TFコイルの変形の計算

Short Report 2003/2/21 A.Ejiri
TFコイルの変形と強度計算
Univ. Tokyo
TST-2
計算条件(前回までと異なる部分)
TFコイル電流を25kA、OHコイル電流を25kAとし、他のコイル
は考慮しない。
コイルのCS側は固定、外側赤道面は、下側コイルに対称性を
もって固定される。
TFコイルの断面形状の変化(4種類)を考慮した。
今までは、TFコイル平面内で考えていたが3次元で変形を解
いた。特にトロイダル方向(Y方向)の転倒力について検討する。
コイル支持要素として、R=0.28m(FRP接続部), R=0.8m
(ABS+SUS円弧)を考慮し、それぞれを3次元のばねとした。
座標系と支持
ばね定数(の逆数)
FRP円弧/TF接続部 (寄与の大きな部分)
トロイダル方向
をYとする。 FRP
1.0
R方向:5x10-8 m/N (FRP)
TF接続部
s=0
Z方向:2x10-6 m/N (FRP)
Y方向:6x10-7 m/N (傘型SUS円筒)
TF Coil
ABS
0.8
Z [m]
SUS円弧
0.6
ABS/SUS円弧
R方向:1x10-7 m/N (SUS円弧)
0.4
Z方向:4x10-6 m/N (ABS)
0.2
Y方向:4x10-7 m/N (ABS)
コイルに沿う
数字が大きいほどやわらかい。
座標をs
s=1.51
0.0
0.0
0.2
0.4 0.6
R [m]
0.8
1.0
トロイダルコイルの変形
CSに近い部分のコイル断面の形状
を現実に近いものにした。その結果、
この部分の変形が変わった。
0.5mm
Y[m]
FRPとABSがコイルを支持するので、
RZ平面内の変形は以前よりもやや 前回より柔ら
かくなった。
複雑。
Y方向(トロイダル方向)の転倒力を
FRPとABSが支持する
前回より硬く
なった。
FRP部にかかる力 はTF1本につき
Z[m]
約400N、一方ABS部にかかる力 は
約200N。転倒力はこの2つとTFコイ
ル自身で支持している。
2.5mm
R [m]
モーメントと最大応力
左図はY軸周りの曲げモーメント、導体に平行な軸の周りのねじれモーメント、
これらに垂直なモーメント(転倒力によるもの)。右図はこれらに対応する応力
で、これと許容応力(ここでは引っ張り強度を用いる)の比が安全率となる。
赤道面。応力最大50MPa
[Nm
]
[MPa]
コイルが太くなっており、
以前の計算にけらべて
応力が小さくなった。
S
[m]
S
[m]
30MPa
この部分のコイルが細くなっており、応力が大きい。
計算結果のまとめ
支持部の効果を取り入れ3次元での計算をおこなった。
コイルの最大変位は赤道面の約2.5mm。
コイルにかかる最大応力は赤道面で50MPa。
転倒力(トロイダル方向の力)はコイル以外にFRP円弧と
ABSで支持され、全体のモーメントは、この3つで2:4:3の
割合で分担される。FRP円弧、ABSに加わる力はそれぞ
れ、400N, 200N。(前回の安全率評価は400Nを900Nとし
ておこなった。)
転倒力による応力はコイルのジョイント(孫の手型)の細
い部分で最大30MPaとなる。
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計算の限界と今後の課題
Univ. Tokyo
TST-2
 支持部の条件を決める上で、遊び(たとえば、ねじの山と谷の隙間やワッ
シャーの凹凸)があると支持部への加重が小さくなり、コイルへの加重が大
きくなる。転倒力に対しては0.1mm程度、フープ力(RZ平面内の力)に対し
てはさらに小さい量の遊びがあると計算値が変わってくる。
 コイル断面の形状変化や力の空間変化のスケールは断面に対して十分長
いと仮定した計算をしているので、CS付近は誤差が大きいと思われる。
 支持部のばね定数は、各部材の定数を積算したもので、すべての要素が
入っているわけではない。見落としている点がまったくないとはいえない。
 支持部への力がわかったので、これの応力をもとめ、安全率を評価する。
 どこが弱いかを判断して、補強策を検討する。
補強の指針 (結論はまだ)
フープ力に対して
コイルの安全率としては、赤道面が一番危険。なんらかの補強が必要。それ
以外の部分の補強は以下2つの理由で難しい。(1)モーメント、変形が激しく振
動しているので、補強する位置を精度よく決めなければならない。(2)弱い力で
は変位を抑えられないので、硬い支持が必要。
コイルをもっと太いものにするのが確実な補強策。
転倒力
これは、コイル、FRP円弧、ABSで支持されるので、これらのバランスをどう
するかが問題。3つのうちの1つを補強して、その結果それが硬くなると、分担
すべき加重が増えるので、補強の効果が減少する。どれをどのように補強する
かを検討しなければならない。
コイルとしては、TFのジョイント(孫の手)の応力が最大。これをもっと太いも
のにすれば、この部分の応力は改善されるが、コイル側で負担すべき加重は
ふえる。応力は局所的なので、最大応力(安全率)は改善されるだろう。
力の向きが決まっているので、FRP円弧、ABS以外の補強は単純で、有効。
ただし、CSに近いところで補強する必要がある。
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TFコイルの変形と強度計算
Univ. Tokyo
TST-2
計算条件(前回と異なる部分)
TFコイル電流を25kA、OHコイル電流を25kAとし、他のコイル
は考慮しない。
TFコイルの断面形状の変化(4種類)を考慮した。
今までは、TFコイル平面内で考えていたが3次元で変形を解
いた。特にトロイダル方向(Y方向)の転倒力について検討する。
コイルのCS側は転倒力によるねじれのみ考慮、外側赤道面
は、下側コイルに対称性をもって固定される。
コイル支持要素として、R=0.28m(FRP接続部), R=0.8m
(ABS+SUS円弧)を考慮し、それぞれを3次元のばねとした。
CSの転倒力は傘型で支持される。
Structure of TF and its support
FRP
TFJoint(Cu)
TFOuter
TFinCS(Cu)
FRP
Umbrella (SUS)
Electromagnetic Force to a TF coil
3 10
TF Coil
ABS/SUS
ForceR [N/m]
1.0
TFJoint/FRP
s=0
3
TF->TF
0 10
Hoop force
OH->TF
0
0.5
3
-3 10
3
8 10
0.0
Forcet [N/m]
Z [m]
TF->TF
s=1.51
0 10
OH->TF
0
Toppling
force
3
-8 10
4
2 10
-1.0
0.0
ForceZ [N/m]
-0.5
0 10
TF->TF
-2 10
0.2
0.4
0.6
X [m]
0.8
1.0
OH->TF
0
Hoop force
4
0.0
1.0
2.0
s [m]
3.0
4.0
5.0
Calculation of the displacement
Y:toroidal
direction
-kD
Coil elements are treated as
a slender beam with
rectangular cross sections
TF Joint/FRP
Upper part is calculated (red
part in the left figure)
1.0
TF Coil
ABS/SUS
0.8
Z [m]
-kD
0.6
0.4
-kD
Spring connections at CS
Top, TF joint/FRP and
ABS/SUS.
0.2
rigid
s=0
0.0
0.0
0.2
s=2.5
0.4 0.6
R [m]
0.8
Fixed rigid boundary at the
left bottom, symmetric
connection to the lower part at
the equator
1.0
s:along the coil
Fz,Fy,My from lower part
Displacement of the coil
500N
Y方向(トロイダル方向)の転倒力を
FRPとABSとCS上部(傘型)が支持
する。
FRP部にかかる力 はTF1本につき
約500N、一方ABS部にかかる力 は
約150N。 CS上部(傘型)にかかる力
は約1500N。
150N
Y[m]
0.1mm
1500N
0.3mm
Z[m]
4mm
Y[m]
R [m]
Moment and vending stress
転倒力によるZ軸周りのモーメン
トは3カ所で支えられている。
フープ力による応力が最大と
なるのは赤道面。転倒力によ
るモーメントが最大となるの
は、Joint部分 60MPa at the equator
due to the hoop force.
ABS/SUS
[Nm
]
[MPa]
TF joint/FRP
CS Top
S
[m]
S
15MPa near the TF[m]
Joint
due to the toppling force
Margin of safety ratio
+2.4kNm Toppling
1.7 for SUS M8 Shear
1 for FRP Comp.
2kN/TF Hoop
40 for SUS M8 Tensile
FRP
TFJoint(Cu)
TFOuter
15MPa Vending
13 for Joint
TFinCS(Cu)
FRP
Umbrella (SUS)
+3.4kNm Toppling
6 for SUS Vending
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対策案ほか
Univ. Tokyo
TST-2
PPPLのエンジニアなどの話
銅であれば150MPaまでOK。(徐々に変形はするが)
繰り返し負荷、絶縁の対策は難しい。
TST-2で音がするのは、おかしい。調べた方がよい。
強度計算の結果
上述のように銅の許容応力を認めれば、銅コイル自身は強度的
に十分。転倒力による、CS上下端のボルト接続は強度に余裕がな
く問題。 傘型への接続を緩くして、CS上下端が動くようにするとボ
ルトへの応力は軽減される。TFJointをもっと太くすると、多少は軽減
されるが、上記に比べれば効果は小さい。
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今後の課題
Univ. Tokyo
TST-2
PF1の効果の計算
振動検出の準備(レーザー距離センサー)
振動は多分、TFコイルの赤道面を押さえれ
ばよい? 補強?クッション?
TFコイルのボルト接続の繰り返し荷重によ
るゆるみの検討、対策
TFコイル温度上昇によるひずみの検討
CS上下端のボルト接続の対策
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TFコイルの変形と強度計算3
Univ. Tokyo
TST-2
計算条件
TFコイル電流を25kA、OHコイル電流を下記の3つの場合を
計算した。
OH(25kA)
OH(25kA) +PF1(6x25kA)
OH(25kA) +PF1(6x25kA) +PF2(6x4.2kA)
3番目のパターンは、Null点の面積がかなり広い場合。ただし、
転倒力は2番目も3番目もほぼ同じなので、3番目の変位、強度
計算は行わなかった。
Electromagnetic Force to a TF coil
TFJoint/FRP
異なるコイルの組み
合わせでの転倒力
1.0
s=0.96
TF Coil
ABS/SUS
2 10
0.6
Forcet [N/m]
Z [m]
0.8
s=1.86
0.4
0.2
0.0
0.0
CS
4
OH
0 10
0
OH+PF1(6)
s=0
0.2
0.4 0.6
R [m]
0.8
1.0
-2 10
4
0.0
0.5
1.0
s [m]
1.5
PF1により、CS側の転倒力はあまり変わらないが、
CSからJointまでの転倒力が大きくなる。
2.0
Force to the coil
場所・通電
OH
OH+PF1
CSトップ
1500N
800N
TF Joint
480N
620N
ABS
150N
120N
480N
150N
Y[m]
0.1mm
1500N
R [m]
Margin of safety ratio
+1.2kNm Toppling
3.5 for SUS M8 Shear
4 for FRP Comp.
+2.4kNm Toppling
1.7 for SUS M8 Shear
2 for FRP Comp.
赤字:OH(以前)
青字:OH+PF1(今
回)
2kN/TF Hoop
40 for SUS M8 Tensile
FRP
18MPa Vending
TFJoint(Cu)
TFOuter
TFinCS(Cu)
11 for Joint
22MPa Vending
9 for Joint
FRP
+4.2kNm Toppling
Umbrella (SUS) 5 for SUS Vending
+3.4kNm Toppling
6 for SUS Vending
Short Report 2003/2/21 A.Ejiri
結論
Univ. Tokyo
TST-2
• PF1を通電することによりCS側の転倒力はほとんど変化
しないが、外側の転倒力が増える。これらの転倒力は逆
向きなので、コイルを通じてCS側の転倒力は支えられる。
その結果、CS上下端のねじれ(トルク)は約半分になり、
SUSのM8ボルト安全率が1.7から3.5になる。(前回FRP
の圧壊の安全率を1と評価したが、圧縮強度は引っ張り
強度の2倍なので、安全率は2倍になる。)
• 外側の転倒力が増えたので、FRP/Joint部への荷重が
500Nから620Nへ増えた。そのため傘型のSUSの耳の安
全率が6から5に減少する。
• コイル(Joint)の曲げ応力が増し、安全率は、11から9に
減る。
CSの補強策の検討
これまでの検討でもっとも安全率の低いところはCSの上下端のM8ボルトである。この
安全率を高くするためにはCSの転倒力(トルク)を別に支持してやればよい。
そこで、下記の補強棒でFRP円板から支えてやることを考える。これにより中心のFRP
円筒への荷重を減らすことができれば、SUSM8への剪断力を減らせると期待される。
構造の堅さ(断面2次モーメント)はサイズの4乗に比例する。同程度の堅さを持つため
には、棒の断面は40mm角程度でなければならない。このとき、FRP円筒と補強棒の負
担すべき荷重は同程度になり、M8ボルトの安全率は2倍程度になる。一方TFコイルの
間隔は、CSの接続部で25mm程度なので、十分な大きさの補強棒を入れることは難し
いと思われる。また、もっとRの大きいところだと変位の向きが逆になり、補強にはなら
ない。以上より、補強棒による補強は有効ではないと思われる。
補強棒
FRP
TFJoint(Cu)
TFOuter
TFinCS(Cu)
FRP