心理的財布から見た大学生の支出 の満足と痛み 多田嘉晃 1.目的 買い物をしたときの状況により消費者の 満足度は異なる。 • 支出が満足に感じられるときがあれば、 心理的に痛く感じるときがある。 2.心理的財布 • • • • • • • • • • 1970年 1973年 1979年 1 つきあい用の財布 つきあい用の財布 外食因子 2 女性のおしゃれ用の財布 女性のおしゃれ用の財布 女性用品因子 3 病気など不安防衛用の財布 病気などの不安防衛用の財布 生活保障・安心因 子 4 日常的生活必需品用の財布 日常的生活必需品用の財布 生活必需品因子 5 生活水準引き上げ用の財布 生活水準引き上げ用の財布 生活水準引き上げ 因子 6 ちょっと息抜き用の財布 ちょっと息抜き用の財布 ポケットマネー因子 7 より高い趣味志向の財布 趣味用財布Ⅰ(行為) 文化・教養因子 趣味用財布Ⅱ(物) ちょっとぜいたく因子 8 財産用の財布 財産因子 3.楽しみ消費と義務的消費 • 楽しみ消費とは、支出したときに楽しめるため、 支出の痛みが小さく、満足度が高くなる。 • 義務的消費とは、支出したときに楽しみが少 ないため、痛みが大きく、満足度が小さい。 • 心理的財布の中で楽しみ消費は、文化・教養 因子、外食因子、ちょっとぜいたく因子 • 義務的消費は、ポケットマネ-因子、生活必 需品因子、生活保障・安心因子 4.仮説 • • • • • 仮説1 (a)楽しみ消費の満足度と痛みは正の相関 (b)義務的消費の満足度と痛みは負の相関 仮説2 小島らの1983年の調査により、支払う金額 が大きくなると、心理的痛みが大きくなるが他 方で満足度も大きくなる。 5.検証方法 • 被験者は20~26歳の男性25名・女性12 名、計37名 • 香川大学経済学部で授業においてアンケート 調査を行った。 楽しみ消費の質問項目 • 趣味用の本を購入するときの書籍代 • 100円・1500円・3000円 • 恋人といっしょに外で夕食を食べるときに、ワ リカンとしたときの夕食代の支出 • 1000円・3000円・8000円 • 友人といっしょに飲みに行くときに、ワリカンと したときの飲み代の支出 • 2000円・3500円・8000円 • 恋人といっしょに飲みに行くときに、ワリカンと したときの飲み代の支出 • 2000円・3500円・8000円 • 日帰り旅行をするときの旅費の支出 • 3000円・8000円・20000円 義務的消費の項目 一教科の授業の教科書を購入するときの書籍 代の支出 • 1000円・3000円・6000円 • 自分一人で外で夕食を食べるときの夕食代 の支出 • 500円・1500円・3000円 • 部屋着(家の中で着る衣服)を購入するとき の衣服代の支出 • 500円・1000円・5000円 • 昼食を外で一人で食べるときの昼食代の支 出 • 200円・600円・1500円 • ・コーヒー、お茶などのペットボトル(500ミリリッ トル)を買うときの支出 • 90円・130円・300円 6.結果 • それぞれの項目は、楽しみか義務であるか? • 一教科の授業の教科書を購入するときの書籍代の 支出 1.7 • 趣味用(小説など)の本を購入するときの書籍代の 支出 6.2 • 自分一人で外で夕食を食べるときの夕食代の支出 3.7 • 恋人といっしょに外で夕食を食べるときに、ワリカン としたときの夕食代の支出 5.2 • 友人といっしょに飲みに行きときに、ワリカンとしたと き飲み代の支出 5.5 • 恋人といっしょ飲みに行くときに、ワリカンとしたとき の飲み代の支出 5.2 • 部屋着(家の中で着る衣服)を購入するときの衣服 代の支出 3.1 • 日帰り旅行するときの旅費の支出 6.1 • 昼食を一人で外で食べるときの昼食代の支出3.7 • コーヒー・お茶などのペットボトル(500ミリリットル)を買 うときの支出 4.2 • 義務的消費だと考えたコーヒー・お茶などの ペットボトル(500ミリリットル)を買うときの支出 は、楽しみ消費だった。 痛みと満足の相関 • 全体の支出による痛みと満足の相関係数は r=-0.96 • 楽しみ消費の痛みと満足の相関係数は r=-0.98 • 義務的消費の痛みと満足の相関係数は r=-0.95 となった。 金額の増加による痛みの変化 点/線は平均値を表示しています。 6.00 5.00 痛 み 4.00 3.00 2.00 低 中 金額 高 金額の増加による満足度の変化 点/線は平均値を表示しています。 5.00 満 足 4.00 3.00 低 中 金額 高 • 仮説1(a)は、立証されなかった。 • (b)は、立証された。 • 仮説2は、立証されなかった。 7.考察 • 義務的消費だと考えたコーヒー・お茶などの ペットボトル(500ミリリットル)を買うときの支出 が、楽しみ消費となった理由 • 休憩のときなど一息入れるために、飲むこと が多いので、コーヒー・お茶の購入が楽しみ となったかもしれない。 仮説1について • 楽しみ消費の金額が増えると満足度が低くな る理由 • インタビュー調査を数名に行った。金額が上 がると不満足になる理由を尋ねると、そのと きは楽しかったけどあとでいくら使っていたか わかると少し後悔するという答えが返ってき た。使える予算が少ないため、楽しみや趣味 ばかりに使えず、そのあとの義務的な支払い が難しくなるためであった。 仮説2ついて • 支払う金額が大きくなると心理的痛みも大きく なるが、他方で満足度も大きくなるということ は、全体ではいえないが、それぞれの金額を 対応のあるt検定で分析すると、一部では、い えた。 • • • • • • • 教科書を購入 1000円ー3000円 3000円ー6000円 趣味用の本の購入 1500円ー3000円 一人で食べる夕食代 1500円ー3000円 友人との飲み代 2000円ー3500円 恋人の飲み代 2000円ー3500円 部屋着の衣服代 500円ー1000円 • 日帰り旅行の旅費 8000円ー20000円 • 一人で食べる昼食代 600円ー1500円 • コーヒー・お茶代 90円ー130円 • 大学生は、まだ趣味や楽しみに満足に使える ほどはお金を持っていない。限られた少ない 予算の中で、やりくりしているので出来るだけ 安く抑えようとしている。 • しかし中には、痛みが増えても満足度が増す ようなものもある。
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