第10章 メタ認知のはたらき

市川伸一・伊東祐司(編)『認知心理学を知る<第3版>』おうふう
第10章
メタ認知のはたらき
執筆者:伊東昌子
授業者:寺尾敦
atsushi [at] si.aoyama.ac.jp
Twitter: @aterao
室何工業大学
集中講義「認知心理
学」
この章で学習すること
• 認知の一段上で働くメタ認知
– 認知過程のモニタリング
– 認知過程のコントロール
• メタ認知は発達的に獲得される.
• 成人でも,メタ認知をいつも効果的に機能さ
せられるとは限らない.
• メタ認知は大きな精神的負荷のかかる活動
であり,障害を受けやすい.
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集中講義「認知心理
学」
1.メタ認知とは何か
• メタ:「より高次の」「一段上の」という意味
• メタ認知:認知に関する認知
– 現在進行中の自己の認知活動をモニタリング.
– 自分の認知能力について知る(一種のモニタリン
グと考えられる).例:記憶能力はどれくらいか.
自分は何を知っているか(メタ記憶:何を知ってい
るかを知っている).
– モニタリングの結果に基づいて,認知活動をコン
トロールする.
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集中講義「認知心理
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問題解決でのメタ認知
• 自己の能力の限界を評価・判断する.
• 自分にとっていま何が問題かを明確にでき
る.
• 問題の適切な解決法を予測する.具体的な
解決策の計画を立てる.
• 点検とモニタリング
• 活動結果と目標を照らし合わせ,実行中の方
略の続行,中止を判断する.
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2.メタ認知の発達
• メタ認知は発達する能力である.
– 自己の能力の評価
– 有効方略の予測と実行
– 行為の点検
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3.メタ認知がはたらきにくい場合とは
• 成人であれば,いつでも適切にメタ認知を行
うことができるわけではない.
– 問題に対する構えが形成されてしまう場合
– 目標が明確でないために,考慮すべき事項が定
まらない場合
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