JVOの研究開発(コスミックストリング探査への応用)V04b 1,8 1 1 1 1 1 1 1 白崎裕治 、田中昌宏 、本田敏志 、大石雅寿 、水本好彦 、矢作日出樹 、小杉城治 、柏川伸成 2 、松崎英一 3 4 、安田直樹 、長島雅裕 、 増永良文5、石原康秀6、阿部勝巳6、堤純平6、中本啓之7、森田康裕7、小林佑介7 、吉田徳夫7 (セック) (1)国立天文台, (2) 東工大・理, (3)東大宇宙線研, (4) University of Durham, (5) 御茶ノ水女子大 (6) 富士通 (7) セック (8) [email protected] JVO の発表資料は 1.概要 http://jvo.nao.ac.jp/ から入手できます。 図1.コスミック・スト リングの発達シミュ レーション。 バーチャル天文台(VO)により世界中のデータ ベースが相互接続されるようになると、様々な観測 装置によって得られたデータを容易に検索し取得す ることが可能となります。 本ポスターでは VO の解析機能についての実装 方式を検討するために、サイエンスユースケースの 例として、「撮像データによるコスミックストリングの 検出」を取り上げ、そのための解析ツールを Japanese Virtual Observatory (JVO) へ実装し、 その試験を行った結果を紹介します。 2.バーチャル天文台の利用による データベース天文学 データ ベース データ データ VOへのデータ 集中を避ける ため、データ本 体は必要な時 に必要なだけ 直接データ サーバへとりに いくようにする。 コスミック・ストリングは初期宇宙の膨張に伴って 生じる相転移により形成されると考えられている位 相欠陥の一つであり、線状やリング状の高密度物 質として広く宇宙空間に分布していることが予想さ れています。(図1) コスミック・ストリングの存在を観測的に検証する ことができれば、初期宇宙の進化モデルや素粒子 理論に対して強い制限が与えられます。 コスミックストリングが GUT スケールのエネル ギー密度を持っているとすると、その背景天体は重 力レンズ効果により 5 秒角程度の離角の二重像と して観測されますので、それらを通じて間接的にス トリングの存在を調べることが出来ます。 データベースを利用した研究を行おうとした場合 に最初にぶち当たる壁は何でしょう。 ストリングがペア天体を 結ぶ線に対して直交する 向きにあると仮定。 P2 P3 • データを取ってきたけど、それだけでディスクが一 杯。解析結果を保存するデータ領域がありません。 仮定したストリングの延 長線が P1-P3 の場合の ように交わる場合は p-q (大きい角度の方)で重み を計算。 P1 データ データ ベース 解析結果 解析手順書 解析指示 図2. ストリング配置パラメータの定義。 明るさ、カラー、形状がともに似ている、離隔が5 秒角以下のペア天体を選択し、それらの並び方と向 きのコヒーレンス度の大きさからストリングが存在す るかを判断します。コヒーレンス度 S を以下の方法 で計算します。(図2参照) 1. i 番目のペア天体 Pi について考える。 バーチャル天文台により上にあげられた困難が 解決されます。 • データサービスプロトコルの共通化をはかり、 データベースサーバや解析サーバの自動連携を 実現します。 • 解析ツールをグリッドサービスとして公開し、イン ストール作業等の手間を省きます。 • データは必要なときに必要なだけデータサーバ へとりに行きます。解析結果のみを保存すればよ いので、ディスク容量の心配はいりません。 •データ検索・解析指示 •レジストリ検索 •結果 グリッド サービスに よる遠隔 サービス 呼び出し。 VO コントローラ • SQL パーサ • スケジューラ • エクゼキュータ Grid サービス OAI-PMH レジストリ • サービスの内容 • アクセスURL • GWSDL URL Grid サービス Grid サービス OAI-PMH メタDB SPCam 画像 DB データサービ ス間での データ受け 渡し Grid サービス OAI-PMH OAI-PMH メタDB メタDB SPCam カタログDB 図3.実装のダイアグラム サービス情報の登録方法 サービス情報の公開場所 インターフェイス情報の記述法 サービス実行方式 サービス実行言語 データ転送方式 解析サービス • 二重像探しサービス • ストリング検出サービス • カタログ作成サービス … OAI-PMH 等 Registry GWSDL Grid サービス Any (Java を仲介) Soap, RFT, GSI-SFS 未実装 実装済 実装済 実装済 実装済 実装済 表1.解析サービスの実装方式 過去に作られた解析ツール資産を有効に活用できるよう、 実装するにあたって以下の点を考慮しました。 • どのような言語の解析サービスでも利用可能なこと。 • 柔軟性の高いインターフェイス記述方式。 • 便利な解析ツールが公開されているけど、それら を自分のマシンにインストールするのが大変。使い 方も難しい。 データ ベース ユーザインターフェイス Tomcat + Struts (Servlet, JSP, Java Beans) 様々な言語で書かれている過去の解析ツールを利用するには不可欠です。 • 使いたいデータが色々なところにあって、取ってく るのが大変。 解析結果 Tomcat container Grid Service & GSI-SFS RFTP HTTP/GET・POST HTTP/GET(OAIPMH) http://www.damtp.cam.ac.uk/user/gr/public/cs_evol.html 4. パターン認識によるストリング探査 データ ユーザ@ ウェッブブラウ ザ 未実装 また、そうして得られたデータから科学的な発見 を行うためのデータベースと連携した解析環境を提 供することもバーチャル天文台の目的の一つです。 データ ベース 5. JVOへの実装 3.コスミックストリング 2. j 番目のペア天体 (i ≠j) Pj に対応するストリ ングの向きと i 番目のストリングのなす角が qij であるとき 3. Pi と Pj についての重みを Wij = exp(-qij/q0) とする。 4. Si = Wi0 + Wi1 + … + Wij + … (i ≠ j) 5. S = S0 + S1 + S2 + … こうして求めたコヒーレンス度をストリングが存在し ない場合のコヒーレンス度と比較し、十分大きな値 をとる天空領域を探します。 解析の種類によって様々な入出力形式が考えられます。 • サービスの公開、JVOからの呼び出しが容易なこと。 誰もが自分の作った解析サービスを容易に公開でき、誰もが公開解析サー ビスを自由に遠隔利用できる環境を提供します。 • Globus TK3 によるグリッド サービスは Java で記述する必 要がありますが、Java から外部 コマンドを実行することにより、ど のような言語でかかれたプログラ ムでも遠隔実行できます。 • 解析サービスのインターフェイ ス仕様を GWSDL というグリッド サービスの標準仕様に則って記 述しました。 • 解析サービスに関するあらゆる データを XML データベース (Registry) に登録しました。解 析サービスの呼び出しに必要な 情報はすべて、Registry から得 ることができます。 • 実行手順書を作ることにより全 自動でデータベースにアクセスし、 その結果を解析サービスに渡す ことも可能にする予定です。 • すばる解析システムDASHや SDSSデータベースとも連携しコ スミックストリングの自動探査を 行う予定です。 図4. コスミックストリング探しの結果。 数値銀河カタ ログ(長島、矢作、榎)を利用し、コスミックストリング によるレンズ効果をシミュレートした。
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