MPPCの

低温中におけるMPPCの
基礎特性について
2007年9月22日
日本物理学会2007年年次大会@北海道大学
ICEPP,東京大学
音野瑛俊
生出秀行、 角田直文、 吉岡瑞樹、 山下了
他GLD calorimeter group
Motivation
MPPCの内部メカニズムを知りたい。
–
極端な環境下に置き、そこでの振る舞いを現在までの
知見で理解できるか。
入射光子
アバランシェ増幅を
起こす電場勾配
-V
P+
~2,3ps
二次光子
二次光子
二次光子
E / cm
~10ps P -epi
~100ps
N++-subst.
格子欠陥
クェンチ後 ~1ns
~10ns
増倍前の
電場勾配
セットアップ
直接MPPCを冷やした。
• 測定に用いた温度
- ドライアイス / エタノール (200K)
- 液体窒素 (77K)
• 測定項目
- 波形
- クェンチング抵抗値
- p-n結合の静電容量
- Breakdown Voltage
-Voltage [V]
- Noise Rate
- Cross-talk
LiN or Ethanol / Dry ice
AMP
波形
300K
• 低温になるにつれて波形が
スパイクとテールの二成分から
なるのが見える。
スパイク  調査中
テール  RC時定数
200K
テール
スパイク
77K
テール
スパイク
RC時定数
MPPC
Poly-silicon
アンプ
-Voltage [V]
p-n 結合
クェンチング抵抗
RC時定数 = クェンチング抵抗値 x p-n 結合の静電容量
クェンチング抵抗
• 順方向電圧をかけてI-V カーブをとることで、クェンチング抵抗の
値を評価した。
抵抗値@
current=10mA
300K 0.21MΩ
+Voltage [V]
Poly-silicon
p-n 結合
Current [mA]
200K 0.40MΩ
77K 1.68MΩ
クェンチング抵抗
p-n結合の静電容量
• Gain カーブの傾きからp-n結合の静電容量が評価できる。
C
Gain ( Vbias Vbre akdown)
e
静電容量
300K
200K
22.1±0.8 fF
22.0±0.7 fF
77K
21.3±0.5 fF
Clock
MPPC
AMP
Disc.
ADC
d
ADC Dist.@ Self trigger
ADC Dist.@ Clock trigger
5ns
Resistance Capacitance R x C
(R)
(C)
300K
300K
0.21MW
22.1fF
4.6ns
200K
0.40MW
22.0fF
8.8ns
77K
1.68MW
21.3fF
35.8ns
テールの変化はRC時定数で説明可能
40ns
10ns
200K
77K
Breakdown Voltage
• Gain カーブからBreakdown Voltageを求める。
Gain
C
( Vbias Vbre akdown)
e
• -20℃~50℃での温度係数も50mV / Kであり、
この係数は液体窒素温度まで保たれている。
Dark Noise
Dark noise の原因は主に熱電子なので
低温では大きく減少する。
Noise Rate
300K 100kHz~1MHz
200K 10Hz~100Hz
77K 1Hz ~ 10Hz
Over Voltage [V] :
Bias voltage – Breakdown Voltage
Cross-talk
• 増倍過程中に二次光子を放射し、その光子が違うピクセルで増倍を
起こす確率を求める。
クロストークパルスは同時に
出力されるため、本来の
2倍のパルスとなる。
MPPC AMP
Disc.1
Scaler
Disc.2
Disc1 THR for normal pulse
Disc2 THR for cross-talk
Pr ob. 
O utputO f Disc2
O utputO f Disc1
この確率は低温中の方が若干低い。
After-pulse(1)
格子欠陥にトラップされた増倍キャリアーの
放出によって、再び増倍が起こる。
T
増倍中にキャリアー
が格子欠陥にトラップ
クエンチ
電場回復
遅延時間 (T)
再放出
アバランシェ増倍
After-pulse(2)
アフターパルスがない場合
パルス間隔 のTDC分布
P(t)  B exp(  t
T
T
τ noise
)
T
ノイズレートの逆数
アフターパルスがある場合
パルス間隔 のTDC分布
P(t )  A exp( t
 emission )
 B exp( t
T
T T
T
T
 noise )
After-pulse(3)
低温下ではDark noise rateが低いため、DAQが困難である。
 LEDを環境光として入れ、τnoise ~ 500kHz として測定した。
P(t )  A e xp( t
 emission
 B e xp( t
 noise
)
)
再放出の時定数は
低温中では長くなる
回復過程@77K
77Kでは回復過程に時間がかかるため、
アフターパルスが電場勾配の回復を
反映していく様子がよくわかる。
Summary
• 低温中での基礎特性の測定
– 波形
• スパイク部、テール部の存在
– Breakdown Voltage
• 50mV/K で低下
– Noise Rate
• 温度の低下と共に減少
– Cross-talk
• 低温中では若干少ない
– After-pulse
• 低温中では再放出の時定数が伸びている。
77K
backup
再放出の時定数の測定用回路
ADC
latch
Clock
G.G latch
Disc.
Or.
Disc. ADC
latch
G.G latch Disc.
MPPC AMP Disc.
Delay
Delay
Coin.
veto
TDC
Disc. TDC
77Kでの測定
液体窒素中でもノイズが非常に少ないため、4pixelの結果
が再現すると期待される。
TDC 分布 @ 77K
0
200
400
Cf ) 4pixel @ 300K
600
[ns]
0
200
400
低温中でもフィットが悪い。
300Kと比較すると、77Kの方が再放出が遅い
600 [ns]
4pixel @ 300K
1600pixel @ 77K
格子欠陥とポテンシャルのモデル
色々なポテンシャル準位をもった格子欠陥がある
• 点欠陥
• 線欠陥
• 面欠陥