ジョブコーチ事例

サービス管理責任者研修テキスト
分野別講義
「アセスメントと
サービス提供の基本姿勢」
<就労分野(就労移行支援・就労継続支援)>
平成24年10月4日
1
1.分野別事業概論
「はたらく・働き続ける」をあたりまえに
(社福)大阪市障害者福祉・スポーツ協会
サテライト・オフィス平野
酒井 京子
(1)サービス管理責任者の役割
・児童、地域生活(知的・精神)、地域生活(身体)、
就労、介護の5分野があるが・・・
○ 障害の種別を超えて、分野を超えて、共通の人間観
をもつことが大切
○ 同じプラットフォームに立ってこその連携
サービス管理責任者の役割
その1
「つなぐ」
縦と横の連携
第四期東京都障害者施策推進協議会資料より
(1)-2 就労分野におけるサービス管理責任者の役割を考える
1.本人を知る
本人や本人を取り巻く生活環境要因をアセスメント
→「働きたい」という思いに寄り添った個別支援計画
2.仕事を知る
仕事、企業、雇用状況、産業動向、経済状況、
社会状況をふまえたうえでのサービス提供
サービス管理責任者の役割
その2
「知る」
(2)就労分野におけるサービス管理とは
・良いサービス、質の高いサービスとは何か?
・就労はサービスの結果(成果)が数値化されやすい?
就労移行支援事業
- 就職率 ○○%
就労継続支援事業(A型・B型) ー 工賃 ○○○○円
・一定の年齢になったら、「働く」ことが当たり前になっているか
「子は学び、大人は働く」という価値観
・働くことの意味を考える
社会の中の役割を担うという意味、確認
地域で雇用を創る
就労移行支援事業による一般就労への移行率別の施設割合の推移
厚生労働省障害福祉課調
べ
(23年4月分 回答率:71.2%)
(一般就労移行率)
0%
23年4月
0%超~
10%未満
36.2%
10%~
20%未満
8.1%
20%~
30%未満
30%~
40%未満
15.6%
14.1%
40%~
50%未満
8.1% 4.9% 13.0%
一般就労への移行率が20%以上の施設
22年4月
42.4%
10.6%
16.8%
50%以上
40.1%
11.3% 5.4 %3.8% 9.6%
一般就労への移行率が20%以上の施設
21年4月
39.3%
13.1%
18.3%
35.7%
28.6%
50%
(施設数: 310)
29.3%
(施設数: 224)
14.3% 4.8%4.8% 11.9%
一般就労への移行率が20%以上の施設
0%
30.2%
2.5%9.3%
11.5% 6.0%
一般就労への移行率が20%以上の施設
20年4月
(施設数: 463)
21.4%
(施設数: 9)
100%
7
(3)サービス提供の視点
・潜在的な能力や働く力を見いだし、最大限に引き出
す環境を整えているか
・社会経済活動の一員としての自覚や誇りがもてる
労働のあり方を提供しているか
・施設外支援及び施設内での支援において社会経済
活動に主体的に参加できる労働環境を提供している
か
働く意欲のある障害者が必ずしも働けていない現状
養護学校の卒業者の半数以上(55%)が福祉施設へ
働きたいとは思わない
働きたい
90
35.5
80
60.8
90.0%
70.0%
60.0%
50
50.0%
40
64.5
30
39.2
71.9%
70.6%
40.0%
67.2%
30.0%
40.6
20.0%
10
0
32.8%
80.0%
59.4
60
20
家族の一般就労への移行についての考え方
100.0%
100
70
消極的
積極的
授産施設を出て企業で働きたいか
28.1%
29.4%
10.0%
身体障害者
知的障害者
精神障害者
0.0%
身体障害者
知的障害者
精神障害者
社会就労センター調べ(平成12年)
しかし実際に就職のために施設を出た人は年間1%程度
就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れ
障害者総数約744万人中、18歳~64歳の方、約365万人
(内訳:身134万人、知34万人、精197万人)
一般就労への
移行の現状
① 特別支援学校から一般企業への就職が約24.3% 障害福祉サービスが約64.7%
② 障害福祉サービスから一般企業への就職が年間1%~2% → (就労移行:16.4%)
障害福祉サービス(就労系)
・就労移行支援
約 1.6万人
・就労継続支援A型、福祉工場
約 0.9万人
・就労継続支援B型、旧法授産施設
地域
生活
約12.7万人
(平成22年10月)
就労系障害福祉サービス
から一般就労への移行
1,288人/ H15
1.0
2,460人/ H18
1.9倍
3,293人/ H21
2.6倍
4,403人/ H22
3.4倍
就職
企 業 等
雇用者数
448,000人
(平成20年度)
小規模作業所 約1.4万人(平成23年4月)
ハローワークから
の紹介就職件数
地域活動支援センター
59,367人
927人/年
10,905人/年
特別支援学校
4,096人/年
(平成23年度)
就職
卒業生16,854人/年 (平成23年3月卒)
10
自立支援法における就労支援の流れ・・・サービス管理責任者の視点
本人・病院・特別支援学校・施設
労働関連の施策・企業などから
障害者相談支援事業
地域自立支援協議会
Step1
相談・アセスメント・サービスの
マッチング
①就労への思い
➁就労アセスメント
③希望するサービス
④関係者・周囲の支援
Step2 就労支援サービスの提供
就労移行支援
Step3:働いている人の状態
就労継続支援
A型
1)生涯計画
就労継続の課題(賃金・稼働年齢)
雇用企業の課題(経営環境・人権
意識・世代交代)
ハッピィーリタイアと再就労(働いた
ために失われたこともある)
B型
1)生活支援策との連携(地域生活の確立)
2)他の就労分野への移行
3)労働者性の確保(働くに値する労働環境・労働条件)
職務開発
職業指導/業種・業態
職場実習
インターンシップ
企業との連携(PWI)
委託訓練
フォローアップ
(当事者・企業)
雇用主としての自覚と運営
人たるに値する労働条件
安定的な賃金支給
業種・業態のイノベーション
地域振興策などとの協同
コミュニティー・ビジネスの創設
(福祉文化の創設)
働きやすい作業環境
個別移行計画の作成
サービス遂行・支援環境の再点検
2)軌道修正
スティグマ(stigama)の払拭
インセンティブの保持
グループ就労
定年・老後
3)チェックとマネジメント
工程管理と職務分析
働くことの意義・意味の確認
1) 支援計画の妥当性
2)連携軸
ネットワーク(他領域との連携)
自立支援協議会における社会資源の共有
関連サービスとの協同や市民などの 共感・賛同者
3)支援者の課題解決力(寄り添う・向き合う)
構え・立ち位置・支援者の力量・社会(環境)の方向
4) 地方自治体・地域の課題(社会資源)
5) 運営法人・運営主体の課題
6)) 制度の課題
アセスメント
サービス提供のプロセス・管理・モニタリング
サービス内容のチェックとマネジメント
(4)働くことを考えるー障害のある人の雇用、労働
• 人に仕事を合わせるのか、仕事に人を合わせ
るのか
• 適材適所という考え方
• 環境を作るという考え方
(4)-1 適切な職場環境整備があれば・・・
知的障害のある人の場合(コミュニケーション問題に対して)大問題発生率
環境整備項目
配慮無し
有り
同僚や上司が必要に応じて作業補
助をしている
100%
18.9%
業務計画や作業環境の改善に障
害のある人の意見を取り入れた
25.0%
9.8%
レクリエーションや懇親会等で親睦
をもつ
36.5%
16.2%
あいさつ、返事、その他のルールを
指導している
41.2%
18.8%
(4)-2 企業における雇用(一般就労)
指標・価値基準は生産性だけなのか?
• 事業主の言葉より
「当社でも障害を持った方々が一緒に働くようになっ
て、サービスが向上したと言われる。障害を持った方
と一緒に仕事をするとなると、同僚・店長が気遣いを
する。その気遣いというのは、本来障害を持った方だ
けに向けるものではなくて、職場の全員に向けるも
のであり、そもそもお客様に向けるべきものだ。障害
を持った方の雇用を通じて、各店舗で人に対する思
いやりみたいなものや、一緒に仕事をしていこうとい
う姿勢が生まれたのではないかと思う。」
(職業安定広報2006.9月号 株式会社ユニクロ代表取締役会長兼社長
柳井氏)
(4)-3 福祉サービスにおける労働
・福祉サービスにおいて労働の場を提供する
意味、役割とは
・本人のもつ力を最大限発揮できる労働のあり
方
様々な制度や社会資源を活用して就労に至った例
私達の使命、役割
• 制度は変わるけれど・・・・
制度は手段
そもそも私達がなすべきことは何か?
・「一定の年齢になったら働くというあたり前」を実現し
ていく土壌づくり、地域づくり
・地域自立支援協議会の活用 - 地域全体で支える
利用者は事業所の人でなく、地域の人