スライド 1

「健康・医療のパーソナルデータ」
~利活用と保護のバランスをめぐって~
医療と個人情報
慶應義塾大学 総合政策学部 教授 新保 史生
平成26年3月11日
個人情報とは?
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医療機関等における個人情報の例
•
•
•
•
•
•
診療録、処方せん、手術記録
助産録、看護記録
検査所見記録、エックス線写真
紹介状
退院した患者に係る入院期間中の診療経過の要約
調剤録
介護関係事業者における個人情報の例
•
•
•
•
ケアプラン
介護サービス提供にかかる計画
提供したサービス内容等の記録
事故の状況等の記録
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「個人情報」(定義)
個人情報保護法第2条第1項
この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報
に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができ
るもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別するこ
とができることとなるものを含む。)をいう。

「個人情報」とは、生存する「個人に関する情報」であって、特定の個人を識別する
ことができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を
識別することができるものを含む。)をいう。

「個人に関する情報」は、氏名、性別、生年月日等個人を識別する情報に限られず、
個人の身体、財産、職種、肩書等の属性に関して、事実、判断、評価を表すすべて
の情報であり、評価情報、公刊物等によって公にされている情報や、映像、音声に
よる情報も含まれ、暗号化等によって秘匿化されているかどうかを問わない

なお、死者に関する情報が、同時に、遺族等の生存する個人に関する情報でもあ
る場合には、当該生存する個人に関する情報となる。

また、「生存する個人」には日本国民に限られず、外国人も含まれるが、法人その
他の団体は「個人」に該当しないため、法人等の団体そのものに関する情報は含ま
れない(ただし、役員、従業員等に関する情報は個人情報)。
4
経済産業分野における個人情報保護ガイドライン
個人情報(具体例)
個人情報に該当する事例








事例1) 本人の氏名
事例2) 生年月日、連絡先(住所・居所・電話番号・メールアドレス)、会社における職位
又は所属に関する情報について、それらと本人の氏名を組み合わせた情報
事例3) 防犯カメラに記録された情報等本人が判別できる映像情報
事例4) 特定の個人を識別できるメールアドレス情報([email protected]等
のようにメールアドレスだけの情報の場合であっても、日本の政府機関である経済
産業省に所属するケイザイイチローのメールアドレスであることがわかるような場合等)
事例5) 特定個人を識別できる情報が記述されていなくても、周知の情報を補って認識すること
により特定の個人を識別できる情報
事例6) 雇用管理情報(会社が従業員を評価した情報を含む。)
事例7) 個人情報を取得後に当該情報に付加された個人に関する情報(取得時に生存する特
定の個人を識別することができなかったとしても、取得後、新たな情報が付加され、又
は照合された結果、生存する特定の個人を識別できた場合は、その時点で個人情報と
なる。)
事例8) 官報、電話帳、職員録等で公にされている情報(本人の氏名等)
個人情報に該当しない事例
 事例1) 企業の財務情報等、法人等の団体そのものに関する情報(団体情報)
 事例2) 記号や数字等の文字列だけから特定個人の情報であるか否かの区別がつかない
メールアドレス情報(例えば、[email protected]。ただし、他の情報と容易に照合
することによって特定の個人を識別できる場合は、個人情報となる。)
 事例3) 特定の個人を識別することができない統計情報
5
経済産業分野における個人情報保護ガイドライン
個人情報とプライバシー
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個人情報とプライバシー(私論)
個人情報
領域
公
知
氏名
性別
住所
生年月日
非
公
知
資格
職業
機
微
思想信条 宗教
所得
健康状態
学歴
趣味
性癖
労組等加
入事実
法令等に基づい
て公開される場
合がある
公の場
社会生活上必要
に応じて取得され
る場合がある
位
置
情
報
本人同意に基づ
かなければ原則
として取り扱って
はならない
私生活
個
人
の
自
律
新保史生「プライバシーの権利」山本順一編『憲法入門』勉誠出版(2003)50頁。
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プ
ラ
イ
バ
シ
ー
プライバシーの権利の権利性
「『宴のあと』事件」判決
(東京地判昭和39年9月28日判時385号12頁)
プライバシーの権利
私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利
プライバシー侵害による不法行為の成立要件
①公開された内容が私生活の事実またはそれらしく受けとられる
おそれのある事柄であること
② 一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合
公開を欲しないであろうと認められること
③ 一般の人々に未だ知られない事柄であること
「宴のあと」事件以前にプライバシーの権利について言及した判例
「大阪証券労組保安阻止デモ事件」
(大阪高判昭和39年5月30日判時381号17頁)
国民の私生活の自由が国家権力に対して保障されていることを知ることができる。ここからプライバシーの権利を導き出すことができるで
あろうが、もとより無制限なものではない。
人はその承諾がないのに自己の写真を撮影されたり世間に公表されない権利(肖像権)を持つとすれば、それはプライバシーの権利の一
つとして構成することができる。
その他、「宴のあと」事件同様にモデル小説とプライバシーが問題となった事例
「『名もなき道を』事件」判決 (東京地判平成7年5月19日判時1550号49頁)
「『石に泳ぐ魚』事件」判決 (東京地判平成11年6月22日判例時報1691号91頁)
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個人情報保護制度
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日本の個人情報保護制度の全体像
基本方針
基本方針(閣議決定された個人情報保護に関する基本方針)
個人情報保護法
基本法及び民間部門を対象とした法令(個人情報の保護に関する法律
及び政令等)
行政機関等個人情報保護法
行政機関及び独立行政法人等の公的部門を対象とした法令(行政機関
等個人情報保護法及び政令等)
既存の各法令
個別法令における個人情報保護を目的とした規定に基づく個人情報の
保護(派遣業法,職安法等の既存法令)
個人情報の漏えいや不正利用等の行為に対する法的責任を追及する
上で用いられる法令(不正競争防止法等)
法令の定める職業上の秘密保持義務規定(公務員法,各種の士業法等)
個人情報保護条例
地方自治体の個人情報保護条例
個人情報保護法第8条に基づく各府省ガイドライン
ガイドライン
その他の法令に基づく規格やガイドライン(工業標準化法,プロバイダ責
任制限法,電子署名法等に基づくガイドライン)
行政機関が行政機関等を対象に策定したガイドライン(安全管理や情報
通信技術の利用)
民間団体が民間部門を対象に策定したガイドライン(業界ガイドライン等)
個人情報保護法の適用範囲
民間部門
個
人
情
報
保
護
法
基本法部分
公的部門
個
人
情
報
保
護
法
行
政
機
関
個
人
情
報
保
護
法
独
立
行
政
法
人
等
情報公開・個人情報保護審査会設置法
行政機関の保有する個人情報の保護に関
する法律等の施行に伴う関係法律の整備
等に関する法律(整備法)
基本理念
国及び地方公共団体の責務等
個人情報の保護に関する施策等
個人情報の保護に関する基本方針
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地
方
公
共
団
体
の
条
例
個人情報保護法に基づく主務大臣の所掌範囲
金融庁
経済産業省
金融
安全管理
実務指針
信用情報
国土交通省
国土交通
不動産流通業
情
報
健康情報
処
船員の雇用管理
理 労働者派遣
医療・介護
債権回収
医療情報シス
テム安全管理
法務省
法務
警察共済
組合
国家公安委員会
外務省
個
人
遺
事業一般
伝
情
医
療 雇用管理一般 報
警察
外務
*斜体は通達/下線は通知
職業紹介
厚生労働省
労働組合
福祉
企業年金
健保組合
国民健康
保険組合
文部科学省
ヒトゲノ
ム・遺伝
子解析
研究
遺伝子治療臨
床研究
文部科学
教育
電気通信
放送
ヒト幹細胞
臨床研究
郵便事業
疫学研究
信書便事業
臨床研究
総務省
環境省
環境
地方公務員
共済組合
防衛省
財務省
農林水産省
防衛
財務
農林水産
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個人情報保護法
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個人情報取扱事業者の義務
個人情報
● 利用目的の特定、利用目的による制限(15条、16条)
個人情報を取り扱うに当たり、その利用目的をできる限り特定
特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えた個人情報の取扱いの原則禁止
● 適正な取得、取得に際しての利用目的の通知等(17条、18条)
偽りその他不正の手段による個人情報の取得の禁止
個人情報を取得した際の利用目的の通知又は公表
本人から直接個人情報を取得する場合の利用目的の明示
● 苦情の処理(36条)
個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理
個人データ
保有個人データ
● データ内容の正確性の確保(19条)
● 保有個人データ事項の公表等(24条)
利用目的の達成に必要な範囲内で個人データの
正確性、最新性を確保
● 安全管理措置(20条)
保有個人データの利用目的、開示等に必要な手
続等についての公表等
● 開示、訂正等、利用停止等(25~27条)
個人データの安全管理のために必要かつ適切な
措置
● 従業者・委託先の監督(21条、22条)
保有個人データの本人からの求めに応じ、開示、
訂正等、利用停止等
● 理由の説明(28条)
本人関与に関する理由の説明
保有個人データ
従業者・委託先に対する 必 要かつ適切な監督
● 第三者提供の制限(23条)
● 開示手続、手数料(29条、30条)
本人の同意を得ない個人データの第三者提供の
原則禁止
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番号法
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「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」
目的
• 国民の利便性の向上及び行政運営の効率化を図り、国民
が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与すること。
個人番号の基本理念
• ① 個人の権利利益が保護されるものであること
• ② 社会保障制度及び税制における給付と負担の適切な関
係が維持されるものであること
• ③ 行政における申請、届出その他の手続等の合理化が図
られること
• ④ 自己に関する個人情報の簡易な確認の方法が得られる
等国民生活の充実に資するべきものであること
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番号法に基づいて「番号」を利用することができる法定の手続
社
会
保
障
分
野
年
金
分
野
年金の資格取得・確認、給付を受ける際に利用。
○国民年金法、厚生年金保険法による年金である給付の支給に関する事務
○国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法による年金
である給付の支給に関する事務
○確定給付企業年金法、確定拠出年金法による給付の支給に関する事務
○独立行政法人農業者年金基金法による農業者年金事業の給付の支給に関する事務 等
労
働
分
野
雇用保険等の資格取得・確認、給付を受ける際に利用。ハローワーク等の事務等に利用。
○雇用保険法による失業等給付の支給、雇用安定事業、能力開発事業の実施に関する事務
○労働者災害補償保険法による保険給付の支給、社会復帰促進等事業の実施に関する事務 等
福
祉
・
医
療
・
そ
の
他
分
野
医療保険等の保険料徴収等の医療保険者における手続、福祉分野の給付、生活保護の実施等低所得者対策の事務等に利用。
○児童扶養手当法による児童扶養手当の支給に関する事務
○母子及び寡婦福祉法による資金の貸付け、母子家庭自立支援給付金の支給に関する事務
○障害者総合支援法による自立支援給付の支給に関する事務
○特別児童扶養手当法による特別児童扶養手当等の支給に関する事務
○生活保護法による保護の決定、実施に関する事務
○介護保険法による保険給付の支給、保険料の徴収に関する事務
○健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律による
保険給付の支給、保険料の徴収に関する事務
○独立行政法人日本学生支援機構法による学資の貸与に関する事務
○公営住宅法による公営住宅、改良住宅の管理に関する事務 等
税分野
国民が税務当局に提出する確定申告書、届出書、調書等に記載。当局の内部事務等に利用
災害対策分野
被災者生活再建支援金の支給に関する事務等に利用
上記の他、社会保障、地方税、防災に関する事務その他これらに類する事務であって地方公共団体が条例で定める事務に利用
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医療と情報の取扱いに関する法
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医療分野における法令上の秘密保持義務
刑法
(明治40年4月24日法律第45号)第134条第1項(秘密漏示)
介護保険法
(平成9年12月17日法律第123号)第27条5項(要介護認定
に係る守秘義務)第205条(守秘義務)
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
(平成11年3月31日厚生省令第37号)第33条(秘密保持等)
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
(平成11年3月31日厚生省令第38号)第23条(秘密保持)
労働安全衛生法
(昭和47年6月8日法律第57号)104条(健康診断に関する
秘密の保持)
医療法
(昭和23年7月30日法律第205号)72条(秘密漏泄)
じん肺法
(昭和35年3月31日法律第30号)35条の3(じん肺健康診
断に関する秘密の保持)
保健師助産師看護師法
(昭和23年7月30日法律第203号)第42条の2(守秘義務)
救急救命士法
(平成3年4月23日法律第36号)47条(秘密を守る義務)
診療放射線技師法
(昭和26年6月11日法律第226号)29条(秘密を守る義務)
理学療法士及び作業療法士法
(昭和40年6月29日法律第137号)16条(秘密を守る義務)
臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律
(昭和33年4月23日法律第76号)19条(秘密を守る義務)
歯科技工士法
(昭和30年8月16日法律第168号)第20条の二(秘密を守
る義務)
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医療分野における文書管理に関する法令
厚生年金保険法施行規則
(昭和29年7月1日厚生省令第37号)第28条 (書類の保存)
雇用保険法施行規則
(昭和50年3月10日労働省令第三号)第143条(書類の保管義務)
健康保険法施行規則
(大正15年7月1日内務省令第36号)第34条(事業主による書類の保
存)
労働者災害補償保険法施行規則
(昭和30年9月1日労働省令第22号)第51条(書類の保存義務)
労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則
(昭和47年3月31日労働省令第8号)第70条(書類の保存義務)
医療情報の電子化関係ガイドライン
「医療情報の電子化に関する厚生省ガイドライン」
(厚生省・保険発第62号・平成11年4月22日)
「診療録等の保存を行う場所について」
(平成14年3月29日医政発第0329003号、保発第0329001)
「診療録等の外部保存に関するガイドラインについて」
(平成14年5月31日医政発第0531005号)
診療録等の電子媒体による保存について
(平成11年4月22日、健政発第517号、医薬発第587号、保発第82号)
「法令に保存義務が規定されている診療録及び診療諸記録の電子媒体による 電子保存に
(平成11年3月11日、医情開第24号)
関するガイドライン等について」
「救急救命処置録の電子媒体による保存について」
(平成11年4月22日、指第32号)
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医学研究分野におけるガイドライン・指針等
ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針
(文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号・平成
16年12月28日全部改正)(平成13年3月29日策定)
遺伝子治療臨床研究に関する指針
(文部科学省・厚生労働省告示第2号・平成16年12月28
日全部改正)(平成14年3月27日策定)
疫学研究に関する倫理指針
(文部科学省・厚生労働省告示第1号・平成16年12月28
日全部改正)(平成14年6月17日策定)
臨床研究に関する倫理指針
(厚生労働省告示第459号・平成16年12月28日全部改
正)(平成15年7月30日策定)
手術等で摘出されたヒト組織を用いた研究開発の在り方
厚生科学審議会答申(平成10年12月16日)
ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針
(平成22年厚生労働省告示第380号)
厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関す
(平成18年6月1日施行)
る基本指針
異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する指針
(平成14年7月9日)
ヒト受精胚の作成を行う生殖補助医療研究に関する倫理指針
(平成22年12月17日 文部科学省 厚生労働省 告示第
2号)
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医療分野における個人情報への取り組み
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医療
医療・介護関係事業者における個人情報の適切な
取扱いのためのガイドライン
ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針
遺伝子治療臨床研究に関する指針
疫学研究に関する倫理指針
臨床研究に関する倫理指針
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医療・介護関係事業者ガイドライン

適用対象は「医療・介護関係事業者」
 ①「医療機関等」(病院、診療所、助産所、薬局、
訪問看護ステーション等の患者に対し直接医療を
提供する事業者)
 ②「介護関係事業者」(介護保険施設、居宅サービ
ス事業者及び居宅介護支援事業者)

適用対象外の事業者(ガイドラインの適用を受ける事業
者同様に安全管理措置を講ずることを求めている)

検体検査、患者等や介護サービス利用者への食事の提供、施
設の清掃、医療事務の業務など、医療・介護関係事業者から
委託を受けた業務を遂行する事業者
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医学研究

指針の見直し





文部科学省


科学技術・学術審議会「生命倫理・安全部会ライフサイエンス研究にお
けるヒト遺伝情報の取扱い等に関する小委員会」
厚生労働省


「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成13年3月29日
文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)
「遺伝子治療臨床研究に関する指針」(平成14年3月27日文部科学
省・厚生労働省告示第1号)
「疫学研究に関する倫理指針」(平成14年6月17日文部科学省・厚生
労働省告示第2号)
「臨床研究に関する倫理指針」(平成15年7月30日厚生労働省告示
第255号)
厚生科学審議会科学技術部会「医学研究における個人情報の取扱い
の在り方に関する専門委員会」
経済産業省

産業構造審議会の「化学バイオ部会個人遺伝情報保護小委員会」
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雇用と健康
①雇用管理一般
②船員の雇用管理
③健康情報
④職業紹介
⑤派遣事業
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雇用管理一般
雇用管理情報については、病歴、収入、家族関係といった特殊
性を含むことに鑑み、以下の項目について、
その適切な取扱いを規定


取得する個人情報の利用目的を具体的に特定
安全管理措置
 個人データ管理者を事業所ごとに設置

個人データの処理を外部に委託する場合の取扱い
 再委託の制限
 利用目的達成後の確実な破棄、削除

労働組合の役割
 企業が個人情報の取扱いについて、重要事項を決定する
場合における組合との事前協議
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健康情報

「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保
するために事業者が講ずべき措置に関する指針」
(厚生労働省告示第259号)を補完するための「留意
事項」を定めたもの

健康情報
 指針に定める雇用管理に関する個人情報のうち、健康診
断の結果、病歴、その他の健康に関するもの

規定内容
 健康診断の結果や病歴などの健康情報などの特にセンシ
ティブ性が高い健康情報の取扱いについて、指針の規定
に加えて留意事項を定めている
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労働組合
健保組合
地方公務員共済組合
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健康保険組合

遺族への個人情報の提供の取扱い
 被保険者等が死亡した際に、遺族から診療報酬明細書等
の個人情報について照会が行われた場合、健保組合等は、
被保険者等本人の生前の意思、名誉等を十分に尊重しつ
つ、特段の配慮が求められる。このため、別に定める指針
(現行の「診療報酬明細書等の被保険者への開示につい
て」(平成9年6月25日保険局長他連名通知)の内容の通
知)に基づき、遺族に対して診療報酬明細書等の個人情報
の提供を行うものとする。

個人情報の匿名化
 当該個人情報から、当該情報に含まれる氏名、生年月日、
住所等、個人を識別する情報を取り除くことで、特定の個
人を識別できないようにすること。
 顔写真については、一般的には目の部分にマスキングす
ること
 その人と関わりのない符号又は番号を付すこと
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健康保険組合

第三者提供

民間保険会社からの照会



職場からの照会


健康食品の販売を目的とする会社から、高血圧の被保険者等の存在の有無について照会され
た場合など、本人の同意を得ずにその存在の有無やその氏名・住所等を回答してはならない
本人同意について「黙示による包括的な同意」について言及




学校の教職員等から、児童・生徒の健康状態に関する問い合わせがあった場合など、本人の同
意を得ずに健康状態等を回答してはならない。
マーケティング等を目的とする会社等からの照会


職場の上司等から、社員の傷病名等に関する問い合わせがあった場合など、本人の同意を得
ずに傷病名等を回答してはならない。
学校からの照会


被保険者等が民間の生命保険に加入しようとする場合、生命保険会社からその健康状態等に
ついて照会が合った場合、本人の同意を得ずに健康状態等を回答してはならない。
交通事故によって、けがの治療を受けている被保険者等に関して、損害保険会社から損害保険
金の支払いの審査のために必要であるとして症状に関する照会があった場合、本人の同意を得
ず傷病名等を回答してはならない。
高額療養費を本人の申請に基づかずに事業主経由で支給すること
付加給付を本人の申請に基づかずに事業主経由で行うこと
医療費通知を世帯ごとにまとめて行うこと
共同利用

健保組合と労働安全衛生法に規定する事業者が共同で健康診断を実施している場合又
は共同で健診結果を用いて事後指導を実施している場合
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福祉
福祉関係事業者ガイドライン

福祉関係事業者
 本人にとっては他人に知られることを欲しない個人
情報を多数取り扱っている
 身体や生活に密接に関わる事項などの特定の機
微な個人情報の取扱いが日常的に行われている
分野

個人情報の保護というよりは、むしろ、「プライバシー保
護」のためにも極めて重要な個人情報を取り扱っている
ことから、その厳格な保護と適正な取扱いが要請される
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
ガイドラインの適用対象
 老人関係事業を除く福祉関係事業者一般


保護施設(救護施設等)、身体障害者更生援護施設(肢体不自由
者更生施設等)、婦人保護施設、児童福祉施設(保育所、児童自立
支援施設等)、知的障害者援護施設(知的障害者授産施設等)、精
神障害者社会復帰施設(知的障害者更正施設等)、社会福祉協議
会
取り扱う個人情報の種類の例
 保護施設:生活記録や困窮に至った事情
 障害者福祉施設:障害の内容・程度
 保育所:両親の就業状況
 児童養護施設:児童の生育歴や家庭環境
 婦人保護施設:入所者の家族の状況
 社会福祉協議会:世帯更生資金の借受人の経済状況
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パーソナルデータの利活用へ向けた取り組み
(個人情報保護法の改正に向けて)
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パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針
高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定(平成25年12月20日)


Ⅰ パーソナルデータの利活用に関する制度見直しの背景及び趣旨
Ⅱ パーソナルデータの利活用に関する制度見直しの方向性
1.ビッグデータ時代におけるパーソナルデータ利活用に向けた見直し
 2.プライバシー保護に対する個人の期待に応える見直し
 3.グローバル化に対応する見直し


Ⅲ パーソナルデータの利活用に関する制度見直し事項
1.第三者機関(プライバシー・コミッショナー)の体制整備
 2.個人データを加工して個人が特定される可能性を低減したデータの個人情報及びプライ
バシー保護への影響に留意した取扱い
 3.国際的な調和を図るために必要な事項








4.プライバシー保護等に配慮した情報の利用・流通のために実現すべき事項




諸外国の制度との調和
他国への越境移転の制限
開示、削除等の在り方
パーソナルデータ利活用のルール遵守の仕組みの構築
取り扱う個人情報の規模が小さい事業者の取扱い
行政機関、独立行政法人等及び地方公共団体が保有する個人情報の取扱い
パーソナルデータの保護の目的の明確化
保護されるパーソナルデータの範囲の明確化
プライバシーに配慮したパーソナルデータの適正利用・流通のための手続き等の在り方
Ⅳ 今後の進め方(本方針に基づき、詳細な制度設計を含めた検討を加速、平成26年(2014年)年6月までに、法改正の内容を大綱とし
て取りまとめ、平成27年(2015年)通常国会への法案提出を目指すこととする)