【公共サービス/公共施設/社会インフラ/地域活性化/国際PPP】 フランスの公共交通における民間委託 (1)目的・事業概要(経済性の仕組み) ・フランスの公共交通は、運営組織と運行事業者という二重構 造。自治体は、交通政策の立案及びその実施にあたる運営組 織を設置、運営組織は実際の運行は事業者に委託する。 ・2005年の運営形態:直営8.6% 公営企業(自治体出資51%以 上)20.4%、民間委託71.0% ・公共交通は「交通税(VT)」、運賃収入、自治体一般財源から の補助金でまかなわれている。 「交通税」は原則として従業員9 人を越える事業所(官民問わず)の給与に係る目的税。税率上 限はそれぞれの条件で0.55~1.80%となっており、その範囲で市 町村議会又は課税権団体が税率決定。 ・フランスの自治体は規模が小さいため、広域的な交通連携・ 調整の効率化には包括委託が適している(通常は1社で一括) ・行政のスリム化だけでなく、入札で委託先を決定するためサー ビス向上、費用削減につながる。★ (2)効果・ポイント 財団法人地方自治体公民連携研究財団 20101225 出典:「フランスにおける公共交通の運営形態と課題」(運輸と経済2009.10)、 フランス地方圏の都市公共交通について 20090227 西田敬 ■事業の主な内容 項目 内容 事業名 フランスの公共交通の運行業務の包括民間委託 発注者 自治体で組織した都市圏交通機構(AOTU) 整備内容・ 規模 ・都市交通全体の運営・投資の合計4,456百万ユーロ(2003年) ・財源:運賃収入20%、交通税45%、地方政府32%、国3% 事業内容 ・自治体は運営組織を設置(都市圏交通機構-AOTU)し、 AOTUは、都市圏交通計画の作成、都市内公共交通体系の整 備を行い(路線設定、停留所の設置、運行頻度や運賃などの決 定)、実際の運行は事業者に通常一括して委託する。 事業方式 ・補助金と運賃収入をベースにした委託契約(施設、車両のイン フラはAOTU所有) ・最初の契約時に事業見込みを提出し補助金額を決定し、それ 以外は事業収入でまかなう。 選定事業者 ・直営以外は大手4グループ ・KEORIS(ケオリ社)利用者シェア39%(2005年) ・TRANSDEV(トランスデブ社)22% ・VEORIA Transport(ベオリア交通)22% ・AGIR(独立公共交通路線網運営事業者連合)10% ・独立系・その他7% 人口1~5万人の都市が主 ・地域個別の受託企業が、ノウハウ・技術・資金力で優位な企業 に系列化された。 ・入札にかかる事前調査、契約実務の費用が多額であり、受託 企業の変更や中小企業の新規受託が困難となっており委託の 集中化が見られる(独立系その他のシェアは1998年15.2%で あった) 事業期間 5年~12年 選定方法 サービス内容提案を含む入札 ・都市内一括受注のため(バス、地下鉄、電車等一括)、乗り継 ぎ等の利便性が高い。★ ・都市圏と広域圏では同一グループでも別会社受託となるため 連携が取りにくい。 ・受託企業の収益性が増した場合は、補助金額を減らす代わり に運賃値下げ又はサービス引き上げ(電車・バスの増発等)を 行う。★ ・受託者にはAOTUに登録された非公務員身分職員の雇用が 義務づけられている。雇用条件は、「都市公共旅客交通ネット ワークの全国共同協定」に準拠。★ 【公共サービス/公共施設/社会インフラ/地域活性化/国際PPP】 フランスの公共交通における民間委託 財団法人地方自治体公民連携研究財団 20101225 出典:「フランスにおける公共交通の運営形態と課題」(運輸と経済2009.10)、 フランス地方圏の都市公共交通について 20090227 西田敬 PTU:都市交通圏 TCSP:軌道系交通機関
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