PowerPoint プレゼンテーション

関東地方下の地震について
瀬野徹三(東京大学地震研究所)
地震
地震とは?
断層 or 断層面
岩石の破壊
地震が起こる条件:その1
地震
非地震
蛇紋岩
岩石が堅いことー>温度が低いこと
地球の場合350°C以下
Raleigh & Paterson (1965)
地震が起こる条件:その2
大
力の差が必要
小
同じ力−>非地震
正確には力ではダメ
F: 力
S: 断面積
 = F/S を使うべき
応力
小
応力の差
=差応力
X
歪み
大
柔らかくても
歪みは生じる
地震の起こる条件2: 差応力が十分大きい
地震が起こる条件
1.岩石が堅いこと、すなわち温度が低いこと
2.差応力が十分大きいこと
地震とは? 別のイメージ
応力
摩擦でくっついている
応力が十分大きくなると
突然すべりが発生する
地震
突然すべりが起こる条件
応力
応力
断層面がすべる前に固着
1. 温度が低い
2. 差応力が十分に大きい
地震には二つのタイプがある
1.破壊タイプ
2.すべりタイプ
どちらも断層面を境に二つのブロックが食い違う
どちらも起こる条件は同じ 低温,大きい差応力
地球のどこにでも地震が起こるわけではない
地震はプレートに関連して発生
2900 km
深さ
なぜプレートなのか?
地球の地殻・マントルには放射性物質
(ウラン,トリウムなど)が存在して発熱している
地球内部でも対流が
起こっている
地球内部の熱源は十分大きい
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熱源小
É}ÉìÉgÉã
ÉKÉXÇÃîMåš
水は静止 熱伝導で熱を運ぶ
熱源大
熱伝導では熱を逃がし切れない−>水が自分
で動いて熱を運んで外へ逃がす(対流)
対流が起こると温度勾配が大きい表層が
仮に地球内部の熱が熱伝導で外へ逃げて
でき,熱排出効率をよくする
行くとする
プレート
350°C
0
60 km
対流の場合の温度分布
深さ
マントル
400 km
表層で地震が起こ
る堅い厚さ60 km
程度のプレートが
できる。
対流で駆動される
ので差応力大
熱伝導の場合の温度分布
3000 km
1300°C
地球内部の(断熱圧縮による上
昇分を取り除いた)温度分布
400 kmくらいの堅い
層が出来るが、どこも
動いていないので差
応力小(月はこれに
近い)
プレートの役割
自ら動いて冷えて熱を
効率よく外へ逃がす
プレートは表面で冷やされるので堅い
対流で駆動されるので差応力発生
-->プレートに関連して地震発生
プレート
プレートテクトニクスの基本的考え
地球表面の変動を説明する理論
1.複数枚のプレート
2.互いに運動
プレート
プレート境界
プレートの内部は
堅すぎるので
プレート
3.地震はプレート境界
で起こる
瀬野(1995)
世界の地震活動(100km以浅)
オホーツクプレート
ユーラシアプレート
フィリピン海プレート
太平洋プレート
地震の帯で囲まれたところがプレート
(国際地震センター 1970-1985 M≧4 depth≦100 km )
プレートの境界付近で起こる地震には
二つのタイプがある
すべりタイプ
プレートとプレートの間で起こる
プレート間地震
破壊タイプ
プレート内部で起こるプレート内地震
プレートの別のプレートに対する運動
横ずれ
離れる
近づく
沈み込み帯
沈み込み
スラブ
日本付近はこのタイプ
瀬野(1995)
陸側のプレート
Volcanism
沈み込み帯
Oceanic plate
Continental plate
スラブ
Subduction
海側のプレート
沈み込み
堅いが堅すぎでもない
プレート運動で差応力大
地震発生領域
沈み込み帯で起こる地震の三つのタイプ
二つのタイプ
すべりタイプ
破壊タイプ:陸側プレート内地震
破壊タイプ ->二つ
すべりタイプ:プレート間地震
3 三男
1 長男
長男
三男
アウターライズ
海溝
陸側プレート
海洋プレート
アセノスフェア
60 km
100 km
地震三兄弟
ブ
スラ
アセノスフェア
2 次男
次男
破壊タイプ:スラブ内地震
長男:すべりタイプ
1994 年三陸はるか沖(M 7.6)
陸側のプレート
日本海溝
海側のプレート
沈み込み
余震
Nakayama and Takeo (1997)
長男:関東-東海地方
中部日本
1854安政東海地震
間隔220年、段丘からは400年
1923大正関東地震
~400
〜400 yrs
~1500
1703元禄関東地震
固有
プレートテクトニクスから期待される関東地震の繰り返し間隔
1923大正関東地震
6 mのすべり
(Ando, 1971)
6 m/2.7 cm/yr
= 220年
プレート相対速度 (Seno et al., 1993)
次男:スラブ内地震
伊豆-小笠原
フィリピン海プレート
太平洋プレート
Van der Hilst and
Seno (1994)
太平洋スラブ
次男
東北地方地震活動東西断面
オホーツクプレート
三男
三男
海溝
アウターライズ
次男
Hasegawa et al. (1978)
三男:2007年7月16日中越沖地震M6.8
活断層
(a)
(b)
地表に表れていな
いが、地形に表れ
ている活断層
地表に表れている
活断層
(a)
地表に表れていな
い活断層
(b)
活断層に伴う亀裂
や地滑り
(c) 亀裂や地滑りのみ
日本付近のプレート
陸側プレート
オホーツクプレート
ユーラシアプレート
太平洋プレート
海側プレート
フィリピン海プレート
瀬野(1995)
4800万年前
4200万年前
フィリピン海プレートが
なぜ存在するのか?
現在
消滅
部分
成長消滅しながら南から
やって来た
現在
消滅
部分
3000万年前
1700万年前
伊豆
Seno and Maruyama (1984)
小笠原
関東地方でのプレートの沈み込み
オホーツクプレート
ユーラシアプレート
沈み込み
太平洋プレート
沈み込み
沈み込み
二重の沈み込み
沈み込み
フィリピン海プレート
関東
オホーツクプレート
太平洋スラブ
フィリピン海スラブ
オホーツクプレート
Yoshioka et al. (1994)
関東地方北西断面
長男
プレート内地震 三種類
PHS
長男
三男
PAC
OHK
オホーツクプレート
次男
プレート間地震 三種類
次男
長男
PHS-OHK
PAC-PHS
PAC-OHK
Modified from Nakajima and Hasegawa (2010)
微小地震活動断面
三男: OHK
次男: PHS
長男: PHS-OHK
オホーツクプレート
長男: PAC-PHS
地震
次男: PAC
長男: PAC-OHK
江口・堀 (2007)
地震の巣:平面と東西断面
布施新町
D
a
b
長男: PAC-PHS
長男:
PHSOHK
a
b
次男: PHS
D
長男: PACOHK
微小地震:堀 (1997)
1885îNà»ç~Å`åªç›
MÅÜ6.7
気象庁の観測が始まって以来の主な地震
1931êºçÈã
1895àÔèÈåßìÏïî
M7.0
M7.2
1921ó•ÉñçË
M7.0
これらの地震が地震調査
研究推進本部(文科省)の
30年で70%の確率の計算
に使われた
1894ñæé°ìåãû
M7.0
1894.10.7
M6.7
1987êÁótåßìåïÞâ´
M6.7
1922âYâÍêÖìš M6.8
éüíj
êºçÈ ã ÇÃÇ›éOíj
北側の三つの地震
1931西埼玉地震
(寄居付近)
M7.0
1895茨城県南部地震
M7.2
1921竜ヶ崎地震(牛久付近)
M7.0
1931西埼玉地震
三男: OHK
1921竜ヶ崎地震
次男: PHS
1895茨城県南部地震
次男: PAC
南側の三つの地震
1894明治東京地震
M7.0
1922浦賀水道地震
M6.8
1987千葉県東方沖地震
M6.7
1894明治東京地震
次男: PHS
1922浦賀水道地震
次男: PHS
1987千葉県東方沖地震
次男: PHS
1885îNà»ç~Å`åªç›
MÅÜ6.7
これらの地震による死者の数
1894明治東京地震の
震度(中央気象台)
1931êºçÈã
1895àÔèÈåßìÏïî
16
0
西埼玉以外は次男で、深い地震
1921ó•ÉñçË
大きな被害はもたらしていない
0
(1894年明治東京は煉瓦づくりのため)
1894ñæé°ìåãû
これが地震調査研究推進本部
「30年で70 %」で扱われた
M7級首都直下地震の実態1894.10.7
31
0
1987êÁótåßìåïÞâ´
2
もっと重要な問題がある
2
1922âYâÍêÖìš
éüíj
êºçÈ ã ÇÃÇ›éOíj
関東地方
N
7級関東地方下地震
EUR
36¡
OHK
1923大正関東地震
1854安政東海地震
M8級巨大長男: PHS-OHK
~400
1703元禄関東地震
~1500 固有
〜400 yrs
PAC
34¡
PHS
E
138¡
140¡
142¡
ç]åÀéûë„Å`åªç›
MÅÜ6.7
関東地震前70年後10年の間に起こる
M7級直下地震は関東地震前後の活動期に起こる
äàìÆäÝ
äàìÆäÝ
1703å•
ò\
1923ëÂê•
巨大長男
巨大長男
1855à¿ê°
1987êÁótåßìåïÞâ´
M6.7
M7級直下地震
M7級地震発生確率が30年で70 %
は過大評価
唯一の例外
M≧6.8では
例外なし
前に見た気象庁の観測が
始まって以来の期間
í•íj : ä÷ìåínêk
もっと前の期間
óLéjà»óàÅ`ç]åÀññäÝ
MÅÜ7
“M7クラスの関東地方直下地震は関東地震の前70年
後10年の活動期に起こっている”はやはり成り立つ
1703å•
ò\
818
878
1923ëÂê•
1293
1257
1649
1855à¿ê°
大正関東の68年前
í•íj : ä÷ìåínêk
M7級直下地震
沈み込み帯プレート断面図
次男
三男
長男
次男
沈み込み
関東地震
巨大長男
前にみた7級地震は関東大地震の前70年
後10年の期間に起こっている
オホーツクプレート
江口・堀 (2007)
1855安政江戸地震
の震度分布 M6.9
死者1万人
宇佐美 (2003)
1855安政江戸M6.9
PHS-OHK 長男
OKH 三男
東京湾北部地震M7.3の震度想定
この地震は架空の地震
断層面
中央防災会議(2005)
確率予測:その2
東京大学地震研究所
酒井・平田グループ
地震の数をある地域,ある期間で総計すると
Mが1増えると数が1/10となる法則を使う
点線部分:観測された地震なし
M7級地震が4年で70 %
3.11以降9月までM6以下の
地震の数は5倍くらい増えた
3.11前の期間の地震の数のM
に対するプロット
そもそもM7級地震の数は
誤差が大きい
M6を少し越える地震が
起こっていないことは
この法則自体と矛盾
このダイアグラムの上側の直線は、彼らの使用したデータでなく、
ここで説明のため便宜的に用いたものであることをお断りします。
布施新町に比較的近くて、起こる
可能性があるかもしれない地震
1921竜ヶ崎(牛久付近)地震
M7.0
次男: PHS
ブロックB
ブロックA
地震波速度
ブロック境界で0.5~0.9 cm/yrでずれている
Nakajima and Hasegawa (2010)
もしこれが本当なら1921地震以来M6.4~7の
地震相当のすべりをため込んでいる
1921竜ヶ崎地震の震度
震央
布施新町
宇佐美(2003)
耐震,改築,防災に対する基本的な
スタンス
地震の危険度が高い場合にはそれなりの
準備・対策(耐震化,改築など)がいる
地震の危険度が低い場合には
多額の費用をかけた準備・対策はなくて
もかまわない 次の関東地震まで少なくとも130年はある
首都圏
ただし原発はこの限りではない
(とは言え3.11まではこの考えで耐震を行っていた)
まとめ
首都圏直下あるいは東葛地域周辺下の地震は、
むやみに恐れる必要はない
なぜならば,M7級直下地震は次の関東地震の前70年後10年の
期間に起こり、次の関東地震はあと少なくとも130年先だから
しかし
これは経験則なので、地震が絶対起こらない
と断言は出来ない
牛久あたりの下約50 kmの深さで
最大M7の地震が起こる可能性はあり得る
またあと60年くらいで危険期間に入る
付録
宮城県沖地震の発生予測と3.11東北日本沖地震
瀬野 (1977)の予測
40Þ
39Þ
38Þ
1978宮城沖
地震
37Þ
2011東北沖
地震 すべり量
Iinuma et al. (2012)
36Þ
km
0
5
10
15
20
25
30
35 0
100
200
The End