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とかち禁煙講演会
(第5回北海道禁煙指導研究会)
2003年10月18日、帯広市とかちプラザ
十勝における学校の禁煙対策
池田町立病院小児科
原田 正平
日本禁煙推進医師歯科医師連盟
日本小児保健協会学校保健委員会
S.HARADA(2003.10.18)十勝における学校の禁煙対策
はじめに
日本は法治国家ですが、学校での法律の遵守状況
はどうなのでしょう。なんの罰則も決められていない
のに、100%近く強制されているのは「国旗・国歌法」
であり、あまり守られてこなかったのは明治33年
(1900年)に施行された「未成年者喫煙禁止法」でし
たが、2003年5月、後者に「健康増進法」が加えられ
ました。
健康増進法が施行された前後に、十勝管内20市町
村の教育委員会での学校の禁煙対策について調査
する機会がありましたので、その結果を報告させて頂
きます。
また、日本小児保健学会/学校保健委員会の一員
として、全国の都道府県・政令指定都市の60教育委
員会での「公立学校の無煙化の状況に関する調査」
も行いましたので、その結果もご紹介します。
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未成年者のこの30日の喫煙日数
「未成年者の喫煙行動に関する全国調査報告書」
蓑輪眞澄ら1996
S.HARADA(2003.10.18)十勝における学校の禁煙対策
学校の禁煙対策(無煙化)に関する法律・通達(1)
未成年者喫煙禁止法明治33年(1900年)
第1条「満二十年に至らざる者は煙草を喫す
ることを得ず」
第3条「未成年者に対し親権を行う者情を知
りて其の喫煙を制止せざるときは科料に処す
二 親権を行う者に代わりて未成年者を監督
する者亦前項に依りて処断す」
個人的解釈:未成年者を保護する立場にある
者には、より積極的な「禁煙活動」が義務づけ
られていると読み取ることができます。
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未成年者喫煙禁止法
明治33年(1900年)
根本正(ねもとしょう)
1851-1933
茨城県選出の衆議院議員
未成年の飲酒を禁ずる法律をつくった。
未成年の喫煙を禁ずる法律をつくった。
義務教育を無料にする法律をつくった。
ヘボン式ローマ字の普及を国会で説いた。
南米移民などの海外調査・視察。
http://www.nurs.or.jp/~nemoto/nemosho/
nemosho_new.html
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学校の禁煙対策(無煙化)に関する法律・通達(2)
厚生省(昭和三九・一・二五児発六〇)1964年
「児童の喫煙禁止に関する啓発指導の強化について」
標記の件に関しては、かねて、児童健全教育の一環と
して、種々ご配慮を煩わしているところであるが、最近、
児童の喫煙する者の増加する傾向がみられるのは、ま
ことに憂慮すべきことである。・・・米国厚生教育省公衆
衛生院は「紙巻煙草は肺ガンその他生命にかかわる病
気の原因となり、健康に有害である」旨の発表を行ない、
これが全世界に報道され改めてこの問題の有害性が
再認識されたところである。
この機会に、あらためて、家庭および地域社会の人々
の関心をかため・・・
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学校の禁煙対策(無煙化)に関する法律・通達(3)
「喫煙の健康に及ぼす害について(昭和39年)」
「喫煙場所の制限について(昭和53年)」
「喫煙と健康の問題に関する衛生教育について
(昭和55年)」
「医療機関におけるたばこの煙に関する配慮につ
いて(昭和59年)」
「喫煙対策の推進について(平成3年)」
「喫煙対策の推進について(平成7年)」
「公共の場所における分煙のあり方について(平
成8年)」
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学校の禁煙対策(無煙化)に関する法律・通達(4)
文部省体育局学校健康教育課長
平成7年5月25日
喫煙防止教育等の推進について(通知)
・・・「たばこ行動計画検討会報告書」においては、
未成年者の喫煙を防止するための教育を学校、
地域、家庭において積極的に推進すべきこと、
学校等の公共の場においては、利用者に対する
教育上の格段の配慮が必要とされることから、
禁煙原則に立脚した対策を確立すべきことな
ど・・・
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種々の法律、通達にも
関わらず、若年者の喫
煙率は最近上昇傾向
にある。特に女性
↓
未成年者の喫煙率の
上昇が原因
(厚生労働省「国民栄養の現
状」平成13年3月)
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学校の禁煙対策(無煙化)に関する法律・通達(5)
健康増進法第25条「学校、体育館、病院、劇場、観覧
場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲
食店その他多数の者が利用する施設を管理する者は、
これらを利用する者について、受動喫煙を防止するた
めに必要な措置を講ずるよう努めなければならない」
対象となった施設の筆頭にあげられている「学校」に勤
務する方達が、仮にこの法律の遵守に消極的であった
り、ましてや非協力的であったりするのは、次の世代に
社会のあり方を教育し、法律の遵守を指導していく立場
として、あり得ないことと言えるでしょう。
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学校の無煙化の日本における歴史と現状(1)
学習指導要領;「体育」「保健体育」の授業
学校自体としての取り組み、あるいは子どもの最も身
近な大人としての教職員が、自らモデルとなるという
取り組みは実現せず。
教職員の喫煙率の高さ(1995年調査)
保健体育担当者
男性55.0%、女性 8.0%
その他の教科担当 男性41.0%、女性 4.0%
一般成人
男性52.7%、女性10.6%
医師
男性27.1%、女性 6.8%
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学校の無煙化の日本における歴史と現状(2)
日本小児科学会(1999年12月)
小児期からの喫煙防止に関する提言
1.小児科医の喫煙防止活動
2.喫煙防止教育の実施
・・・同時に教職員など学校関係者自身も禁煙
に努める必要がある
3.たばこの自動販売機の規制
4.たばこの広告の禁止
5.テレビ放送中などの喫煙場面の禁止
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学校の無煙化の日本における歴史と現状(3)
青少年の喫煙防止に関する提言
日本学校保健学会(2001年11月)
学校をタバコのない場所に!
1.学校・教育行政機関に対して
「学校のヘルスプロモーション」の一環として、学校全
体を禁煙とする
2.教職員に対して
自らが、タバコを吸わないという望ましいモデルを児
童生徒に示す
3.地方・国に対して
タバコ広告の禁止、テレビでの喫煙場面の規制、パッ
ケージ警告表示の強化、タバコ自動販売機の禁止、タ
バコ増税など
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学校の無煙化の日本における歴史と現状(4)
学校長の喫煙に関する意識と教職員の喫煙率調査
福島県芦ノ牧温泉病院院長 佐原正起
平成14年5~6月
校長の喫煙態度
と学校の禁煙対策
非喫煙者
23
禁煙
(15%)
非喫煙者
67
分煙
(45%)
喫煙者
58
分煙
(39%)
男性教諭
喫煙率
29%
女性教諭
喫煙率
1.1%
43%
1.6%
59%
0%
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学校の無煙化の日本における歴史と現状(5)
2001年12月1日、香川県土庄町立土庄小が敷地内
全面禁煙に踏み切る。
2002年4月、和歌山県での
全公立学校の敷地内全面禁煙。
1)喫煙防止・薬物乱用教育を進める
2)たばこを吸わない人の健康を守る
3)喫煙者の健康リスクを減らす
「次の世代をになう子どもたちを健康に育てる」
=「無煙世代」を育てる=私たちの社会の未来
S.HARADA(2003.10.18)十勝における学校の禁煙対策
学校の無煙化の日本における歴史と現状(6)
和歌山県の全公立校は全面
禁煙エリア
2002年5月26日 読売新聞
唐突に禁煙化が実施されたのではない。
97年の職員室の喫煙調査が発端になっ
て分煙化を推進。県立学校の分煙化率が
90%近くに達した。・・・
一方、国の健康づくりプラン「健康日本
21」に基づく県計画づくりでは、国が断念
した喫煙率半減の目標を県独自で盛り込
んだ。昨年度末作成した県たばこ対策指
針には、病院と学校の禁煙化を明記。禁
煙指導者の養成、禁煙外来の紹介といっ
た支援体制も整えた。
最後の決め手は、教育長の決断。「思い
切った施策には、トップダウンも必要」と県
教育長の小関洋治さん。
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学校の無煙化の日本における歴史と現状(7)
2003年7~8月;全国の60都道府県・政令指定都市
教育委員会へのアンケート調査
日本小児保健協会学校保健委員会
59教育委員会から回答
和歌山県、福井県、仙台市、広島市(学校内禁煙実施)
茨城県、滋賀県(予定)
三重県、徳島県、福岡県、沖縄県、札幌市、川崎市、京
都市、神戸市、福岡市(検討中)
都道府県立高校での学校内禁煙;青森県、東京都、岐
阜県、愛媛県、佐賀県、愛知県(予定)
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学校の無煙化の日本における歴史と現状(8)
2003年7~8月;全国の60都道府県・政令指定都市
教育委員会へのアンケート調査
小学校9,641校;学校内禁煙25.9%
建物内禁煙1,743校、敷地内禁煙751校
中学校4,386校;学校内禁煙19.5%
建物内禁煙611校、敷地内禁煙244校
高等学校2,572校;学校内禁煙10.1%
建物以内禁煙168校、敷地内禁煙91校
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十勝における学校の禁煙対策(1)
2003年4月調査
対象:十勝管内20市町村の教育委員会
1)各市町村内の公立校での敷地内禁煙状況
2)各教育委員会での受動喫煙防止対策
3)北海道教育委員会よりの健康増進法に関連
した通達の有無の調査
20教育委員会中18教育委員会から回答
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十勝における学校の禁煙対策(2)
2003年4月調査:十勝管内20市町村教育委員会
18市町村から回答
1)各市町村内の公立校での敷地内禁煙状況
敷地内全面禁煙の公立校は「ゼロ」
2)各教育委員会での受動喫煙防止対策
17教育委員会で「各校まかせ」
3)北海道教育委員会よりの健康増進法に関連
した通達の有無の調査・・・通達は無し
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十勝における学校の禁煙対策(3)
進まぬ完全禁煙、道内の公立学校 たばこの害教える
所なのに 2003/05/12(北海道新聞夕刊)
他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙防止を義務づけた健康増進法の施行を背景に、全国の教育現場では、
学校内を完全禁煙とする動きが広まっている。しかし道内の学校はほとんどが分煙どまりだ。市民団体などから
は「生徒に喫煙防止を指導する場所なのに、道内は取り組みが遅れている」という指摘が出ている。
学校の完全禁煙は、和歌山県教委が全国に先駆け二○○二年度から、県内の全公立校で実施に踏み切った。
今年三月には茨城県教委も実施を決定。栃木、静岡、埼玉、鹿児島などの各県内の一部市町村にも、こうした動
きが広がっている。
■各校の判断 / これに対して道内は、渡島管内七飯町教委が来年一月から、全小中学校を禁煙にする予定
だが、こうした取り組みは少数派だ。道教委は道立校に分煙の徹底を指導しているが、全面禁煙については「各
市町村教委の責任で行うこと」との立場だ。札幌、旭川、釧路など多くの市町村教委も各学校の判断に任せてい
る。 札幌のある市立中学は数年前、教員の発案で、職員室の一部をついたてやビニールシートで区切った「喫
煙スペース」を作った。校長は「におい漏れなどの問題は残るが、喫煙で気分転換をはかる教員もいて完全禁煙
は難しいと話す。
■高い喫煙率/北海道の喫煙率の高さが、教育現場の完全禁煙の動きを阻んでいるとの見方もある。日本たば
こ産業(JT)の調査では、昨年の道民の喫煙率は男女とも全国一位。ある中学校長は、学校の完全禁煙が進ま
ない原因に「喫煙に寛大な風土もあるのではないか」と推測する。道で健康増進法を所管する地域保健課も「北
海道は学校数も多く、全道一斉の完全禁煙徹底は簡単ではない」と話す。
日本禁煙推進医師歯科医師連盟の会員で医師の原田正平さん(十勝管内池田町)は「子供の健康や指導の観
点からも、少なくとも学校は禁煙にすべきだ」と指摘し、「教育委員会主導で禁煙を広げてほしい」と注文をつけて
いる。
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十勝における学校の禁煙対策(4)
健康増進法施行後の動き
○池田町の全小中学校が2003年5月1日より
校長会の申し合わせで「建物内禁煙」
○帯広市も10月13日から学校内の禁煙
○北海道内では渡島管内七飯町、旭川市でも
2004年1月より学校内禁煙が予定されている
S.HARADA(2003.10.18)十勝における学校の禁煙対策
S.HARADA(2003.10.18)十勝における学校の禁煙対策
十勝における学校の禁煙対策(5)
2003年10月再調査(十勝管内20市町村)
小学校125校中建物内禁煙
分煙(喫煙室)
不完全分煙
対策無し
中学校 57校中建物内禁煙
分煙(喫煙室)
不完全分煙
対策無し
31校(26) (
33校
12校
8校
18校(15)
15校
2校
1校
)内は帯広市
回答のあった12町村中7町村で「新たな対策」の予定
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とかち帯広空港の
禁煙状況
(2003年10月)
帯広市と関連していて
も対策無し
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