スライド 1

「技術の社会影響評価(テクノロジー・アセ
スメント:TA)」の意義と制度化の必要性:
2009年2月23日(月)
日本学術会議
日本の展望委員会 安全とリスク分科会(第3回)
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所 研究参事
東京大学公共政策大学院客員教授(兼務)
科学技術振興機構(JST) 社会技術研究センター(RISTEX)
社会技術研究開発事業 研究開発プログラム「科学技術と社会の相互作用」
研究開発プロジェクト「先進技術の社会影響評価(テクノロジーアセスメント)手法の開発と社会への定着」(2007.10-2011.3)
代表者
[email protected]
1
要旨
• TAは「技術評価」ではなく「技術の社会影響評価」であるので、
基本的に政治的・社会的プロセスである。
• TAの活動は、当初の「早期警告」から、「構築的(同時進
行)」、さらに「市民参加」へと大きく変化・多様化している。
• 制度化は議会TA機関が中心であるが、米国では廃止になっ
た影響が出て活動が分散化、欧州では各国の政治社会状
況に応じて、多様な制度化のもとでTAは定着している。
• 日本では、断片的なTA的活動が多く、成果が上がっていな
い。制度化も出来ていない。
• 科学技術と社会の関係をより建設的なものにするためには、
TA活動を知的社会基盤として根付かせ、定常的なものにす
る「制度化」が不可欠であり、具体化にむけて活動を始める
ことが必要である
2
第3期科学技術基本計画
• 科学技術が及ぼす倫理的・法的・社会的課題への責
任ある取組(第4章1)
• 国民の科学技術への主体的な参加の促進(第4章4)
• 具体的な取り組みとしては、「科学技術に対する社会・
国民の関心と理解を得るために、各府省が十分な取
組を行うことが重要であるが、総合科学技術会議とし
てもこうした取組を促進する。特に、政策目標の達成
状況の把握及び発信、科学技術に関する情報発信と
国民との窓口機能の拡充、国民の科学技術への参加
の促進を図る。」(第5章2(3))
3
JST/RISTEX公募研究プロジェクトの目的
• 21世紀型の先進技術に適した新しいTAの手法を開
発する.
– 研究開発段階からのTA手法
– 技術の革新的発展に起因する社会影響の不確実性に対応できるTA
(不連続な影響と幅広い社会影響)
– 社会の価値観の多様化に対応できるTA手法
• それを社会に定着させるための制度論的提言を行う.
– 縦割りの既存の規制や行政システムへの接続を考える.
– 企業、業界等、民間レベルでも利用可能なTAを構築する.
– 国際的連携のもとにTAを進める.
4
TAとは?
- TA活動の変遷と整理 –
5
TA:定義と起源-議会TA機関の機能
米国OTA(Office of Technology Assessment)法(1972)
1. 技術および技術開発プログラムのもたらす現在及
び将来の影響(正・負)を明らかにする
2. 可能な限り、「因果関係」を明らかにする
3. 目的を達成する代替技術、手段を提示
4. 代替技術・手段による影響を比較
5. 分析結果を議会に提示
6. 更なる調査・研究が必要な分野を提示し、必要に
応じて自らも実施
6
TAの特徴
•
•
•
•
評価の対象は技術自体だけではなくその社会的影響
したがって評価は基本的に政治的・社会的プロセス
技術専門家だけでは不十分:学際的アプローチが必要
不確実性及び価値の多様性を考慮に入れることが不
可欠
• 政策提言ではなく、意思決定を支援するための選択肢
の提示とその比較が成果
→ 「技術評価」という訳はやめること
7
TA活動の変遷
•
1970年代:事前評価(早期警告)
– 背景:公害・環境・社会問題、巨大技術開発(ex.SST)の失敗
– 特定技術の社会への影響を(導入以前に)評価
– 悪影響の排除または最小化に重点
•
1980年代:構築的TA
– 背景:欧州において産業振興への科学技術の役割を高めようとする
動き。一方で、チャレンジャー・チェルノブイリ事故など科学技術リス
クへの関心
– 技術導入以前の開発段階から同時進行で評価
– 技術開発のもたらす利益の最大化に重点
•
1990年代;参加型TA
– 背景:倫理的問題、科学技術への理解や関心の衰退、GMO問題な
どリスク・コミュニケーションの重要性への認知高まる
– 技術評価に非専門家の意見を導入
– 技術と社会の関係を広く捉える
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TAの定義
• テクノロジーアセスメント(TA)とは、従来
の研究開発・イノベーションシステムや
法制度に準拠することが困難な先進技
術に対し、その技術発展の早い段階で
将来の様々な社会的影響を予期するこ
とで、技術や社会のあり方についての問
題提起や意思決定を支援する制度や活
動を指す。
9
TA活動の整理
専門家
問題像提示
意思決定支援
ステークホルダー
市民参加
10
欧米におけるTA制度化・TA機関
11
米国OTAとそれ以降(1)
• 行政府から独立した議会の技術政策支援として、重要な役割
を果たす。
– 報告書のみならず、OTAと議会スタッフ間のコミュニケーションによる
情報共有・支援活動が重要
– スタッフが中心となり調査研究を行うが、外部の助言委員会を活用。
委員の選定・構成は慎重になされ、合宿などで委員同士の活発な議
論が促進された
• 特別の「TA手法」というより、問題に応じたアプローチを取り、
あらゆる利害関係者からの視点を公平に盛り込む手続きが
あった。
• 政党中立性を制度で担保:民主党主導であったが、理事会
(TAB)は党・院のバランスが公平になるように構成
– しかし、SDI構想に関する報告書に代表されるような党派間対立も顕
在化
• 共和党議会になって、財政削減の対象として1995年に廃止
– 常勤スタッフ(1995年度)、年間予算約2,200万ドル(1980-95年平均)
– 復活の動きは常にある(予算復活すればよい)が、実現していない 12
米国OTAとそれ以降(2)
• TA的活動は定着化しており、多種の機関で継続されて
いる。
– 全米科学アカデミー(NAS)、議会調査局(CRS), 会計検査院
(GAO)など多数の政府機関
– 大学、シンクタンク、NGOも多数存在
• しかし、活動が断片化・多様化し、包括的TAが減少。独
立性、中立性も担保できない状況
– 党派性の強いTA、主張型(advocacy)TA, etc....
• 個別事例で制度化を担保:研究開発法でELSI研究を義
務付け
– ヒトゲノム計画時には議会決定によりDOEやNIHのプロジェク
ト予算の3-5%をELSIに充当していた
– ナノテクのELSI予算は約4億円(2008)
• TA専門機関がないため、人材育成が難しい
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欧州における議会TA
• 70年代:国際レベルの議論の影響(OTAの設立,OECD会
議)により,一部で議論が開始.しかし,米国とは社会法制度
(特に,行政と議会の関係)のあり方が異なることや,OTAの
目的や手法が不透明であったことに対する批判等により,
policy transferは生じず,欧州でのTA活動は低調だった
• 1980年代:科学技術による社会や環境への影響が強まり,
特に経済停滞・低雇用を脱する方策としての技術(のポジ
ティブな側面)への期待から,欧州版TAの議論が開始→欧
州・各国レベルで議会TA機関の設立が相次ぐ,EPTAのネッ
トワークも形成される
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TA機関の一覧(まとめ)
UK POST
OPECST
ラテナウ
STOA
設立
年
1989年,01年から常設
機関に
1983年
1986年にNOTAとして設
立.92年に改名
1987年
設置
場所
初期の段階は,議会外.
その後,96年に議会内
に設置される
議会内部(議員代表部)
王立科学アカデミー
(KNAW)内
現在域内政策総局(DG
Internal Policy)の
DGA(経済・科学政策)
組織
議会のボード(下院10名, Officeの構成16人のメン
上院4名の計14名)が
バー(両院から8人ずつ.
POSTの監督
政党の比率に応じた配
置).Bureau:毎年議長,
副議長,4人の
secretaries,他欧州TA
機関との窓口の代表1名
を選出
現在のボード:7名
(KNAW),Advisory
Council of Government
Policy,文部科学省が任
命.①コミュニケーション
部局, ②TA部局, ③科学
システム部局,④事務局
①政治的意思決定は,
「STOAパネル」15名の
議員から構成.パネルの
運営は「STOA bureau」.
実務運営を行うのは,
STOAチーム
職員
9名(研究員6名)
目的
議会の委員会に科学技
術に関する助言を行う.
現在約45名
議会の意思決定を透明
化するための科学技術
に関する選択肢の情報
提供を目的として,情報
収集,研究・評価活動を
実施する
①政治家への情報提供
②社会の意見形成への
働きかけ,主要な二つの
任務①TAと,②Science
System Assessment
(SciSA)
5-8名
①議会の委員会に独立
で質の高い科学的に中
立な研究と情報,選択肢
の提供.②議論の場の
企画
15
欧州TA機関に関する考察
• OTAに比べて小規模(予算・スタッフ)だが、ネットワークを活
用して効果的な活動を実施
• 意思決定の直接的な支援よりも,問題認識やアジェンダセッ
ティングに比重がある
• TA機関によっては,市民など幅広い関係者とのコミュニケー
ションやネットワークを重視する新たなタイプも出現
• 時限的なプロジェクトとして開始→生き残りのために,OTAタ
イプの導入ではなく各国の状況に適応したTAが発展.この
ため,欧州TA機関は各国の社会的文化的制度的要因を繁
栄した多様なバリエーションが存在する
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日本におけるTAの制度化に向けて
17
TA的な活動の流れ
1970
1980
議員への
個別折衝
システム
マネジメント
訪米調査
1990
プロジェクト評
価
1977-78
調査団
科技庁事例研究
予備調査
1969
1971-78
1982-84
1988
1994 1995-1999
科学技術
「研究評価のための指針」 基本法 大綱的指針
1986
1995 1997
1988
工技院事例研究
1970
1971-84
技術フォーサイト
1974-90
NISTEP→
1976
1981
70年代の 産業技術開発長期 80年代の通産
政策ビジョン
通商政策 戦略策定研究会
(1974-77)
1991
日本産業技術振興協会
1975
科技庁→
1971
科学技術と 科学技術評価
政策の会
会議(仮称)
『テクノロジーと人間福祉』
八人委員会
技術予測
調査
国際技術戦略
研究会
CELSS研究会
未来工研
産技審答申
2000
1980
1986
1991
90年代の通産
政策ビジョン
1990
1996
2000
21世紀経済産業
政策の課題と展望
18
2000
日本の「TA的」活動の特徴
• 活動・手法
– 工学的アプローチにとらわれた手法の偏重(「技術評価」
という訳の弊害)
– 「代替案評価」「多様なステークホルダーの関与」が欠如
– 一方、技術予測手法はパイオニア的存在となった
• 制度・機関
– 縦割り型行政は予測・評価活動を好み、手法的発展も手
伝って予測・評価の制度化が進む
– 議会では国家的技術開発プロジェクトや国際技術戦略と
してTAに関心を抱くが、抵抗が強く議会TA機関の設立は
叶わず
– 産業界も高い関心を示したが、TA専門機関の設置には
いたらなかった
– 独立性・中立性を担保する制度はない(技術開発機関が
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実施することが多かった)
TAが必要となっている背景
• 第三期科学技術基本計画のフォロー
– 第4章1「科学技術が及ぼす倫理的・法的・社会的課題への責任ある取組」
– でも現実には具体的取り組みが進んでいない
• 政治主導の政策立案へ:支援が必要
– 国家技術戦略:海洋、宇宙など科学技術に関連する基本計画への貢献
– 二大政党制・ねじれ国会にあって政党としての科学技術戦略
• 最近の科学技術をめぐる問題:TA的活動の限界
–
–
–
–
医療:従来的TA制度と問題点
食品:安全性以外の経済・社会・倫理・文化的な側面に対する評価の不在
エネルギー:地球温暖化、太陽光発電、バイオマス燃料、コンビニ営業など
ナノテク:多層カーボンナノチューブ(MWCNT)のリスク
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TAの現代的意義と制度化の必要性─
多様なアクターによる多様な価値の調整
• 常に多様な価値観を反映しつつ、現実的な選択肢を
提示・比較する社会的機能の確保
– 審議会形式では問題設定がすでに規定され、参加者も制限されるため、
多様な価値観の反映に限界
– 評価や予測はリスクや不確実性を扱うが、そうしたリスクや不確実性の
見方(フレーミング)そのものが人によって違う状況を扱えない
– 選択肢の提示と比較が政策議論や技術評価で最も欠如している点
• 自律的・中立的組織として見なされている機関の欠如
– 各アクターとのつながりやバランスが見えるように制度化することで自
律性や中立性が外形的に保証される
• 特に科学技術に関する政策課題では、専門的知見が必要とさ
れ、新たな制度化が必要
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従来のTA的活動とその展望(例)
:エネルギー分野
原子力委員会
総合資源エネルギー
調査会
フォーサイト
TA的な
活動の例
長期計画策定会議
市民参加懇談会
需給部会
原子力部会
新エネルギー部会
長期エネルギー需給見
通し、新・国家エネル
ギー戦略、エネルギー
技術戦略…
特徴・
課題
-多様な参加者による
議論喚起の促進
-代替的シナリオ評価
の試行的実践
-「原子力」という政策
議題の限界
-議題・手続きの硬直
性
-合理的な審議手法の
欠如
-議定書遵守のための
バックキャスティング
-シナリオの乱立
-社会面を含めた総合
的評価がない
-内閣府・他省庁審議
会との戦略的連携
-運営委員会の設置
-トップによるイニシア
ティブの徹底
-社会的考慮のために
民間機関との提携
TA制度と -エネルギー委員会へ
しての可 の拡大的改組
能性
-総合科学技術会議と
の連携・権限分担
22
22
TA機関として重要な条件
アカウンタビリティ
→信頼性
独立性
組織的自律性、政治的中立性/超
党派性
品質
学際性、科学的信頼性、社会的
公平性、プロセスの公平性・透明性、
議論の質
コミュニケーション 口頭・文書プレゼンテーション能力、
メディア対応(知名度)、モデレーター
能力
能力
実現可能性
政策志向性
→権威
適正規模
支出の抑制、政治的リスクの回避、
柔軟性、即応性
ネットワーク
情報収集、現実認識、結果の普及、
個人的信用、外部資源の活用
時宜性
政策決定者のニーズへの対応、
社会的なニュースへの対応
政策決定への
リンク
組織的または制度的
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Adapted from Bütschi et al. (2004), Suzuki (2008)
日本においてTA制度が定着するために配慮す
べきこと─実務的な問題
• 既存の政策決定システムの支援(補完的役割)
– 既存のシステムと齟齬をおこさない制度的担保が重要
– 行政機関・審議会(規制政策やビジョン作成)の支援
– 国会における審議(法案、プロジェクト評価)などへの支援
• 手法よりプロセス重視の運営
– アジェンダの設定・助言委員会の委員選定プロセスの改善と透明性確保
– 科学技術者も市民も参加する仕組み
• 先端技術の社会導入・普及にTAが貢献することへの理解
– 「TAは技術開発を阻害する」という先入観の排除
• 社会からの信頼を確保する制度的担保
– 特定の立場に偏らない(中立・独立性)機関、活動の担保
– 自律できる財源の確保
– 適切な予算規模と柔軟な組織運営
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日本においてTA制度が定着するために配慮す
べきこと─主体の問題
• クライアントは誰か?
• スポンサーは誰か?
• 運営主体は誰か?
• 実施主体は誰か?
• 人材はどう確保するか?
→日本の政治・社会情勢にあった活動と制度
化が必要
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TA活動の整理
専門家
英POST, ドイツITA、など
によるナノテクノロジー報告
問題像提示
OTA報告書「不確実性時代
の原子力」(1982)
英王立協会「ナノテクノロ
ジー報告書」(2004)
意思決定支援
ステークホルダー
ラテナウ研究所「ナノテク
(統合技術)の未来ビジョン」
市民参加
スイス・コンセンサス会
議「電力の将来」
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日本におけるTA機関のあり方(案)
議会機関型
議論喚起型
企業連携型
断片的TA
統合型
クライアント
議会委員会
政府(+議会)
従業者・消費
者
政府
スポンサー
議会
文科省
(+経産省)
多業種・多数
の企業
公的機関・大
学・企業
運営主体
(理事会)
議員
+外部有識者
有識者・業界関
係者
各機関代表者
設置場所
国会図書館
(or議院調査局)
独立行政法人
(or学術会議)
企業経営者
+外部有識
者
経済団体
実施主体
スタッフ
+外部研究者
スタッフ
各機関
特長
議員への啓蒙、
政策課題発見
参加型、
社会的インパクト
スタッフ
+外部研究
者
意思決定へ
の近さ、集合
的CSR
課題
成果の質、
立ち上げ方
権限の分散、
政策的インパクト
負のインパク
トへの配慮
権威、信頼性、
制度的安定性 27
政府
(or公的機関)
低コスト・低リ
スクで実現可
能
27
参考資料
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英国議会科学技術室(POST)
• 設立:サッチャーは意義を認めたが予算を付けたがらなかっ
たため,1989年議員の呼びかけによる議会科学技術情報
基金(PSTIF)からの寄附により議会外に時限的なプロジェク
トとして設置,96年に議会内に移設,01年に常設機関に
• 組織:POSTボード(理事会)は,14名(下院10名,上院4名)
非議員の有識者(科学者)で構成.事務局(ディレクター1名,
専門研究者6名他,博士課程の学生など外部人材を4〜5名
活用)
• クライアント:議会
• 調査課題:理事会が決める場合もあるが、POSTから提案す
ることもある
• 活動:①タイムリーなPOST NOTEの作成(政府省庁やNGO
など利害関係者に話を聞き、バランスのとれた4ページ程度
の報告書にまとめたもの).これよりも長いレポートも作成.
②議会の特別委員会に対する助言や議員に対するセミナー
の開催
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欧州議会科学技術オプション評価局
(STOA)
• 設立:1987年,エネルギー技術委員会の時限的なプロジェク
トとしてスタート.88年に議会の研究総局に移設.2004年の
STOA改革に伴い,域内政策総局(DG Internal Policy)の
DGA(経済・科学政策)に移設.
• 組織:①政治的意思決定を行うSTOAパネル(15名の議員)
②パネルの会議運営を行うSTOA Bureau,③実務運営を行
うSTOAチームから構成,事務局スタッフは正規・契約職員、
加盟国からの派遣職員等々を含めて5-8人
• クライアント:欧州議会の各委員会
• 調査課題:各委員会を通じてSTOAに依頼
• 活動: STOA規則において規定( ①議会の委員会に科学的
に中立な研究・情報と選択肢を提供する,②政治家,科学コ
ミュニティー,社会的機関が議論するフォーラムの企画),
EPTAのネットワークに加盟しているTA機関等を活用して,
外部受注によりTA活動を行っている
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ラテナウ研究所(Rathenau Institute)
• 設立:1986年ラテナウの前身NOTAが教育科学省の行政決
定によりオランダ王立科学アカデミー(KNAW)に設置.94年
にラテナウに改名
• 組織:ボード(理事会)は7名の有識者・業界関係者で構成.
ラテナウは,コミュニケーション部局、TA部局、科学システム
( SciSA)部局、事務局からなる.スタッフ.予算ともに近年
急増(40-50名)
• クライアント:クライアントはオランダ議会および欧州議会(政
府に対しても報告),財源は教育科学省
• 活動:①政治家への情報提供、②社会の意見形成への働き
かけを目的として,TAとSciSAを実施→政策サイクルの中で
問題認識と政策形成の部分に重点を置いている.議論の
ファシリテーターになることと、独立性と自由度を保つことに
注意を払う
• ラテナウにおけるTAの変化:①プロダクト→プロセス(92年か
ら),②SciSAの追加(04年から)
31
フランス議会科学技術評価局(OPECST )
• 設立:83年両院で設立に関する議会法案を採択.議会内部
(議員代表部)に設置
• 組織:Officeの構成16人のメンバー(両院から8人ずつ.政党
の比率に応じた配置).Bureau:毎年議長,副議長,4人の
secretaries,他欧州TA機関との窓口の代表1名を選出
• クライアント:議会
• 目的:議会の意思決定を透明化するための科学技術に関す
る選択肢の情報提供を目的として,情報収集,研究・評価活
動を実施する
• 活動:OPECSTのメンバーがラポターとして報告書を作成.
意思決定に関わる議員自らがTAをしているという点で,政策
提言に直結しているとされる.
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米ELSI予算は約4億円程度
source: M.C. Roco, “The Changing Face of NanotechnologyThe Changing Face of Nanotechnology”,
National Science Foundation (NSF) and U.S. National Nanotechnology initiative (NNI) INC4, Tokyo, April 15, 2008 33