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国連防災世界会議 -相馬地方パブリックフォーラム-
原発災害後の地域連携と復興への道のり
福島県相馬地方の健康対策から
復 興 現 場 と 労 働 災 害
福島県南相馬市 石川建設工業株式会社
代表取締役社長
石川 俊
福島県及び南相馬市の紹介
福島県及び南相馬市の紹介
福島県って?
南相馬市のある福島県は地形・気候・交通・歴史などの面から、3地域に分けられる。
(県の広域行政単位)
•太平洋と阿武隈高地にはさまれた「浜通り」
•阿武隈高地と奥羽山脈にはさまれた「中通り」
•奥羽山脈と越後山脈にはさまれた日本海側の「会津」
福島県及び南相馬市の紹介
~ 南相馬市の歴史・文化 ~
■未来に繋ぐ報徳思想
南相馬市をはじめ旧相馬中村藩領内の相馬郡、双葉郡内各市町村の共通した
歴史として、江戸時代の末、天明の飢鍾で人口が3分の1に減少
復興のために北陸方面から浄土真宗門徒の移民を募り、二宮尊徳の教えである
「二宮仕法=御仕法」を取り入れて藩の復興を遂げる
■相馬野馬追い
一千有余年の昔、相馬氏の祖といわれている平将門が下
総国(千葉県北西部)に野馬を放ち、敵兵に見立てて軍事
訓練を行ったのが始まりと伝えられる
福島県及び南相馬市の紹介
~ 南相馬市に起こったこと 東日本大震災 ~
•3月11日
•3月11日
14時46分 M9の東北地方太平洋沖地震発生 ※南相馬市最大震度6弱
15:35~津波到達(海岸から約2㎞、高さ十数メートル超)
•3月12日
福島第一原子力発電所1号機で水素爆発
○半径10 ㎞圏内に避難指示
福島第一原子力発電所3号機で水素爆発
○半径20 ㎞圏内に避難指示
福島第一原子力発電所2号機で爆発音、
4号機で爆発、火災発生
○半径20 ~30 ㎞圏内に屋内待機を指示
•3月14日
•3月15日
震災から現在までの活動について
震災から現在までの活動について
1.大震災関係 災害復旧工事
第一期(震災当日から3月25日まで)
・道路啓開作業(国道・県道・市道など)=最低一車線確保。
・地元救急消防の応援、行方不明者捜索。
震災から現在までの活動について
第二期(3月25日から5月まで)
・3月29日から、陸上自衛隊第一空挺団(習志野)捜索作業協力開始。
・4月6日、県内業者で初めて「20キロ圏内捜索」に派遣。
・最大で重機70台、ダンプ80台を投入。
・建設業協会相馬支部として、「相馬市海岸部」の不明者捜索に応援派遣。
・4月19日から建設業組合で、自衛隊捜索活動の幹事会にて調整を図る。
震災から現在までの活動について
第三期(5月からこれまで)
・鹿島区真野川漁港区域など県の応急復旧工事が発注、着手。
・6/1県建設業協会受注(4千戸)の中から、地元会員企業で施工決定。
・各種建築施設の応急復旧工事、相馬市仮設住宅建設の応援。
・鹿島区(庄司関場石川JV)、新地町(東北小野草野平澤JV)で施工。
・市復興事業組合の瓦礫撤去作業委託、住宅取り壊し作業委託発注。
・すべて木造(国産材使用が条件)パネル工法の、9~12坪型。
・7月末までに完成、引渡し。
震災から現在までの活動について
南相馬市 防潮堤・海岸防災林の整備 完成イメージ/断面図
復旧・復興工事の課題
復旧・復興工事の課題
1.公共発注の見通し
公共工事の請負金額の状況(前払金保証ベース)
金額単位:百万円
平成22年6月
平成23年6月
増減率
岩手県
16,426
28,378
72.76%
宮城県
15,562
25,495
63.83%
福島県
19,434
12,248
-36.98%
(東日本建設業保証、西日本建設業保証、北海道建設業信用保証調べ)
震災より2年間は、復旧・復興工事に入ることができなかった。
復旧・復興工事の課題
2.福島県及び南相馬市の建設業の就労人口の推移
福島県
人口
建設業(10%)
震災後
現 在
震災前
震災前比率
南相馬市
20万人
人口
71,000人
建設業(12%)
185万人
18万人
9,500人
1,140人
194万人
19万人
46,000人
5,520人
▲8%
▲5%
▲35%
▲35%
210万人
(▲12%)
(▲5%)
(▲10%)
(▲5%)
(▲87%)
( 485%)
8,520人
(▲86%)
( 484%)
復旧・復興工事の課題
3.福島県土木部一般会計当初予算の推移
内閣総理大臣
小
泉
安
倍
福
田
麻
生
鳩
山
菅
野
田
安
倍
復旧・復興工事の課題
4.福島労働局管内の労働災害発生状況
福
島労
県働
内災
の害
建発
設生
業状
に況
おの
け推
る移
害平況
成
26
年
業
種
別
労
働
災
発
生
状
復旧・復興工事の課題
5.公共工事における月別の労働災害(死亡災害)発生状況と要因
・公共工事における死亡者数は、4月から(翌年)2月まで漸次増加する傾向にあり、2月に最多となる。
2月の件数(70件)は、月平均48件の1.4倍、少ない時期(4月22件、5月24件)の約3倍
・この傾向は、建設活動の大小を表す建設総合統計出来高の月別の動向と概ね一致する。
社員の定着促進及び
労働環境改善への取り組み
社員の定着促進及び労働環境改善への取り組み
1.安全・保安防護具の装着
・朝礼の際に、安全・保安防護具を徹底。途中の確認指導も徹底。
・今後、ヘルメット・防護マスクは「必須着用」。
・20キロ圏内作業は、タイベックス防護服着用を義務付け。
・防護めがね、ゴムあるいは合成繊維の防水手袋を推奨する。
・靴は安全靴(底厚/耐荷重/防水)。ガレキ除去作業は義務付け。
・海岸、漁港地区では救命胴衣を準備、臨海作業時は着用。
・高所作業、建築改修現場では安全帯を保安仮設とセットで必須。
・責任者や職長は、警告連絡設備(拡声器・ホイッスルなど)を常備。
・手巻き発電式のラジオを携帯し情報を把握する事。
社員の定着促進及び労働環境改善への取り組み
2.「南相馬の現状」についての情報提供 = 医療専門家が必要
1.放射線講座 ・・・・・・・・・・・・
身体に何が問題なのか?
2.原発事故の経過説明 ・・・・
南相馬市はどう影響されているか?
3.屋外作業での留意点 ・・・・
作業スタイルと保護具の説明
4.線量測定~スクリーニングの奨励 ・・・ 作業中及び事後の線量確認
「南相馬市で働いても大丈夫か?」という不安感を低減
残留・避難は「自己判断・自己責任」とする
全社員残留!(使命感、責任感、家族や地域への感情)
放射線講座
○指導 :
慶應義塾大学医学部
埼玉大学理学部
東京大学医科学研究所
青空会大町病院
小崎健二郎 教授(小児外科・遺伝子学)
永澤 明 教授(大学院学科長・錯塩化学)
坪倉 正治 研究員(南相馬市立総合病院医師)
猪又 義光 院長(東京慈恵会医科大学)
放射線の客観的事実
人体にどう影響があるのか?
•放射線種(α線、γ線 ・・・)
•計測方法(線量計他)
•単位(シーベルト/ミリ・マイクロ)
•被爆(原水爆)と被曝(事故)
•ヨウ素-甲状腺 ・・・・ マスク、ヨード剤
•セシウム-内部被曝 ・・ マスク、洗浄
•プルトニウム-DNA ・・ 完全防護
•鼻血や傷出血、視力急減など
原発事故の経過説明
○インターネット情報
スピーディ=日本より先にドイツで発表
原発事故の原因と連鎖
人体にどう影響があるのか?
•外部電源喪失
→ 冷却不能
•付着物(チリや植物)を経口摂取
•炉心融溶
→ 水素発生
•付着物を食べた動物より、間接摂取
•上屋滞留
→ 爆発・飛散
•付着物からの放射線で人体に影響
•空間放出
→ 上空滞留
•南相馬市での状況
•チリに付着し、移動(放射線付着物)
•降雨、降雪により落下、沈着
•付着物はどこに飛んで、どこに沈着したか?
等値線作成:早川由紀夫(群馬大学)(kipuka.blog70.fc2.com/)
南相馬市線量測定結果
測定日:2011年7月1日
Copyright(c) Minamisoma Decontamination Laboratory. All Rights Reserved.
資料提供:一般社団法人 南相馬除染研究所
線量測定~スクリーニングの奨励
STEP1
調達: 5月、「医療者用アラーム計」到着。全員に貸与。
(フラッシュ式:5mSV以上アラーム、1~5mSV黄フラッシュ、1mSV以下緑点滅)
: 除線作業の話があり、空間線量計2台と個人用線量計10台発注(納期3ヶ月先)
STEP2
使用: アラーム計30台、県貸与20台、空間線量計2台
8月には、空間線量計2台追加、個人線量計10台追加。県貸与品返却。
スクリーニング
・作業者及び作業機器、使用車、重機、家屋等の表面線量を計測する。
STEP3
応急: 県合同庁舎保健所敷地内にスクリーニング場接地。
毎日、作業終了時に、本人と作業車を同会場でスクリーニング。
表示はCPM。証明書を発行。
STEP4
応急: 県振興局にて、ガイガーカウンター貸与(2泊3日)が始まり、
出来る限り貸与してもらい対応。
STEP5
購入: 8月にガイガーカウンター1台購入(120万円)
■靴底、手袋、車のワイパー等ゴム部、ラジエーターに数値が高い場合が多かった。
■洗浄を指導された事例は無かった。
ホールボディカウンター検査(内部被曝調査)
・震災、原発事故以前より、原発作業員は受診していたが、我々は全く知識がなかった。
・震災後、9月に南相馬市に移動検診車が1台設置され、11月に固定式1台、翌1月に
2台目が設置。
・会場
・期間
・対象
・内容
・結果
:南相馬市立総合病院
:2月20日 ~ 3月15日
:全社員及び家族希望者
36名
緊急雇用対策事業従事者
8名
協力会社作業従事者
11名 計56名
:事前に健康調査票に記入
受付・検診(説明~受診2分間固定~着替え)
全行程15分ほど
:検出なし(ND)
検出あり
49名
7名(1000Bq/Body = 約10~15Bq/Kg以上2名)
ホールボディカウンター検査(内部被曝調査)
■ 精密検査必要基準値を超える人は全くいなかった。(検出限界値以下)
■ 検出者も全員「微量」(100Bq/Kg以下、生涯線量500mSV以下)
■ 事故当初の被曝ではない。(甲状腺検査、白血球検査の数値より)
■ 原因の考察 ①放射線付着物(ホコリ等)を被った「野菜」「米」等の摂取
② 同
を作業中に呼吸器から摂取
■ 内部被曝者の95%は「食物」。特に「野菜」「米」→家庭菜園、自給自足者
■ 今後も継続した検査が必要
■ 事後、3回検査を受け、現在は全員「検出なし(ND)」となっている。
※ 弊社社員データを含めた「南相馬市の内部被曝調査の結果」は公表中。
※ 同 研究論文は、医学誌JAMA(米国)にて掲載。正式データとして承認。
医療機関と企業の連携
医療機関と企業の連携
健 康 診 断
重要性が増し、電離検診やホールボディ調査が追加
メンタルヘルス
本人だけでなく家族を含めたカウンセリングやうつ病検診
動物労働災害
蜂(抗体検査→エピペン)、蛇(血清)、いのしし(外科)
救急病院指定
工事の施工計画書に最寄りの救急病院の指定
生 活 指 導
生活習慣や既往症等についての指導・助言、治療
医療機関と企業の連携
これまで
健康診断
事業主|従業員
産 業 医
搬送
診断書
処分
報告
診断書
労働災害
搬送
処置・診断書
査定
労 働 局
(労働基準監督署)
通報
医療機関
(救急搬送先)
医療機関と企業の連携
将来像
健康診断
事業主|従業員
産 業 医
搬送
労災データ
ベース
報告
労働災害
搬送
処置
労 働 局
(労働基準監督署)
労働災害
分析チーム
医療機関
(救急搬送先)
事例からの分析
医療面からの指導・助言
再発防止
医療機関と企業の連携
労働災害
=罰則規定ばかりがクローズアップされている!
『改善の機会』であるとして事例研究・分析できないか
労働災害 データベース
(産業医等と共有)
労働災害 分析チーム
(医療機関+労働局)
事業主と医療機関の結びつきが弱い
個人的つきあい
医師と市民の集い(年4回)
大町病院周辺商工会の交流会(月1回)
ベテランママの会(冊子発行)
除染研究所(線量測定、農業再生他)
地域活動と
医療の連携強化!
1.復旧・復興を進行させるには、
医療・生活環境の再生が不可欠!
2.福島の原発災害は、まだ進行中。
様々な課題が山積する!
3.福島で『働きたい!』というインセンティブを!
国連防災世界会議 -相馬地方パブリックフォーラム-
原発災害後の地域連携と復興への道のり
福島県相馬地方の健康対策から
復 興 現 場 と 労 働 災 害
福島県南相馬市 石川建設工業株式会社
代表取締役社長
石 川
俊