理研におけるレーザーを用いた ガス電子増幅(GEM)フォイルの開発 理化学研究所 宇宙放射線研究室 玉川 徹 角田奈緒子、早藤麻美(理研・理科大) 牧島一夫(東大・理研)、浜垣秀樹(CNS)、犬塚将英(文化財研) 門叶冬樹(山形大)他、理研GEM開発チーム 1. GEM開発目的 2. レーザー加工 3. 基礎特性 4. 開発の問題点と今後の予定 2004年12月3日MPGD研究会@京大 GEM開発目的と目標 X-ray 光電子 ガス GEM トラッキング 宇宙X線偏光計の開発 (225keV) – 偏光=新しい物理量による観測 ファインピクセル検出器 – 光電子の放出方向~X線の電気ベクトル 光電子の軌跡(5keV, Ne, simulation) – 日本で先駆的な研究 • 山形大学(キャピラリーCCD) 偏光 • 京都大学(MSGC) – GEMの応用 800um四方 400um四方 Bellazzini et al. (2004) Pisa大学(ASIC)、NASAゴダード (TFT) ⇒いずれもGEMがネック どの程度の空間分解能が必要? 200um四方 100um四方 – 50umピッチGEMの製作 2004年12月3日MPGD研究会@京大 GEMの加工方法とその特徴 • ウエットエッチング(ケミカルエッチング) – 大量生産に向く – 100umピッチ程度が限界 – CERN, 3Mなど • ドライエッチング(プラズマエッチング) – 大量生産に向く – 100umピッチ程度が限界 – 東大CNS •レーザーエッチング –小さなピッチの加工ができる –理研・渕上ミクロ(2003年~) 2004年12月3日MPGD研究会@京大 CO2レーザーによるGEMの製作 1.ケミカルエッチングで銅に穴あけ 5um Cu 50um Kapton 5um Cu 2.片側からレーザーでカプトンに穴あけ 銅自身をマスクとして用いる 炭酸ガスレーザー – – – – スミア(カーボン)が出にくい 銅を傷めない テーパーが少ない 加工面がスムーズ 加工面積 3.反対側からレーザーで穴あけ – 1ショット1.8×0.9mm2 – 3×3cm2 なら~10分 – 最大15×15cm2 (レーザー加工機の制 限) 製作したGEM 4.洗浄(デスミア:すす払い) – ピッチ/穴径=140um/70um =100um/50um =50um/30um 2004年12月3日MPGD研究会@京大 微小ピッチのGEM比較 Hole 30um Pitch 50um ×√3 CERN-GEM(60/40) Laser-GEM レーザー加工による最小ピッチ: 50/30um CERNによる最小ピッチ: 60/40um ケミカルエッチングの限界 – pitch~90um – これ以下だと、欠陥が増加 3M-GEM(140/70) 2004年12月3日MPGD研究会@京大 実験セットアップ 5.5mm 1mm • 測定条件 – – – – 電圧印加方法 (抵抗チェーン) Ed=2.5kV/cm, Ei~5kV/cm, ⊿VGEM=300~600V ガスフロー Ar+CO2(30%) ⇒ CERNとの比較用 読み出し(1cm x 1cm パッド, 3 x 3) • 測定内容 – 電圧vs.ゲイン特性:X線(55Fe) – 電圧vs.放電特性 :α線(241Am) 利用したGEM RIKEN 140/70 RIKEN 100/50 RIKEN 50/30 CERN 140/70 CERN 60/40 2004年12月3日MPGD研究会@京大 レーザー加工GEMの特性 140/70um GEM ゲイン特性(5.9keV X-ray) – 1GEM: ~3000@570V – 2GEM: ~80000@490V – 3GEM: >105 – 特性はCERN-GEMと同等以上 放電特性(α,241Am) – 1信号あたりの放電回数 – 2GEM: p~10-3 @ gain~20000 cf. CERN p~10-3 @ gain~5000 55Fe source dE/E=24%(FWHM) 2LGEM @g~103 (*) CERN-GEM discharge Bachmann et al., NIMA479 2004年12月3日MPGD研究会@京大 ゲインの変動(charging-up) • High rate ゲインが増加 • 原因:チャージアップ • 解決策: – 壁に導電性をもたせる – 水蒸気を加える Bouclier et al, NIMA396, 50 (1997) Benlloch et al. NIMA419, 410 (1998) – 穴を円筒形に low rate RIKEN-140(レーザー加工) 2004年12月3日MPGD研究会@京大 RIKEN-GEM 穴ピッチとゲイン変化 50um 100um 140um ピッチ狭⇒ゲイン大 アスペクト比(穴径/ピッチ) 140um, 100um : 0.5 50um : 0.6 3D電場計算が必要 50um GEMのゲイン特性は 140um GEMと同等以上 いずれもRIKEN-GEM ピッチ(um) 2004年12月3日MPGD研究会@京大 開発方針 • 目標: 50umGEMの安定した製作 • パラメーターサーチ – カプトン銅フォイルの材質(三社) • 銅とカプトンの密着強度 – レーザーの熱やエッチング液で剥がれ(G社) • ポリイミドの導電性 – レーザーの種類(CO2, excimer) – デスミアの方法(プラズマ、ケミカル)→ • 低価格化 – レーザー加工までを一括処理 2004年12月3日MPGD研究会@京大 まとめ • レーザー加工を用いてGEMを製作した – 穴径、ピッチを小さく – 穴を円筒形に • 正しくGEMとして動作することを確認 – 最小:ピッチ50um、穴径30um • パラメータサーチにより最適な加工方法を探る 重イオン入射実験はやっていません 2004年12月3日MPGD研究会@京大
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