@niftyにおけるホスティングサービス

神奈川県消費者リーダー養成講座第1回
プロバイダのサービスと
電子商取引の関係
~ケーススタディを通して~
平成13年2月10日
ニフティ株式会社
法務・海外部
下田
江里子
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目 次
1. @niftyサービス概要
2. プロバイダサービスの特徴
3. プロバイダの責務
4. 個人情報保護
5. 具体的なトラブル事例と解決法
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1. @niftyサービス概要
サービス開始 : 1987年
会
員
シ ェ ア
数
: 432万人(2000年12月末)
: 21.5%(2000年9月末)
2位 BIGLOBE 11.8% 3位 ODN 8.0%
ホームページサービス開設数:181,000件
ショッピング 総 店 舗 数
:595店
i R E G i 採 用 店 舗 数
:364店
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1. @niftyサービス概要
a) インターネット接続サービス/メール等の基本サービス
b) コマース
- Shopping@nifty(ショッピングモール)
- iREGi (決済サービス)
- オークション
-フリーマーケット
c) コンテンツ (情報提供サービス)
- ポータルサイト(ファイナンス、音楽、旅行、住まい、仕事…)
- 音楽等の配信サービス、ニュース検索、ゲーム等有償コン
テンツ
d) コミュニティ
- 会員用ホームページ、チャット、掲示板
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2.ISP/SPの特徴
インターネットサービスプロバイダ(ISP)
インターネット接続サービス業者。「通信接続サービス」 を提供するもので、
電気通信事業法にいう電気通信事業者。
コンテンツサービスプロバイダ(SP)
インターネットを用いた検索、ゲーム、ソフトウェア、地図 等の情報サービ
ス(無体物もしくは役務)を提供する業者。広義でオンラインショップも含むことがある。
電話回線
インターネット
顧客
契約先プロバ
イダのサーバ
サーバ
利用者
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2.ISP/SPの特徴
a) インターネット接続サービス/メール等の基本サービス
⇒ 単なる導管
b) 電子商取引
- ショッピングモール
- 決済サービス
- C to C
⇒ 場所貸し
⇒ 対テナントへの機能提供
⇒ 場所貸し
c) コンテンツ配信
⇒ コンテンツの販売店 もしくは場所貸し
d) コミュニティ(BBS等)
⇒ コミュニケーション機能提供
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2.ISP/SPの特徴
★ECの促進、すなわちビジネスチャンスの広がり
★インターネットの普及
★プライバシーの保護とビジネス上の有効活用
自主規制、法規制、事業者のモラル等によって健全
なインターネット環境を整えることが、消費者とIP/S
P事業者の共通する願い
・インターネットホットライン連絡協議会設立
・省庁主催の各種審議会、法制度検討会への委員参加
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3. プロバイダの責務
1) 検閲の禁止
・ 電気通信事業法 3条(検閲の禁止)
電気通信事業者の取扱中に係る通信は、検閲してはならない。
2) 通信の秘密の保持
・ 電気通信事業法 4条(秘密の保護)
1. 電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。
2. 電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中
に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。
その職を退いた後においても、同様とする。
3) 個人情報の保護
・ 事業者の自主規制
・ 各種ガイドライン(郵政省、通産省等)
・ プライバシーマーク
・ 個人情報保護法制化の動き
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4. 個人情報保護
1. 主な認定制度一覧
出典:社団法人情報サービス産業協会
制度
管理・審査機関
プライバシーマーク 日 本 情 報 処 理 開 発 協 会
(JIPDEC)、情報サービス
産業協会(JISA)、日本マー
ケット・リサーチ協会
(JMRA)、全国学習塾協会
個人情報保護マーク 日本データ通信協会
オンラインマーク
日本商工会議所
セキュリティマーク 電子商取引推進協議会
内容
JIPDEC が策定、管理する個人情報の
取り扱いについての認証制度。JISA な
どの指定された機関があり、それぞれ担
当する業界の企業・団体を審査する業務
を実施。
電気通信事業者および発信者情報通知
サービスの事業用利用者を対象に個人
情報の取り扱いについて登録。
オンライン・ショッピングの事故防止の
ために通信販売事業者が実在するかや、
ウェブページの表記が通信販売の法令
などを守っているかを審査。個人情報保
護への配慮も確認。
すでにオンラインマークを取得してい
る EC サイトを対象にセキュリティ対
策が一定の水準に達していることを審
査。
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4. 個人情報保護
2.ニフティの個人情報保護体制について
1) 対 個人(情報主体)
<公的規格>
- 会員情報: @nifty個人情報保護ポリシー+会員規約
- ビジター情報:
〃
+個別告知
準拠
- JIS Q15001
2) 対 コンテンツ供給元/サービス委託先
- 各種契約条項 + システム監査等の管理
<JIS適合性>
3) @nifty (ニフティ社内)
- 個人情報管理規程/個人情報取扱細則
(JIS Q15001準拠の内部規定)
- その他の社内規定
*セキュリティポリシー
*PC・ネットワークの利用規定
- プライバシー・
マーク(JIPDEC)
適合
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2.ニフティの個人情報保護体制について
4. 個人情報保護
個人情報保護ポリシー
1. 当社は、お客様個人に関する情報(以下「個人情報」といいます。)を取り扱っている
部門あるいは部署単位で管理責任者を置き、その管理責任者に適切な管理を行わ
せております。
2. お客様から、お客様の個人情報を収集させていただく場合は、収集目的、お客様に
対する当社の窓口、当社がお客様の個人情報を提供する会社の範囲等を通知したう
えで、必要な範囲の個人情報を収集させていただきます。
3. 当社は、お客様より収集させていただいた個人情報を適切に管理し、お客様の承諾
を得た会社以外の第三者に提供、開示等一切いたしません。
4. 当社が、上記 3.におけるお客様の承諾に基づき個人情報を提供する会社には、お
客様の個人情報を漏洩や再提供等しないよう、契約により義務づけ、適切な管理を
実施させております。
5. 当社は、お客様に有益と思われる当社のサービス、又は提携先の商品、サービス等
の情報を電子メールでお客様に送信させていただく場合がございます。お客様は、当
社にお申し出いただければ、このような電子メールの送信を中止させることができま
す。
6. お客様が、お客様の個人情報の照会、修正等を希望される場合には、お客様に対す
る当社各窓口までご連絡いただければ、合理的な範囲ですみやかに対応させていた
だきます。
7. 当社は、当社が保有する個人情報に関して適用される法令、規範を遵守するとともに、
上記各項における取り組みを適宜見直し、改善していきます。
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2.ニフティの個人情報保護体制について
4. 個人情報保護
ニフティの個人情報取り扱い実務 (Eコマースに関して)
①ショッピング : 店舗からの問い合わせに対して個人情報
は開示しない(例:連絡がとれない、料金未払い等)。
②オークション等のC to C : 会員からの問い合わせに対
して個人情報は開示しない。
③業務委託先 : 会員への郵便物発送等業務委託先への開
示は、開示ルール(目的、期間、終了後の措置、情報を見る社
員の限定等)を定め、契約を交わした上で開示する。
④他のISP
プライバシーの保護・通信の秘密の守秘義務
→個人情報保護ポリシー
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6.ケーススタディ
Ⅰ.インターネット消費者取引に関する事例
1.対事業者
事例1:
オンラインショップでセーターを購入したところ、サンプル画
像と色が違うので返品を申し入れたが、返品お断りの商品
だと言われた。
対応:
◆モールに入っているショップの場合はモール主催者に
相談する
◆ 消費者相談窓口に相談する
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Ⅰ.インターネット消費者取引に関する事例
6.ケーススタディ
1.対事業者
チェックポイント:
①訪問販売法で表示義務とされている情報(法8条省令7条)が適
性に表示されていないサイトは、指定商品/役務を取り扱って
いない場合でも要注意
②大きなモールに入っている店舗は、モールの定める出店資
格を満たしており、またモールとの契約で店舗が消費者へ誠
実に対応するような義務を有する場合がある。(違反すれば出
店取消)
③返品に関する表示がない場合、法的には返品に応じる義務
がある。(ただし、購入者は原状回復義務(民法545条1項)を負う)
④クーリングオフは通販には適用されない(訪販法6条)。任意
に設定している業者を選ぶ。
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Ⅰ.インターネット消費者取引に関する事例
6.ケーススタディ
1.対事業者
事例2:
本を購入したが、注文確認画面が表示されなかったので、何
度も購入ボタンを押したところ、本が5冊も届いてしまった。返
品に応じてもらえるか。
対応:
◆重複を誘引する、もしくは重複しても無理がないようなペー
ジであることを指摘し、錯誤による無効を主張する。
◆モール主催者もしくは消費者相談窓口に相談する。客観的
に見て、確かに重複しやすいと判断すれば、改善措置を依頼
することがある。
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Ⅰ.インターネット消費者取引に関する事例
6.ケーススタディ
1.対事業者
チェックポイント:
①誰もが重複して購入してしまうようなページのレイアウトであ
るなど、店舗側に問題がある場合のみ主張可。
②購入者の重過失による場合は無効を主張できない。
③現在は数回に渡って確認を促す仕組みを持つショッピング
システムが多い。(→ 「iREGi」システム)
④高価な商品であれば、たいていは担当者から本当に送って
もよいか、確認メールが届く。また、届いた後であっても返品
の送料を負担すれば返品に応じてくれるはず。応じない場合
は他の点でも問題のある業者であることが多い。
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Ⅰ.インターネット消費者取引に関する事例
6.ケーススタディ
1.対事業者
事例3:
海外のサイトで商品を購入し、クレジットカードで決済した。しかし
いつまでたっても商品が届かない。
対応:
◆ほとんど打つ手なし。
◆カード会社とチャージバックの交渉をする余地はあるが…
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Ⅰ.インターネット消費者取引に関する事例
6.ケーススタディ
1.対事業者
チェックポイント:
①「自力で交渉できる相手か(言語・地域)」どうか考えてから
購入する。
②どうしても海外の店舗から購入したい場合は
・有名な店舗
・有名なモールに入っている店舗
・日本の企業が個人輸入を代行している店舗
などを選択する。それでも100%安全では決してない。
③クレジットカード番号を第三者に盗まる、店舗に悪用される
などのリスクもある。
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Ⅰ.インターネット消費者取引に関する事例
6.ケーススタディ
2.対 個人
事例4:
オークションで競り落とした商品に対して銀行振込で代金を支払っ
たが1ヶ月たっても商品が送られてこない。電話もつながらない。プ
ロバイダに連絡先を聞くべきか。
対応:
◆詐欺であることが明らかな場合は、すぐに最寄の警察署に届け
る。
◆プロバイダからは売主に対して「こういう苦情を受けている」とい
うNOTICEしか行わない。売主の勘違い、度忘れによる未発送には
対応できるが故意に送らない場合は対応不可。
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Ⅰ.インターネット消費者取引に関する事例
6.ケーススタディ
2.対 個人
チェックポイント:
①プロバイダは通信の秘密について守秘義務を負っている。(電
気通信事業法4条)ため、第三者に顧客の個人情報を開示する
ことはできない。
②但し、捜索差押令状による強制捜査に対しては開示する。
③届け出を受けた警察署はプロバイダを家宅捜索(実際にはプ
ロバイダが個人情報を打ち出してそれを引き渡す)して個人情報
を押収する。その情報にもとづき警察は容疑者を詐欺の容疑で
逮捕する。
④自力で相手を探すよりも確実だが、お金が返ってくる保証はな
い。
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Ⅰ.インターネット消費者取引に関する事例
6.ケーススタディ
2.対 個人
事例5:
オークションやフリーマーケットで購入した商品の代金支払い
を安全に行いたいが、どのようにすればよいか。
対応:
◆各サービス提供者によって信用評価手段、安全な商品引渡
し手段が提供されているので、それを利用する。→次ページ
◆相手が比較的近隣に住んでいる場合は、手渡しもよい。但
し、それをきっかけに交際を迫ることが目的の場合もあるので
女性は要注意。
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Ⅰ.インターネット消費者取引に関する事例
6.ケーススタディ
2.対 個人
チェックポイント:
①エスクローサービス(購入者は第三者の口座に代金を入金し、商品到達
後第三者から出品者に代金を振り込むサービス)を利用する。
②信用評価制度を利用する。(→@nifty利用者評価制度)
・出品者、購入者とも、お互いに対して対応が「良い(1点)」
「普通(0点)」「悪い(-1点)」の評価をつけることができる。
・評価は他の利用者にも公開される。
③素人から購入するのだから、偽ブランド商品などをつかまされる
危険があることも理解しておく。返品に関しては当事者間の合意に
任せるほかない。
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Ⅲ.個人情報保護に関する事例
事例6:
6.ケーススタディ
取引したことのない会社からダイレクトメールが届くので、メー
ルの受信を断るメールを出したが、その後も変わらず届くので
なんとかしたい。
対応:
◆個人情報保護のガイドラインや業界規制を策定している業種
であれば、そのガイドライン等を管轄する団体に相談することが
できる。
◆断りのメールを出すとメールアドレスが存在していることをア
ピールしてしまうので、信用できない会社には出さないほうがよ
いことがある。
◆プロバイダによってはメール着信拒否サービスがあるのでそ
れを利用する。→スパムメールブロック機能
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Ⅲ.個人情報保護に関する事例
6.ケーススタディ
チェックポイント:
①懸賞に応募する、会員登録するなど個人情報を入力する必要
がある場合は、その情報を「誰が」「何の目的で使用するか」また
「他の目的に使用することがあるのか」を明記していないものに情
報を提供しない。第三者に収集した情報を売る業者もいる。
②その他、システム的な問題で漏洩する場合もあるので、暗号化
のSSLに対応していないサイトなどで個人情報を入力しない。
→ニフティスパムメール停止仮処分事件
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今後予定されている法制度等の取り組みについて
個人情報
・2001年通常国会に個人情報保護基本法が提出される見込み。成立すれ
ば個人情報の適正な取り扱いが法的義務となる。
電子商取引
・JIS規格として、消費者を相手とする電子商取引事業者が取引の公正およ
び消費者利益の保護を図るために不可欠な要素を指針として定める動き。現
在http://www.jsa.or.jp/domestic/electronic.htmでJIS原案についてパブリックコ
メントを募集中。
・「オンラインマーク」を韓国「eトラストマーク」や英国「トラストUK」と連携させ
る方向で経済産業省が調整を始めた。
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参考文献
・「インターネット法律叢書2 インターネットビジネスの法律ガイダンス」
「インターネット法律叢書3 インターネット護身術」
インターネット弁護士協議会・編著
毎日コミュニケーションズ
・特別調査「インターネット消費者トラブルの現状と改善策 - インターネッ
ト消費者取引を中心として- 」
2000年10月26日国民生活センター
参考サイト
・「インターネット自己防衛マニュアル」
社団法人テレコムサービス協会
(http://www.telesa.or.jp/html/990426.htm)
・国民生活センター (http://www.kokusen.go.jp)
・経済産業省相談窓口 (http://www.meti.go.jp/intro/consult/)
・社団法人情報サービス産業協会 (http://www.jisa.or.jp/)
・日本工業規格 電子商取引における消費者保護の指針(案)
(http://www.jsa.or.jp/domestic/electronic.pdf)
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