LC/MSによる野菜の残留農薬分析 およびバイオアクセシビリティ分析 ○林義貴,辻真奈美,鈴木茂(中部大院) 研究の背景 • ヒトが食品を摂取すると、含有物質は胃、小腸な どの消化器官を経て、体内に取り込まれる。 他方、残留農薬基準は食品から有機溶媒等に抽 出される物質を評価しているため、ヒトの消化の 実態を反映していない。 演者等は、ヒトの消化過程を模擬した食品中の 農薬の評価方法の検討を進めており、そのひと つであるバイオアクセシビリティ分析について紹 介する。 研究の目的 バイオアクセシビリティの基礎的実験の検討 • よりヒトの消化吸収の実態に合わせた分析法 の検討 DINが土壌汚染評価に提案した消化処理方法 • 消化液の試料処理の検討 • 残留農薬分析法との溶出濃度比較 実験方法 試 料 模 擬 だ 液 模 擬 胃 液 模 擬 腸 液 消 化 処 理 液 ジ ク 抽ロ 出ロ メ タ ン ジ ク ロ 分ロ 取メ タ ン 層 ア セ 置ト 換ニ ト リ ル LC/MS 結果1 ng/g 8000 生にんじん 7000 6000 5000 アセフェート ベンダイオカルブ 4000 ジエトフェンカルブ ペンディメタリン 3000 ジクロルボス 2000 1000 0 残留農薬法 胃液 腸液 例1:残留農薬分析法と模擬消化液の溶出農薬の比較 結果2 ng/g 400 焼じゃがいも 350 300 250 アセフェート ベンダイオカルブ 200 ジエトフェンカルブ ペンディメタリン 150 ジクロルボス 100 50 0 残留農薬法 胃液 腸液 例2:残留農薬分析法と模擬消化液の溶出農薬の比較 結果3 ・固相カートリッジ(GL Sciences製品 InertSep SI)による フラクション分画の検討 <失敗例> ヘキサン:アセトン 100:0 99:1 98:2 95:5 90:10 85:15 80:20 70:30 60:40 50:50 40:60 30:70 0:100 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 アセフェート ベンダイオカルブ ジエトフェンカルブ ペンディメタリン 実験なし 結果4 ・固相カートリッジ(GL Sciences製品 InertSep SI)による フラクション分画の溶出濃度のズレを無くすために、硫酸ナトリウム (無水)を加えることによって解消することができた。 サンプル(ヘキサン置換液) 硫 酸 ナ ト リ ウ ム 99:1 洗浄 98:2 回収 95:5 洗浄 80:20 回収 60:40 洗浄 30:70 回収 SIカラム(GL Sciences製品 InertSep SI) ペンディメタリン ベンダイオカルブ ジエトフェンカルブ ジクロルボス アセフェート まとめ • 有機溶媒での抽出と消化液処理での抽出で は溶出してくる農薬が異なる。 • 試料処理の方法がまだ不十分であるため、さ らに検討が必要。
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