スライド 1

高等教育研究会定例研究会
日本科学者会議京都支部
2010年8月1日
海部宣男
放送大学教授・天文学
日本学術会議会員
主な内容
1. 日本の科学の状況と日本学術会議
2. 『日本の展望―学術からの提言2010』 について
・『日本の展望』 の策定と背景
・『日本の展望』 の構造と主提言
・課題別提言: 『日本の基礎科学の長期展望』
3. 日本学術会議の科学の大型計画マスター・プラン策定
4. 科学(学術)政策について
2
現代の科学の特徴と課題
(基本的認識)
・科学と技術の急速な発達
・科学と技術の社会的影響の増大
・科学と社会(市民)との対話の重要性の増大
・国における科学の位置付けと科学政策の重要性
・科学者の現代的役割とはなにか
3
国際的にみた日本の科学の一般的状況
1.かなりの分野で先端ないしそれに近いレベルにある
2.その一方で(先進分野でも)基盤が弱く、層も薄い
3.新しい分野の開拓が得意でない
4.異分野間の交流・共同が少ない
5.研究者の流動性に乏しい(大学院生も流動しにくい)
6.小規模学会が乱立し、学会・学術誌の運営が苦しい
7.国際的プレゼンスが(研究成果に比べて)低い
8.欧米以外で、国内に高レベルの学術体系を持つ国は稀
4
日本の大学と研究をめぐる「大きなギャップ」
(「極論」を対比すれば)
自治
大学・研究者
政治・経済トップ(社会)
大学の根幹
(教授会自治!)
諸悪の根源
(→トップダウン導入)
研究と教育
研究が大事
教育が大事
大学と社会
象牙の塔
社会に役立つべき(すぐに)
研究とは
自由な発想でするもの
「趣味でやる研究」に
金を出すな
5
日本の科学・学術政策におけるいくつかの問題点
1.基礎研究とは何か、なぜ必要なのかの位置付けが弱い
2.政策的重点化の全面的推進と研究基盤の弱体化
3.透明化や競争は基本的に重要だが、過度の競争や評価
による現場の疲弊がある(米国的競争社会の破綻)
4.長期的視点での大学院改革、教育、人材育成策の不足
5.予算や人員の裏づけに乏しい「制度改革」
6.学術統計の不備・学術政策の専門家不在
7.社会に歓迎される科学・技術は長期的にはどういうものか
6
◆社会的背景
・科学・研究・教育への政府投資:ODA諸国中最低レベル
・縦割り社会である(理系・文系の峻別、研究組織も)
・文系社会である(自然科学への関心・理解度は低い)
・官僚主導社会である
・科学者と社会の距離が遠く、科学の影響力は小さい
◆歴史的背景
・明治維新で科学と技術を同時輸入(「科学技術」の語)
・官製の学術・官製の大学
◆最近の動き
・米国・英国式競争、評価システムの導入
・重点的投資の徹底、基盤的経費・研究条件の劣化
7
科学の国際化・科学者コミュニティの国際化
◆国際科学会議(ICSU)+ユネスコ: 世界科学者会議(1999)
『科学と科学的知識の利用に関する世界宣言』(ブダペスト宣言)
・科学は人類全体に奉仕すべきものであり、その創出と利用
について、十分な情報を基に民主的な議論が必要である。
・科学の意味づけを、四つに整理。
1 「知識のための科学;進歩のための知識」
2 「平和のための科学」
3 「開発のための科学」
4 「社会における科学、社会のための科学」
◆G8科学アカデミー
・G8各国の科学アカデミー(日本は日本学術会議)で開催
・G8会議に対し、共同声明を発して具体的提案
◆個別の科学者組織(ユニオン、政府間パネルなど)多数
8
科学者コミュニティと日本学術会議
・科学は、個人の自由な発想とボトムアップの研究・計画が基本
・科学は、社会に支えられ、社会に貢献し、社会の中で発展する
・科学は、その結果のみならず、その展望、また社会的課題を
専門的見地から検討し、日本社会・国際社会に発信する
「科学者コミュニティ」の役割がますます重要に
日本学術会議:
日本の科学者コミュニティの公式代表機関としての役割
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日本学術会議
(日本学術会議法)
第一章第二条 日本学術会議は、わが国の科学者の内外に
対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業
及び国民生活に科学を浸透反映させることを目的とする。
第二章第三条 日本学術会議は、独立して左の業務を行う。
・科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること
・科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること
第二章第五条 日本学術会議は、左の事項について、政府に
勧告することが出来る。
・科学の振興および技術の発達に関する方策
・科学に関する研究成果の活用に関する方策
・科学研究者の養成に関する方策
・科学を行政に反映させる方策
・科学を産業及び国民生活に浸透させる方策
・その他日本学術会議の目的の遂行に適当な事項
10
(日本学術会議の組織)
・ 内閣総理大臣の所轄(内閣府)
・ 210名の会員と1,900名の連携会員で構成
・ 三つの部: 人文・社会科学、生命科学、理学・工学
・ 30の分野別委員会の下に約300の専門分野分科会
・ 特別のテーマを審議するための課題別委員会
・ 協力学術団体: 約1,760の学協会
・ 会員・連携会員は会員・連携会員によって選考される
(関係学協会からの情報提供を受けることが出来る)
・ 会長は会員の互選による
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人類の明日とよりよい社会の実現のため、学術は何をなすべきか。
日本の研究者の代表機関である日本学術会議が、今後10年から
20年を見据え、わが国の学術と社会が目指すべき方向を総合的
に発信。
主提言
課題別10提言
分野別 3提言+31報告
日本学術会議
Science Council of Japan
日本学術会議 HPで公開
平成22年4月
April, 2010
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「日本の展望-学術からの提言」の構想
◆構想検討と成立
・ 2007年11月発議~ 2008年4月総会で合意
◆基本構想
(1) 日本学術会議は、10-20年を展望した学術の長期展望に
ついて、各分野を基礎に、また課題に応じ総合的に検討し、
6年毎をメドとして取りまとめる活動を行う。
(2) 取りまとめに基づき、その重要な内容および提言を総括し
「日本の展望-学術からの提言」を作成し、広く公表する。
(3) 各分野及び課題の検討結果も、提言として併せて公表。
◆背景
(1) 日本の学術が人類社会で果たす課題を明らかにするべき。
(2) 日本の学術の発展方向を科学者自らが明らかにし、社会に
発信するべき。
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◆審議体制: 課題別と分野別の横糸・縦糸で検討を進める
人文・社会科学
作業分科会
生命科学
作業分科会
理学・工学
作業分科会
知の創造分科会
テーマ1 現代市民社会における教養・教養教育 -21世紀のリベラルアーツの創
造
基礎科学の長期展望分科会
テーマ2 基礎科学の推進、政策および長期展望 -学術の発展戦略
持続可能な世界分科会
テーマ3 持続可能な世界をいかに構築するか -人類の未来問題
地球環境問題分科会
テーマ4 地球環境科学と人類的課題 -その要請にいかに応えるか
世界とアジアのなかの日本分科会
テーマ5 世界とアジアのなかの日本 -日本の役割
大学と人材分科会
テーマ6 大学の役割と人材の育成 -大学と社会の連携
安全とリスク分科会
テーマ7 社会における安全とリスク -社会・科学技術・政治の協働
個人と国家分科会
テーマ8 現代における私と公、個人と国家 -新たな公共性の創出
情報社会分科会
テーマ9 電子情報社会の課題と展望 -デモクラシー・経済・学術・文化・セキュリ
ティ
社会の再生産分科会
テーマ10 安定した社会の再生産システム -家族・ジェンダー・福祉・医療・雇用
分 野 別 委 員 会
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課題別 10提言
日本と人類の課題にこう立ち向かう
◆ 21世紀の教養と教養教育
◆ 日本の基礎科学の発展とその長期展望
◆ 持続可能な世界の構築のために
◆ 地球環境問題
◆ 人間中心のアジア、世界に活躍するアジア
◆ 知の連山としての大学へ向けて
◆ リスクに対応できる社会を目指して
◆ 現代における《私》と《公》、《個人》と《国家》
―新たな公共性の創出
◆ 安全で安心できる持続的な情報社会に向けて
◆ 誰もが参加する持続可能な社会を
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分野別 3提言+31報告
学術の将来をこう展望する
●人文・社会科学からの
提言
●言語・文学分野の
展望
●哲学分野の展望
●心理学分野の展望
●教育学分野の展望
●社会学分野の展望
●史学分野の展望
●地域研究分野の展望
●法学分野の展望
●政治学分野の展望
●経済学分野の展望
●経営学分野の展望
●生命科学からの提言
●理学・工学からの提言
●基礎生物学分野の
展望
●総合生物学分野の
展望
●能楽分野の展望
●食糧科学分野の展望
●基礎医学分野の展望
●臨床医学分野の展望
●健康・生活科学分野
の展望
●歯学分野の展望
●薬学分野の展望
●環境学分野の展望
●数理科学分野の展望
●物理学分野の展望
●地球惑星分野の展望
●情報学分野の展望
●化学分野の展望
●総合工学分野の展望
●機械工学分野の展望
●電気電子工学分野の
展望
●土木工学・建築学分
野の展望
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●材料工学分野の展望
審議・執筆体制
・日本の展望委員会: 委員20名+協力者7名
・ 13分科会提言: 委員総数178名+協力者50名
・ 31分野別報告:
第一部関係 委員総数177名 協力者30名
第二部関係 委員総数122名 協力者7名
第三部関係 委員総数517名 協力者263名
・審議、執筆に参加した科学者総数
・提言、報告の総頁数
1,371名
1295頁
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日本の展望―学術からの提言2010
主提言
平成22年(2010年)4月○日
日 本 学 術 会 議
日 本 の 展 望 委 員 会
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主提言
『日本の展望---学術からの提言2010』
19
『日本の展望
学術からの提言2010』
主提言 『日本の展望:学術からの提言2010』 より
第4章「21世紀の日本における学術のあり方に関する提言」
持続可能な人類社会の構築に資するべく学術の総合力を
発揮するために、いかなる学術体制と政策が必要かを分
析し、以下の提言を行う。
20
提言1
学術の総合的発展の中で「科学技術」の推進を位置 づける
これまで推進政策のもっぱらの対象とされた「科学
技術」は人文・社会科学を除外し、「科学を基礎とす
る技術」を主とする応用志向の強いものであり、今後
「科学技術」に代えて、より広範な「学術」の概念が
政策体系の中心に位置づけられるべきである。
21世紀の人類社会の課題に応えるべく学術の長期的、
総合的振興を図り、その中で「科学技術」の推進を明
確に位置づけることにより、科学技術立国の実現を目
指すべきである。
「科学技術」は限定的概念である。
「科学・技術」「科学と技術」、または「学術」の概念が重要。
21
提言2
学術統計データの強化
研究に関する基本概念を整理し、学術政策のための
統計データを早急に整備する 。
「基礎研究」、「応用研究」、また「研究者」など
の学術研究統計の基本概念を明確化し、国際水準への
復帰を図る必要がある。
併せて、学術研究統計データを長期的に取得し分析
する組織体制を早急に確立し、これらにより国際的な
比較の基礎を作って学術政策の立案に資するべきであ
る。
⇒ 日本学術会議に『学術研究の統計検討分科会』を設置。
22
提言3
総合的学術政策の推進のため人文・社会科学の位置づけ
を強化
持続可能な人類社会を構築する課題に応えるためには
学術の総合的発展が必要であり、そのために特に人
文・社会科学の意義を明確にし、その独自の発展を支
援し、同時に自然諸科学との連携・協働を通じて統合
的研究における舵取りとしての機能を促進するべきで
ある。
23
提言4
大学における学術研究基盤の回復に向けて明確に舵を切る
危機的状況の克服のために、基盤的経費増額による財
政基盤の大幅強化、人員制限の緩和による研究環境の向
上、学術研究の本質を活かすものへの評価システムの改
善、研究・教育に対する競争メカニズムの過度な適用の
是正などが必須である。
将来的には、税制改革などによって大学の高い独立
性・自主性を確保する長期的な支援政策が重要である。
24
25
提言5
イノベーション政策を基礎研究とのバランスを確保しつつ
推進する
多様性・継続性を担保する基礎研究と社会・経済的価
値創造(イノベーション)を目指す応用研究の両立を図
るため研究資金枠と審査基準の明確化・適正化を行う必
要がある。
また、教育、研究、イノベーションの三位一体的推進
の視点に立ったイノベーション政策を推進するべきであ
る。
26
提言6:
若手研究者育成の危機に対応する早急な施策の実施
博士課程在学者を研究職業人と位置づけ、経済的
自立を可能にする公的支援の実現を図り、研究者育
成プログラムを充実・改善し、キャリアパスの総合
的デザインを用意する必要がある。
民間での博士取得者の採用拡大を進めるとともに、
国家公務員・地方公務員の大学院卒採用枠の新設、
専門職への積極採用などの施策を早急に実施するべき
である。
27
提言7:
男女共同参画のさらなる推進
国の男女共同参画推進体制を一層強化すべく、ポジ
ティブ・アクションを含む積極的施策の展開が重要
である。
男女共同参画の指針設定率が低い私立大学を含めた
取組み促進の制度化、「女性研究者育成モデル事
業」・「女性研究者養成システム改革加速」プログラ
ムの実施継続、大学評価基準への男女共同参画推進状
況を示す指標の導入などを推進する。
28
提言8
学術政策における専門家と日本学術会議の役割の強化
日本の学術政策が、長期的視点、計画性、国際的
視点を確保し、学術と社会の複雑化する関連を視野
に置いて立案、作成されるためには、政府と科学者
コミュニティ、その代表機関である日本学術会議と
の協働が重要である。
科学技術基本法体制とその下での政策をより総合
的な新たな学術政策に発展させるために日本学術会
議の責任は大きく、その役割を格段に強化すべきで
ある。
⇒ 後述
29
日本学術会議の今後の方針ー1.
『日本の展望-学術からの提言2010』で示した認識
(現状・課題・展望)を踏まえつつ、学術政策を巡る
情勢を見極め、ターゲットを明確に絞り込んだ勧告を
策定し、時期を見て政府に勧告する
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日本学術会議の今後の方針―2.
・ 『日本の展望-学術からの提言2010』の内容の普及
・ 社会への学術からのメッセージと交流
・ 学術コミュニティーとの認識の共有
・ 政策担当者の基本認識の形成
・ 『日本の展望―学術からの提言2010』 の個別
具体的提言の実現のためのフォローアップ
・今後、6年毎の改訂によって学術政策を基礎づける
31
日本の展望 課題別提言2
『日本の基礎科学とその長期展望』
32
基礎科学の長期展望: 作成の背景
・学術は人間の知的創造活動の総体であり、とりわけその
基盤となる基礎科学は、継続的な研究推進の中で独創的な
科学の発展と裾野の拡大を進め、科学と技術の長期的発展
の根幹を担うものである。
・日本が真に科学と技術によって立つ国家となるためには、
基礎科学を着実に強化する長期的政策を持たねばならない。
しかし我が国は、そうした科学政策を更に発展させ、科学・技
術立国としての存在感を増していくために、今後幾多の課題
を克服して行かねばならない。
・以下、学術の根幹を担う我が国の基礎科学の長期的発展を
展望するための提言を行う。
33
現状及び問題点
【現代社会に基礎科学を位置づける】
・学術の現代的役割は、自然の理解を広げ深めることに加え、
人の理解や自然と人間のかかわりの中で現れる諸問題を総合
的・横断的に探求することによって、社会の関心や付託に応え
て行くことにある。
・「社会の中の科学」と「社会のための科学」を提起した世界科学
者会議ブダペスト宣言は、現代社会における科学、あるいは学
術と科学者のそうした有り様を的確に表現した。
・我が国の基礎科学は興隆し、国際的にトップグループに伍して
優れた貢献をなすに至ったが、環境問題、持続可能な社会の
構築をはじめとして、今後世界に先駆けて取り組むべき課題は
山積している。その一方、基礎科学を推進すべき大学等におい
ても、さまざまな困難の中で更なる自己改革が求められている。
34
提言
(1)ブダペスト宣言をふまえ、現代社会における科学と科学
者の役割を再確認すること
(2) 長期的学術政策に資する学術研究統計の組織を整備す
るとともに、科学・技術に関する概念をフラスカティ・
マニュアルなど国際基準に沿って整理すること
(3) 研究における過度の競争や「選択と集中」の政策に偏る
ことなく、基礎科学の本質を踏まえ、長期的視野に立っ
た研究基盤を強化する政策を打ち出すこと
(4) 大学等の社会的役割を再度明確にし、教育・研究の継続
的充実を図るとともに、博士課程大学院生や研究員など
若い世代への支援を先進諸国と同等レベル以上に充実
する政策を立てること、大学等はそのために自らの不断
の努力を怠らないこと
35
提言(つづき)
(5) 弱体化が懸念されている日本の科学教育を、初等・中等
教育から高等教育まで総合的に強化する政策方策を検討
すること、大学は率先してそのための適切かつ抜本的改革
を検討すること
(6) 学術誌出版など学術団体の活動に対する国の支援政策を
先進諸国と同等レベルに強化し、日本の学術活動の国際的
な発展を支援すること
(7) 大型計画の継続的かつ透明な評価・推進体制を確立し、
関連する国際対応体制を整備するとともに、「大規模研究」
概念を新たに確立し、適切な支援体制を講じること
(8) 基礎科学の成果を通した明日の産業育成へと繋ぐ大学等と
企業との有機的かつ適切な連携システムを強化すること
(9) 日本の学術の長期的発展を実現する「学術政策」を確立し、
そこにおける日本学術会議の責務を明確にすること
36
日本学術会議
『学術の大型施設計画・大規模研究計画』
企画・推進策の在り方とマスタープラン策定について
「学術の大型研究計画検討分科会」
(2010年3月)
37
2007年
日本学術会議対外報告
『基礎科学の大型計画のあり方と推進について』
以下の二点を中心に提言
1.基礎科学の大型計画に関わる長期的マスタープラン、
及び推進体制の確立
2.ボトムアップ型と国策的大型研究の関わり・協力とあり方
38
「学術の大型施設計画・大規模研究計画
―企画・推進策の在り方と マスタープラン策定について― 」
・「大型施設計画」に加え「大規模研究計画」
・ 両者で全分野のマスタープランを策定
(日本初、国際対応も可能に)
・ 43 計画(大型施設20 大規模研究23)
・分科会審議2008・2010年3月決定・公開
・文科省科学技術学術審議会で
具体審議
・「最先端研究基盤事業」一部採択
日本学術会議 HP で公開
39
科学の大型計画マスタープラン策定の背景
大型計画(主に大型装置の建設・運用計画)の意義
・新たな科学と技術の限界への挑戦、知的興奮と夢
・我が国の国際的地位を高め研究・技術基盤を広く強化
・持続可能な人類社会の構築に必要な技術の革新や産業創出
そのいっぽうで・・・
・大型計画(大型施設計画および大規模研究計画)の遂行には
科学研究費補助金等では賄いきれない多額の予算が必要
(→国民的理解と透明性、説明責任・実行責任)
・国際的な共同協調に関する迅速で強力な対応の必要
・大型研究を進める人材の育成
・新たな大型計画の考え方
40
いくつかの問題点
1.大型施設計画に二つのタイプ(相互の連環なし)
・大学共同利用機関など基礎科学分野のボトムアップ型の計画
・独立行政法人研究機関を中心にトップダウン的に実施されて
きた、予算規模がより大きく技術開発色・応用色の強い計画
2.準備・選定プロセスの透明性
・トップダウン的・国策的大型施設計画では、計画や決定プロセ
スに科学者コミュニティが十分寄与できず、透明性や科学的評価、
適切な利用体制などが不十分なケースも多い
・ボトムアップ型計画でも、最終的予算化段階や成果の公開で
社会への説明が十分なされているとはいえない面もある
3.大型施設計画を長期的に推進する仕組みが不十分
→ 科学者コミュニティの意見を集約し、科学的評価が高い大型
計画をマスタープランとして明らかにし、政策判断に基づき
適切に実現することを提案 (国民の理解の上でも重要)
41
日本学術会議の 『大型計画マスター・プラン』 策定
◆科学の「大型計画」を二つに整理
「大型装置計画」 (大型加速器、大望遠鏡、スペース等)
・国際的な協力と競争の下で、科学者コミュニティのボトムアッ
プによる周到な立案と大学共同利用機関などが主体となった
建設・共同利用により推進
・我が国の科学を世界の第一線に押し上げ、大学等における
基盤的研究と人材育成を強化
「大規模研究計画」 (今回新たに提案)
・広範な学術の諸分野において、多くの研究者を長期にわたっ
て組織する計画により、長期定点観測・研究、大規模データ
収集、広範なデータベースや大規模資料ライブラリーなどの
大分野を支え、我が国の学術の将来的発展を実現する研究
計画の実施が、国際的視点も加えて課題になっている
42
◆マスタープランに向けた学術の大型計画調査
第1回: 大型施設計画(装置、設備等を含む)について
(調査対象)
建設費総額が基本的に100 億円以上(分野によっては数十億
円以上;運営費は除く)の大型施設を建設することを主目的と
する大型計画。
第2回: 大規模研究計画(大型施設は除く)について
(調査対象)
科学研究費補助金等では実施が困難な、個別研究プロジェク
トの枠を超えた大分野の根幹となる計画で、総額数十億円以
上(設備等の初期投資、人件費を含む運営費等の総経費)。
調査への協力要請先(第1回、第2回調査とも)
日本学術会議分野別委員会、全国共同利用・共同研究所を
有する大学、大学共同利用機関、独立行政法人研究機関、
合計206 機関
43
◆学術の大型計画調査とマスタープラン・リスト選定
調査への回答
第1回133 件
第2回152 件
ヒアリング
大型施設計画、大規模研究計画のそれぞれについて定めた
リストアップ基準をクリアした大型計画について、ヒアリング
最終選定
科学者コミュニティ、日本学術会議分野別委員会等での討議
を経たものに関して、我が国の科学・技術の発展のために真
に必要とされる大型施設計画・大規模研究計画を各分野分類
毎に10 件程度を大雑把な目安としてリストアップ
最終的に43件をマスタープランとしてとりまとめ
(大型装置計画 17、 大規模研究計画 26)
44
◆ 学術の大型施設計画リストアップ基準
① 定義: 大型の研究施設・設備を建設・運用することで科学の
最先端を切り開く研究計画。
② 予算: 運営費を除く建設費総額が目途として100 億円(物質
科学など分野によっては、数十億円)を超える規模の計
画であること。
③ 科学的目標: 明確な科学目標により、真理を探究し人類の
知的資産を拡大する計画であること。
④ 国際的水準・国際連携: 世界状況に照らし十分な先進性と
独自性を持ち、効果的国際連携が可能であること。
⑤ 研究者コミュニティの合意: 研究者コミュニティの十分な検
討と議論を経て合意が形成された計画であること。
⑥ 計画の実施主体: 計画を実施する主体組織が明確であり、
かつ責任を果たす用意があること。
⑦ 共同利用体制: 完成後、共同利用運用などコミュニティによ
る効果的利用が期待できること。
⑧ 計画の妥当性・透明性: 全体として実現性・計画性・推進体
45
制が妥当であり、透明性が確保されていること。
◆学術の大規模研究計画リストアップ基準
① 定義: 大分野の根幹となる大型計画であり、大規模な研究
基盤設備の設置、研究ネットワークの構築あるいは膨大な
研究データの集積を行い、これらを運用することで科学の
最先端を切り開く研究計画であること。
② 予算: 初期投資および運営費等の経費を含め、総額数十億
円以上の経費を必要とし、科学研究費補助金等では実施
が困難な研究計画であること。なお、分野により必要とする
予算規模は異なるので上記の総額は一つの目安と考える。
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
科学的目標:
以下、『大型施設計画』と同
国際的水準:
研究者コミュニティの合意:
計画の実施主体:
共同利用体制:
計画の妥当性・透明性:
46
日本学術会議マスタープランに採択された大型計画
●人文社会科学 【大形施設計画 0、 大規模研究計画 3】
・「地域の知」の資源のグローバルな構造化と共有化
プラットフォーム
・日本語の歴史的典籍のデータベースの構築
・心の先端研究のための連携拠点(WISH)構築
H22年度からの「最先端研究基盤事業」に採択
されたもの(部分採択を含む)
⇒ 赤字
47
●生命科学 【大型装置計画 0、大規模研究計画 11 】
・次世代ゲノム科学を基盤とした環境適応戦略研究拠点の形成
・生物多様性の統合生物学的観測・データ統合解析ネットワーク
拠点
・先進的医学研究のための遺伝子改変動物研究コンソーシアム
の設立
・糖鎖科学の統合的展開をめざす先端的・国際研究拠点の形成
・臨床研究推進による医学知の循環と情報・研究資源基盤の開発
研究計画
・ゲノム医療開発拠点の形成
・次世代高機能MRIの開発拠点の形成
・創薬基盤拠点の形成
・メタボローム研究拠点の形成
・グリーンイノベーション研究拠点の形成
・食品機能の活用とその科学的検証システムの研究拠点の形成48
●エネルギー・環境・地球科学
【大型装置計画 1、 大規模研究計画 7 】
・高性能核融合プラズマの定常実証研究
・高温工学試験研究炉(HTTR)を用いた高温ガス炉水素製造
システム開発計画
・「エネルギー・環境技術国際研究拠点(Solar Quest)」計画
・非平衡極限プラズマ全国共同連携ネットワーク研究計画
・衛星による全球地球観測システムの構築
・未来予測を目指した統合的な地球環境の観測・実験・モデル
研究計画
・最先端技術で探る地球内部ダイナミックスと防災研究計画
・全地球生命史解読と地下生物圏探査計画
49
●物質・分析科学
【大型装置計画 3、大規模研究計画 1 】
・高強度パルス中性子・ミュオンを用いた物質生命科学研究
・放射光科学の将来計画
・強磁場コラボラトリー(次世代強磁場施設)計画
・物質開発ネットワーク拠点
50
●物理科学・工学 【大型装置計画 8、 大規模研究計画 3 】
・Bファクトリー加速器の高度化による新しい物理法則の探求
・J-PARC加速器の高度化による物質の起源の解明
・国際リニアコライダー(ILC)の国際研究拠点の形成
・大型先端検出器による核子崩壊・ニュートリノ振動実験
・RIBFのRIビーム発生系の高度化による不安定核の研究
・計算基礎科学ネットワーク拠点
・大型低温重力波望遠鏡(LCGT)計画
・30m光赤外線望遠鏡(TMT)計画
・一平方キロメートル電波干渉計(SKA)計画
・複合原子力科学の有効利用に向けた先導的研究の推進
・高エネルギー密度科学研究推進計画
51
●宇宙空間科学 【大型装置計画 4、大規模研究計画 0】
・次世代赤外線天文衛星(SPICA)計画
・アストロ-H(ASTROH)計画
・複数衛星による地球磁気圏探査(SCOPE)計画
・太陽系進化の解明を目指す宇宙惑星探査・開発プログラム
52
●情報インフラストラクチャー
【大型装置計画 1、 大規模研究計画 1 】
・大規模分散型高性能計算およびデータ共有システム
・超大型仮想統合ネットワークテストベッド
53
◆大型計画の企画・推進の在り方に関わる提言
提言1 学術の大型計画のマスタープラン策定と科学的評価に
基づく推進策の構築
提言2 従来の「大型施設計画」に加えての「大規模研究計画」
の確立と推進
提言3 大型計画と基盤的学術研究、およびボトムアップ的な
基礎科学の大型計画とトップダウン的な国策的大型計
画の、バランスの良い資源投資と協力的かつ総合的推
進による我が国の学術の強化
提言4 大型計画の政策策定プロセスにおいて、科学者コミュ二
ティからの主体的な寄与が十分に行われる体制の確立
提言5 科学者コミュニティによる大型計画の長期的検討体制
の構築
提言6 学術の大型計画の推進を通した、多様な関心と能力を
持つ人材の育成と教育体制の確立
54
日本学術会議「大型計画」 マスタープランの今後
1.スケジュール:
・英語版の作成(進行中)
・当面、1年後に小規模改訂、2年後に本格改定
(最先端研究基盤事業等の採択状況を分析・反映)
・その後、3年ごとに改訂し、継続的に改良強化
・平行して、大型計画の推進方策を検討
2.全学術分野コミュニティにおける検討推進を強化
3.関連府庁・機関等との協力を強化し具体化を推進
4.国際的な情報交換・協議における基本的指針とする
55
科学(学術)政策の確立について
主提言 『日本の展望:学術からの提言2010』 より
提言8
科学技術基本法体制とその下での政策をより総合的な
新たな学術政策に発展させるために日本学術会議の
責任は大きく、その役割を格段に強化すべきである。
『日本の基礎科学とその長期展望』
提言(9)
日本の学術の長期的発展を実現する「学術政策」を
確立し、そこにおける日本学術会議の責務を明確に
すること
56
長期的・総合的視点に立った科学政策に向けて
1.国としての科学政策の大幅な強化を
「科学技術基本政策」から「学術政策」+「科学技術政策」へ
(これまでに出ている議論・提案の例)
・「学術基本法」の制定
・「科学・技術振興基本計画」の策定
・言葉の問題: 「科学・技術」 と 「学術」
57
長期的・総合的視点に立った科学政策に向けて
2.研究者と行政の協力強化による適切な方策
・日本学術会議の役割の強化・研究者と行政の協働
・科学(学術)政策の専門家の育成
・科学・技術関連省庁での博士取得者等の任用・登用
・「大型計画マスタープラン」、
「学術研究統計体制の強化」、
「学術団体の活動への国家的支援策の強化」
など具体課題の推進 (進行中)
58
長期的・総合的視点に立った学術政策に向けて
3.学術からの発信を大幅に強める
・社会的課題への専門的見地からの提言
これまでも多数
・『日本の展望』: 学術会議の基本的発信として強化
10課題提言+学術30分野の展望:
今後6年ごとに
・『学術の大型計画マスタープラン』 などの積極的発信
日本の科学者コミュニティー初の総合的発信
広範な分野で長期計画・長期展望検討の動き
今後も継続的に強化
59
長期的には
◆ 学術研究は社会にとり重要な投資であるとの認識
を社会に確立すること
◆ 「社会における学術研究」を 双方から作り上げる
こと (大学・研究機関・研究者側の努力が重要)
60
人間社会(人類文明)の未来に科学はどう取り組むか
○人口と経済活動の増大
○資源の限界と枯渇
・エネルギー (まだ先は見えていない)
・食料
農地は飽和・減少へ
(2050年には一人当たり耕地面積が今の半分に?)
地下水の枯渇 (使用量は50年で3倍になった)
・水
・生物多様性
(過去6億年で最大規模の生物大絶滅時代)
○情報技術・人工知能
・技術的特異点: 20045年?
Vernor Vinge (1982)ほか:人間より優れたコンピュータが現れる
○巨大自然災害
第3期科学技術基本計画(平成18~22年度)
第1章 基本理念
1.科学技術をめぐる諸情勢
(1)科学技術施策の進捗状況
政府研究開発投資総額:
第1期 17兆円(超過達成)、第2期24兆円(未達成)
重点4領域研究開発費:H13年度38%→H17年度46%
競争的研究開発経費: 計画期間中に8%→13%
(2)科学技術施策の成果(1~2期)
基本的には成果の自賛
(3)科学技術をめぐる内外の環境変化と科学技術の役割
科学技術の役割への期待は一層強まる
政府研究開発投資の一層の選択・集中と効率化
第3期科学技術基本計画(平成18~22年度)
2.第三期基本計画における基本姿勢
(1)社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術
・絶え間なく科学水準の向上を図り知的・文化的価値を創出
・研究開発の成果をイノベーションを通じて社会・国民に還元
(2)人材育成と競争的環境の重視
~モノから人へ、機関における個人の重視
・我が国全体としての政策の視点として・・・インフラ優先から、
競争力の源泉である「人」に着目して投資。
・そのため柔軟な人事システム、競争的研究環境の強化。
第3期科学技術基本計画(平成18~22年度)
3.科学技術政策の理念と政策目標
(1)第3期の理念と政策目標
3つの理念(第2期計画)のもとで6つの政策目標(第3期)
1.人類の英知を生む
①飛躍知の発見・発明(新しい原理、知識の創造)
②科学技術の限界突破(世界最高水準のプロジェクト)
2.国力の源泉を創る
③環境と経済の両立(持続可能な社会発展)
④イノベーター日本(情報・ものづくり・産業競争力)
3.健康と安全を守る
⑤生涯はつらつ生活
⑥安全が誇りとなる国(世界一安全な国)
科学の国際化・科学者コミュニティの国際化
G8科学アカデミー
・先進諸国の首脳会議(G8サミット)に際し、日本学術会議も
一員であるG8各国の科学アカデミーにより開催。
・G8会議に対し、共同声明を発して具体的な提案を行う。
・世界の科学者コミュニティにとっての最大の課題は、
「人類社会の持続可能性問題」に立ち向かうことである。
・2009年:共同声明『気候変動と低炭素社会に向けたエネル
ギー技術への転換』を採択。
http:www.scj.go.jp
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日本学術会議
日本学術会議は、210名の会員と約2000名の
連携会員から構成され、我が国の科学者コミュニ
ティを公式に代表する機関。
科学の向上発展を図り、行政、産業及び国民生
活に科学を反映、浸透させることを役割とする。
3つの部(第1部:人文・社会科学、第2部:生命
科学、第3部:理学・工学)に30の分野別委員会
が置かれる。常置委員会のほか時限的な課題別
委員会が置かれ、学術と社会におけるさまざまな
重要課題への提言を数多く行っている。
「日本の展望」は日本の学術コミュニティから社
会・国民への総合的発信。今後、6年(2会期)毎
に見直し、発信していくことを目指す。
科学の国際化・科学者コミュニティの国際化
ICSUとブダペスト宣言
1999年 国際科学会議(ICSU)とユネスコ共催
世界科学会議「21世紀のための科学:新たなコミットメント」
『科学と科学的知識の利用に関する世界宣言』(ブダペスト宣言)
・科学は人類全体に奉仕すべきものであり、その創出と利用
について、十分な情報を基に民主的な議論が必要。
・科学の意味づけを、四つの部分に整理。
第1 「知識のための科学;進歩のための知識」
第2 「平和のための科学」
第3 「開発のための科学」
第4 「社会における科学、社会のための科学」である。
第4章「21世紀の日本における学術のあり方に関する提言」
持続可能な人類社会の構築に資するべく学術の総合力を発揮する
ために、いかなる学術体制と政策が必要かを分析し、以下の提言
を行う。
提言1: 学術の総合的発展の中で「科学技術」の推進を位置
づける
これまで推進政策のもっぱらの対象とされた「科学技術」は人文・
社会科学を除外し、「科学を基礎とする技術」を主とする応用志向
の強いものであり、今後「科学技術」に代えて、より広範な「学術」
の概念が政策体系の中心に位置づけられるべきである。21世紀
の人類社会の課題に応えるべく学術の長期的、総合的振興を図り、
その中で「科学技術」の推進を明確に位置づけることにより、科学
技術立国の実現を目指すべきである。
「科学技術」限定的。「科学・技術」「科学と技術」が正しい使い方。
提言2: 学術統計データの強化
研究に関する基本概念を整理し、学術政策のための統計データ
を早急に整備する 「基礎研究」、「応用研究」、また「研究者」など
の学術研究統計の基本概念を明確化し、国際水準への復帰を
図る必要がある。併せて、学術研究統計データを長期的に取得
し分析する組織体制を早急に確立し、これらにより国際的な比較
の基礎を作って学術政策の立案に資するべきである。
提言3: 総合的学術政策の推進のため人文・社会科学の
位置づけを強化
持続可能な人類社会を構築する課題に応えるためには学術の
総合的発展が必要であり、そのために特に人文・社会科学の意
義を明確にし、その独自の発展を支援し、同時に自然諸科学と
の連携・協働を通じて統合的研究における舵取りとしての機能を
促進するべきである。
提言4: 大学における学術研究基盤の回復に向けて明確に
舵を切る
危機的状況の克服のために、基盤的経費増額による財政基盤
の大幅強化、人員制限の緩和による研究環境の向上、学術研究
の本質を活かすものへの評価システムの改善、研究・教育に対
する競争メカニズムの過度な適用の是正などが必須である。将
来的には、税制改革などによって大学の高い独立性・自主性を
確保する長期的な支援政策が重要である。
提言5: イノベーション政策を基礎研究とのバランスを確保し
つつ推進する
多様性・継続性を担保する基礎研究と社会・経済的価値創造(イ
ノベーション)を目指す応用研究の両立を図るため研究資金枠と
審査基準の明確化・適正化を行う必要がある。また、教育、研究、
イノベーションの三位一体的推進の視点に立ったイノベーション
政策を推進するべきである。
提言6: 若手研究者育成の危機に対応する早急な施策の実施
博士課程在学者を研究職業人と位置づけ、経済的自立を可能に
する公的支援の実現を図り、研究者育成プログラムを充実・改善
し、キャリアパスの総合的デザインを用意する必要がある。民間
での博士取得者の採用拡大を進めるとともに、国家公務員・地
方公務員の大学院卒採用枠の新設、専門職への積極採用など
の施策を早急に実施するべきである。
提言7: 男女共同参画のさらなる推進
国の男女共同参画推進体制を一層強化すべく、ポジティブ・アク
ションを含む積極的施策の展開が重要である。男女共同参画の
指針設定率が低い私立大学を含めた取組み促進の制度化、「女
性研究者育成モデル事業」・「女性研究者養成システム改革加
速」プログラムの実施継続、大学評価基準への男女共同参画推
進状況を示す指標の導入などを推進する。
提言8:学術政策における専門家と日本学術会議の役割の強化
日本の学術政策が、長期的視点、計画性、国際的視点を確保し、
学術と社会の複雑化する関連を視野に置いて立案、作成される
ためには、政府と科学者コミュニティ、その代表機関である日本
学術会議との協働が重要である。科学技術基本法体制とその下
での政策をより総合的な新たな学術政策に発展させるために日
本学術会議の責任は大きく、その役割を格段に強化すべきであ
る。
主 提 言
4つの再構築
・人類の生存基盤の再構築
・人間と人間の関係の再構築
・人間と科学・技術の関係の再構築
・知の再構築
主 提 言
8つの提言
(1) すべての領域の科学を包含する「学術」の発展を総合的に図り、
その中で「科学技術」を推進
(2) 研究に関する基本概念を整理し、学術政策のための統計データを
早急に整備
(3)総合的学術政策の推進のために人文・社会科学の位置づけを強化
(4) 大学の機能を強化するため、学術研究基盤の回復に向けて明確に
舵を切る
(5) 基礎研究と応用研究の両立を図りつつイノベーション政策を推進
(6) 若手研究者が育ち、自立して活躍できるための施策の早急な実施
(7) 学術における男女共同参画のさらなる推進
(8) 学術政策における専門家と日本学術会議の役割の強化
マスタープラン策定の基本的考え方
(1)マスタープランの位置付け
・ 日本学術会議・科学者コミュニティによる大型計画の審査・
リストアップは科学的視点における評価と妥当性・重要性の
判断を下すもの
・政策的・予算的な順位づけは、財政・国内外情勢・国際協調
などの要素があって科学的評価のみで決められないことも
あり、最終的には行政の役割との考えを当面基本とする。
・従って本大型計画マスタープランは、各計画を純粋に科学
的視点に立って評価し、妥当性・必要性の検討を行うもので
あり、予算に関わる順位づけを行うものではない。
マスタープラン策定の基本的考え方
(2)海外の科学の大型計画の審査・推進等の調査検討
・ 欧州研究インフラ戦略フォーラム(ESFRI)
(理工分野、バイオ分野、人文・社会科学分野)
・ 英国大型施設ロードマップ(Large Facilities Roadmap 2008)
・ 米国エネルギー局(DOE)における粒子加速器等大型計画
・ 米国国立科学財団(NSF)における科学の大型計画の審査
リストアップに際しての分野は、ESFRIを基にして一部変更
2.審議体制の概要
○ 日本の展望委員会のもとに、報告書の原案のとりまとめを行う起草分科会、
分野別作業分科会、テーマ別分科会を設置して検討。
○ 30の分野別委員会においては、分野別作業分科会等と連携しつつ、各委
員会で独自に検討を行い、分野別作業分科会等に中間報告。