対ベトナム知的支援 NEU-JICA共同研究プロジェクト 国際統合時代の工業化戦略 2000~2003年夏(延長可能性?) 「石川プロジェクト」1995~2001から派生 日本側研究者8名 国民経済大学(ハノイ)を中心に越側21名 プロジェクトの目的 重要産業の内外状況を精査し、現実的・具 体的な政策アドバイスを行う 実物部門重視、各産業の個性重視 政策インパクトの重視(計画中) --オールジャパン(大使館、JICA、JBIC、JETRO...) --オールドナー(日本、UNDP、EU) --越政府・・・国際経済協力国家委員会(NCIEC)? 広報活動 政策対話(シンポジウム、鉄鋼集中セミ ナー、省庁訪問、大使館との協力など) 本の出版(日・英・越) ディスカッションペーパー・議事録・プレスリ リースなど http://www.neujica.org.vn/ (英語) http://www.grips.ac.jp/forum/ (日本 語) 背景 途上国のグローバリゼーションと政府の役 割ーー市場経済の創造と国際統合管理 ベトナムの統合準備は未熟ーー企業競争 力欠如、政策の内容・安定性に問題 世界銀行・英国・北欧などによる「貧困削 減」重視ーー貿易・投資を通じた成長を忘 れないように!(越政府も同感) われわれの基本認識 ベトナムの国際統合とはーー外来システ ムの侵入とそれへの適応の10年(評価?) 政策によるが、高成長持続の可能性あり 経済社会の二重性: 旧経済(国営・地場)vs新経済(外資主 導) 市場経済の未発達 政府の政策能力の未熟(改善中) 既存の世界システム 民主主義、市場経済、産業技術、世界観など (+)社会変容のダイナミズム 途上国 (‐)新たな歪み・二重性の発生 国内部門 輸出部門 (輸入保護、弱体) (自由貿易、競争力あり) 外資企業 外資企業 合弁企業 合弁企業 国内企業 (輸出加工区・工業 団地などに立地) リンクの不在 原材料・ 部品 組立加工品 グ ロ ー バ ル 生 産 ネ ッ ト ワ ー ク 市場経済の未発達 流通の未熟ーー契約の不履行、再交渉。 情報、リスク管理・マーケティング・金融機 能なし 素人的参入が大量発生。過剰供給、低価 格・低品質、偽物により、まともな企業が窮 地に陥り、全体の競争力は低下。 経営者にも政府にも、国際競争の概念が 十分浸透していない。 政策の不整合 外資誘致が最大の工業化戦略にもかかわらず、 その政策がまだ安定・促進的でない 国内付加価値を高め部品産業を育てたいが、や り方が強引で外資の不信を招いている 案件処理型の事後的対応が多く、近視眼的で将 来を見据えた対応が少ない 省庁縦割り・政治圧力により、一貫した政策を打 ち出せない 国際統合のリスク管理の必要 過剰参入のコントロール(含、外資)--こ れまではむしろ政府が助長 貿易自由化の速度--早すぎず、遅すぎ ず、危機回避しながら企業に努力誘因を 中国への対応(WTO交渉の教訓も) 世界価格変動、地域危機、価格破壊輸出 国などの外来ショックに対応する能力 われわれの基本的忠告(その1) 極端な政策は回避すること(完全自由・ 統制復帰など) 現実の経験から学べ 首相直属の経済エリート集団をつくれ 包括的な長期開発戦略を策定せよ 個別産業についても具体的・現実的戦略 を策定せよ われわれの基本的忠告(その2) 顧客レスポンスを高めるため流通機構を 整備せよ 国際統合の速度・順序は適切に 直接投資をフルかつ賢明に利用せよ 外圧や自由貿易約束もうまく利用せよ WTO加盟交渉の準備!(法律・制度だけ ではなく産業関心も) 直接投資誘致(輸出志向型) ベトナム工業化は、外資主導の電子・縫 製・靴・食品加工などが牽引するであろう 政策環境の不安定性が現在の最大問題 「集積」と「分散立地」のダイナミズムを品 目・工程ごとによく理解して政策をつくれ 現地化を無理押しせず、①組立型の集積 →②部品産業の立地→③技術移転・国内 価値増、の順を正しく踏むこと 内需型産業(含、外資)の政策 輸入障壁に守られた非効率企業をどう改善 あるいは退出させるかが問題 彼らの帰趨は、究極的には国際市場圧力 (AFTA・WTO)と企業努力が決める問題 明確で変更なしの自由化道程を示すこと 企業・政府が現実的な競争力増強戦略を 策定実施できるなら、短期的保護延長も可 繊維・縫製 政府の目標:①CMT型(全て外資依存)か らFOB型(原料自家調達)へ、②上流投資 国内流通が未熟な現在、FOB型はむしろ 工場のリスク・損失を高める CMT型を強化しながら、生産管理、マーケ ティング、デザインなどを学べ 上流投資は資金負担多く国際競争激しい 鉄鋼 政府内の議論:大規模一貫製鉄所を建設 すべきか否か(いずれにせよ非現実的) 眼前の2問題に集中すべし --新冷延ミルの立ち上げ・黒字操業 --棒鋼・線材の国内過剰への対処 電子組立 まず組立型・輸出型外資(部品・完成品を問わ ず)を積極的に呼び込み集積をつくる 安定的政策環境、低いビジネス費用を提供する 品目選別や現地化規制は行わず、企業の自由 な国際生産ネットワーク構築を支援する 同時に、組立企業のニーズに応える、強制的で ない形でサポーティング産業を育成していく 以上の誘致方針をマスタープラン化する おわりに:各産業共通の論点 越側に、「上流投資」「現地化要求」「フル セット産業化」を支持する意見あり 一方で、国際分業に食い込むためには、 労働集約工程に特化し、そこを強化して、 原材料はむしろ輸入せよという意見もあり 日本側は後者。世界市場の動態を理解し、 WTOに合致し、強制でなく自然な産業育 成をめざすよう、アドバイスを続ける
© Copyright 2024 ExpyDoc