1 研究指導FD海外派遣報告 報告日:2010年2月25日 山内由紀子 FD研修の概要 2 期間 :2009年9月10日~2009年11月30日 滞在先:LIP6 Laboratoire d‘Informatique de Paris 6, France 目的: 情報科学分野での研究を多岐にわたり,かつ, 非常に活発に行っている研究室を訪問し, 本学において,より幅広い研究活動を行うための 情報収集を行う. 指導方法,研究方法に関する実践報告,意見交換 文化的,制度的違いに関する意見交換 理論研究とその応用・実用分野の融合における 先端的研究に関する情報収集 訪問先 3 パリ第6大学 研究所名: Laboratoire d‘Informatique de Paris 6 (LIP6) 受け入れ教員: Sebastien Tixeuil教授 パリ第6大学 4 呼び名 Universite Paris de Pierre et Marie Curie (UPMC) VI パリ大学13大学のうち 理学・工学・医学分野の大学 パリ大学の創立は1109年(昨年900周年) 1971年の改組でパリ第6大学創立 パリ第6大学の外部評価 5 The Times Higher Education Supplement (2009) 1位 ハーバード大学 … 28位 パリ高等師範学校 (ENS Paris) 36位 理工科学校(Ecole Polytechnique) 117位 パリ第6大学 118位 リヨン高等師範学校 (ENS Lyon) http://www.timeshighereducation.co.uk/ フランスの学校制度 6 大学入学資格試験 バカロレア 高校3年6月に受験 一般,専門,工業 一般バカロレアにはさらに 理系,文系,経済社会系 全体の合格率は80%台 バカロレアに合格すれば, 原則どの大学にも入学可 高等学校まではほぼ無償 大学の学費は年間学籍登録 料数万円程度 Doctorat(3) Master (2) Licence (3) 高等専門 学校 高等学校(3) 中学校(4) 小学校(5) パリ第6大学の規模 7 教員 3,253人 学生 29,383人 フランス人学生 23,050人,留学生 6,333人 アジア圏の伸びが大きい 中国440,ベトナム221 3% 3% 1% フランス 11% 学部生10,891人 M学生5,353人 アフリカ アジア 13% 65% Ph.D学生3,168人 EU 南米 北米 学生の内訳 EUの大学教育 8 1998年以前 大学入学後の学位規定は各国で 異なる フランスの場合も細かく分割 Doctorat 専門研究課程 Maitrise 1998年 ソルボンヌ宣言 ヨーロッパ高等教育システムの 構造の調和に関する共同宣言 仏独英伊が調印 License 一般教養 開かれたヨーロッパ高等教育圏へむけた枠組みの調和 学士課程と修士課程の2サイクルへの統一 学生と教員の流動性を高める EUの大学教育 (Contd.) 9 1999年 ボローニャ宣言 大学発祥の地,ボローニャにて EU 15カ国を含む29カ国が調印 ヨーロッパ高等教育圏 の構築へ 10年で以下を達成 分かりやすく比較可能な学位システム 2サイクル制度(学部,大学院)への移行 単位互換制度ECTSの導入 学生,教員の移動の障害除去 ヨーロッパレベルでの高等教育の質の保証 カリキュラム,研究プログラムを通したヨーロッパの一体化 EUの学生,教員交流 10 EU内の高等教育における人材交流支援 1987年 エラスムス計画 1996年 ソクラテス計画 フランス政府留学局(Edu France) 1998年設立 大学,高等専門学校と提携 世界49カ国に事務所を置き,留学生を支援 現在は, 「明日ドイツへ移ろうと思えば,フランスで アプライするのと同じ書類でアプライするだけ. 」 訪問先地図 11 Kennedyキャンパス http://www.upmc.fr/en/university/campus2/in_paris_and_the_paris_region.html 訪問先写真 12 LIP6はビルの南半分, 5~8階 1階の食堂は共用 LIP6の概要 13 1997年設立 人員構成 LAFORIA,LITP,MASIの3つの研究所の合併 教員約200人,学生約250人,事務約20人 5つの研究チーム Scientific computing Decision, Systems Intelligents Recherche operationnelle Database and machine learning Networks and distributed systems System on chip 受け入れ教員 14 Sebastien Tixeuil 教授 2000年 パリ11大学博士号 研究テーマ Fault-tolerant distributed computing Self-stabilization プロジェクト等 Coordinator of SHAMAN (Self-organizing and Healing Architectures for Malicious an Adversarial Networks) by ANR (2009-2012) Coordinator of Provable self-stabilizing and robust algorithms for problems arising in sensor networks (EGIDE/SAKURA) (2008-2009) Tixeuil教授のチーム 15 国際色豊か Ph.D学生 フランス 2人 インド 1人 アルジェリア 2人 ポスドク イタリア 1人 関連教員 Maria Gradinariu Potop-Butucaru准教授 Frank Petit 教授 学生がLIP6に来るまで 16 LIP6にいる学生 学部生はいない(講義のみで卒業) 修士2年生の4-9月に半年のインターンシップ フルタイムで研究 成果をレポート,プレゼンテーション 博士はフルタイムで研究 教員側は 学部生への講義で受講生をチェック インターンシップでチェック 博士の受け入れは教員側の承諾が重要 学生確保 17 「国内からもEU内外からも集まってくるし…」 ヨーロッパの地理的,文化的な中心という意識 国外からの留学生も多数 アジア圏からの学生も言語の壁はものともせず (渡仏後,仏語学校へ通う) 学内での修士,博士の確保はシビア 能力の高い学生がほしい 自主性やコミュニケーション能力 学部生の講義から見極め 例:分散アルゴリズムの正しさの証明を書くレポート 教授の目に留まっていれば,インターンシップの受け入れも スムーズ 研究指導体制 18 指導教員がチームを編成 LIP6の教員,他組織の教員・研究者 ディスカッションは必要に応じて 学生本人の自主性重視 学生も自己管理,報告・連絡・相談が上手 比較的教授のアポイントメントが取りやすい 時にコーヒーブレイク,ランチでもディスカッション 公聴会開催の可否は指導教員が決定 研究指導体制(Contd.) 19 修士学生 6か月と研究に従事する期間が短い その間に採択率20%台後半の国際会議で採録 問題設定は教員が主導 博士学生 在籍中に複数の研究課題で成果を上げる者も 教員は大まかな分野紹介のみ 学生自ら問題設定 博士論文公聴会 20 基本的に博士論文,公聴会ともにフランス語 12月上旬までに公聴会を済ませばその年は 学籍登録料免除 9月~12月上旬まで公聴会シーズン アカデミックの就職活動には博士審査合格が必須 博士論文公聴会 (参加報告) 21 審査員に各国の研究者がいたため例外的に英語 発表練習 チーム外の教授からもコメント 教授が去った後,学生同士で輪になって相談 本番 指導教員,審査員,学生の前で発表 30分ほどで判定会議終了 判定の口頭説明後,隣室で打ち上げ LIP6メンバーの交流 22 学生のデスクの配置 指導教員,研究チームで固めず LIP6はビルの5~8階 Tixeuil教授の学生も複数の階,部屋に分散 メンバーの雰囲気 チーム,教員,学生,職員の 垣根なし チームをまたがったイベント多数 訪問者,学外学生のレクチャ 年度開始や公聴会後のパーティ 年度開始のパーティー LIP6での1日 23 コーヒーブレーク 午前と午後の2回 自動販売機のあるコーヒールームに集合 ランチタイム+コーヒーブレーク 1時間たっぷり使って食事とコミュニケーション 教員2~3人,ポスドク1人,学生3~4人 コミュニケーション 雑談から研究のディスカッション,論文添削まで 時にはアカデミックポストの探し方の話も 人の集まるラボ 24 サバティカルを利用して長期滞在する ポルトガルの教授 フランス内を移動しているイタリア人のポスドク パリ大学のポスドク,博士学生のレクチャ 国際会議参加の前後など 研究成果の発表,ディスカッションのため ポスドク,博士学生には自分の組織外へ出る よい機会ではないか? 研究者が直接議論を戦わせる パワー,効率を実感 まとめ 25 欧州内の大学教育施策について報告 パリ第6大学LIP6の研究体制について報告 人の流れに着目 高い研究アクティビティの根源は 研究者,学生の活発な往来 外国研究者,留学生の訪問,呼び寄せ 近距離にいる博士学生,ポスドクへの 発表,ディスカッションの機会付与
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