中山間地域におけるソーシャルエンタープライズによる地域づくり ~天草市宮地岳町を例として~ 天草宝島研究会 (氷室健太郎・櫟本昇一・王てい・長谷部俊之) 過疎化、高齢化の進展で疲弊している我が国の中山間地域において、天草市宮地岳町(熊本県)では営農組合を中 心として地域づくりに成果をあげている。しかし、担い手の高齢化も進み、将来的には集落機能維持が困難になると予想 される。そこで、本チームは宮地岳町の活動に着目し、新たな地域づくりの展開として、「ソーシャルエンタープライズ(社 会的企業)」による地域づくりと、その戦略について提言する。 宮地岳町の概要 政策提言 H16.4.1現在 区 H35年予測 分 人数 構成比 人数 構成 0~17歳 106 15% 5 2% 18~64歳 321 47% 123 41% 65歳以上 263 37% 172 57% 690 100% 300 100% 合 計 世帯数 うち高齢者のみ 247戸 175戸 70戸(28%) 95戸(54%) 中山間地におけるソーシャルエンタープライ ズによる地域づくり ソーシャルエンタープライズ=社会的企業 ・・・社会の課題をビジネスの手法で解決する組織・団体。コミュニ ティビジネスを行ない、収益は地域に還元する。 その特徴として、地域社会の課題を解決するという公共性、企 業としての側面からの収益性、地域住民で経営方針を決めるとい う民主性がある。特に民主性は最も重要である。 ※宮地岳町では過疎化、高齢化が進んでいる。 これは、中山間地域の典型的な課題でもある。 中山間地を取り巻く状況 かつての姿 中山間集落 ソーシャルエンタープライズ 合併後(広域化)の姿 中山間集落 市役所 把握? 把握 要望? 市役所 要望 中山間集落 中山間集落 意義:失われた行政(サービスの担い手としての機能)、議会(議 論の場としての機能)を住民自らの手で再生すること 課題:タイムリミットが迫っている、継続性(収益性)が不安 中山間集落 解決方法として何があるのか?税金(補助金)の 投入?工場の誘致?村をたたむ? 中山間地域が求めているものって何? 地域に響き渡る子供たちの声、町のあちこちで 話に興じている女たちの笑い声、仕事から疲れて 帰って来た時に温かく迎えてくれる家族の姿だと 考えた。 そんな家族が寄り合 う地域を作っていくた め、宮地岳町の住民 との意見交換や現地 調査を通して1つの 政策を提言する。 (戦略) グローバル企業との連携 (中山間地域のメリット) ・新たな市場開拓で得た地域開発、商品開発のノウハウを学べる ・豊富な人材や人脈を利用できる (グローバル企業側のメリット) ・社会貢献ができる ・メディアからの注目度が上がる ・優秀な人材の確保ができる (行政の役割) ・地域と企業を繋ぐコーディネーション ・ソーシャルエンタープライズの信頼性の補完 ・企業のインセンティブの制度化 (政策の意義) ・民主主義の基本 → 市民参加型社会の形成 ・「超高齢社会」新たなフロンティアの開拓 → グローバル社会の未来への啓示
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