肝細胞癌における微小門脈侵襲の新定義の提唱 【はじめに】 表1.現行の肝癌取扱い規約に おける門脈侵襲の分類 門脈侵襲は肝細胞癌の約1/3で認められる頻度の高い 脈管侵襲です。現行の肝癌取扱い規約(第5版補訂版)に よると、門脈侵襲は門脈の分枝レベルによりvp0~vp4に 分類されています (表1)。多くは光学顕微鏡によっての み観察可能であるvp1はその程度がさまざまであるにも関 わらず、規約上の明確な組織学的基準が設けられていませ ん。 vp0: 門脈に侵襲・腫瘍栓を認めない vp1: 門脈二次分枝より末梢(二次分枝を含まない)に 侵襲・腫瘍栓を認める vp2: 門脈二次分枝に侵襲・腫瘍栓を認める vp3: 門脈一次分枝に侵襲・腫瘍栓を認める vp4: 門脈本幹、対側の門脈枝に侵襲・腫瘍栓を認める 【対象】 図1.微小門脈侵襲の程度の測定 当研究は形態機能病理学教室において1992年から2003年 までに肝細胞癌と診断された方の切除標本を対象に研究させ ていただきます。 【研究内容】 九州大学形態機能病理学教室において診断された肝細胞癌 症例を使って、現行の肝癌取扱い規約でvp1と分類されている 微小門脈侵襲について、①侵襲部の数、②侵襲腫瘍細胞数、 ③癌部から侵襲部までの距離、を測定します (図1)。 ②侵襲腫瘍細胞数 ①侵襲部の数 これらを用い、微小門脈侵襲陽性の肝細胞癌をその程度が 高い群と低い群に分類して、肝細胞癌の予後規定因子に なりうるかどうかを評価します。 【患者さんの個人情報の管理について】 本研究の実施過程及びその結果の公表(学会や論文等) ③癌部からの距離 の際には、患者さんを特定できる情報は一切含まれません。 対象者となることを希望されない方は、下記連絡先まで ご連絡下さい。 【研究期間】 非癌部 承認日から2011年3月31日。 【医学上の貢献】 この研究により、肝細胞癌の微小門脈侵襲の新たな基準と 予後との相関が示唆されれば、新たな基準が肝細胞癌の 悪性度を病理組織学的に評価するうえで新しい診断手法 となり、医学上の貢献はあるものと考えます。 【研究機関・組織】 九州大学大学院 形態機能病理 准教授 小田 義直 (責任者) 助教 相島 慎一 大学院生 藤田 展宏 (担当者) 連絡先:〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1 Tel 092-642-6061 担当者 藤田 展宏 癌部
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