A非弾性散乱を用いた11Bおよび13Cのクラスター状態の

11
a非弾性散乱を用いた Bおよ
13
び Cのクラスター状態の研究
笹本 良子
クラスター構造


原子核が核子のいくつかの塊
(クラスター)から構成されている
クラスター構造
 クラスター内部の結合が強い
a粒子 結合エネルギー大
aクラスター構造
A=4n核
Ikedaダイアグラム
12C(0 +)
2

 3aクラスター構造
A≠4n核でのクラスター構造は?
クラスター構造? 半径? 束縛エネルギー?
11Bと13Cのクラスター構造
 11B
3/23- 状態が殻模型では
説明できないM1遷移強度を
もつ
 クラスター構造を持つ?
T. Kawabata et al. Phys. Rev.
C 70, 034318 (2004).
 13C
3つのaクラスターが中性子
を共有して安定状態
Milin and Oertzen, Eur.
Phys. J. A 14, 295 (2002).
11Bと13Cのクラスター状態を
調べる
研究方法




aクラスター状態は自然パリティアイソスカラー遷移で励起される
 アイソスカラー遷移強度に注目
中間エネルギーハドロン散乱
 断面積 ∝ 遷移強度
アイソスカラー遷移強度 … N=Z核の電磁遷移強度
アイソスカラー遷移の選択
 アイソスカラー・スピン0のa粒子を用いる
11Bの場合励起状態の断面積には異なるΔLの寄与が含まれる
 前方の角度分布で分離可能
a非弾性散乱を前方角度で測定
実験




実験は阪大RCNPの
西実験室において行われた
入射ビーム ; a 400 MeV
標的 ; 11B (12.7 mg/cm2)
13C (1.5 mg/cm2)
natC (0.5 mg/cm2)
測定角度 ; 0度から15.8度
• 0度を含む前方角度
• 角度分解能
• バックグラウンド
反跳陽子検出器
前方角度では水素の弾性散乱
がバックグラウンドとなる
水素との弾性散乱を
反跳陽子検出器を用いて
タグ付けする
ほぼ完全に水素からの弾性散乱
を取り除くことに成功
13C(1.5mg/cm2)
B.I.=10 nA まで測定
エネルギースペクトル


エネルギー分解能
11B ; 200 keV
13C ; 115 keV
角度分解能
q方向 ; 2 mrad
f方向 ; 7 mrad
微分断面積を求め、
遷移強度を抽出する
11Bのみに議論をしぼる
角度分布の比較

実験で得られた 11Bと12Cの角度分布を比較
異なる原子核の角度分布
非常に似ている !!
12C
2+1 ΔL=2
11B 5/2- ΔL=2, 4
1
0+2 ΔL=0
11B 3/2- ΔL=0, 2
3
断面積は、核子数に依らず、ΔLに依る
12C
巨視的モデルを採用する
核子数、形状因子などの詳細に依らないモデル
遷移強度を求める
変形ポテンシャルモデル(DPM)
遷移行列要素

遷移ポテンシャル
遷移ポテンシャル
DPM
{
; 光学ポテンシャル
弾性散乱の断面積を再現するように決める
光学ポテンシャル
光学ポテンシャル
 弾性散乱のみ
 弾性散乱と非弾性散乱
弾性散乱
弾性散乱+非弾性散乱
弾性散乱
弾性散乱+
非弾性散乱
弾性散乱+非弾性散乱
アイソスカラー遷移強度
{
電磁遷移強度
アイソスカラー遷移強度
遷移強度の不定性が
大きい
比例係数は吸収等
の効果を含む
11BのdU
吸収の効果が
同じものを用いて
12CのB(El;IS)
12CのdU
11BのB(El;IS)が求まる
実験結果と理論計算の比較
3/2-3状態は殻模型では
説明できない
エネルギー準位は殻模型の方が
実験値とあっているように見えるが…
3/2-3状態の遷移強度は
AMDの予言と一致
AMD計算による11Bの密度分布
3/2-3 ;・
・
・
・
a崩壊閾値付近に存在
大きなB(E0;IS)を持つ
殻模型で説明できない
AMDで説明可能
 2a+t 構造を持つこと
が示唆された
12Cの0+
2
; ・ a崩壊閾値付近に存在
・ 大きなB(E0;IS)を持つ
・ 殻模型では説明できない
 3aクラスター状態
今後の展望
12C
+
03
+
02
?
希薄ガス 3a
10.3 MeV
ボーズ・アイン
シュタイン凝縮
α
7.65 MeV
α
α
A.Tohsaki et al.,
PRL 87,
192501 (2001)
+
01
11B
α +
αα
3a+p3/2closed
希薄ガス 3a
+
陽子ホール
p
α
α
-
3/24
10.3
3/23
8.5
α
-
3/22
-
3/21
密度分布の広がり
0
結論と今後
 11B、 13C、 12Cのa非弾性散乱(Ea=400
MeV)を測定した。
反跳陽子検出器によりバックグラウンドである水素との弾性散
乱を除去することに成功した。



DWBA計算によりアイソスカラー遷移強度を求めた。
・ 11Bの3/23- に大きなB(E0; IS)が観測された。
・ AMD計算と、 11Bの3/23- 状態の遷移強度は一致し、
2a+t 構造であることが示唆された。
・ 11Bと12Cの類似性を発見した。
今後は、遷移ポテンシャルを微視的に解析し、 11Bの3/23- 状
態の2a+t 構造を結論づける。
13Cについても解析を行い、A≠4n核における余剰粒子・空孔
がクラスター構造に及ぼす影響について明らかにする。