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電波銀河 Fornax A の東ローブ
のEnergetics の XMM-Newton
による調査
磯部直樹(ISAS/JAXA→理化学研究所)
田代信, 伊藤光一, 阿部圭一, 洪秀徴(埼玉大学)
牧島一夫(東京大学), 金田英裕(ISAS/JAXA),
伊予本直子(NASA/GSFC) etc.
2005年3月28日
日本天文学会 春季年会 (明星大学)
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電波ローブからのX線
電波 (等高線) : シンクロトロン放
射
X線 (カラー) : 逆コンプトン放射
ローブ中のエネルギー密度
磁場のエネルギー密度 ue [erg cm-3]
Chandra による電波銀河3C 452のX線画像
(Isobe et al. 2002)
電子のエネルギー密度
ue [erg cm-3]
「あすか」による Fornax A の観測から始まった
(Kaneda et al. 1995)
2005年3月28日
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電波銀河 Fornax A
1.5 GHzの電波画像(Fomalont et al. 1989)
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20 arcmin
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NGC 1316
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2005年3月28日
南天で4番目に明るい電波源
S (2.7 GHz) = 98 ±1.5 Jy
距離 18.6 Mpc (Madore et al. 1999)
(赤方偏移 z = 0.005871)
典型的なローブを持つ
「あすか」による観測で、ローブ
からの逆コンプトンX線が、世界
で始めて検出された (Kaneda
et al. 1995)
中心核の活動は非常に弱い
(Iyomoto et al. 1998)
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XMM-Newtonによる観測
XMM-Newtonの概念図
X線望遠鏡
MOS & PN
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2種類のX線CCDカメラ : MOS, PN
巨大な有効面積 (「あすか」の数倍)
適度な空間分解能 (15 arcsec)
広いエネルギーバンド (0.1 – 10 keV)
適度なエネルギー分解能 (150 eV)
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XMM-Newtonの視野
東ローブの観測を
60 ksec 行った。
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XMM-NewtonによるX線画像

観測時間の大半は、
バックグラウンドが高い。
有効な、観測時間は、
MOS : 27 ksec
PN : 0 ksec
NGC 1316
10 arcmin
視野内から、
59個のX線天源を検出
MOSによるFornax A のX線画像
( 0.3 – 10 keV, BGDを含む)
2005年3月28日
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XMM-NewtonによるX線画像
MOSのBGDを引いたX線画像
(30 arcsecでスムージング)


10 arcmin (54 kpc)
2005年3月28日
「あすか」で発見した、
ローブからの広がった
X線を確認した。
母銀河からの熱的放射
(kT~0.8 keV) も検出
した。
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東ローブのX線スペクトル
検出器BGDが
高いので除去
MOSのスペクトル
 aX = 0.62 +- 0.24
0.15
+18
 S1keV = 86 -9 nJy
ASCAのスペクトル
(Kaneda et al., 1995)
 aX = 0.7 ± 0.9
 S1keV
= 110 ± 50 nJy
電波のスペクトル
 aR = 0.9 ± 0.2
かなりハードなスペクトルが得られた。
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東ローブの多波長スペクトル
aR = aX
aR = 0.68 ± 0.05
逆コンプトンX線
と考えて
間違いない
MOSのスペクトル
+ 0.24
 aX = 0.62 - 0.15
 S1keV = 86+18
-9 nJy
29.9 MHz
100 MHz : Finlay & Jones (1973)
408 MHz : Robertoson (1973)
843 MHz : Jones & McAdam
(1992)
1.4 GHz : Ekers et al (1983)
2.7 GHz : Ekers (1969)
5.0 GHz : Kuhr et al. (1981)
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Fornax A ローブのEnergetics
3 mG
0.3 mG
シンクロトン電波 : SR ∝ ue um V
逆コンプトンX線 : SX ∝ ue uCMB V
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um ∝ SR / SX
ue ∝ SX
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まとめ
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XMM-Newtonで電波銀河Fornax Aの東ローブの観測を行い、「あす
か」で発見した広がったX線を確認した。
aX = 0.62 - 0.15 + 0.24, S1keV = 86 +8 -9 nJy
電波のデータを徹底的に調査し、Fornax Aの詳細な電波スペクトルを
求めた (30MHz ~ 5 GHz)。
aR = 0.68 ± 0.05
「あすか」の結果から結論したように、東ローブからのX線は逆コンプトン
X線と考えて問題なく説明ができる。
東ローブ中の電子と磁場のエネルギー密度を求め、他の電波銀河の
ローブと同様に、電子優勢であることがわかった。
電子 ue = (3.0 ± 0.3) x 10-13 erg cm-3
磁場 um = (6.0 ± 0.6) x 10-14 erg cm-3
新たに求めた電波スペクトルをもとに、西ローブ中の電子と磁場のエネ
ルギー密度の再評価も行った。東西のローブは良く似たエネルギー密度
を持つことがわかった。
電子 ue = (3.5 ± 0.4) x 10-13 erg cm-3
磁場 um = (5.9 ± 0.7) x 10-14 erg cm-3
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ローブの観測量と物理量
観測量
シンクロトロン電波の強度 SR Jy @ fR Hz
逆コンプトン X線強度
SX Jy @ fX Hz ( ex = fX / 2.42x1017 keV )
スペクトル指数
a ( aR =aX )
赤方偏移
z
体積
V cm3
物理量 (種光子 が CMB とすると)
磁場
B (1+a) ∝ (SR / SX) (fR / fX)a (1+z)a+3
磁場のエネルギー密度
um = B2 / 8p
電子の数密度 N(g) ∝ (SX / fX 0.5) g -(1+2a) V-1 (1+z)2
ローレンツ因子 g = 1070 ex0.5 =104 (fR /120 MHz)0.5 (B/1mG) -0.5
電子のエネルギー密度
ue = ∫(mc2g) N(g) dg
(観測可能なX線/電波に対応して g = 103 ~ 105 とする。)
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Fornax A ローブのEnergetics
「あすか」
XMM-Newton
(Kaneda et al. 1995)
半径
SR
aR
S1keV
8
31
0.9 ± 0.2
110 ± 50
B
um
ue
ue/um
1.7 ± 0.5
1.2 ± 0.7
4.2 ± 1.9
3.5 ± 3.0
2005年3月28日
0.9 ± 0.2
2.3 ± 0.2
2.2 ± 0.2
1.3 ± 0.2
0.6 ± 0.1
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10
44 ±5.9
0.68 ± 0.05
86 – 9 + 18
arcmin
1.2 ± 0.1
0.6 ± 0.1
3.0 ± 0.3
5.0 ± 1.1
mG
Jy
nJy
10-13 erg cm-3
10-13 erg cm-3
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