無線センサネットワークにおける 実測に基づいた電力消費モデルの確立 大阪大学基礎工学部情報科学科 計算機科学コース 宮原研究室 上田 健介 2004/2/26 特別研究報告 1 無線センサネットワーク センサを備えた無線端末を多数配置し、セン サが取得したデータの収集を行うシステム 端末は小型かつ省電力 端末同士は自律的にネットワークを構成 端末を分散配置するだけでよい 広範囲にわたる情報収集が容易 2004/2/26 環境のモニタリング、災害地調査などへの応用 特別研究報告 2 消費電力の問題 各無線端末は小容量のバッテリにより駆動 消費電力を抑えることが必要 さまざまなレイヤにおける研究 従来の研究で用いられていたモデル 「消費電力は通信距離のn乗の定数倍 (n [2,4]) 」 実際の消費電力はこのようなモデルに一致しない 送信電力が一定でも期待される以上の距離にまで 通信が届く場合がある 2004/2/26 特別研究報告 3 研究の目的 センサネットワークにおける電力消費モデル の確立 2004/2/26 さまざまな環境での通信距離の測定 送受信の際に消費する電力を測定 実測値から電力消費モデルを作成 特別研究報告 4 無線センサ端末 MOTE U. C. Berkeley校で開発された無線センサ ネットワーク評価キット Crossbow Technology 社により製品化 CPU speed プログラムメモリ データメモリ 無線周波数 2004/2/26 7.4 MHz 128 KB 512 KB 315 MHz 特別研究報告 5 通信距離の定義 packet loss rate (%) 端末間距離とパケット損失率 100 -20dBm -17dBm -14dBm -11dBm -8dBm 100 屋外 80 60 屋内 80 60 5%以下 40 40 20 20 0 0 0 5 10 15 20 25 30 distance between nodes (m) 0 5 10 15 20 25 30 distance between nodes (m) 通信距離=パケット損失率5%以下である距離 2004/2/26 特別研究報告 6 通信距離の測定場所 A B C D E F 屋上 屋内 G 屋外 2004/2/26 特別研究報告 7 transmission range (m) 通信距離の測定結果 A (屋上) B (屋上) C (屋内) D (屋内) E (屋外) F (屋外) G (屋外) 20 15 10 5 通信距離 0 -20 RF Power (dBm) -17 壁に近い方が通信距離大 -14 -11 -8 逆方向の通信を行った場合にも通信距離に違い 非対称なリンクが生じる可能性 2004/2/26 特別研究報告 8 MOTEにおける消費電力の測定 送信時 受信時 20mV/div 50ms/div MOTEでは送信により消費する 電圧の高い時間は 電力は通信距離に比例 パケットサイズに比例 RF power = 0 10 -20 dBm, dBm, dBm, packet packet packet size size size === 120 240 120 120 byte byte byte 2004/2/26 特別研究報告 9 電力消費モデルの作成 1ホップの通信によりネットワーク全体で 消費する電力 Ehop ( W sec)を定式化 通信を行うときの消費電力と、アイドル時の 消費電力との差を考える 使用するパラメータ : ネットワーク中の端末の密度 (端末数 / ㎡) r : 実測における最短の通信距離 (m) size : パケットのサイズ (byte) 2004/2/26 電波を送信する端末1 台、受信する端末 : r 台 2 特別研究報告 10 MOTEにおける電力消費モデル Ehop (送信時とアイドル時との消費電力の差) +(受信時とアイドル時との消費電力の差) r 2 実測した値から Ehop (1.26 size 8.77) r 2 (0.27 size 8.77) r 3.94 size 128.37 2004/2/26 特別研究報告 11 電力消費モデルを用いての考察 経路選択による消費電力の違い 一定の間隔 l をおいて端末を配置したトポロジ 密度 2 3 3l 2 k ホップ離れた端末と通信する場合 送信端末 通信距離を大きくしての 直接通信 中継端末による転送を 利用しての通信 宛先端末 2004/2/26 特別研究報告 12 energy consumption (mW * sec) 電力消費モデルを用いての考察 14 12 10 8 6 4 2 0 -2 k=2のときの直接通信 k=2のときの転送を 利用した通信 k=10のときの直接通信 k=10のときの転送を 利用した通信 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 distance between nodes pair (m) MOTEにおいては1ホップあたりの距離を 短くした方が消費電力は小さくなる 2004/2/26 特別研究報告 13 まとめと今後の課題 まとめ 環境が通信距離に与える影響の検証 MOTEにおける電力消費モデルの確立 今後の課題 電力消費モデルの拡張 2004/2/26 通信距離の環境による違い 端末のスリープ 特別研究報告 14
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