What Silence Tells: ビジネス・シーンにおける 日米異文化コミュニケーションの 一考察 D3 藤尾 美佐 1 発表の内容 1.本研究の背景 (マネージメント・コミュニケーションとは何か) 2.会議実例(ビデオ・テープ) 3.分析とディスカッション 2 マネージメント・コミュニケーション(MC)とは? 1.構成上の要素に関する知識と技能 (レター・ライティングなど) 2.組織行動論 (リーダーシップなど) 3.経営機能の知識(decision-making) Communication SkillsとCommunication戦略 を展開するための知識を統合した教育 3 MCの定義 Management Communication:マネージャーの意思 決定に影響を及ぼすコミュニケーション Business Communication:(株主の利益を最大化 するように)ビジネスに働きかけることを意図してコ ミュニケーション Organizational Communication:組織構造に影響を 与えることを意図するコミュニケーション (高橋 1996) 4 MCの学際性 コミュニケーション学 修辞学 言語学 経営管理学 心理学 社会学 + Managerとしての実務経験 5 MCの研究分野 Corporate Communication メディアとコミュニケーション リーダーシップ及びマネージメントスタイル インフォメーション・テクノロジー 国際化、異文化の影響 Multi-cultural Communication(地域、 民族、人種、性差など) 組織環境、企業倫理 6 データ 会議の内容 アメリカ系企業の社内会議。 (Hofstede: National, Professional, Organizational) 情報交換を主たる目的とした会議。とりわけ、アメリ カ人マネージャーが、日本市場について様々な質問 を行う。 7 出席者 アメリカ人マネージャー(A):アメリカのHQに所属。 Asian Region Business Researchに携わり、中国 に5年滞在。Director。日本へは始めての訪問。 日本人マネージャー(S):Regional Business General Manager & Vice President。以前、別の業界で9年 間アメリカ(カリフォルニア)に滞在。 日本人スタッフ(J):Sにレポートする部下。今回の会 議に出てくるプロジェクトの直接の担当者。入社7年 目。入社後はずっと国際関係の仕事に携わる。 8 注意点 1.Silences/pauses 2.S’s ambiguous expressions (yesの答え方) 3.FTA/politeness 4.Communication Strategies (Williams, et al.) Comprehension checks Confirmation checks(確認したい情報を話者が提示) Clarification requests (open question) Repetitions 9 分析 アメリカ人留学生(4名) アジアからの留学生(2名) 日本人大学教員(6名) 外資系ビジネスマン(2名) 日本人大学生(19名) 10 アメリカ人留学生のコメント 1. Silence: Uncomfortable & Frustrating 例) Maybe you don’t have a clue Well, let me think about that./So you’re talking about (repetition) などの言葉を入れるべき。 2. Aのspecificな質問に対し、Specificな答えも、それ以外の 答えもない。(アメリカ人は、Sは答えを知らないという印象 を受ける) 3. Relationship という質問に対し、yeahと答えているのは、ど ういう意味なのかわからない。 例) Do you like chocolate or vanilla? Yeahと同じ。 4. Aはleading Qから次のQへと進んだのだろう。 5. Aは、日本での会議がどういう形で進んでいくかを把握せ ずに会議に臨んだと見える。 11 アジア人留学生のコメント 1.英語は上手くても答え方が日本的。 Yesの答え方。 2.相手が女性であることの影響もあるのか? 12 日本人大学教員のコメント 1.Sの rudeness (例)What’s your assumption? What do you want?) politeness に関する教育の必要性/USにい た時の確執か?/Aとの関係/他の出席 者の手前、体面を守る必要性 2.Yesの答え方 3.Silence まちがいを気にする日本人的特質 13 外資系ビジネスマンのコメント 典型的な日本人マネージャーとNSとの コミュニケーション 2. 具体的な質問の答えが一般化されるか、 または沈黙になる 3. Aはfrustrationをもっていただろう 4. Sの質問の論点を理解していなかったので は?(CS-ESについて個々に考えたことはあっ 1. ても、関係について考えたことはなかったのでは ないか) 14 日本人大学生(19名)のコメント 1.Sのコミュニケーションについて 1)上手い(4) (ジェスチャーが上手い/楽しそうにしていた/あいづちがよ かった/言いたいことを言っていた) 2)上手くない(15)(あいづちがない/声のトーンが低い/ジェスチャーがない/ 相手の目を見ていない/腕を組んでいた/言葉少ない/沈黙が多い/あい づちのみ(3)/Aに押されている(3)/話そうとする意志を感じない/Aのイン タビューのようになっている) 2.Aはこのコミュニケーションをどのように感じているか? (いい感じ(3)/よくも悪くもない/不満(3)/Sは理解していない(3)/いらだたし い(2)/苦笑いしていた/Sのテンション低すぎ/ちゃんとすばやく答えて欲し い/Sは会話が苦手/Discussionが成立しない) 3.Pauseの取り方とタイミング (よかった(2)/長い(11)/ぎこちない(2)/だめだ/会話が止まっている) 15 問題点 1.Silence (参考資料, Condon, Ishii, Wayne 他) Silenceを埋めるための表現/Reactive Tokens/ 視線・空間の取り方/メモ 2.Ambiguous Replies/Yesの答え方 Pragmatic Transfer (use of L1 pragmatic knowledge to understand or carry out linguistic actions in the L2: Kasper 1997) 16 問題点(続) 3.FTA/Politeness (Brown & Levinson、西浦、則定) A: indirectness S: direct expressions 会議の最終部 positive politeness (agreement/joke) 4. Communication Strategies (Williams, et. al.) A: paraphrases/confirmation checks S: clarification requests J: confirmation checks 17 Implications 1. 非言語(沈黙も含む)の重要性 2. 聞き手としてのレスポンス(RTs) 3. Pragmatic Transfer (Yesの答え方) 4. Politeness 18 今後の考察点 1.Sのdefensiveかつaggressiveな態度の要因 英語力/business backgroundの欠如/reportline/他の出席者への体面 2.どの程度日本人managerに一般化されるも のなのか 3.Introspectionの使用法 4.NS/NNSの姿勢 19 Thank you for your attention. お疲れさまでした。 20
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