小売店舗における陳列改善策の検討とVRの活用に関する

小売店舗における陳列改善策の検討と
VRの活用に関する研究
流通情報工学課程
学籍番号 98713
川口大輔
研究背景
背景
販売方法の対面販売からセルフ販売への移行
セルフ販売増加による陳列の重要度の向上
問題
多種多様な陳列方法の中から適切な方法を選択する指標が無い
解決策
陳列方法を整理分類する必要がある
研究目的
研究第一目的
陳列方法の整理分類を行い、
また整理分類の有効性の検討を行う
研究第二目的
VRの陳列評価システムへの応用の可能性について
検討を行う
陳列方法一覧
陳列方法
時間帯陳列
カラーグルーピ
ング陳列
比較陳列
平棚陳列
視野に入る陳列
フェイシング
カラフル陳列
品目数を増やす陳列
ゴールデンスペー
ス
POPの提示位置
容器に入れた陳
列
ビジュアル・マー
チャンダイジング
壁面埋め尽くし
陳列(超量感陳
列)
広告商品のPOP
すっきり見せる陳
列
品薄感を感じさ
せない陳列
繰り返し陳列
三角形構成
連続性のある陳列
スポッター陳列
高低差をつけた陳列
幅揃え陳列
フック陳列
サンプル陳列
方向性のある陳列
パッケージ陳列
新入荷商品の陳列
POP広告
スロット陳列
アイキャッチ陳
列
イメージチェンジ
陳列
ストック陳列
商品照明
商品フェイスを見せ
る陳列
試着(試食)しやすい
陳列
一覧性陳列
量感陳列
ゆとりを持たせた陳列
グルービング
階段陳列
積み重ね陳列
関連陳列
陳列の整理整
頓
デッドスペース
縦列陳列
前揃え陳列
客数の多い商品の陳
列
サイズ別陳列
オープン陳列
売れ筋商品の演
出
使用状態で見せ
る陳列
重点商品の陳列
商品認識を変え
る陳列
販売期別陳列
主力商品と補助
商品の陳列
商品イメージに
合った陳列
集視ポイント陳
列
固定客に対する
陳列
相性の悪い陳列
見せ場と売り場
の陳列
2分類陳列
整理分類の視点
・陳列目的
・適用場所
・適用費用
・適用期間
陳列目的の整理
陳列方法、売場
目立つ
(1.注目)
買いやすい
(5.決定)
見やすい
(2.興味)
陳列目的
(陳列効果)
手にとりやすい
(4.確信)
選びやすい
(3.比較)
陳列方法の陳列目的達成度表
陳列方法
陳
列
目
的
陳列目的 ・・・陳列 ・・・陳列
目立つ
○
○
見やすい
△
△
選びやすい
△
△
手に取りやすい ×
△
買いやすい
×
×
目的達成度
による分類
陳列方法分類表の作成(一部)
陳列目的達
成度表から
の分類
陳列主
陳列名 概要
目的
他の視点からの分類
適用場所 適用費用 適用期間
時間別で
時間帯
店頭系陳
目立つ
陳列を変え
無し
陳列
列
る
短(1日未
満)
研究目的
研究第一目的
陳列方法の整理分類を行い、
また整理分類の有効性の検討を行う
研究第二目的
VRの陳列評価システムへの応用の可能性について
検討を行う
研究対象店舗の概要
茶小売店舗 「玉露軒」
改善案立案の流れ
第一段階
アンケートによる店舗調査
第二段階
問題点の明確化
陳列方法の
目的達成度表
第三段階
改善案の立案
陳列方法分類表
研究対象店舗でのアンケート調査
(1)店長に対するアンケート調査
実施者 1名
方法
・店長に対し調査項目のアンケート
目的
・研究対象店舗における売場で選択された陳列目的
・個々の売場での使用陳列方法の調査
(2)店員、客に対するアンケート調査
実施者 店員4名 客113名
方法
・5段階評価(5大変良い~1大変悪い)によるアンケート
目的
・店長により選択された陳列目的の達成度調査
改善案立案の流れ
第一段階
アンケートによる店舗調査
第二段階
問題点の明確化
陳列方法の
目的達成度表
第三段階
改善案の立案
陳列方法分類表
問題点の明確化
• 1.問題点となっている目的の
明確化
(1)採用した陳列方法の妥当性
(2)問題となっている陳列目的の抽出
• 2.各陳列目的ごとの問題点の
抽出
問題点となっている目的の明確化
(1)採用した陳列方法の妥当性の検証
売場での陳列目的達成度表の作成(一例)
使用陳列方法
・・売場
・・陳列 ・・陳列 ・・陳列
○
目立つ
○
○
×
見やすい
△
×
△
選びやすい
△
×
△
手に取りやすい ×
×
買いやすい
○
○
○
総合評価
○
×
△
×
○
売場の目的
・・売場
目立つ
見やすい
検証 選びやすい
手に取りやすい
買いやすい
問題点となっている目的の明確化
(2)問題となっている陳列目的の抽出
総合評価とアンケート結果の比較
・・売場
総合評価
目立つ
○
見やすい
×
選びやすい
△
手に取りやすい
×
買いやすい
○
アンケート、改善考案者
比較
○
×
△
△
×
総合評価が○、アンケート結果が○・・問題は無い
総合評価が×、アンケート結果が×・・この陳列方法の組み合わせでは目
的を達成できない
総合評価が○、アンケート結果が×・・陳列方法の適用方法(使用方法)に
問題がある
問題点分類表
店主が
対象 選択した
売場 陳列目的
※
緑
茶
売
場
陳列目的 陳列目的
達成度
目立つ
見やすい
選びやすい
○
△
×
手にとりやすい
×
買いやすい
△
問題点
特に無し
問題点の
考察
原因と
考えられる
使用陳列方法
特に無し
・量感陳列により積み上げる
全体的に陳列が ことでより商品が目立つように
汚くなっている なるが、注意しないと陳列が
汚くなる可能性がある。
・陳列棚の欠陥からか中段上
中段部の商品が
部の商品が陰に隠れてしま
見にくい
い、商品が見にくくなってい
特に無し
量感陳列
階段陳列
特に無し
・階段陳列を使うと量感、ボ
上段部の商品が リューム感が出る。しかし、階
取りにくい
段状に陳列棚があがっていく
ため、上段部の商品が取りに
特に無し
特に無し
階段陳列
改善案立案の流れ
第一段階
アンケートによる店舗調査
第二段階
問題点の明確化
陳列方法の
目的達成度表
第三段階
改善案の立案
陳列方法分類表
改善案の立案
1.陳列方法の陳列目的達成度表を使用し問
題点に対する改善案の立案
2.陳列方法分類表を使用し改善案の分類選
択(改善案のタイプ、費用、期間)
改善案分類表
対象 陳列
売場 目的
健
康
茶
麦
茶
売
り
場
見
や
す
い
総合
評価
○
問題点 改善案
原因と 改善案で
改善案のなっている 使われる 期間
タイプ 陳列方法 陳列方法
1.写真のように上段
の陳列により、下段の
陳列が見にくくなるこ
前揃え陳列、
とのない陳列棚に変 陳列棚自体の変更
幅揃え陳列
更する。その際、特に
商品の移動等は考え
中段部の商品
ない。
が見にくい
2.陳列棚自体はそ
のままにし、陳列され
る商品をあまり見にく
商品の陳列位置の 前揃え陳列、
くならない商品、例え
変更
幅揃え陳列
ばパッケージが大き
な商品やパッケージ
の色彩が派手な商品
1.陳列の整理整頓を
行い、陳列商品をき 陳列の整理整頓
陳列の整理整頓
れいに陳列する。
全体的に陳列
2.陳列棚の中に陳
が汚い
列補正器具を使う事
前揃え陳列、
陳列の整理整頓
で陳列が出来るだけ
幅揃え陳列
崩れないようにする。
費用
長期
費用大
短期
費用小
短期
費用小
研究目的
研究第一目的
陳列方法の整理分類を行い、
また整理分類の有効性の検討を行う
研究第二目的
VRの陳列評価システムへの応用の可能性について
検討を行う
陳列評価方法
•
•
•
•
•
「陳列変更図を手書きにより作成」
「模型(自己製作、委託)」
「既存の陳列評価システム」
「VRを応用した陳列評価システム」
「店舗への改善案の直接の適用」
陳列評価方法の比較検討
陳列評価方法
陳列評価方法のソフト的な面
陳列評価方法のハード的な面
(費用、期間、労力)
(陳列を評価するうえで必要な機能)
比較検討結果
既存の問題点
・店舗への直接の適用を除くと現実の陳列状態の把握に問題がある
・改善案の適用評価後の変更が難しい
・ハード的な面では手書き以外で陳列変更ごとに費用、時間、労力がかかる
VRの応用により問題の解消が可能であると考えられる
問題解消のため陳列評価システムに求められる機能
求められる機能
1.物体の表示に関係する機能
2.視野視界に関係する機能
3.陳列位置に関係する機能
本研究では重要な機能であると考えられた
1、2の機能に関して開発を行う
VRを応用した陳列評価システムの構成
「物体の表示に関係する機能」
「物体の表示に関係する機能」
対象店舗陳列再現機能
実店舗の陳列状態を再現するための機能
陳列評価システムによるシステムと改善案の
アンケート評価
評価方法
前回と同様に個々のアンケート項目に関して
5段階評価(5大変良い~1大変悪い)によるアンケートを実施
「陳列評価システム評価アンケート」
実施者 11名
目的
2つの機能についての評価
「店舗陳列の目的達成度の改善前、改善後の比較評価 」
実施者 11名
目的
改善前と改善後の2種類の売場の
陳列目的の達成度を評価さらに前回アンケートとも比較
アンケート評価結果
「陳列評価システムアンケート結果」
・物体表示機能・・平均3.2
・視野視界機能・・平均3.6
考察
臨場感を持ったある程度陳列状態の再現が可能
「店舗陳列の目的達成度の改善前、改善後の比較評価結果」
・全ての売場において改善後の評価が改善前より上昇
・前回と改善前の評価に差が発生
考察
・改善案の有効性を示す
・陳列状態の再現が不十分
結論
• ①陳列方法の陳列目的達成度表、陳列方法分類表を
作成。
• ②作成した陳列方法分類表を用いて店舗における陳
列の問題点の抽出分類及び改善案の立案より、陳列
方法の分類の有効性を示した。
• ③VRを活用した陳列評価システムより陳列改善案に
関する評価が可能であることを示し、これにより陳列改
善へのVRの応用の可能性を示した。
補足資料 システム評価アンケート結果
5
4
平
均
3
得
点
2
1
質問①
質問②
質問③
質問④
質問⑤
質問①
機能別質問項目
質問①~⑤・・視野視界に関する機能についての質問
質問⑥・・物体の表示に関する機能についての質問
補足資料 客アンケート結果
達成度(低1~高5)
緑茶売り場健康茶麦茶
茶道具 贈答品用お茶セット
コーヒー漬物 和菓子
菓子セット
達成度1
0.0%
0.0%
1.8%
0.9%
0.9%
0.9%
0.0%
達成度2
0.9%
4.5%
7.1%
5.2%
17.5%
2.6%
3.5%
達成度3
13.8%
19.1% 34.5%
19.8%
20.2%
9.6%
7.1%
達成度4
65.1%
62.7% 46.9%
57.8%
51.8%
54.8%
61.1%
達成度5
20.2%
13.6%
9.7%
12.9%
9.6%
32.2%
28.3%
客アンケート結果
100.0%
80.0%
60.0%
40.0%
20.0%
0.0%
緑茶
売り
場
健康
茶麦
茶
茶道
具
贈答
品用
コー
和菓
ヒー
子
漬
お茶
物
セッ
ト
菓子
セ
ット
達成度1
達成度2
達成度3
達成度4
達成度5
陳列目的
陳列目的
概要
目立つ
陳列効果の心理プロ セス では、 主に注目に対応し 、 主と し て視覚的に人の目を 引き 、
売場に客を 集める こ と に最大限効果が出る よ う 陳列する こ と 。
見やすい
陳列効果の心理プロ セス では、 主に興味、 連想、 欲望に対応し 、 主と し て目を と めた
陳列棚で興味を 引かれた商品や商品群の位置が分かり やすく 見つけやすく する こ と に
最大限効果が出る よ う に陳列する こ と 。
選びやすい
陳列効果の心理プロ セス では主に欲望、 比較に対応し 、 主と し て興味を 引かれた商品
群の中やすでに購買し ている 商品と 興味を 引かれた商品の中で違いが分かり やすく 比
較し 選びやすいよ う にする こ と に最大限効果でる よ う に陳列する こ と 。
手にと り やすい
陳列効果の心理プロ セス では、 主に比較、 確信に対応し 、 主と し て比較使用する 商品
や興味を 持っ た商品がすぐ 手に取れる よ う にする こ と に最大限効果が出る よ う に陳列
する こ と
買いやすい
陳列効果の心理プロ セス では、 主に確信、 決定に対応し 、 客が購買し よ う と する 商品
が、 注目商品であ る こ と やお勧め商品であ る こ と を ア ピ ールし 、 主に客が商品を 買う
こ と に対し 安心し 満足する よ う にする こ と に最大限効果が出る よ う に陳列する こ と 。
「視野視界に関係する機能」
「視野視界に関係する機能」
視界再現機能
視点移動機能(人の視点移動)
現実に近い評価を可能にすることができる