光電効果

グループB
岸 三浦 降旗 山口 白井
石原 鷺 坂田 別所
目次
光電効果とは
• 光を吸収した固体表面から電子が放出され
る現象のこと。
電子
原子核
電子
光
• 光電効果により放出される電子(光電子)のエ
ネルギーは光の振動数のみに依存し、光電
子の個数は光の強度に依存することが研究
によって知られていた。
W:仕事関数
コンプトン散乱
コンプトン散乱
hν’
hν
e-
• 光が電子に衝突して電子が弾き飛ばされ、光の持って
いたエネルギーの一部が電子にもっていかれること
コンプトン散乱
hν’
hν
e-
コンプトン散乱
hν’
hν
e-
コンプトン散乱
hν’
hν
e-
コンプトン散乱
40K(1460KeV)
環境放射線
NaIシンチレータの原理
Ⅰ.γ線の光電効果やコンプトン散乱でNaI中に高エネルギー電子を生成する
Ⅱ.高エネルギー電子がNaI中の電子をエネルギーの高い準位に励起する
Ⅲ.励起された電子が脱励起するときにシンチレーション光を出す
Ⅰ.γ線の光電効果やコンプトン散乱でNaI中に高エネルギー電子を生成する
NaIシンチレータ
高エネルギー電子
γ線
NaI (ヨウ化ナトリウム)
蛍光性を持つ物質
コンプトン散乱
光電効果
事
象
数
チャンネル数
Ⅱ.高エネルギー電子がNaI中の電子をエネルギーの高い準位に励起する
NaIシンチレータ
電子
励起
高エネルギー
電子
Ⅲ.励起された電子が脱励起するときにシンチレーション光を出す
NaIシンチレータ
シンチレーション光
脱励起
光電子増倍管
光電子増倍管
入射した光子を光電効果により光電子に変え、
増倍部で増幅し電気信号として取り出す。
Multi Channel Analyzer(MCA)
波高分析器
時間
カ
ウ
ン
ト
電圧
Channel
全時間の各事象の電圧の最高値をChannelとして変換
し個数を測定する
回路系
光電子増倍管
NaIシンチレータ
既知のγ線測定と
エネルギーキャリブレーション
キャリブレーション?
• MCAで観測されるデータは信号の高さとその
数で表示される。信号の高さとγ線のエネル
ギーは比例するため、その関係式を既知の
放射線のエネルギーから求めることができる。
(キャリブレーション)
• 既知の放射線源137Cs(662keV)、
133Ba(81keV,302keV356keV)、40K(1460keV)か
ら放射されるγ線を測定し、キャリブレーション
を行った。
キャリブレーションの方法
電子捕獲
137Cs
137Cs
137Cs
9
8
7
6
5
4
3
2
y = -0.0076x2 + 3.3078x - 354.9
1
0
0
50
100
150
200
250
したがって662keVに対応するピークは
217であった。
300
133Ba
133Ba
133Ba
したがって81keVに対応するピークは
28.2であった。
133Ba
9
y = -0.0064x2 + 1.2913x - 56.855
8.8
8.6
8.4
8.2
8
7.8
7.6
7.4
0
20
40
60
80
100
したがって302keVに対応するピークは
101であった。
120
133Ba
したがって356keVに対応するピークは
122であった。
40K
40K
40K
したがって1460keVに対応するピークは
471であった。
結果
以上の結果をまとめると、
線源
Channel
Energy(keV)
137Cs
217
28.2
101
122
471
662
80.9
302
356
1460
133Ba
40K
キャリブレーション直線
この結果から最小二乗法により近似直線を求めると
y = 3.1261x - 15.358 (R² = 0.9998)
となった。
遮蔽効果
遮蔽効果
γ線
遮蔽物(鉛、鉄、アルミニウム)
• 減少量∝N(x),減少量∝dx と仮定すると
• N(x+dx)=N(x)ーμN(x)dx
遮蔽効果
• N(x+dx)=N(x)ーμN(x)dx
遮蔽効果
N(x)
N0
x
遮蔽効果
遮蔽効果
• 実験装置
鉛の囲い
検出器
試料
遮蔽効果
• 実験装置
遮蔽板
試料
検出器
鉛の囲い
遮蔽効果
• 実験方法
• 試料:133Ba、137Cs
• 遮蔽板:鉄、鉛、アルミニウム
同じ物質の遮蔽板、試料に
対して、遮蔽板の厚さを変え
ていき、同じ時間ガンマ線を
検出器
測定する。
鉛の囲い
遮蔽板
試料
遮蔽効果
• 結果 Cs-Al(0cm)
遮蔽効果
• 結果 Cs-Al(1.0cm)
遮蔽効果
• 結果 Cs-Al(2.5cm)
遮蔽効果
• 結果 Cs-Al(4.0cm)
遮蔽効果
• 図のようなガウス関数となっているピークに
対して、2点を取り、Backgroundを一次関数で
フィッティングし、面積を求めた
この部分の面積を求めた
遮蔽効果
• 結果
Cs
Al
厚さ(cm) 面積
log(面積)
0.0
17681
9.78
1.0
14327
9.57
2.5
10469
9.26
4.0
7769
8.96
遮蔽効果
• 結果 遮蔽板の厚さとγ線の数N(x)の関係
log(面積)
Cs-Al
厚さ(㎝)
遮蔽効果
• 結果のまとめ:
• 密度で割った後:吸収係数kの 文献値との比較
k
k:密度で
割った後
鉛
Cs
(662KeV)
0.09
(0.11)
0.072
鉄
(0.073)
アルミニウム 0.072
(0.074)
Ba
(356Kev)
0.25
(0.29)
0.099
(0.10)
0.098
(0.097)
Ba
Ba
(302KeV) (81KeV)
0.29
(0.40)
(2.3)
(0.11)
(0.10)
(0.52)
0.10
(0.20)
遮蔽効果
・結果のまとめ:密度で割る前:μ (文献値)
μ:密度で
割る前
鉛
鉄
アルミニウム
Cs
Ba
(662KeV) (356Kev)
Ba
(302KeV)
Ba
(81KeV)
1.24
3.27
4.52
26.0
0.569
0.78
0.858
4.06
0.199
0.261
0.27
0.54
遮蔽効果
• 考察
• 密度で割る前の吸収係数μを考えると、密度
が大きいほど吸収係数μが大きかった。
鉛>鉄>アルミニウム
μ:密度で
割る前
Cs
(662KeV)
Ba
(356Kev)
Ba
(302KeV)
Ba
(81KeV)
鉛
1.24
3.27
4.52
26.0
鉄
0.569
0.78
0.858
4.06
アルミニウム
0.199
0.261
0.27
0.54
遮蔽効果
k:密度で
割った後
Cs
(662KeV)
Ba
(356Kev)
Ba
(302KeV)
Ba
(81KeV)
鉛
0.09
(0.11)
0.25
(0.29)
0.29
(0.40)
(2.3)
0.072
(0.073)
0.099
(0.10)
(0.11)
(0.52)
0.072
(0.074)
0.098
(0.097)
(0.10)
0.10
(0.20)
鉄
アルミニウム
遮蔽効果
Cs
(662KeV)
鉛
鉄
アルミニウム
Ba
(356Kev)
Ba
(302KeV)
Ba
(81KeV)
0.28
0.73
1.01
5.79
0.16
0.21
0.23
1.11
0.15
0.20
0.21
0.42
遮蔽効果
• 考察
• 密度で割ると、鉄とアルミニウムはほとんど同じ
吸収係数だった。
• 600keVくらいの高エネルギーのガンマ線では、
密度で割ったときの吸収係数kは、原子番号に
よる大きな依存性は無かった。
k:密度で
割った後
Cs
(662KeV)
Ba
(356Kev)
Ba
(302KeV)
Ba
(81KeV)
鉛
0.09
(0.11)
0.25
(0.29)
0.29
(0.40)
(2.3)
0.072
(0.073)
0.099
(0.10)
(0.11)
(0.52)
0.072
(0.074)
0.098
(0.097)
(0.10)
0.10
(0.20)
鉄
アルミニウム
遮蔽効果
• 結果と考察
• 同じ原子で見たとき、81keVだけ吸収係数が特に
大きかったのは、そのエネルギーに対応するエ
ネルギー準位のK殻の電子が存在するからだと
考えられる。
k:密度で
割った後
Cs
(662KeV)
Ba
(356Kev)
Ba
(302KeV)
Ba
(81KeV)
鉛
0.09
(0.11)
0.25
(0.29)
0.29
(0.40)
(2.3)
0.072
(0.073)
0.099
(0.10)
(0.11)
(0.52)
0.072
(0.074)
0.098
(0.097)
(0.10)
0.10
(0.20)
鉄
アルミニウム
環境放射線
壊変系列
天然に存在する放射性元素はある壊変系列に
よって崩壊していく。天然に存在するガンマ線
は、地球上に多く存在する放射性元素から始ま
る壊変系列の過程で放出されるものである。
• 拡大図
同定方法
①一晩中検出器で実験室中のγ線を測定する
②ガンマ線のピークの頂点を曲線近似で求める
③エネルギーとチャンネルの関係式から頂点
のエネルギー値を求める
④系列図と文献から元素を同定する。
結果
エネルギー測 同定した元素 文献値(keV)
定値(keV)
①
2538
214Tl
2614
②
2271
214Tlのコンプ
2426
トン散乱
③
214Bi
2080
3
2
1
2118
エネルギー測
定値(keV)
同定した元素
文献値(keV)
④
1709
214Bi
1765
⑤
1520
Th系列の放射性元素のエネルギーの集まり
⑥
1460
40K
1460
⑦
1173
40Kによるコンプトン散乱
1243
⑧
882
228Ac
911
8
7
6
5
4
エネルギー測 同定した元素 文献値(keV)
定値(keV)
⑨
518
208Tl
513
⑩
346
210Bi
335
⑪
228
212Pb
239
11
10
9
未知の放射線源の同定
Ⅰ.未知の放射線源のスペクトル
Ⅱ.スペクトルからわかること
Ⅲ.未知物質の候補
Ⅳ.同定の根拠
Ⅴ.崩壊様式
100
-13.482
82.8636
179.2092
275.5548
371.9004
468.246
564.5916
660.9372
757.2828
853.6284
949.974
1046.3196
1142.6652
1239.0108
1335.3564
1431.702
1528.0476
1624.3932
1720.7388
1817.0844
1913.43
2009.7756
2106.1212
2202.4668
2298.8124
2395.158
2491.5036
2587.8492
2684.1948
2780.5404
2876.886
2973.2316
Ⅰ.未知の放射線源のスペクトル
1000
ピーク1
ピーク2
10
1
Ⅱ.スペクトルからわかること
ピーク1
ピーク2
ピーク値(keV)
1177
1334
標準偏差(keV)
0.685
0.746
コンプトン(keV)
964.8
1119
Ⅲ.未知物質の候補
※放射線源の半減期は1年以上
Ⅲ.未知物質の候補
元素 (半減期)
エネルギー(keV)
確率(%)
60Co(5.27y)
1173
1333
99.97
99.99
152Eu(13.5y)
1112
1408
13.64
21.01
Ⅳ.同定の根拠
• 測定値からの誤差
測定値E(keV)
1177
1334
Eγ (60Co) (keV)
1173
1333
+4
+1
Eγ (152Eu) (keV)
1112
1408
E – Eγ (152Eu) (keV)
+65
-74
E – Eγ (60Co) (keV)
-13.482
82.8636
179.2092
275.5548
371.9004
468.246
564.5916
660.9372
757.2828
853.6284
949.974
1046.3196
1142.6652
1239.0108
1335.3564
1431.702
1528.0476
1624.3932
1720.7388
1817.0844
1913.43
2009.7756
2106.1212
2202.4668
2298.8124
2395.158
2491.5036
2587.8492
2684.1948
2780.5404
2876.886
2973.2316
•
152EuのEγ
Eγ (keV)
放射確率 (%)
127.8
28.58
344.3
26.50
778.9
12.94
964.1
14.61
1086
10.21
1112
13.64
1408
21.01
1000
100
10
1
Ⅴ.崩壊様式
5.27y
99.925%
2505.765 keV
0.057%
1332.516 keV
0 keV
stable
まとめ
1 エネルギーキャリブレーション
既知の放射線源からchannelとエネルギー
の関係式を求めた。
2 遮蔽効果
• 鉛が特に遮蔽効果が大きかった
• ガンマ線のエネルギーが大きいほど吸収係
数が小さく、よく透過した。
k:密度で
割った後
Cs
(662KeV)
Ba
(356Kev)
Ba
(302KeV)
Ba
(81KeV)
鉛
0.09
(0.11)
0.25
(0.29)
0.29
(0.40)
(2.3)
0.072
(0.073)
0.099
(0.10)
(0.11)
(0.52)
0.072
(0.074)
0.098
(0.097)
(0.10)
0.10
(0.20)
鉄
アルミニウム
3 環境放射線
•
•
40Kは多く存在している(人体中も)。
238Uは存在比が高いため、 238U由来のウラン
系列(214Biなど)が多く検出された。
• 各壊変系列では軽い崩壊を繰り返した気体
の元素が多く検出された。
• ピークの幅が広く表されるので複数の核種が
重なった場合確定が難しい。
• γ線を出す核種は実験室には約10種類存在
していた。