スライド タイトルなし - 【接骨・整骨院

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鍼灸・接骨・整骨院業界 概要 ≪知識編 ①≫
その1.西洋医学と東洋医学の概要
西洋医学は、細菌やウィルスなど病気の原因に働きかけて治そうとする原因除去療法
に対して、東洋医学は、その人が本来持っている自然治癒力を高め、体や精神のひずみ
を調節し弱点を治していこうとする偏向是正療法の医学です。(偏向=偏った傾向 是正
=正しく治す)たとえば、西洋医学が高性能の顕微鏡であれば、東洋医学は視界の広い
ワイドレンズと言えます。 西洋医学における診断は、「病因を明らかにすること」であり、
各検査をした上で細かく分析的に追求していく方法を取っています。次に病気を診断した
らその原因と症状に合わせて治療を進めていきます。いわゆる診断と治療は分離しています。
それに対して東洋医学は、経験や直感により試行錯誤を繰り返して、先に治療法を開発
し、開発された治療法にはどの病態が最も適合するかという研究を繰り返した過程があり
ます。治療法の研究が先でその後から生理、病理、病因などを考えたといってもよいでしょ
う。東洋医学での診断の目的は、病の原因を追究することと、どの治療法を選択するかの
二点であり、診断の最終目標は治療法の決定です。いわゆる診断即治療なのです。
西洋医学
①
②
③
④
⑤
東洋医学
対症的「病名」の決定
分析的
局所的
外科的・内科的治療
器質的障害に治効
①
②
③
④
⑤
随証的「証」の決定
総合的
全体的
自然治癒力
機能的障害に治効
その2.代替医療である整骨院の位置づけ
⇒
医療
●現代西洋医学
●
●
●
●
代替医療
⇒
癒し・美容
●カイロプラク
ティック
●整体
●クイックマッサージ ●リフレクソロジー
漢方
●ボディーケア
ビタミン
●ハーブ
鍼灸
●サプリメント
整骨(柔整)
●アロママッサージ
●タイ式マッサージ
●アーユルヴェーダ
●フェイシャル
●痩身
●デコルテ
●パック
●クリームバス
●脱毛
●ピーリング
●気功
●電圧・磁気療法
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<区分> 青丸は現代医学業界・黄丸は代替医療業界・赤丸は美容・ヒーリング業界・
はリラクゼーション業界
鍼灸・接骨・整骨院業界 概要 ≪知識編 ②≫
その3.国家資格者である柔道整復師・鍼灸師
① 国家資格者である柔道整師・鍼灸師
「ほねつぎ」「○○接骨院」「○○整骨院」と様々な名称が存在しますが、すべて、
国家資格者である『柔道整復師』が運営する施術所です。
これらの施術所では、骨折、捻挫、脱臼などをした患者様を施術します。
主に骨・関節・筋肉などの外傷を専門としています。柔道整復師の資格を取得する
には養成施設で3年間学び、その後、国家試験で合格しなければなりません。
② 施術内容
「整復法」・・・ずれたり、はずれた骨や関節を麻酔を使わずに揉んだり
伸ばしたりして元の状態に戻す。
「固定法」・・・ギブスなどで患部を動かないようにして回復を図る。
「後療法」・・・患部の機能回復を早めるために行う。
※ 柔道整復の基本は、注射を打ったり投薬せずに、手技療法を主体としてい
ます。患者様とのコミュニケーションの中で、患部を手で確認する技術・手技
療法で痛みをしっかりと取り除き、健康を取り戻すことを目的とした施術です。
③ その他の施術内容
現在の整骨院では、本来の施術のほかに、整体療法や身体バランス調整
など様々な徒手療法を取り入れて、電気、光線、磁気、超音波などあらゆる
機器を使用した施術を行っています。
本来、柔道という武術の活法(治療・手当て)より発祥した柔道整復術です
が、運動生理学の理論や整形外科学なども導入して発展しています。
また、柔道整復師の施術には、施術後の経過を診ながら、症状が改善する
よう生活習慣を指導するなどのアフターケアをする「指導管理」も含まれ
ています。
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鍼灸・接骨・整骨院業界 概要 ≪知識編 ③≫
その4.各医療関連資格
① 他医療従事者との比較
柔道整復師は、下記のとおり医療従事職に含まれますが、この中で独立して開業
できるのは、「医師」、「歯科医師」を除いて、「あんまマッサージ師」、「はり師」、「きゅう師」、
「柔道整復師」しかありません。他の職種は、あくまでも医師の指導のもとに、病院等の中
でしか従事することができません。
【医療関連の国家資格者概要】
国家資格
開業権
保険取り扱い
養成期間
医師
○
○
○
6年
看護師
○
×
-(病院勤務)
3年
柔道整復師
○
○
○一部制限あり
3年
はり、きゅう師
○
○
○条件付
3年
あんまマッサージ指圧師
○
○
○条件付
3年
整体師
×
○
×
3ヶ月
カイロプラクティック師
×
○
×
3ヶ月
作業療法士
○
×
-(病院勤務)
3年
理学療法士
○
×
-(病院勤務)
3年
その5.保険資格について
① 療養費の受領委任払い
日本の法律によって、柔道整復師は業務の独占と保護制度が認められているので、
健康保険・労災保険を取り扱うことができ、療養費の受領委任払いが認められています。
なお、「整体治療」や「カイロプラクティック」については、国家資格が認められていません
ので、民間医療として人の健康に害を及ぼすおそれのない範囲で施術を行うことが認めら
れています。当然、保険診療ができず、実費治療が主体となっています。
② 整骨院と整体院の違い
整骨院
・
・
・
・
国家資格
保険取扱 可能
養成期間 3年
開業権 有
整体院
・
・
・
・
民間資格
保険取扱 不可
養成期間 約3ヶ月
開業権 有
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鍼灸・接骨・整骨院業界 概要 ≪知識編 ④≫
その6.病院との関係は?
① 整骨院と整形外科の違い
整骨院
・
・
・
・
・
柔道整復師免許
手技・機械療法中心
投薬・注射 不可
レントゲン撮影 不可
部位請求
整形外科
・
・
・
・
・
医師免許
機械・投薬療法中心
投薬・注射 可
レントゲン撮影 可
点数請求
※ 柔道整復術は薬を使ったり、レントゲン撮影を行わないため、医師が行う治療より
安価ですみます。多くの方が通院される要因でもあると考えられます。
② 医師の同意書
鍼灸療法で保険請求を行う場合、必ず医師の同意書が必要になります。
・カルテに記載されている情報は、患者様の貴重な個人情報となります。
安易に第3者に漏洩しないよう注意して下さい。
・保険証の提示がない場合は、保険請求の対象外となり、実費治療に
なる恐れがあります。
・初診の方については、必ず保険証の確認をして下さい。
(保険証の種類については、次頁以降を参照下さい。)
・他の医療機関(整形外科や整骨院など)と併用されている場合は、
保険請求の対象外となる場合があります。実費治療になる恐れが
ありますので、患者様に確認することを心掛けましょう。
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受付業務 ≪保険証について≫
その1.保険証について
保険には必ず本体があり、本体には以下の4つと後期高齢者医療制度があります。
● 国民健康保険 (主に自営業者、フリーターです)
● 協会けんぽ (旧:政府管掌保険 ・ 会社員です)
● 共済保険 (公務員です)
● 組合保険 (組合を所有する企業です)
75歳以上の方(または65~74歳で一定の障害の状態にある方 )
● 後期高齢者医療制度
本体とは別にもう1つ保険証を持った方がいます。(都道府県・市区町村によって異なる)
● 高齢受給者証
老人医療の受給者を除く70歳から74歳までの国民健康保険加入者。
基本1割負担で所得によって異なります。
● 障害者医療証
障害者手帳を持っている方など。各市区町村によって異なります。
● 乳幼児医療証
6歳児まで。各市区町村によって異なります。
● ひとり親家庭等医療証
片親で18歳までの子を持つ親子。各市区町村によって異なります。
<その他>
● 被爆手帳
被爆手帳をお持ちの方。負担0円。
【参考】大阪府で請求の際は、専用の用紙に患者様直筆項目あり
※ 障害・乳幼児・ひとり親に関しては、各市区町村で定められた金額を自己
負担となります。
また、医療証は発行元の市区町村でしか有効となりません。
その場合、整骨院(接骨院・鍼灸整骨院)は領収書を発行、患者様が領収書
を役所へ提出・申請し、支給されます。
本体をA、もう1つをBとすると、本体を基本として考え、本体で賄いきれない
部分(一部負担金)に関してBの保険を使用して補う形になります。
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受付業務 ≪保険証の見方・注意点①≫
その1.保険証でチェックすべき項目
① 保険証本体(国・社・組・共など)の場合
1.「被保険者」か「扶養者」のどちらかの記載
2.被保険者番号(記号・番号)
3.被保険者の情報(氏名・生年月日・性別・居住地)
4.保険者番号・名称
5.受診者の情報(氏名・生年月日・性別・居住地) ※患者が被保険者なら、同一
② 後期高齢者医療被保険者証の場合
1.有効期限
2.負担割合(1割または3割)
3.被保険者番号
4.被保険者の情報(氏名・生年月日・性別・居住地)
5.保険者番号・名称
③ ひとり親・障害・乳幼児の場合
1.各種保険証に記載されている「市町村番号」と「受給者番号」
2.受給者情報(氏名・生年月日・性別・居住地)の確認
その2.保険証の重要性
P4記載の通り、整骨院では受領委任払いが基本となっています。患者様が提出される
保険証を元に、各保険者へ一部負担金以外の療養費をレセプト用紙で請求する流れになり
ます。このとき、レセプト用紙に記載する患者様情報と保険証情報に違いがあれば、返戻と
いう形で保険者から差し戻されてしまいます。
そうならないために、患者様情報が記載されている保険証のチェックは「受付業務」の重要
な役割となります。
施術
患者様
一部負担金
の支払い
医療提供者
(柔道整復師)
保険料
保険者
審査分請求
療養費の
支給申請
療養費の支払い
審査支払機関
請求金額の支払い
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受付業務 ≪保険証の見方・注意点②≫
その3.保険証チェック時の注意点
① 患者、もしくは被保険者の氏名に使用されている漢字に注目!
もしも旧漢字を使用ならば、レセプト記入のサインは、旧漢字を用いてのものとし、
カルテ入力も同様に行う。
※ レセコンで取り扱えない旧漢字の場合、レセプトが手書きになるので気をつける事。
② 保険証に記載の住所と、患者申告の住所に相違があった場合。
問診表に患者が記載した住所と、保険証記載の住所との相違に気づいたら、患者様に、
「どちらの住所で保険者登録を行っているのか」を確認する事が大切。
例1) 引越しをしたが、住所変更を行っていない。または、するつもりはない。
例2) 引越しをして、住所変更を行ったが、保険証記載内容の書き換えだけを
まだ行っていない。
などの理由で、保険証情報に相違が生じた場合は、早急に確認しておく事。
③ 遠隔地保険証には被保険者(世帯主)と被扶養者(扶養家族)があります。
この「遠隔地」というのは、被保険者(世帯主)と被扶養者(扶養家族)が、分離して居住
する 場合に行われる処置です。平均して左上部に保険証の第1面に「遠隔地」の印が
記載されています。
その4.意見書(医療券)について
生活保護を受けられている方が、医療機関に掛かる時に必要となる、当地区(市)役所発行の
もの。
この用紙に医療機関側が施術内容を記入し、提出する事で、後日専用のレセプト用紙が各院
宛に郵送される。よって、意見書(医療券)とは、専用レセプトを発行するための請求書的存在で
あります。
「整骨院」の場合は、整骨院での登録を行っているので、発行書類の種類は、「柔道整復」で
発行してもらいましょう。
※「あんまマッサージ」「はり・きゅう」で発行されても保険請求できませんので、
意見書を回収した際には、必ず確認しておく事が必要です(用紙の左上部に記載事項)。
保険証は患者様の貴重な身分証明書です。返却を忘れてしまうと患者様
に大変なご迷惑をおかけしますので、注意しましょう!!
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