環境分散遺伝的アルゴリズムの 多目的最適化問題への適用 Multi-Objective Genetic Algorithms with Distributed Environment Scheme 同志社大学工学部 廣安知之 同志社大学工学部 三木光範 同志社大学大学院 ○ 上浦二郎 研究背景(GAを用いた多目的最適化) パレート的アプローチ Ranking. Goldberg(1989) Multi-Objective GA (MOGA). Fonseca (1993) Niched Pareto GA (NPGA). Horn, Nafploitis,Goldberg (1994) Non-dominated sorting GA (NSGA). Srinivas and Deb (1994) Strength Pareto Evolutionary Algorithms (SPEA). Zitzelr (1998) Distributed Range MOGA (DRMOGA). Hiroyasu (2000) 非パレート的アプローチ Vector Evaluated GA (VEGA). Schaffer (1985) VEGA+Pareto optimum individuals. Tamaki(1995) 単一目的化アプローチ Multi-Objective Genetic Local Search (MOGLS). Murata, Ishibuchi, Tanaka (2001) 単一目的化アプローチによる多目的最適化 重みパラメータによって多目的最適化を単一目的化 各目的関数に重みパラメータωを設定 重みと目的関数の加重和 → 単一の目的関数 重みの変化 → 複数のパレート解 単一目的化アプローチの並列化 評価を分散することによる並列化 セルラーモデルによる並列化(Murata,Ishibuchi,and Matsuo 2001) 島モデルによる並列化 分散遺伝的アルゴリズム 分散遺伝的アルゴリズム(分散GA) (Tanese 1989) GAの並列化モデル 母集団を複数のサブ母集団(島)に分割 → 島モデル 各島内で独立して遺伝的操作 移住(移住率,移住間隔) 母集団 各島で独立して遺伝的操作 母集団を複数の島に分割 移住 環境分散遺伝的アルゴリズム 環境分散遺伝的アルゴリズム(環境分散GA)(Miki 2000) 母集団を複数の島に分割 各島内で独立して遺伝的操作 島ごとに異なったパラメータを設定 母集団 パラメータ設定の煩雑性の緩和 移住 母集団の分割 島 島ごとに異なるパラメータを設定 提案手法 環境分散スキームを用いた多目的遺伝的アルゴリズム Multi-Objective Genetic Algorithms with Distributed Environment Scheme ( MOGADES ) 特徴 各島に異なった重みパラメータ(重み分散) 類似した重み付けを持つ島間で移住(近傍移住) 目的関数間のスケールの違いにより重みを変化(重み変 化) エリート個体とパレート解候補個体群を保存 (エリート+パレート保存) MOGADESの流れ MOGADESの流れ ・初期個体の発生 ・各島に異なった重みを与えて 母集団を分割(重み分散) ・類似した重み付けを持つ 島間で移住(近傍移住) ・目的関数間のスケールの違い により重みを変化(重み変化) 分散 移住 MOGADESの流れ(続き:各島内) MOGADESの流れ 各島は単一目的の最適化 – 適合度値の高い個体(エリート)を保存 全体は多目的の最適化 – パレート解候補個体群を保存 保存したエリート個体,パレート解候補個体 群と交叉・突然変異によって生成された個体 群の 合計の個体群から次世代の個体群を選択 (エリート+パレート保存) パレート解候補個体群 エリート個体(群) MOGADESの特徴 各島に異なった重みパラメータ(重み分散) 類似した重み付けを持つ島間で移住(近傍移住) 目的関数間のスケールの違いにより重みを変化(重み変化) エリート個体とパレート解候補個体群を保存(エリート+パレート 保存) 重み分散 目的 一度の試行で広範囲に渡るパレート解を探索する 方法 2目的のとき → 任意の島数に関して均等に重み分散可能 3目的以上 → 均等に重み分散可能な島数が限定される 例 3目的のとき 4分割=10通り 5分割=15通り 近傍移住 目的 類似性の高い島と移住を行うことによる効率的な探索 方法 ある目的関数について島をソートし,隣接する2島に移住 両端に位置する島からは隣接する1島に移住 3目的以上 → 移住ごとにソートの基準となる目的関数を変化 例 3目的,10島のとき 重み変化 目的 スケールの大きい目的関数に探索が偏ることを防ぐ 方法 各目的関数に対する重みが1の島の最上位の個体がもつ 各関数値から目的関数のスケール比を求める スケール比を用いて各島の重みを変化 例 2目的,目的1(F1)が目的2(F2)の100倍のスケールを持 つ A :F1の重みが1の島のエリート B :F2の重みが1の島のエリート | F2(A) – F2(B) | | F1(A) – F1(B) | ~ 1/100 = γ= ωF1new = γ・ω F1base ωF2new = ωF2base エリート+パレート保存 目的 局所探索と大域探索の効率化 方法 各島はそれぞれが独立したエリート個体とパレート解候補個体 群を 探索個体群とは別に保存 保存したエリート個体,パレート解候補個体群,交叉・突然変 異によって生成された個体群から次世代の個体群を選択 ・・・ パレート解候補個体群 島1 島2 島3 エリート個体(群) 有効性の検証 概要 4種類の数値実験により提案手法の特徴が有効であることを示 す 対象問題 多目的0/1Knapsack問題 – アイテムセットは E.Zitzler (1999)を使用 – 750items 2目的 – 750items 3目的 – 750items 2目的,F1を100倍に評価 パラメータ 個体数:110(2目的),660(3目的) 島数:11(2目的),66(3目的)→ 重みは11分割 終了条件:解の評価が一定回数を越えた場合 実験1 概要 重み分散を行うことによる探索への影響を調べる 全島の重みを同一に設定して複数回試行を行った場合と 重み分散して1回試行を行った場合の性能を比較する 対象問題 750items 2目的 パラメータ 全島の重みを同一に設定 個体数 :110 島数 :11 評価回数:100000 × 11試行 = 1100000 重み分散 個体数 :110 島数 :11(重みは11分割) 評価計算:1100000×1試行 = 1100000 実験1 結果 重み分散は有効である 実験2 概要 近傍移住を行うことによる解探索への影響を調べる 移住先をランダムに選ぶ場合と 近傍移住を行った場合の性能を比較する 対象問題 750items 3目的 パラメータ 移住先をランダムに選ぶ 個体数 :660 島数 :66(重みは11分割) 評価回数:1000000 近傍移住 個体数 :660 島数 :66(重みは11分割) 評価計算:1000000 実験2 結果 近傍移住は有効である 近傍移住(MOGADES) ランダム 実験3 概要 重み変化を行うことによる解探索への影響を調べる 重みが変化しない場合と 移住時に重み変化を行う場合の性能を比較する 対象問題 750items 2目的 (Knapsack1の価値を100倍に評価) パラメータ 重みが変化しない場合 個体数 :110 島数 :11(重みは11分割) 評価回数:1100000 重み変化 個体数 :110 島数 :11(重みは11分割) 評価計算:1100000 実験3 結果 重み変化は有効である 実験4 概要 パレート解候補個体を保存することによる解探索への影響 を 調べる パレート解候補個体を保存しない場合と パレート解候補個体を保存する場合の性能を比較する 対象問題 750items 3目的 パラメータ パレート解候補個体を保存しない場合 個体数 :660 島数 :66 (重みは11分割) 評価回数:2000000 パレート解候補個体を保存する場合 個体数 :660 島数 :66 (重みは11分割) 評価計算:2000000 実験4 結果 パレート解候補個体を保存することは有効である 保存する(MOGADES) 保存しない 結論 各島に異なった重み付けを行いパレート解の探索を行う MOGADESを提案した MOGADESの特徴が有効である 各島に異なった重みパラメータを与える 重み付けの類似する島との間で移住を行う 目的関数間のスケールの違いにより重みを変化させる パレート解候補個体を保存する MOGADESは多目的最適化問題の 解法として有効である
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