福祉のまちづくり工学 第4回 前回のおさらい 障害者等の種類 障壁(バリアー) 福祉のまちづくりのあゆみ ・障害当事者による「外に出よう運動」 1960年代 ・国連国際障害者年、ノーマライゼーションの進展 1980年代 ・バリアフリー施策開始、要綱・条例 1980年代 ・都道府県の福祉のまちづくり条例・ハートビル法 1990年代 ・交通バリアフリー法 2000年 ・バリアフリー新法・ユニバーサルデザイン潮流 2006年 今週の内容 国際的TOPICS 福祉のまちづくりの概念 交通バリアフリー法とバリアフリー新 法 国際的TOPICS アメリカ ・ 1970年代 道路法、都市大量輸送法など ・ 1990年 ADA法で集大成 欧州 ・ 北欧のノーマライゼーション ・ 英・仏の取組 ・ ECMTで協議 福祉のまちづくり、ユニバーサルデザイ ン 概念と実践 ユニバーサルデザイン・ユニバー サルまちづくりへの発展 ・手順、内容、評価 ・対象拡大 知的・精神・発達 ・レベルアップ 技術 ・・・・ □バリアーと福祉のまちづくり 屋内外の施設と空間のバリアフリー 福祉サービス(各種サービス,輸送サービス等) 情報のバリアフリー 「心のバリアフリー」 制度・システム・経済的バリアフリー □バリアーフリーの背景 当事者自立,権利擁護,Normalization 活性ある高齢社会 国際化・ボーダーレス・ハイモビリテー社会 災害への備え 新しい福祉社会、生活者のまちづくり 地域・地方の時代 対象者 多数者、平均値、強者 ↓ 分布、分散、少数者、弱者 へ □ユニバーサルデザイン design for all バリアフリーの発展 あらゆる人・関係者対象: 階層・民族・家族 とくに身体・精神条件 あらゆる場面: 行為・屋内・屋外 あらゆる時: 時間・天候・ あらゆる要因: 人・環境・生態 あらゆる方法: 工夫・技術・行政・社会システム 低コスト: 生産・流通・消費 □福祉とまちづくりの新たな潮流 バリアフリー ・ユニバーサルデザイン ユニバーサル社会づくり →住民・当事者の参加・参画 新しい福祉-地域が支える福祉 →地域福祉・当事者の自立 ・ □プロセス 中央集権、「きまり」、基準、資源投 入重視、ハード重視 ↓ 地方の時代、自己決定、プロセス・ アウトカム重視、ソフト重視 まちづくりとユニバーサルデザイン まち(公共財)の必要要件→ だれもが使えること が必要条件 生活権・交通権の保証 共存・共生の社会づくり → みんなでつくるま ち・市民参画のまちづくり・環境にやさしいまちづ くり 永続性(サステイナビリティー)のあるまち 情報・コミュニケーションの例 すべての場面で視覚障害者(全盲・弱視)に情報(音、視 覚・・)が確保されること + 健常者にも役立つこと ←スペシャルとしない □情報システム: 事象発生、収集、処理、提供 □目的: 案内、警告、一般情報(TV等)、災害時 □五感: 視覚・聴覚・触覚等 □人と場面の多様性 ユニバーサルデザイン →まちづくり(建築、交通、造園、等) における音響分野の 役割 音を例として システム: 内容(コンテンツ)、方法、音の量と質、評価法 場面事例 文、音記号(サイン)、事象音、属性音、・・ [電車・バス] 案内放送、電車・バス到着 [ターミナル(駅、空港等)] 券売、行先情報、誘導、警告(駅、 ホーム、トイレ) [交差点]信号、無信号 [道路] 地図案内(音声、点字) [建築物] 誘導、警告、説明 [観光・鑑賞] 説明、効果 [非常時] 避難誘導、警告、発信、案内、TV,ラジオ [ITS・ユビキタス] 内容、方法 交通バリアフリー法+ハートビ ル法 + Others →バリアフリー新法 交通バリアフリー法 義務化-規制行政 基本構想づくり- 計画行政 交通バリアフリー法(2000) 基本構想と事業 移動円滑化基本構想 (市町村 村) ) ・ 公共交通特定事業(公共交通事業者) 新設:適合と維持義務 既設:適合努力 車両等の措置も含む ・道路特定事業(道路管理者) ・交通安全特定事業(公安委員会) ・助成は起債が可能 ・公益法人による情報・資金・調査研究 交通バリアフリー法 の成果 バリアフリー法成功のために 高い志○ 規模の大きい当事者・市民参加◎ 部局連携 適切な体制○ 高い技術レベル、コンサルタント、ガイドライン△ 理念・目的・目標・ニーズ・計画。設計・評価・維持管理 (PDCA)の明確化△ 活発な協議会◎ 基本構想づくりが故に? 漏れの少ない面的・システム的整備 大規模な当事者参加・参画、丁寧で細かい問題 チェック 縦割りを乗り越え分野連携 当事者との関係強化 多数の人の知恵 自治体内の理解強化 継続改善の保証 市民の理解、知識普及 ・・・ これまでの主な課題 ■建築物 ■調査とデータ ■公園・海岸・河川・ ■条例 駐車場・・ ■参加型施設・設計参加 ■民間施設 ■ノンステップバス ■構想未着手 ■事業連携 ■5000人以下 ■医療・福祉連携 ■継続 ■全市構想 ■駐車・駐輪 ■対象者拡大 ■財源 ■準特定経路 ■評価方法 ■ユニバーサルデザイン 主なトピックスー ■ホームドア問題 ■ホーム段差・ギャップ ■エスカレータの案内 ■LRT、福祉タクシー ■長期構想 ■地下街 ■フラッシング ■歩行者ITS ■災害時 ■タクシー ■短段差 ■サイン ■観光地・史跡 ■照明 ■治安・防犯 ■景観 ■歩道 ■交差点・信号 等 □移動円滑化基本構想策定の成果(1) 一般的成果 ・バリアフリーが促進され、障害者の外出が増 えた ・参加型まちづくりが促進された ・市民・行政・事業者・当事者の「レベル」が あがった ・先進事例が輩出した 関西の参加型交通バリアフリーの事例(2) 1.神戸中突堤船客ターミナル: 多数の障害者が参加しユニバーサルデザイン 2.伊丹市阪急伊丹駅および駅広: 多数の障害者が参加しユニバーサルデザイン 3.姫路市: 姫路市交通バリアフリー調査会議を組織し点検・提 案・イラスト報告書・ビデオ 4. 豊中市: 歩行者ネットワーク、工事マニュアル及び案内システ ム、広報紙、千里中央、空港等 関西の参加型交通バリアフリーの事例(3) 5. 柏原市 国道長区間バリアフリー化、学童学習読本、 バリアフリーネットワーク 6. 守山市 ユニバーサルデザインまちづくり研究会(継続組織)、 縁石の新開発、まちづくり連動 7. 吹田市 規模の大きい市民参加、自由に参加できる交通バリ アフリー化検討部会 参加型交通バリアフリーの事例と成果(4) 8.多伎町(島根県) 274人/日の駅の基本構想、多数の町民参加 と点検 9.大阪市 大都市の工夫、サイン計画、総合学習、大規 模駅 10.国土交通省近畿整備局バリアフリー体験 コース 参加型交通バリアフリーの事例と成果(5) 11.高槻市基本構想 継続改善システム、案内板新開発、まちづくりと連動 12.芦屋市基本構想(新法前倒し) 公園、公共建築物(国、県、市)も基本構想に 13.富田林市基本構想(新法前倒し) 民間建築物(スーパーダイエー)も基本構想に、伝統的建築物保存地区 14.枚方市 歴史街道、H20.新法対応で再スタート ほか多数 事例本の紹介 「究極のバリアフリー駅をめざして-阪急伊丹駅における大震災から再 建までの軌跡-」、交通エコロジー・モビリティー財団、監修国土交通省、 大成出版社、2001 「参加型福祉の交通まちづくり」、(社)土木学会土木計画学研究委員 会、交通エコロジー・モビリティー財団・(財)国土技術センター、学芸 出版社、2005 「日本の交通バリアフリー」、(社)土木学会土木計画学研究委員会・ (財)災害科学研究所交通まちづくり学研究会、学芸出版社、2008 バリアフリー新法 □バリアフリー新法 ■交通バリアフリー法+ハートビル法+追加 □対象統合・拡大: 基準適合義務・努力義務(重点整備地区基本 構想にも適用): 旅客施設・車両・特別特定建築物 →+道路+路外駐車場+都市公園等 □基本構想を旅客施設を含まないエリアにも □複数管理者の移動円滑化経路協定制度・事業計画認定制度 □住民の作成提案制度 ↑ ■構想促進、縦割りを統合、参加・参画強化、対象拡大、 責務明確化、ガイドラインバージョンアップ 新法の特徴・課題 1 基本構想に建築物が入ったこと ・現地点検 ・協議会委員 ・協議方法 ・継続改善 ・前向き事業者への支援 新法の特徴・課題 2 住民提案制度 ・提案策定方法 ・構想の内容 ・提案組織、提出後のやりとり 新法の特徴・課題 3 継続改善 (PDCA) ・改善組織 ・チェック内容 ・レベルアップ方法 (学習会、討論会、 講演会等) ・提案活動 新法の特徴・課題 4 市全域への拡大 ・方針作成 ・問題地区 ・特定課題 ・討論組織、プロセス 新法の特徴・課題 5 施策の連携・統合 ・地域福祉計画との連動 ・地区交通計画、TDM(交通需要マネージメン ト)、交通規制等交通計画の連動 ・開発計画との連動 ・福祉輸送サービス拡充計画 ・教育の連動 ・医療の連動 ・・・・ ユニバーサルデザイン新法、期待され る効果 1. 対象施設が広がる 2. エリア拡大 → 市全域の戦略 3. 対象者が広がる 4. 基本構想に建築物等も 5. 市民提案 6. 協定制度 → バリアフリーからユニバーサルデザインへ拡大 □福祉の交通まちづくりへ(1) 福祉 +交通+建築+まちづくり ・給付・救済の福祉→地域福祉へ ・パーツ整備→統合的地域力向上まちづ くり 目標 1.高齢者・障害者自立、 2.すべて の人にやさしく安全で活気ある地域、 3. 市民当事者が参加参画したユニバーサルな 地域 アウトカムズ? 福祉の交通まちづくりへ(2) 目標から出発しアウトカムズを点 検するまちづくりと行政 -まち づくりのPDCA 地域福祉を戦略にまちづくりを展 開 ユニバーサルな地域交通づくり 交通バリアフリー法の流れ バス・タクシー規制緩和の流れ TDM ↓ 競争とシビルミニマム 「なんでもする」の施策 交通計画・交通対策への参加 住民・企業・ボランティア・NPO・事業者・自治体の知恵 と連携 →福祉移送サービス、過疎地域移送サービ スの立ち上げ □バリアフリーと地方 国家基準とローカル基準 バリアフリー法と福祉のまちづくり条例 新しい福祉の「まちづくり条例」の役割 バリアフリーにはナショナルスタンダードがありえ ても、ユニバーサルデザインは本質的に地方が 主体。 求められる行政の姿勢 21世紀の社会基盤構築 ○ 地方の時代の新行政 ○ 地域活性化と連動 ○ 交通サービスを含めた新機軸 △ 参加型まちづくり・むらづくり ◎ 数値規定→性能・機能規定 × 縦割り打破行政 △
© Copyright 2024 ExpyDoc