経営学総論第23回講義 2008/06/30 経営学総論 第4のテーマ;企業経営者論 これまでの、① ビデオ学習 ② 企業論③ 組織論 を踏まえて、 松下幸之助および本田宗一郎が経営者として成功した理由を考える 企業論 経営者の 経営実践 組織論 経営者の役割は?? Ⅰ.企業論(資本と労働力の循環など)から 1. 資本と労働力の循環から ①資本と労働力の循環そのもの(復習) 投資家(株主) 株主総会 所有者 取締役 (経営者) 経営者 資本の循環 資本金 商品 生産 商品´ 売上 労働力の循環 労働力 労働契約 労働 賃金 商品 消費 労働力 1. 資本と労働力の循環から ② 労使の相互依存と対立の関係 ◉ 平和的労使関係の醸成 ◉ 労働者にとって、労働は賃金取得の手段 。 労働者が意欲的に働くような工夫が必要。 2. マネジメント・サイクルから 企業の活動が行われるためには、それに先立って 計画 が立てられ、決定されなければならない。そしてそのために は、企業内外の全体状況をよく観察し、理解することが不 可欠である。この see ⇒ plan ⇒ do の繰り返しが マネジメント・サイクルと言われるものである。この過程を主 導するのが経営者である。 3. 経営者の革新機能から 経営者の機能の中で大切なものはその 革新 (innovation イノベーション)機能である。これまでになかっ た、人々に役立つ製品を開発することはプロダクト・イノ ベーション 、これまでの効率を大幅に高める業務執行プ ロセスを開発することは プロセス・イノベーションといわれて いる。 4. 良い企業とは、から 出資者に対しては、利益をあげて 債務を確実に返済し、 また配当を行わなければならない。労働者に対しては、 より快適な 労働条件 や働き甲斐を与えなければな らない。消費者に対してはよりよい商品を 効率的 に 生産して、安く提供しなければならない。また 環境 にも 配慮した活動と商品の提供を行なければならない。これら をバランスよく実現している企業が良き企業である。 Ⅱ.組織論から 1. 組織の3要素 ◉ 組織は ① 相互に意思 を伝達できる人がおり ② それらの人々は貢献意欲 意欲をもって、 ③ 共通目的 の達成を目指すときに誕生する。 ◉ バーナードによる組織の定義 組織とは 意識的に調整 された人間の活動の諸力の システム=人々相互の 協働 である。 経営者は、① 組織の共通目的を創造し、明示し、 ② 組織内の情報伝達(コミュニケーション)を活発 にし、 従業員の高い貢献意欲を創造しなければならない。 Ⅲ 経営者の任務 -マネジメント・サイクルに即して- 取締役 (経営者) 1. see; 全体状況をよく把握する ①経営環境としての社会の動向 ・消費者のニーズ ・技術の動向 ・銀行や投資家の動向 ・原材料調達企業の動向 ・販売店の動向 ・競争企業の動向 ・競争既存商品の動向、労働市場の動き など ②社内の動向 ・売り上げやコスト、利益の動向 ・従業員の貢献意欲 ・社内のコミュニケーションの実態 ・技術や知識の蓄積 2. 経営理念の創造 「理念なき行動は凶器であり、行 動なき理念は無価値である」(本 田宗一郎) ①経営理念とは 経営理念とは、経営者が企業の運営にあたって、企業 の共通目的を明確化し、その目的を実現するために、 その組織が共有すべき価値観(ものの考え方、哲学)を 明文化(文章化)したもの ②その事例 http://www.honda.co.jp/guide/dreams/philosophy/ ②その事例 http://panasonic.co.jp/company/philosophy/principle/ パナソニック株式会社 松下電器の使命とは、生 産・販売活動を通じて社 会生活の改善と向上を図 り、世界文化の進展に寄 与すること―――。綱領 は、松下電器の事業の目 的とその存在の理由を簡 潔に示したものであり、あ らゆる経営活動の根幹を なす、松下電器の「経営 理念」です。 取締役 (経営者) 経営者の任務 3.plan ;計画(事業方針、経営計画)の策定 ◉ 現在の事業をそのまま 継承 していくのか、それとも 新規事業 に乗り出すのか。拡大する場合、それにに 必要な資金を具体的にどのように調達 するのか、など を決定する。 ◉ つまり ① 経営資源の調達と ② 具体的にどのような 商品を ③ どのように生産して、社会に提供していくのか が問われる。その際、これまでにはなかった新機軸を 創造する革新者(イノベーター innovator)としての役割 が必要とされる。 取締役 (経営者) 経営者の任務 4.do 実行の段階で留意すべきこと ①労働者(および関係組織)の安定的貢献意欲の維持 経営者は、労使の対立的関係を緩和し、そこで働く労働 者の安定的な貢献意欲を維持しなければならない。その ためには、労働者に対して、犠牲を上回る程度の経済的 および精神的満足感を与えなければならない。 ②伝達体系の形成とその活用 経営理念や事業方針を労働者に伝え、また事業の円滑 な執行のため、企業における情報の多面的な伝達体系 を形成し、また活用しなければならない。そのため、最新の IT(情報技術)を活用する。 取締役 (経営者) 経営者の任務 5.企業経営の本質をどう捉えるか ◉ 企業経営は、これまで何度も述べてきたように、 see - plan - do のマネジメント・サイクルを繰り返すことに よって行われる。それによって実現されるものは何か? ◉ それは、社会が必要とする商品(物やサービス)を効率 よく提供することによって、社会に貢献することである。 つまり企業経営の本質は社会への貢献である。 ◉ 貢献の分野として、物を生産したり、運搬したり、また 販売したり、様々なものがある。経営者は、それぞれ得意 な事業分野を設定し、そこで革新者としての役割を演じ、 社会に貢献するのである。 まとめ 次回からのビデオ学習での視点 ① 社会の動向から何を読み取ったか(see) ② どのような経営理念を創造したか ③ planおよびdoの過程で、どのような革新性を 構想し、実現したか ④ 従業員の高い貢献意欲をどのようにして 作り出したか ⑤ 企業内外において、どのようにコミュニケーション を活発にしたか
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