第2章 図書館のしくみ 1.図書館のシステム構成 ・システムという見方 図書館をシステム(運営していく仕組み)とし て捉える。図書館というシステムの置かれて いる立場を分析する。 図書館をとりまくシステム構成 (1)上位機関(地方公共団体、大学、学校、企 業など) (2)図書館 (3)サービスを受ける利用者 (4)ステークホルダー(図書館に関係する 人々) (2)図書館の構成要素 A.収集された資料 B.資料を収納するための施設、設備 C.図書館を運営する職員 a.資料 ・資料は図書館にとってもっとも基本的な構成要素 ・図書館の成立過程 まず資料があり、その資料を保管するために図 書館が生まれた ・資料は人類の文化的活動の所産である ・図書館は人類の文化遺産を公共的な立場から蓄 積・保存し、その共同利用を促進する ◎図書館資料の種類 1)手書き資料(書写資料) 2)印刷資料 図書、雑誌、新聞、パンフレット、地図など。 3)手書き以外の非印刷資料 (a)視聴覚資料 (b)マイクロ資料 (c)デジタル資料 (d)点字資料、さわる絵本など 4)実物、標本、模型類 b.施設・設備 (1)規模と立地 ・(公共図書館)サービス対象地域と面積、対象人 口、想定登録者数、等をまず考えて、全域サービ スにふさわしい中央館および分館の配置と規模 を計画する。 西宮市の例 (2)図書館建築と施設(全体計画) 想定登録者数、想定貸出冊数、必要開架図書 (資料)数、座席数、集会室人数と室数、想定職 員数、等を算出する。各部分に対する面積を算 出し積み上げて、総面積を割り出す。 (3)図書館建築と施設(各部の計画) ①開架室を大きくゆったりと ②開架室は主階に置く ③出来ればワンフロアーに ④入口と館内の段差をなくす ⑤床荷重 (3)図書館建築と施設(各部の計画) (続) ⑥拡張性とモジュラー設計 ・図書館建築で大事なことは、「機能と空間 の拡張性」である。また柱を出来るだけ少 なくして、機能の変化に対応できるように する「モジュラー設計」も図書館でよく用い られる。 ◎モジュール(基準寸法):建物の基準寸法 (モジュール)をもとに設計して、拡張性や 配置の自由度を高める方法 c.図書館職員 図書館職員の種類 (1)館長など管理的業務に属する者 (2)専門的な職務に従事する者 (3)一般事務あるいは補佐的な業務に従事 する者 c.図書館職員(続き) 図書館法第4条で定める図書館職員 第4条 図書館に置かれる専門的職員を司書及び 司書補と称する。 2 司書は、図書館の専門的事務に従事する。 3 司書補は、司書の職務を助ける。 図書館法は、公共図書館だけを規定する法律であ るが、司書は、実際上どの図書館でも通用する 資格となっている。 c.図書館職員(続き) 近年における図書館職員の問題点 正職員採用の減少 非正規職員の増加 業務の外注や委託の増加 司書資格制度の改定 図書館法第5条 次の場合に、司書資格が与えられる。 1.大学を卒業した者で大学において図書館に 関する科目を履修したもの 2.大学又は高等専門学校を卒業した者で第6条 の規定による司書の講習を修了したもの 法改正により科目制度が変わった。2012年度か らは、新しい科目群による教育が実施される。
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