モーダルシフトの シミュレーションの続き

熊野雄太

設定
◦ 輸送手段 鉄道、海運、トラック
◦ 評価項目 CO2排出量、料金、輸送時間
◦ CO2原単位
 鉄道
21 g-CO2/トンキロ
 海運
38 g-CO2/トンキロ
 営業用トラック 153 g-CO2/トンキロ
◦ 輸送貨物 10トン
◦ 輸送路
 輸送路1 約1000km
 出発地 北海道室蘭市(北海道の三大工業都市のひとつ)
 到着地 東京都大田区(京浜工業地帯)
 輸送路2 約700km
 出発地 岡山県倉敷市(瀬戸内工業地域)
 到着地 東京都大田区
料金(円)
輸送路1 約1000km
350000
300000
250000
200000
150000
時間(分)
100000
1600
50000
1400
0
1200
鉄道
海運
トラック
トラック(仮)
トラック
トラック(仮)
1000
800
600
CO2(kg)
400
2000.0
200
0
鉄道
海運
トラック
トラック(仮)
1500.0
1000.0
500.0
0.0
鉄道
海運
料金(円)
輸送路2 約700km
140000
120000
100000
80000
60000
時間(分)
40000
1600
20000
1400
0
鉄道
1200
海運
トラック
1000
800
CO2(kg)
600
400
1200.0
200
0
1000.0
鉄道
海運
トラック
800.0
600.0
400.0
200.0
0.0
鉄道
海運
トラック
結果
 輸送路1 約1000km
◦ 鉄道、海運はトラックに比べ時間はかかるが、料金、CO2排
出量の値は低かった
◦ 海運は港までの距離が遠い分、鉄道よりも料金、CO2排出
の値は高くなった

輸送路2 約700km
◦ 鉄道、海運はトラックの2倍以上の時間がかかる
◦ 料金はどれも同じぐらい
◦ トラックのCO2排出量は、鉄道の約5倍、海運の約3倍になっ
た

輸送路3 東京~名古屋(約400km)についても同様に計
算

旅客部門について鉄道と自動車による移動を比較

環境税の導入の検討

輸送路3 東京~名古屋
◦ 鉄道
工場
JR貨物がトラックを含めた一貫輸送を提供
6.2km
トラック
21分
JR貨物東京ターミナル駅
7:55 荷役線出発 締切は20分前
9:43 駅出発
367.4km
鉄道
8時間20分
JR貨物名古屋ターミナル駅
工場
7.2km
トラック
19分
18:03 駅到着
19:42 荷役線入線 到着してから点検、荷役を行
う。最速で30分
鉄道
距離(km)
CO2(g)
料金(円)
時間(分)
大田区工場
↓
6.2
9486
21030
40
荷役
JR貨物東京駅
↓
21
108
367.4
77154
50000
500
JR貨物名古屋
ターミナル駅
99
荷役
50
↓
7.2
11016
19170
19
名古屋工場
540
合計
380.8
97656
90200
837
◦ 海運
工場
15.5km
トラック
29分
17:00 出発 出発の1時間前には搬入
東京港
452.4km
フェリー
15時間
名古屋港
工場
18.6km
トラック
38分
8:00 到着 船到着からトラック出発まで大体30分
海運
距離(km)
CO2(g)
料金(円)
時間(分)
大田区工場
↓
15.5
23715
25830
53
荷役
80
東京港
↓
452.4
171912
77472
900
30
名古屋港
荷役
↓
18.6
28458
25470
38
名古屋工場
991
合計
486.5
224085
128772
1101
◦ トラック
東京~名古屋 58000円(高速料金別)
工場
359km
トラック
4時間58分
工場
高速道路使用
トラック
距離(km)
CO2(g)
料金(円)
時間(分)
大田区
359
549270
298
高速料金
21950
運送会社
58000
↓
名古屋工場
合計
359
549270
79950
298
CO2(kg)
料金(円)
時間
鉄道
97.7
90200 13時間57分
海運
224.1
128772 22時間37分
トラック
549.3
79950
4時間58分
料金(円)
輸送路3 約400km
140000
120000
100000
80000
60000
40000
時間
20000
0
1200
鉄道
1000
海運
トラック
800
CO2(kg)
600
400
600.0
200
500.0
0
400.0
鉄道
海運
トラック
300.0
200.0
100.0
0.0
鉄道
海運
トラック

環境税導入の検討
CO2排出に税金をかける。
それにより、トラックの料金を高くしてモーダルシフトを促進す
る。
環境税をいくらにすれば鉄道・海運とトラックの料金が同額にな
るか。



x:環境税の値段 円 kg
𝐶𝑖 :輸送手段のコスト 𝑖 = 𝑟, 𝑠, 𝑡
𝐸𝑗 :CO2排出量(j = 𝑟, 𝑠, 𝑡)
• railway
• shipping
• truck
鉄道とトラックの料金が同額になるとすると、
𝐶𝑟 +𝐸𝑟 𝑥=𝐶𝑡 +𝐸𝑡 𝑥
𝐶𝑟 − 𝐶𝑡
𝑥=
𝐸𝑡 − 𝐸𝑟
値段xを求める式

輸送路2の鉄道の場合
CO2排出量
E(kg)
鉄道
トラック
料金
C(円)
205.67
132800
1043.46
131550
132800 − 131550
𝑥=
= 1.49(円 kg)
1043.46 − 205.67

計算結果
輸送手段
環境税の値段
(円/kg)
輸送路1
約1000km
鉄道
輸送路2
約700km
鉄道
輸送路3
約400km
鉄道
22.70
海運
150.14
海運
1.49
海運
移動距離が短くなると、環境税が高くなる傾向あり

貨物輸送と同様の方法で距離別に鉄道と自動車による移
動を比較

4人で出発地~目的地を往復すると仮定(1泊2日の旅行)

鉄道は新幹線を利用する

自動車についての設定
◦ 4人乗りのカローラを1日半レンタルする→8610円
◦ 燃費 16km/L
◦ ガソリン料金 145円/L

CO2排出原単位 g-CO2/人・km
◦ 一人を1km運ぶときに排出するCO2の量
鉄道
5 (g-CO2/人・km)
自動車 45 (g-CO2/人・km)
料金の計算(一人当たりの料金)

◦
◦


鉄道
一人分の駅間の運賃の往復分
自動車 (レンタカー代+高速料金×2+ガソリン代)÷4人
出発地 日吉
目的地 河口湖、岡崎、大阪、岡山、山口

ルート1 日吉~河口湖
鉄道
◦ 日吉~菊名~八王子~大月~河口湖
◦ 110km
◦ 片道2時間31分
◦ 3850円×2=7700円
自動車
◦ 108km
◦ 片道1時間58分
◦ レンタカー代8610円
◦ 高速料金2500円
◦ ガソリン代
108km×2
◦ 料金合計
8610+2500 × 2+1957.5 ÷ 4=3892円
16km 𝐿
× 145円 𝐿 =1957.5円
目的地
移動手段
片道距離
CO2(kg)
料金(円)
時間(分)
車
108
38.88
3892
3時間56分
電車
110
4.40
7700
5時間2分
車
299
107.64
6682
8時間14分
電車
304
12.14
17700
4時間14分
車
502
180.72
9777
13時間26分
電車
534
21.36
27760
5時間26分
車
660
237.60
11943
17時間36分
電車
711
28.42
33380
6時間44分
車
947
340.92
16044
24時間42分
1017
40.70
40540
9時間16分
河口湖
岡崎
大阪
岡山
山口
電車
旅客部門のグラフ
料金(円)
50000
40000
30000
CO2(kg)
車
20000
200
電車
10000
0
150
河口湖
100
岡崎
大阪
岡山
山口
車
電車
50
時間(分)
1600
0
河口湖
岡崎
大阪
岡山
山口
1400
1200
1000
800
車
600
電車
400
200
0
河口湖
岡崎
大阪
岡山
山口

旅客部門についても環境税を導入する
𝐶𝑟 − 𝐶𝑡
𝑥=
𝐸𝑡 − 𝐸𝑟
環境税(円/kg)
河口湖
110.44
岡崎
115.37
大阪
112.85
岡山
102.48
山口
81.59

税額は距離によって異なる→距離と料金の関係を見
てみる
車料金
電車料金
18000
45000
y = 7.2464x + 2374.8
16000
R² = 0.9997
14000
R² = 0.9999
35000
30000
料金(円)
12000
料金(円)
y = -0.0056x2 + 30.629x + 1220.8
40000
10000
8000
6000
25000
20000
15000
4000
10000
2000
5000
0
0
0
500
1000
1500
往復距離(km)
2000
0
500
1000
1500
2000
2500
往復距離(km)
料金を走行距離の関数として近似式で表す
走行距離をd(km)とする
7.2464𝑑 + 2374.8

車の料金𝐶𝑡

鉄道の料金𝐶𝑟 − 0.0056𝑑2 + 30.629𝑑 + 1220.8

車のCO2排出量(kg) 𝐸𝑡

電車のCO2排出量(kg) 𝐸𝑟
45(g-CO2/人・km)×4人×d(km) / 1000
4(g-CO2/人・km)×4人×d(km) / 1000
𝐶𝑟 − 𝐶𝑡
𝑥=
に代入する
𝐸𝑡 − 𝐸𝑟
7212.5
𝑥 = 146.141 − 0.035𝑑 −
(𝑑 > 0)
𝑑
環境税と距離の関係
140
120
環境税x(円)
100
80
60
40
20
0
0
200
400
600
距離d(km)
800
1000
1200
今回の結果から
 走行距離が長くなるにつれて移動手段によるCO2排
出量の差が大きくなる → 環境税の値段は低くなる

距離が短いときは、もともとの料金の差がそこまで大
きくない → その分環境税の値段も低くてよい?
CO2(kg)
料金(円)
200
50000
40000
150
30000
100
車
電車
50
車
20000
電車
10000
0
0
河口湖
岡崎
大阪
岡山
山口
河口湖
岡崎
大阪
岡山
山口