢文の音読など小学校段階から古典に関 する指導を充実 ・ 教材として,近代以降の代表的な作家の作品を取り上げることを規定 社会 ・ 我が国の伝統や文化(小学校:文化遺産,狩猟・採集の生活や国の 形成等,中学校:かな文字等),宗教(中学校),近現代の歴史(中学 校)に関する学習を充実 ・ 環境,防災,情報化,法や政治,経済などに関する学習を充実 8-3 各教科等の主な内容改善 数学 ・ 発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)による指導を充実(複数学 年にわたり指導内容を一部重複させる) ・ 国際的な通用性,内容の系統性の確保や小・中学校の学習の円滑な接 続等の観点から,必要な指導内容を充実(二次方程式の解の公式,標本 調査等) ・ 学ぶことの意義や有用性を実感できるよう,数量や図形についての知識・ 技能を実際の場面で活用する活動などを充実(「数学的活動」) 理科 ・ 国際的な通用性,内容の系統性の確保や小・中学校の学習の円滑な接 続等の観点から,必要な指導内容を充実(中学校:イオン,遺伝の規則性, 進化等) ・ 科学的な思考力・表現力等の育成の観点から,観察・実験の結果を分析 し解釈する学習活動,科学的な概念を使用して考えたり説明したりするな どの学習活動等を充実 8-4 各教科等の主な内容改善 音楽 ・ 表現活動及び鑑賞活動において共通に必要となる能力を示した〔共通事 項〕を新設 ・ 歌唱教材について,「赤とんぼ」,「荒城の月」など我が国で親しまれてきた 曲を具体的に規定 ・ 民謡,長唄など我が国の伝統的な歌唱の指導の重視(中学校)など邦楽 の指導を充実 美術 ・ 表現活動及び鑑賞活動において共通に必要となる能力を示した〔共通事 項〕を新設 ・ 我が国の美術文化に関する鑑賞指導を充実(中学校2・3学年→1,2・3 学年) 8-5 各教科等の主な内容改善 技術・家庭 ・ 家族と家庭に関する教育を充実 (幼児との触れ合い) ・ 食育の推進の観点から,食事の役割や栄養・調理に関する内容を充実 (小学校:五大栄養素等,中学校:地域の食文化等) ・ ものづくり教育の充実等の観点から,技術の評価,エネルギー変換や生 物育成の技術に関する学習を充実 保健体育 ・ 選択であった武道,ダンスを含めすべての運動領域を必履修化 ・ 自然災害に伴う傷害の防止などに関する指導を充実 外国語 ・ 語数を,現行の「900語程度まで」から「1200語程度」に増加 ・ 外国語で発信しうる内容の充実を図る観点から,教材の題材の例として, 我が国の伝統文化と自然科学を追加 8-6 各教科等の主な内容改善 道徳 ・ より効果的な教育を行う観点から,発達の段階に応じて指導の重点を明 確化(中学校:社会の形成への主体的な参画等) ・ 道徳性の育成に資する体験活動を推進(職場体験活動等) 総合的な学習の時間 ・ 教科の枠を超えた横断的・総合的な学習,探究的な学習を行うことをより 明確化 ・ 学習活動の例示として,発達の段階に応じ,中学校で職業や自己の将来 に関する学習活動を追加 特別活動 ・ よりよい人間関係を築く力,集団の一員としてよりよい生活づくりに参画 外国語活動 する態度の育成を特に重視し,体験活動や話合い活動,異年齢集団に よる活動を充実 9 部活動 ※部活動の意義と留意点等が明記された。 ○ 好ましい人間関係の形成等に資するものである。 ○ 学校教育の一環として,教育課程との関連が図られ るようにする。 ○ 社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営 上の工夫を行う。 ○ 休養日や活動時間を適切に設定するなど生徒のバラ ンスのとれた生活や成長に配慮する。 10 指導要録の改善に伴う評価 指導要録の改善に伴う評価規準や評価の観点 の見直しの可能性と今後のスケジュールについて ◆今後,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領を改訂し た後,専門的な検討を行う ◆ いわゆる「4観点」をどう考えるかも含め,具体的な改善 の内容についてはこれからの検討による ◆新学習指導要領の基本的な考え方を踏まえ,「より一層簡 素で効率的な」ものとする 11 移行措置期間中の標準授業時数 学習指導要領 p124 12 教育課程研究集会資料の提供 12 教育課程研究集会資料の提供
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