介護予防の推進 - ゆき.えにしネット

国際医療福祉大学
公開講座
-医療福祉ジャーナリズム消費者庁次長
山 崎 史 郎
1
行政官という「当事者」について
※2010年、厚生労働省への入省志望者向けに話したこと
Ⅰ.「行政官」のこと
1.誰でもなれる (試験さえ通れば)
2.行政官に求められるもの ー3種の神器ー
①最高レベルの知識と情報
②国内外の人的ネットワーク
③国/国民へのロイヤリティ
3.行政官としての基本姿勢
①時間は限られている
②労を惜しまない
③「不作為」の責任
「与えられている環境下で、最大
限の努力を尽くし、次につなぐ」
Ⅱ.厚生労働省のこと
1.厚生労働行政で必要な2つの視点
①「鳥の目」=経済・財政・社会システムの視点
②「蟻の目」=現場・個人生活の視点
2.厚生労働行政と現場の「8の字」サイクル
3.「一生の仕事」として
①最も「身近な問題」が対象ーすぐに実感できる「手応え」
②本質は、「人」と「人」が支えあうこと
③年齢と経験で変わる問題意識ーライフワークとして
行政と現場の「8の字」サイクル
厚生労働省
現場・国民生活
○経済・財政・社会システ
ムとしての制度づくり
○効果と限界・問題点
○制度の実施・運用
○現場での新たな動き
4
私が行政官として歩んできた道
1978年 厚生省入省
1994年~2003年 厚生省で高齢者介護対策を担当
⇒介護保険制度の立案・実施
2006年~2008年 内閣府等で経済対策等を担当
⇒雇用対策・若者支援対策の立案に参画
・ジョブカード事業、パーソナル・サポート事業、社会的雇用創出事業
・社会的包摂ワンストップ相談支援事業
2011年~2012年 厚生労働省で社会・援護行政を担当
⇒生活困窮者支援対策、認知症対策の立案に参画
2013年 内閣府で共生社会対策を担当
⇒障害者差別解消法案の立案に参画
2014年 消費者庁で消費者保護対策を担当
高齢者介護
(高齢者医療福祉政策の歴史)
年
代
高齢化率
1960年代
高齢者福祉政策の始まり
5.7%
(1960)
1970年代
老人医療費の増大
7.1%
(1970)
1980年代
社会的入院や寝たきり
老人の社会的問題化
9.1%
(1980)
1990年代
ゴールドプランの推進
12.1%
(1990)
介護保険制度の導入準備
14.6%
(1995)
17.4%
(2000)
2000年代
介護保険制度の実施
22.1%
(2008)
主 な 政 策
1961
1963
国民皆保険・皆年金
老人福祉法制定(特別養護老人ホーム創設、老人家庭奉仕員(ホー
ムヘルパー)法制化
1973
老人医療費無料化
1982
老人保健法の制定(老人医療費の一定額負担の導入等)
1986
老人保健施設の導入
1990
「ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進十か年戦略)」の開始
1994 高齢者介護・自立支援システム研究会報告
1996
1997
介護保険法案、国会提出
介護保険法成立
1999
与党3党による制度見直し決定(高齢者保険料の半年間免除等)
2000
介護保険施行
2005
介護保険法の一部改正
2011
介護保険法の一部改正
2012
介護保険料・介護報酬改定
介護保険料・介護報酬改定(2003,06,09)
介護保険の基本理念
自立支援
高齢者の介護を社会全体で支え合う(介護の社会化)
介護保険制度の導入
(制度面)
社会保険方式の導入
行政処分
低所得者等に限定
措置=予算主義
(サービス面)
契約方式
一般国民を対象
社会保険=決算主義
ケアマネジメントの導入
医療と福祉でバラバ
ラのサービス体系
サービスの一元化
ケアプランの策定
介護サー
ビスの利
用拡大
本人にふさ
わしい介護
サービスの
提供
65歳以上被保険者数
○ 65歳以上の被保険者数は、10年で約730万人(34%)増加。
被保険者数
2000年4月末
2003年4月末
2010年4月末
2,165万人
2,398万人
2,895万人
要介護(要支援)者数
○ 要介護認定を受けている者は、10年で約269万人(123%)増加。
認定者数
2000年4月末
2003年4月末
2010年4月末
218万人
348万人
487万人
介護サービス利用者数
○ 9年で、居宅は210%、施設は60%、全体で158%の増加。
2000年4月
2001年4月
2002年4月
2009年4月
居宅サービス
97万人
142万人
172万人
301万人
施設サービス
52万人
65万人
69万人
83万人
149万人
207万人
241万人
384万人
合
計
※2009年4月の「居宅サービス」は、地域密着型サービスを含む。 (出典:介護保険事業状況報告)
介護保険制度に対する評価
国民の評価
○ 介護保険制度の施行以降、制度を評価する割合が増え、2010年2
月では、約96%となっている。
「介護保険制度を評価しているか」との問いに対する回答
100%
大いに評価し
ている
90%
多少評価して
いる
70%
あまり評価し
ていない
50%
7.4
10.1
13.1
36.4
80%
36.4
37
44.9
60%
40%
全く評価して
いない
30%
答えない
10%
36.7
34.9
60
25.5
20%
9.4
8.3
8
10
9.6
8.6
0%
2000年9月
2001年9月
2003年8月
3.1
0.1
0.5
2010年9月
(読売新聞世論調査<対象:全国市町村>)
認知症①
○認知症高齢者の増大
<認知症高齢者数(日常生活自立度Ⅱ以上)>
将来推計
平成22年
(2010)
前回推計
208万人
(7.2%)
今回推計
280万人
(9.5%)
平成27年
(2015)
平成32年
(2020)
平成37年
(2025)
250万人
(7.6%)
289万人
(8.4%)
323万人
(9.3%)
345万人
(10.2%)
410万人
(11.3%)
470万人
(12.8%)
<認知症高齢者の居場所(平成22年9月末)>
居宅
日常生活自
立度Ⅱ以上
140万人
特定施設
グループホ
ーム
10万人
14万人
介護老人福
祉施設
介護老人保
健施設等
医療機関
合計
41万人
36万人
38万人
280万人
認知症②
○「認知症施策検討PT」報告(24年6月)が指摘する課題
1.「ケアの流れ」をめぐる課題
・早期対応の遅れから認知症の症状が悪化し、行動・心理症状等
が生じて、医療機関を受診している。
・現状は、認知症の人について「危機」(行動・心理症状)が発生して
からの「事後的な対応」が中心。
・認知症の人は「在宅で生活することは難しく、施設や精神科病院に
入所・入院する」という考えが一般化。
2.「医療・介護サービス」をめぐる課題
・不適切な薬物使用により精神科病院に長期入院するケースがある。
・一般病院が、認知症への対応力の不足等から入院を拒否する。
・在宅生活を支える在宅サービス等が十分整備されていない。
・グループホームの入所者の重度化への対応が十分でない。
・介護施設において、認知症への対応力の不足から、入所・利用を
拒否するなどの問題がある。
認知症③
○ 「認知症施策検討PT」報告(24年6月)が指摘する課題
3.「認知症ケア」の連携をめぐる課題
・日常的なケアの場での継続的なアセスメントが不十分であるため、
適切な認知症のケアが提供できていない。
・認知症ケアの介護と医療の連携の取組が遅れている。
・医療・介護従事者に対する認知症ケアの研修は、機会が少なく、ま
た、分野別に行われており、ケアの現場での連携がとれていない。
4.「日常生活支援・家族支援」をめぐる課題
・日常生活を支える観点からの認知機能低下予防や総合相談支援、
権利擁護などの取組が遅れている。
・家族に対する支援施策が十分でない。
・若年認知症に対する支援が十分でない。
認知症④
認知症ケアの課題の本質
「ケアマネジメント」が機能していない
【「ケアマネジメント」に求められる機能とは】
○ケアプラン機能
○アドボカシー機能
認知症⑤
認知症ケアの課題の本質
「ケアプラン機能」の問題
医療と介護の連携
アセスメント
ケアチーム
ケアプラン
診
断
ケアパス
認知症⑥
「ケアプラン機能」の問題
日常的なケアの場でのア
医療・介護サービス機関におけ
セスメントが不十分
る認知症への対応力が不足
医療と介護の連携
アセスメント ができていない
ケアチーム
ケアプラン
診
断
ケアパス
早期に的確な診断と対応
危機(行動・心理症状)が発生し
が行われていない
てからの「事後的な対応」が中心
認知症⑦
標準的な認知症ケアパスの概念図
~ 住み慣れた地域で暮らし続けるために ~
気づき~診断まで
日常在宅ケア
引き継ぎ
認知症初期集中
支援チーム
ケアマネジャー
居宅サービス
地域密着型サービス等
チーム員会議
(地域ケア会議)
27
家族
気づき
本人
医
療
分
野
老健施設等
相談
自宅
認知症
疑い
日常在宅ケア
急性増悪期のアウトリーチ
や電話相談
地域包括支援
センター等
介
護
分
野
急性増悪期ケア
検
査
や
診
察
の
紹
介
初
ア回
セ
ス
メ
ン
ト
訪
問
短期入所等施設を
利用したサービス
要介護
認 定
自宅
介護サービス
必要時
急性
増悪期
本人
受診
日常診療
認知症行動・心理症状悪化時
などの急性増悪期診療
相談
かかりつけ医
確定診断
認知症疾患
医療センター
短期治療
(精神科医療機関等)
日常診療
認知症⑧
「アドボカシー機能」の問題
高齢者の消費者被害・相談状況
高齢者の1件当たりの平均被害金額も増加
250
高齢者からの相談件数は増加
204
200
183
237
142
150
250,000
189,569
200,000
154,035
199,175 207,513
100
96
110
215
210
190
137
113
106
50
164,033 170,868
0
2007
150,000
100,000
2008
2009
平均契約購入金額
2010
2011
平均既支払額
高齢者の二次被害も増加傾向
12,000
9,949
10,000
50,000
2012
8,771
8,000
6,641
6,000
0
2007
2008
2009
2010
2011
2012
4,000
3,518
2,359
2,624
2007
2008
2,000
0
2009
2010
2011
2012
認知症⑨
「アドボカシー機能」の問題
消費者保護のための「地域体制づくり」
1.地域協議会の構築等
○「消費者安全の確保のための地域協議会」に関する法的整備
・消費者安全の確保及び地域の見守りネットワーク作りの観点から、「地域協議会」を都道府県及び市町村
が設置できることを法律に規定
○「消費生活協力員」や「消費生活協力団体」の確保と活動の活性化
・消費者が安全な消費生活を営めるような地域づくりを行うために、「消費生活協力員」、「消費生活協力団体」を法律
で位置付け
2.消費生活相談情報等の活用に向けた基盤整備
○消費生活相談情報等に関する法的整備
・消費生活相談関連情報等を見守り活動に利用できるようにするとともに、守秘義務規定や情報管理措置等
のルールを整備
○PIO-NETによる消費生活相談情報等の共有
生活困窮者
自殺①
日本の自殺者数 15年ぶりに「3万人」を下回る
36,000
33,000
30,000
27766
27,000
24,000
21,000
18,000
15,000
12,000
9,000
6,000
3,000
0
1
9
7
8
年
1
9
7
9
年
1
9
8
0
年
1
9
8
1
年
1
9
8
2
年
1
9
8
3
年
1
9
8
4
年
1
9
8
5
年
1
9
8
6
年
1
9
8
7
年
1
9
8
8
年
1
9
8
9
年
1
9
9
0
年
1
9
9
1
年
1
9
9
2
年
1
9
9
3
年
1
9
9
4
年
1
9
9
5
年
1
9
9
6
年
1
9
9
7
年
1
9
9
8
年
1
9
9
9
年
2
0
0
0
年
2
0
0
1
年
2
0
0
2
年
2
0
0
3
年
2
0
0
4
年
2
0
0
5
年
2
0
0
6
年
2
0
0
7
年
2
0
0
8
年
2
0
0
9
年
2
0
1
0
年
2
0
1
1
年
2
0
1
2
年
警察庁「自殺の概要資料」
自殺②
1998年(平成10年)の値を100とした年齢階級別の自殺死亡率の推移
出典:平成24年版自殺対策白書
自殺③
○自殺はその多くが追い込まれた末の死である
「自殺の危機経路」事例
(「→」=連鎖、「+」=併発)
【無職者(就業経験あり)】
① 失業→生活苦→多重債務→うつ病→自殺
② 連帯保証債務→倒産→離婚の悩み+将来生活への不安→自殺
③ 犯罪被害(性的暴行など)→精神疾患→失業+失恋→自殺
【被雇用者】 ① 配置転換→過労+職場の人間関係→うつ病→自殺
② 昇進→過労→仕事の失敗→職場の人間関係→自殺
③ 職場のいじめ→うつ病→自殺
【自営者】
① 事業不振→生活苦→多重債務→うつ病→自殺
② 介護疲れ→事業不振→過労→身体疾患+うつ病→自殺
③ 解雇→再就職失敗→やむを得ず起業→事業不振→多重債務→生活苦→自殺
【無職者(就業経験なし)】
① 子育ての悩み→夫婦間の不和→うつ病→自殺
② DV→うつ病+離婚の悩み→生活苦→多重債務→自殺
③ 身体疾患+家族の死→将来生活への不安→自殺
【学生】
① いじめ→学業不振+学内の人間関係(教師と)→進路の悩み→自殺
② 親子間の不和→ひきこもり→うつ病→将来生活への不安→自殺
NOP法人ライフリンク「自殺実態1000人調査」
自殺④
自殺を考えてから亡くなるまでの年月
2
女性
1
2
1
男性
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
年
無職(稼働世代)
無職(学生)
無職(主婦)
被用者(非正規)
被用者(正規)
自営業者(継承)
自営業者(起業)
NPO法人ライフリンク
「自殺実態白書2013」
年
22
社会的包摂ワンストップ相談支援事業の電話相談状況①
<社会的包摂ワンストップ相談支援事業(寄り添いホットライン)>
・24時間、365日、無料の電話相談 ・37の地域センターに相談員約2500人配置。コーディネ―
ター40人配置 ・支援を担う連携団体は629団体
○2014年4月~2015年3月の1年間で、電話件数は約1,088万件(1日3万件)。
○相談者の年齢構成を見ると、40代が最も多く、次いで30代、50代、20代の順となっている。
○相談者の内訳は男性と女性がほぼ半数ずつの状況。孤立者の割合が高い(特に男性)
【年齢別相談割合】
(N=10,000)
70代
1%
50代
18%
60代
6%
40代
36%
【性別相談割合】
(N=10,000)
10代
4%
不明
20代
11%
30代
24%
女性
52%
男性
47%
23
(出典)一般社団法人社会的包摂サポートセンター平成24年度報告書
社会的包摂ワンストップ相談支援事業の電話相談状況②
○相談内容については、「心と体の悩み」が最も多く7割近くを占め、次いで「家庭問題」、「人間関係
の悩み」、「労働問題」、「生活・経済問題の順となっている。
○相談者の「心の状態」については、「不安感」が6割と「孤立感」が 近く、「孤立感」が3割近くを占め
ている。「死にたい」が1割になっている。
80%
70%
60%
50%
40%
【相談内容の内訳】
(N=10,000)
60.00%
【相談者の心の状態】
(N=10,000)
50.00%
40.00%
30.00%
30%
20%
20.00%
10%
10.00%
0%
0.00%
24
(出典)一般社団法人社会的包摂サポートセンター平成24年度報告書
社会的包摂ワンストップ相談支援事業の電話相談状況③
解雇とDVの事例
【30代 女性】
○就職していたが体調不良となり解雇され、職場の寮を追い出された。
その後ネットカフェ等で過ごしていたが、体調が悪化。生活保護申請に
行ったが、寮付の仕事を探せと追い出された。また、DVで加害者から逃
れており、残してきた子どもを取り戻したいとの訴えもあった。
○コーディネーターが最寄駅で合流し、民間支援団体のシェルターへ同
行。翌日から、電話で安否確認を続けながら、生活保護申請を同行支
援。専門員の弁護士を紹介し、離婚と子どもの親権問題を支援。
生活困窮とヤミ金
【40代 男性】
○父子家庭。息子一人。月収20万円弱と父子手当てを受けて生活してい
たが、ヤミ金とギャンブルで賃金を使い果たし退職。
家賃や電気、ガスの滞納もある。市役所や社会福祉協議会の借入は相
談したもののできなかった。親戚には愛想を尽かされている。
○食糧支援で支援員が訪問。子どもはネグレクトで明らかに虐待ともいえ
る状況であり、児童相談所にも電話をしたが、「事件が起きているわけで
はないから」と動いてくれなかった。
クレジット・サラ金の相談を受ける弁護士に債務の解消を依頼。結果とし
て本人は仕事に復帰でき、現在は、別の企業で働くことができ、子育てを
する余裕もできてきた。
家庭の中の暴力の事例
【30代 男性】
○17歳の時から両親に暴力を受けていた。20代で両親から離れるために
他県に就職したが、社会でいじめに遭いうつ病発症。心療内科に通う。そ
の後会社が倒産し、しかたなく実家に戻る。親には「死んでしまえ。病気
を持ってるお前なんて生きてる意味ない」等虐待され続け、自律神経失
調症、パニック障害、PTSDなどを発症。引きこもり状態となる。
○親戚も友人もなく、インターネットで知ったよりそいに電話。地域センター
のコーディネーターが面接し障害者支援者団体を紹介。担当の支援者が
介入し、施設へ入寮することができ、適切な医療にもつなげることができ
た。
発達障害に悩む事例
【40代 男性】
○独身。仕事を探しても見つからず死んだほうがいいように思う。そうでな
ければコンビに強盗をして刑務所に入りたい。自分は昔から人間関係が
うまく行かず、不登校になり、高校を中退した。正規に働いたことはなく、
アルバイトも長続きしない。昨日もコンビニをやめた。
自分の経歴ではもう仕事はないと思うし、まともな結婚も出来ない。仕事
についても、指示の内容の理解もできない。就職活動も無駄に思えて、
何もしたくない。親も友達もいないので、誰にも相談出来ないとのこと。
○自殺念慮が高く加害行為も想定されたため、コーディネーターが連携の
ある地域の若ものサポートにかかわる民間団体の相談員につなぐ。そこ
で問題を整理していくと、発達障がいがあることも分かったため、発達障
害の就労支援グループと交流し、人間関係ができつつある。
子どもの貧困①
子どもの貧困①
29
子どもの貧困②
学歴が貧困率に与える影響
性別、学歴別、年齢層別:貧困率(2010)
45%
40%
中卒(男)
35%
高卒(男)
30%
25%
大学以上(男)
20%
15%
中卒(女)
10%
高卒(女)
5%
0%
20歳代
•
•
•
30歳代
40歳代
50歳代
60歳代
70歳以上
大学以上(女)
「平成22年国民生活基礎調査」特別集計
学歴別、年齢層別の貧困率でみると、特に若年層においては「中卒(高校中
退を含む)」の貧困リスクが非常に高い
学歴プレミアムは貧困リスクの差という形で一生つきまとう
30
出所:内閣府男女共同参画会議 基本問題・影響調査専門調査会 女性と経済WG 第8回資料3. 2011.12.20.
生活困窮者支援の課題
社会保障制度の基本構造
◎「自立支援」 =本人の「自己選択・決定」を支援する
1.「申請主義」
・利用者が、サービスや給付を行政窓口に申請することが基本
(利用者の選択ー契約方式)。
・「契約方式」を前提としつつ、利用者の権利行使を支援する仕
組みを導入(ケアマネジメント、権利擁護事業)
2.「専門分化」
・利用者の特性や専門的ニーズに対応し、各サービス分野の専
門性を重視した支援体制・担当者を目指す。
・このため、分野ごとに行政や制度が分立する構造が形作られた。
「最も弱い当事者」は、制度にアクセス「できない」、
若しくは「しない」
自立相談支援ー「包括的」かつ「継続的」な支援
「官民協働」の支援態勢
福祉事務所やハローワークとNPO、社会福祉法人、
消費生活協同組合、民間企業との連携
早期把
握
「包括的」かつ「継続的」な支援
【
相
生
活
困
窮
者
談
○総合的な
アセスメント
窓
本人の主体性と
多様性を重視
○自立生活のためのプランの
作成
○各機関の連携による「チー
ム支援」の実施
○再アセスメントによ
る 評価
○プランの見直し
口
】
ア
ウ
ト
リ
ー
チ
も
重
視
フォローアップ
各分野の支援事業・支援機関
○一時
支援
○就労準備支援
○就労訓練援
○家計相談支援
○住居確保給付金
○学習支援
生
活
困
窮
状
態
か
ら
の
脱
却
等
32
新たな「生活困窮者支援制度」の考え方①
支 援 が 必 要 な 人
経済的困窮
社会的孤立
高
齢
者
介
護
障
害
者
福
祉
新たな「生活困窮者支援制度」
ケースワーク・生活保護
地域福祉
33
新たな「生活困窮者支援制度」の考え方②
◎「相談支援」の重要性
◆要支援者を「発見し」、「受け止め」、制度に
「つなぎ」、必要ならば「引き戻す」機能
障害者差別解消法のポイント①
1.差別の禁止
(行政機関等)(民間業者)
○「不当な差別的取扱い」の禁止 法的義務
法的義務
(例)・障害者のバス・タクシーの乗車拒否を
禁止
・障害を理由に雇用しないことを禁止
○「合理的配慮の不提供」 の禁止 法的義務 努力義務
(実施に伴う負担が過重でないとき)
(例)・障害者が乗り物に乗車する際の職員
の誘導
・筆談や読み上げなどコミュニケーション
の確保
※ガイドラインで「不当な差別的取扱い」や「合理的配慮の提供」の具体的事例提示
障害者差別解消法のポイント②
2.差別解消の進め方
①刑法的なアプローチ ×
・義務違反に対して刑事罰を課す。
②民法的なアプローチ ×
・民法の特例としての無効・損害賠償等を定める。
③行政的なアプローチ ○
・行政が、事業者に対して報告徴収・助言・指導・勧
告といった行政措置を講ずることができる。
④地域的なアプローチ ○
・地域(当事者が参加)のレベルで、差別解消の相
談、紛争防止・解決に取り組む。
障害者差別解消法のポイント③
3.「地域差別解消支援地域協議会
障害者
相談
相談
相談
どこに相談していいか分からない
「たらい回し」や「すき間」
地方公共団体
の相談窓口
国の相談窓口
国の相談窓口
○相談の受け止め・相談窓口の紹介
○相談事例に関する関係機関の情報共有・協議
○地域における差別解消に向けた取組推進
地域協議会(地方公共団体と国の共同機関)
※障害当事者、団体・NPO関係者も協議会メンバーに参加
「自立支援」と「共生支援」
高
齢
者
・
障
者害
者
・
生
活
困
窮
介 護
孤 立
自立支援
(「自己決定・自己実現
すること」を支援)
制度と現場の「8の字」サイクル
制度(行政)
現場(ケア)
○制度の立案・実施
○現場での取り組みや
生活視点から提案
○制度の効果と問題点
-「排除」「縦割り」
○現場・個人的な取組の
限界