PowerPoint プレゼンテーション

中性子ラジオグラフィーによる
加速器ターゲットにおける熱流動計測
神戸大学大学院 工学研究科 機械工学専攻
市川 泰資
竹中 信幸
杉本 勝美
田中 龍太
研究背景
中性子は
物質科学,生命科学など先端的科学研究を推進する上で
不可欠なプローブであり中性子ラジオグラフィー等にも用いられている.
加速器でGeV程度に加速させた陽子線をターゲットに照射し,
核破砕(スポレーション)反応をおこして中性子を発生させることが出来る.
核破砕反応による高密度の発熱により,固体ターゲット
冷却水流路ではバーンアウトが起きる可能性がある.
研究背景
①
通常のターゲットの状態
ポンプトリップ等の事故で冷却
水流量が減少
②
③
単流路における沸騰二相流の圧力損失線図の概略図
log⊿P
⊿PG
⊿PL
固体ターゲット流路のような並列チャン
ネルでは差圧が一定なので圧力損失
の極小点で逸走に至る
冷却水流量が急激に減り沸騰危
機に至る可能性
①
③ 逸走
②
logG
固体ターゲットの安全限界を考える上では限界熱流束に
加えて,圧力損失の極小点も考慮する必要がある.
研究目的
高エネルギー加速器固体ターゲットにおいて,
ポンプトリップ等による事故が発生し,
冷却水流量が減少した場合の安全性を評価する.
研究内容
ロッドターゲットを模擬した試験部を用いて強制対流沸騰熱伝達
実験を行い,限界熱流束,ネットベーパー発生点,圧力損失極小点
について検討を行った.
また,中性子ラジオグラフィーを用い試験部内の可視化により
ボイド率の計測を行った.
実験装置
1. pump
8.
2. flow rate mater
9.
3. test section
10.
4. AC electrical source
11.
5. differential pressure transducer
12.
6.7. TC for inlet and outlet temperature 13.
P
heat exchanger
water tank
degas tank
heater
pressure gauges
pressurize cylinder
⑤
④
⑫
⑥
TC
②
③
⑪
⑬
⑩
①
⑨
⑧
⑦
TC
円形流路試験部
Rod Target
差圧測定口
加熱部(ステンレス)
流路内径
3, 5 [mm]
壁面厚さ
1.5 [mm]
電極(銅)
発熱分布試験部
ターゲットの発熱分布は
Gaussian分布で近似できる
  x2
y 2 

Q( x, y )  Q max exp 

2
2 
  2x 2y 
σ=10.92[mm]
試験部の肉厚に分布を持たせることで,
発熱分布による影響を検討した.
σ=36.4[mm]
σ=25.8[mm]
流路内径3, 5[mm]それぞれに,二次元発熱分布試験部σ=10.92, 25.8, 36.4[mm]の3種類
実験結果
ネットベーパー発生点
表面沸騰で壁面に付着している気泡が壁面から離脱し流れの中心へ移動し始める点。
ボイドの発生と圧力勾配が急激に増加し始める。
質量流量一定条件での実験結果の圧力損失の勾配の変化からネットベーパー発生点を
求めた。
2
G=1700[Kg/m s]
boiling inception
PNVG
ΔP [Pa]
104
103
102 5
10
106
2
q [W/m ]
107
実験結果
ネットベーパー発生点
107
107
Dh=5mm
Dh=3mm
q [W/m2]
Dh=3mm
q [W/m ]
106
2
q [W/m2]
107
103
G[kg/m 2s]
流路内径3,
106
S&Z
Levy
circular uniform
circular distribution σ=36.4
circular distribution σ=25.8
circular distribution σ=10.92
106
104
103
G [kg/m 2s]
104
103
104
2
5[mm]それぞれで,異なる傾向が見られた.
G [[kg/m s]
S&Z
Levy
uniform
σ=36.4
σ=25.8
σ=10.92
q=1.2[MW/m 2]
実験結果
Blasius correlation
boiling inception
流路内径3 [mm]試験部では,極小点が現れる
前に限界熱流束に至った.
⊿P [Pa]
圧力損失極小点
104
σx=25.8
Dh=3mm
103
0.11[MPa] Tin =40℃
103
G [kg/m 2s]
104
q=1.5[MW/m 2]
流路内径5 [mm]試験部では,極小点を越えてから
限界熱流束に至った.
Blasius correlation
boiling inception
⊿P[Pa]
104
103
Dh=5mm
103
2
G[kg/m s]
104
圧力損失のモデリング
サブクール沸騰状態の圧力損失を計算するために沸騰状態を
冷却水流路に沿って3つの領域に分けモデルを検討する.
第1領域
:非沸騰状態
Blasiusの式
第2領域
:表面沸騰状態
表面粗さを考慮した単相流
第3領域
:ネットベーパー開始以降
均質流モデル
Section1
Section2
Section3
ネットベーパー発生点に従来の相関関係との一致する傾向が見られなかったため,
実験値を与えた.
モデリングと実験結果との比較
流路内径5[mm]円形流路試験部
ネットベーパー発生点を与えることができれば
極小点予測が行える.
極小点まではほぼ一致.
103
q=1.1[MW/m 2]
103
[kg/m22s]
GG[kg/m
103
10
Pressure Drop : ⊿P [Pa]
ΔP [Pa]
⊿P [Pa]
⊿P [Pa]
ΔP [Pa]
0.6MW/m2
5
2
q=1.72 [MW/m ]
q=0.6[MW/m2]
102
102
103
GG[kg/m
[[kg/m22s]s]
Blasius correlation
predicted
experimental
boiling inception
mini point point
minimum
可視化実験
撮像システム
CCDカメラ(画素数1024×1024pixel 輝度16bit)
露光時間 60sec
L/D
1000 (スリット 1mm 試験部との距離 830mm)
コンバータ
試験部 172mm
Converter
Neutron beam
Mirror
Test section
Camera
Lens
Visible-Ray
ボイド率の測定
中性子ラジオグラフィーによる可視化
G=2500[kg/m2s]
計算式
S2  G exp 1   water water   O
S0  G exp water water   O
 
1
 water  water
 S 2  O 

ln
 S0  O 
S:輝度,G:ゲイン,μ:中性子の減衰率,
ρ:密度,δ:厚さ,α:ボイド率,O:オフセット
加熱なし
q=1.6 [MW/m2]
ボイド率の測定
G=2500[kg/m2s]
0.008
0.006
0.006
0.004
0.004


0.008
0.002
0
110
0.002
120
Displacement [mm]
q=1.1 [MW/m2]
130
0
110
120
Displacement [mm]
q=1.6 [MW/m2]
130
ボイド率の測定
アーベル変換
軸対称を仮定
中性子ラジオグラフィーにより得た画像
水分量(ボイド率)の半径方向分布の測定
tlm・ f (r, y)  F ( x, y)
tlm  2 rw2  x 2
F ( x, y)  2
rw2  x 2
0
f r, y dz
rw2  x 2
f(r,y)
アーベル変換
rw
F ( x, y)  2 f ( x, y)
x
rw
y
rdr
r 2  x2
逆アーベル変換
Neutron beam
f (r , y ) 
1


rw
r
dF( x, y)
dx
dx
x2  r 2
x
r
z
F(x,y)
ボイド率の測定
アーベル変換
rw2  x 2
f (r , y ) 
1


dF( x, y)
dx
rw
r
dx
f(r,y)
x2  r 2
rw
x
y
F ( xm1 , y)  F ( xm1 , y)
dF( x, y)

dx m
2x
dF( x, y )
dx
1
x r
2
2
F(x,y)
r
z
Neutron beam
 g (r , y )
h
f (r, y)  g (r, y)  4 g (r  (2m  1)h, y)  2 g (r  2mh, y)  g (rw , y)
3
m
m1

h  xm  xm1
ボイド率の測定
0.008
0.008
0.006
0.006
0.004
0.004


Abel変換
0.002
0
0
0.002
0.5
1
r [mm]
q=1.1[MW/m2]
1.5
0
0
0.5
1
r [mm]
q=1.6[MW/m2]
1.5
結論
・内径5[mm]試験部においては、表面沸騰域の表面粗さに加えて、
ネットベーパー発生点を与えることで圧力損失のモデリングを
行うことができた
・中性子ラジオグラフィーにより管内の流れ方向,半径方向の
ボイド率を計測することができた.