PowerPoint プレゼンテーション

湖岸湿地における生物多様性と人間活動
東京大学保全生態学研究室
西廣淳
2011年10月12日
「下流汚染蓄積型湖沼の水環境問題と未来可能性」
総合地球環境学研究所
妙岐の鼻(浮島湿原)
・霞ヶ浦で最大面積のヨシ原(約52ha)
・ 全国、県レベルの絶滅危惧種19種を含む302種の植物
(生物多様性のホットスポット)
・カドハリイ(カヤツリグサ科)唯一の自生地
・植生学上はカモノハシ―ヨシ群落の発達が特徴
カドハリイ
ミツカドシカクイ
ミズチドリ
クサレダマ
ナガボノシロワレモコウ
ノハナショウブ
ヌマアゼスゲ
ヤナギトラノオ
ヌマクロボスゲ
カモノハシ群落の種の豊かさ
植生の不均質性
A ヨシ-カモノハシ-蘚類型
B ヨシ-カモノハシ型
C ヨシ-カサスゲ型
C
A
B
16
種
密 12
度 8
(m2) 4
・種多様性:A>>B>C
・絶滅危惧種14種中
10種がAに集中分布
0
(野副ほか 2010)
a
b
c
α
n=39
β
β
n=32
n=35
A 蘚類 B なし
カモノハシ
在来種
C カサスゲ
絶滅危惧種
カモノハシ(イネ科)
カモノハシ株がつくる微高地
微高地上には蘚類
蘚類の中から様々な湿地植物の実生
微高地以外の場所では実生なし
ファシリテーターとしてのカモノハシ
カモノハシ
0.388*
カモノハシ株もとの微高地
チゴザサ:0.557*
コイヌノハナヒゲ:
0.474*
ミツカドシカクイ:
0.674**
カドハリイ★:0.524°
3.452***
比高
0.374’
蘚類
0.702*
在来種
チゴザサ:0.857*
ヌマアゼスゲ★:0.938*
コイヌノハナヒゲ:0.790°
エゾミソハギ:0.794°
カドハリイ★:0.844°
蘚類(ヒメミズゴケ)
(Wang et al. in press)
植生が刈取り利用されている場所
近年の利用範囲
C
A
B
植物の保全上重要な場所
であるAは、
現在でも刈取り利用
されている場所と一致
良質な屋根材「しまがや」
「しまがや」利用の伝統
明治期
1948年
・明治期にはほぼ全域で「しまがや」刈りが行われていた。
・野焼き(ヤーラモシ)は少なくとも1955年以前からほぼ毎年実
施(人見 1999)されてきた。しかし2006年に市民からのクレー
ムのため停止した。
カモノハシの成長に対する野焼きの効果
野焼き実験(2009年3月、8箇所)
5m
5m
5m
防火帯
5m
5m
5m
実験的火入れ
範囲
カモノハシの成長速度(4月~9月)
野焼き
刈取り
無処理
(Wang et al. in preparation)
人間-カモノハシ-蘚類による連鎖的 facilitation
現地調査、野外・室内実験から
示された関係
人間による野焼き・刈取り
カモノハシの成長
株下に微高地を形成
蘚類が生育
多様な植物の発芽・定着適地
カモノハシ群落の減少
1996年~ 利水のための管理が開始、湖沼の水位が高く維持
1996年
1998年
国土交通省平成15年度霞ヶ浦環境フォローアップ特定地区調査報告書より
ダム事業フォローアップ委員会
「影響は軽微と考えられるが、継続したモニタリングが必要…」
東大研究チーム(2009年現地説明)
○カモノハシ群落の減少は生物多様性の非線形な低下を招く。
○湿原内の水文・水質環境の変化がカモノハシ減少の原因であ
る可能性。
野焼きの再開に向けて
2006年~ 野焼きが停止←2005年に市民団体からクレーム
○水資源機構・国土交通省:環境維持のために再開を望む。し
かし実習主体になるのは困難。
○稲敷市役所:クレームの窓口になるので主体にはなりたなくな
い(他主体がやるなら許可)。一部の市民の産業に肩入れ
できない。野焼きの科学的根拠が必要。
○財産区管理会:(市と同様)水資源機構が主体になるべき。
○萱師:品質の良い萱のために再開を強く望む。
(植松 2008および西廣の聞き取り)
2008年 西廣が許可を得て野焼き実験(約200m2)
2009年 国交省・水資源機構主体の野焼き実験(約500m2)
2010年 規模を拡大した野焼きを提案→却下
→2009年と同等規模の野焼き実験を実施